617 名無しさん@ピンキー 03/05/31 02:20 ID:ovZ5JCg3
―――神様、罰当たりなアタシ達にどうかご慈悲を・・・・・・・・
「ネギ君、夏祭りに行かない?」
授業が終わった後、廊下を歩いていたネギに後ろから追いかけてきたまき絵にそう笑顔で問いかけられて、ネギは思わずOKの返事をした。
まき絵が言っているのは、麻帆良学園の近くにある神社で行われている夏祭りのこと。規模としては結構大きなもので、特にラストに行われる花火大会は毎年かなりの盛り上がりを見せていた。
祭りと言えばハロウィンや誕生祭などしか経験した事のないネギにとって、日本の夏祭りにはかなりの興味があったので、すぐにOKの返事をしたわけなのだが。
「それじゃ、7時に麻帆良神社の前にね!」
そう言って、まき絵は来た道を引き返して走って行ってしまった。
「元気だな~、佐々木さん。それにしても夏祭りか・・・・・・楽しみだな。」
午後七時二十分、麻帆良神社前。まき絵はまだ来ないネギを待ち続けていた。
「う~、遅いよ~。」
まき絵は集合時間10分前にここに来たので、かれこれ30分待っている事になる。その間、チャラ男やオヤジにナンパされまくっていたので、まき絵の気持ちはかなり鬱になっていた。
「ネギ君が約束破ることなんてなさそうだし・・・・・・・もしかして何かあったのかな・・・・・?」
まき絵はネギの身に何かあったのではないかと急に不安になり、寮に引き返そうとして振り返った時、その視線に見える道の向こうから息切れをしながら、よたよたと走る小さい子供の姿が見えた。
「ハァハァ、さ、佐々木さん!お、遅れて・・・・・ゴメンなさい!」
その姿は紛れもないネギであり、それを確認するとまき絵は安堵の表情を浮かべると同時にハトが豆鉄砲を食らったような表情を浮かべた。何故なら・・・・・・
「な、何、ネギ君そのカッコ!?」
ネギは朱色をベースとした花柄模様の浴衣を着ていたのだ。
「じ、実はこのかさんが・・・・・・」
時をさかのぼる事30分前、スーツのまま祭りに向かおうとしていたネギは部屋の玄関ででバッタリとこのかに出会っていた。
「あれ、ネギ君どこ行くん?」
「あっ、このかさん。実はまき絵さんと夏祭りに行くんですよ。」
「あぁ、そういえば夏祭りは今日やったなあ。それにしてもネギ君そのカッコで行くつもりなん?」
「は、はい。そうですけど・・・・・・・・・・」
「うーん、何か芸が無いなあ・・・・・・そうや!確かウチのクローゼットに・・・・・・」
そう言って、このかは自分のクローゼットをしばらく探っていると
「あっ、あったあった!」
取り出したのは目にも鮮やかな浴衣であった。
「ウチが小学生の頃におじいちゃんが買ってくれたヤツなんや。まだまだ着れんこともないやろ。」
そういうことでネギは半ば強制的に浴衣に着替えさせられ、その着替えの時間もあって待ち合わせに遅れてしまったというわけなのだった。
「この浴衣、どう見ても女の子用だし・・・・・・・変じゃないですか?」
ネギは恥ずかしそうに、まき絵に尋ねた。
一方、そのまき絵はネギがもともと女顔なのもあるせいか、異様に似合っている浴衣姿にしばらく見とれていたが、尋ねられたことに気が付くと
「う、ううん、めちゃくちゃ似合ってて、カワイイ!」
「あ、ありがとうございます~」
「じゃあ、その辺見て回ろうか?あたし、待ちくたびれておなか空いちゃった!」
「は、はい!」
最終更新:2012年02月06日 22:54