リボンなナイト09 第七話
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「んー…」
そのままうつらうつらとし始めた夏美をお姫様抱っこし、
665号室名物夏美の個室に運んでベッドに入れてから、
小太郎はぼーっと湯船に浸かっていた。
「絶対、葱やな…」
小太郎がぽつりと口に出す。
「これ…間違いなく、葱やろな…」
湯の中で、小太郎がブルリと震える。
「やっぱこれは…明日んなったら片っ端から土下座ちゅう事で…
きっついなぁ…でも、知れたら葱やしなぁ…」
そこまでブツブツ呟いていた小太郎が、水音に気付いてそちらに視線を向け、
湯船の中をざばばっと移動する。
「なんですの騒々しい」
「い、いつからいたんあやか姉ちゃんっ!?」
悠々とシャワーを浴びるあやかに小太郎が叫んだ。
「いつからと言われましても、先ほどからシャワーを使っていましたが何か?」
「い、いや、ああ、すまん俺ぼーっとしとった、ほなら」
湯船を上がり、シャカシャカと逃走する小太郎の動きがぴたりと止まった。
「た、たたっ、髪、髪掴むなてあやか姉ちゃんっ!」
「だから、全然洗っていないじゃないですのこの大草原の小猿さんは」
あやかに腰掛けに座らされた小太郎の背後で、あやかがシャンプーを掌に取っていた。
「………」
視界が危ないので選択の余地が無いと言う事情もあったが、
わしゃわしゃとあやかの手で髪の毛を洗われながら、小太郎はされるがままにしていた。
それでも活路を見出そうとしている内に、思わず別の方向に目が向いてしまう。
「どこを見てるんですの小猿さん」
「ち、ちがっ、あやか姉ちゃん」
ふっくらと真っ白な膨らみに視線を走らせた小太郎の頭を、あやかはガシガシと泡立てる。
「はい」
「ああ、おおきに」
ジャーッとシャワーで洗い流され、小太郎は渡されたタオルを受け取る。
「…なぁ、あやか姉ちゃん…」
「なんですの改まって」
「いや、なんつーか、あやか姉ちゃん、俺ん事嫌いか?」
「何を仰ってるんですの藪から棒に?」
「い、いや、ええんやけど…」
「良くありません。全く」
「まあ、なんつーか、勝手に転がり込んでしもうて、
それで、俺こんなガサツで育ちなんか悪いなんてレベルやなくて、
この学校、結構ええしの集まってて、そん中でもあやか姉ちゃんお嬢やしな、まあ今まで色々と…」
「ですわね、あなたが来てこの方、随分色々と不快な事もあったりもしました」
「やろな…」
小太郎が呟き、あやかが、ふうっと息を吐く。
「この様な事、理屈で言っても始まりません。
わたくしは、あなたをあれだけ信じ、慈しんでいる千鶴の事も夏美の事も信じています。
それに、人間、他人と言うものは、時には思い通りにならないから面白いものなのです。
わたくしは、その事を早くに教わりました」
ちろっと後ろを見た小太郎は、優しいあやかの顔を見る。
それを教えたのが誰か、言うまでもない事だった。
「さあさ、野生児さんはちゃーんと洗って差し上げますわね」
その高飛車さには、どこか照れくささが混じっている。それを感じた小太郎は逆らわなかった。
それはいいのだが、
“…ヤバ…これは…そうだよな、あやか姉ちゃんて…”
先ほどシャワーを浴びていたあやか、ちょっと視線を向けるとすぐ側でたわわに実る白い膨らみ。
超絶スタイルの美少女お嬢様。今さらながら小太郎はその事を身をもって思い知る。
「何を縮こまっているんですの?」
「い、いや、別になんともないうん」
不思議そうなあやかの声に、小太郎がぎくしゃくと返答する。
「背中は流しましたから、前は自分で洗えますわね」
「つーか、フツーに洗えるわい」
「そうですの」
小太郎の泡がじゃーっとシャワーで洗い流され、二人は憎まれ口をたたき合う。
「それにしても…これは…」
「あやか姉ちゃんっ!」
小太郎がハッとしてあやかの前に回り、次の瞬間、小太郎の顔はばふっと柔らかなものに埋もれていた。
ぐいっとあやかの胸を自分の顔から引き離した小太郎は、そのままあやかの体を支えて腰掛けに座らせる。
「危ないてあやか姉ちゃん」
「ああ、ごめんなさい。あのケーキ少々リキュールが効き過ぎていたのでは…」
パーッと燃え盛って発散した小太郎・夏美とは少々体内事情が違っているあやかが、
腰掛けたまま頭を振る。
「…あら…」
「だあああっ!」
そうやって、ちょっとの間ぼーっとしていたあやかを小太郎は少々心配そうに見下ろしていたのだが、
目の前に立つ小太郎にあやかの視界の照準が合った事に気付き小太郎が思わず叫んだ。
「あーうー、あれやあれ、あやか姉ちゃん背ぇ高過ぎて乳デカ過ぎて美人過ぎやさかいなっ!」
小太郎が後ろを向いてあわあわ叫び、ちろっと背後に視線を向けると、あやかがくすっと笑っていた。
「なんですの、小太郎さん?」
「え、あ、だから…おいっ、又危な…」
「もう一度言ってみて下さいましな小太郎さん」
背中にふにゅっとした感触が伝わり、くすくす笑ってお上品に言うあやかの言葉に、
背後からきゅっと首を抱かれた小太郎の顔がぷしゅーっと赤くなった。
「いや、だから…」
「なんですの?普段あれだけワンワン吠えてる大平原の野生児のオサルさんが随分大人しいですこと」
「あー、だからーっ、あやか姉ちゃん女なのに背高過ぎでそんで細っこいのに乳デカ過ぎで…
…あー、美人過ぎるからこんなんなってもーた言うてるんっ!!」
「良く出来ました」
にこにこ微笑んだあやかが、ぷしゅーっと下を向いた小太郎の頭を撫で撫でした。
「やはり、女性のバストの表現は些か品性に欠けますが、
女性へのストレートな賞賛、お子様としてはよろしくてよですわよ」
「あー、それ、褒めとんのか?」
「もちろんですわ」
「かなんなぁ」
小太郎がはあっと息を吐き、あやかが小太郎を抱く腕を緩めた。
ちろっと後ろを見た小太郎は、にこにこと微笑むあやかの表情に何かくすぐったいものを感じる。
そして、そろそろとあやかから離れると言う理性と硬派のルールに従った行動をとっていた筈が、
気が付いた時には振り返ってきゅっとあやかに抱き付いていた。
「あらあら、素直になったと思ったら、甘えん坊さんですの?」
「なんとでも言うてくれや。悪いなぁ、ネギみたいん可愛げのうて」
「時にはくせ者がいい味を出すと言う事は、何であれありそうな事ですわ。
それに、十分可愛いですわよ、今の所」
「可愛いねぇ…うぷっ」
にへらっと笑ったあやかの腕により、小太郎の顔が又、ばふっと柔らかな谷間に埋められる。
「…柔らこうて、なんかええ匂い…」
うっとりと呟く小太郎の頭を、あやかは優しく撫でていた。
小太郎がどこか恐る恐る、叱られる悪戯っ子の様な顔であやかを見上げる。
実は、既にその表情に萌えまくっていたあやかがにっこり微笑み、言葉の前に唇が重ねられていた。
「…なんでや、あやか姉ちゃん?」
「なんですの?」
実際に行動に移ってから、小太郎がぼそっと尋ねた。
「いや、だから、なんで俺で…」
「欠点だらけで、そちらの方が多いのかも知れません。
でも、先ほど思いを伝えた様に、不器用でも精一杯、真っ直ぐに努力する者は魅力的です。
色々とねじ曲がりそうな誘惑があっても、あなたには間違いなくそうして作られた芯があります」
「そんなモンか」
「この雪広あやかが言っているんです、そうなのです」
強い口調にギクッとする小太郎に、あやかがにっこり微笑んだ。
“…か、かなんなぁ…”
「やはり、女性の乳房と言うものが気になりますの?」
チロッチロッと走る視線にあやかが尋ね、小太郎はこくんと頷いていた。
「きゃっ」
“…か、可愛い…”
一瞬驚きの声を上げ、小太郎の感動を呼んだあやかは、そうやってちゅううと小太郎に乳首を吸われていた。
そのくすぐったさに時折むずかりながらも小太郎の頭を優しく撫でていた。
「んっ」
夢中で吸っていた小太郎がチロッと上目遣いに見上げ、その優しい表情にほーっとなる。
そして、ぐいっと下腹部を押し付けてしまった抵抗感に、小太郎がその真っ白い乳房から口を離す。
「あ、ああ、だからこれは…」
「殿方とはこういうものであると、そのぐらい心得ておりますわ」
つーんとするあやかを前に、小太郎の口元にニッと笑みを浮かべた。
「ほーっ、分かってるんかいな」
「当然ですわ」
「なんつーか、あやか姉ちゃんむにむに柔らこうてエロエロやから、
俺熱うなってかなんわホンマ、けど、あやか姉ちゃんに言うてもしゃあないわなぁ、
まーツンツンしとってもよう知らんお嬢やろうし」
「失敬な」
抱き締める小太郎の腕が緩み、ニッと笑みを浮かべた小太郎を見て、
口を尖らせたあやかがするするとしゃがみ込む。
「…これが…この様に硬く上を…」
「…つっ…そんな無理に…」
「ああ、ごめんなさい」
ぐいっと無理に下ろそうとしてあわあわするあやかを、小太郎は可愛いと思う。
「…本気を出すしかありませんわね…」
「へ?」
「雪広秘伝一族繁栄夫婦和合裏外交特別技法…」
「あのー、もしもし?…おうっ!…」
小太郎が懲りる事なく反り返らせたそこに、むにっと柔らかく、温かな感触が伝わる。
「んふふっ、小太郎さんの大好きなおっぱいは、この様にしても殿方を悦ばせるものですのよ」
「あ、ああっ…おおっ…」
とろとろとオイルを流し込みながらあやかが言い、しまいに谷から覗く先端を舌先でちろちろしながら、
あやかは小太郎のうめき声に勝ち誇った笑みを覗かせる。
「お、おおっ、ま、マテあやか姉ちゃんっ!おおおっ…」
叫ぶ小太郎の前では、あやかがきょとんとした表情で、ぬるりと生温かい感触でリアルを感じていた。
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「…すまん、あやか姉ちゃん…」
「当然ですわ」
腰掛けに掛けた小太郎に、あやかはいつもの傲然な程の口調で言う。
「…ああ…」
「当然ですわ、この雪広あやかが全身全霊この乙女の肉体であの様にして差し上げているのですもの、
殿方、それも小太郎さんの様な野生児が喜悦の極みで射精と言うものに至ると言うのは当然の事ですわ」
バッと豊かな金髪を翻し、あやかが言い放った。
「…おかしいですの?…」
「いやぁー、いや、そう思う、そう思うでうん、あやか姉ちゃんみたいに綺麗で乳でこうて、
そんで一生懸命なイトはんにあんなされてこんなならん男おらんてうん」
「分かればよろしい」
「だからあやか姉ぇ」
「なんですの?」
「顔洗おうや」
二人で顔を見合わせ、ぷっと吹き出した。
「さあさ、では、こちらも」
「お、おい、マテ…」
照れ隠しの様にじゃばじゃばと洗顔したあやかが、
小太郎の一息ついてたらんと垂れた所をぎゅっと掴んでいた。
「この様に、変化するものですのね」
「あ、ああ、そうらしいな」
実は自分の体でも経験の少なかった小太郎が素直に白状していた。
「ふふっ、柔らかい。それがあの様に…
殿方の大事な所ですもの、ちゃんと綺麗に…あら…」
「あー、だからー、そーやっていじくっとると…」
「ですわね」
二人で顔を見合わせ、くすっと吹き出した。
「?」
そして、小太郎は、斜め下を向きながらもごもごしているあやかに不審を覚える。
「どないしたん、あやか姉ちゃん?」
「いえ、その…
やはり、殿方と言うものはこうなるとそのしたいと申しますかつまりこういう事は殿方の…ひゃっ!?…」
小太郎の手が伸び、あやかが悲鳴を上げる。
「な、なんですのっ!?」
それは、本気で怒った様な響きでもあった。
「ああ、悪いな。つまり、あやか姉ちゃんもいい加減しとうて我慢出来ひん言う事か?」
ぬるりと掴んでからニッと笑う、それでも邪気の無い小太郎の顔に、あやかがふうっと息を吐く。
「何と申しますか、その…やはりこういう事は…」
「あー、何うじうじしとるか知らんがあやか姉ちゃん、俺、綺麗なあやか姉ちゃん欲しいんやけど、
あやか姉ちゃん、どないなん?」
一転、しゃがみ込んで淑女のたしなみにうじうじとしていたあやかが、
ちらっと上目遣いに見て、小太郎の真っ直ぐな眼差しに胸を射抜かれる。
「…では…参りますわよっ」
「おおっ!…おおおっ!!…」
目の前に、背が高くえらく細いけど出る所はバッチリ出過ぎている程に出ている、
そして抜ける様に白く金色に輝くあやかの堂々たる裸体が立っていた。
腰掛けに掛けて惚れ惚れと眺めていた小太郎は、
次の瞬間にはぐっと腹に力を込めて突き抜ける衝撃に耐えていた。
「あー、いたないかあやか姉ちゃん?」
小太郎の言葉にぐっと耐えていたあやかの表情はしかし、
小太郎が別の意味で堪えながら眺める内に段々と熱く溢れるものへと変わっていく。
見事な金髪がばさっ、ばさっと乱れる。
小太郎の目の前で、真っ白くたっぷりと豊かな膨らみがぷるんぷるんと揺れ動き、
小太郎の首はたまらずそれを猫の様に追い掛けながら、ついにそんな豊かな小山の頂き、
そこで上向きにつんと尖りピッと熱く突き出した桃色の可憐な蕾に食らいつく。
「あ、ああっ!」
ぢゅうぢゅうと小太郎に吸われながら、
あやかは天性の勘、運動神経を働かせ、上下から低く摺り合わせる様に腰の動きをスライドさせる。
「お、おおおっ、俺、俺っ…」
下からの感触にたまらず口を離した小太郎が呻き、解き放たれたあやかも又スパートに入る。
「お、俺っ!あやか姉ちゃんにおおっ」
「いいですわ、小太郎さんいいですわそうああっ小太郎さんさあっああああ…」
小太郎は、目の前に、金色の天使を見た気がした。
だが、いまだどくっどくっと脈打つ快感に身を委ねたままの小太郎の体に柔らかな重さが伝わり、
目の前でにへらっと笑っているのは、無防備な一人の女の子、大変に魅力的な普通の女の子だった。
「あー…あやか姉ちゃん」
「はい」
あやかは、繋がっているにも関わらず既に真面目な表情になっていた。
「めりー・くりすますあやか姉ちゃん」
「Merry X’mas」
キスの前に小太郎が見たのは、とてもとても可愛らしく、魅力的な女の子の微笑みでした。
最終更新:2012年01月28日 14:34