旅行記の間に
「どうしたんですか?」
普通に声を掛けてくれるんですね。軟禁されている筈の私に。
あれから私は、拷問に掛けられるでもなく飛行船の中で軟禁されていました。
のどかさんのお陰でその必要が無かったのですし、扱いに困ったから取りあえず、
と言うのも本当の所だと思います。
でも、それもネギさんの優しさなのだと。
私は、その優しさを裏切ってここにいます。
カード奪還隠匿の経緯は省きます。
見張りの娘が弱そうな時を狙って、その姿を借りてここまで辿り着きました。
もちろん初期の目的を忘れてしまう仕様ですから、事前にメモを用意して、です。
そうやって、深夜の寝室と言う危な過ぎる場所に、
素の顔で敵の潜入工作員と言う危な過ぎる相手がたたずんでいるのに、
ネギさんの瞳はあの時と同じ優しいまま、心配そうですらあります。
その優しさが切ないです。でも、裏切らせていただきます。
「はわわわっ!」
私が寝巻を床に落とすと、ベッドの上のネギさんは、腕を顔の前で振ってわたわたしちゃってます。
戦場だったらすぐに刈られてしまいますよネギ先生。
「は、んっ!?」
ほら、瞬動なんか使わなくても奪ってしまいましたよ、
「ネギさんの唇、やっぱり柔らかい」
私の目の前で、目をぱちくりさせています。可愛いです。
だから、もう一度。今度は深く、静かに。
目がとろんとして来ましたよ。伏せた睫、引き込まれてしまいそう。
引き込まれてしまいそう。どうしてこんなに甘美に舌が動くのですか10歳のネギさん?
やっぱり、天才なのでしょうか。
「あ、あの…」
目が闇に慣れて来ました。糸を引いて唇が離れ、ミルクの様な頬がほんのり染まっているのも分かります。
そして、戸惑いを口にしながら視線がチラチラと。
だから、困ってる紳士さんにお手伝いをしてあげます。
「あ…」
ネギさんの手をとって、私の左胸に導きました。すっぽりと膨らみを収めた掌をやわやわと動かして、
くすぐったいぐらいに優しい手つきはやっぱり紳士さんです。
私の顔に、笑みがこぼれている様です。
+ +
「あうっ!」
私の掌がネギさんのパジャマの上を下へ下へと、それは簡単に見付かりました。
こんなに熱くなってますよネギさん。体は正直ですね。
「あ、ああんっ!」
私は、ネギさんほど優しくありません。
意地悪く掌を動かすだけで、ネギさんの声丸で女の子みたいです。
「ああっ!」
一度ゴムを歪めて空間を作ってから、一度に引き下ろしました。
一杯一杯に突っ張っても、まだ可愛いぐらい。
でも、私の目の前に飛び出したのは、紛れもない元気な男の子です。
「は、あっ」
その白い幹を舌先でつーっと撫でるだけで、ネギさんはたまらなそうな声を。
たまらないのは私です。
「えっ?あ、はああんっ」
思い切って、かぷっ、とくわえてしまいました。お口にお手頃サイズでしたし。
上目遣いで見ると、ネギさんは紅潮した顔で眉根を寄せながら、
ぷるぷると顎を横に振って懸命にこらえています。
だから、もっともっと意地悪して差し上げます。
「は、あ…んんっ」
ちゃんと、最後まで見届けてからお口で綺麗綺麗に致します。
心得はあるつもりですが、それでも唇の端から少々溢れてしまいましたはしたない。
「濃厚なのが一杯、私のお口に出されましたね」
かあっと頬を染めて斜め下を見るネギさん。そんな罪悪感なんて感じないで下さい。
その綺麗な心に付け込んで一方的に貪っているのは私なんですから。
でも、その顔、たまりません。
本当にあんなにネバネバに濃いのが一杯一杯でしたね。ごっくんしても感触が全然消えません。
こんなお子ちゃまなのにあんなに一杯、こんなに戸惑って、
きっと、初めてだったんですね、嬉しいです。
+ +
「気持ち良かったですか、ネギさん?」
私の問いかけに、ネギさんはこくんと頷きました。本当に正直な方です。
「私も、気持ちよくして下さい」
「えっ?」と口に出さないで目で問いかけています。
「ネギさんはおっぱいお好きですか?」
ほら、視線が又斜め下に。ネギ先生ならのどかさんや龍宮さんにお願いするまでもないですね。
ふにゅっと、柔らかな頬から右に、
「いいんですよ」
私は甘く囁きます。唇を割って入り込んだのを、ネギさんは拒みませんでした。
ニンジャか何かでしたら確実に殺れるレベルですねネギさん。
ネギさんがうっとりした顔でちゅうちゅうしています。うふふっ、くすぐったいですネギさん。
「は、あっ…」
声を漏らした私の顔を、痛いくらいに硬くなった乳首をちゅうちゅうしていたネギさんが、
上目使いでちらっと。お母さんの真似と言うのは難しいんですね私はしたないです。
ツンと尖っててらてらに艶めく乳首からネギさんの唇が離れます。
ジロジロ見られるとやっぱりちょっと恥ずかしいです。
程よい美乳と強がっても、ネギさんの周りにはアスナさんもそう、ご立派な方が一杯おられますから。
照れ隠しっぽく、もう一度ネギさんの顔を押し付けてしまいました。
「あんっ」
又、声が漏れてしまいます。だって、くすぐったいのが段々と、
私の知っている中でもネギさんの舌の気持ちよさは大変なもの、末恐ろしいなんてものではありません。
私の掌は、自然に、解かれたネギさんの後ろ髪を撫でていました。
撫でながら覗いたネギさんのお顔は、とっても安らかで私も笑みがこぼれてしまいます。
「ん、んっ…」
私の思わぬ行動だったのでしょう、
右手を取られて私の恥ずかしい所へと導かれたネギさんがチラッと上目遣いに。
まだ、おっぱいはくわえたままです。
「男の人の様に、女性もここが気持ちいいんです。
男の人よりずっと小さいけど、ここを優しくされると気持ちよくてこんなぬるぬるなはああっ…」
手に手を取り、触れる前から恥ずかしい程に潤った中のその一点に導きました。
少しの間お姉様としてエスコートして差し上げるつもりが、
私の背筋はあっと言う間に反り返って息が詰まりそうになりました。
「ネギさんのここも、又、硬くなってます。男の子なのですから当然の事ですよ。
女性にこうして反応されるのは、健康な男性として成長の証、
ネギさんみたいな紳士的で魅力的な男の人が魅力を感じる女性としての誉れ」
もう、ネギさんにそんな罪悪感なんていらないです。
ネギさんは私にされるがまま、パジャマシャツを脱がされました。
「だから…私を…」
「あっ!」
ネギさんはその時、女の子みたいな声で一声叫びました。
そして、その瞬間を懸命に堪え、打ち勝ちました。
私の下で、ネギさんは声をかみ殺しています。
そんな、ネギさんの眉根を寄せた懸命な顔を見下ろすと、改めてじゅんと潤うのを感じながら、
そこにネギさんの男の子を食い締めながら、私は腰を動かします。
ネギさんが私の中に、ネギさんそのものの様に、
まだまだ幼さを残しながらも男性として精一杯力強くあろうとするネギさん自身が、
精一杯硬く、強く私を突き上げます。
そして恐るべき事に、
耐える事で精一杯だった筈のネギさんの腰が私の下で、それも的確に動き出していました。
そう、こうして組み伏し、ねじ伏せようとすらしている私を、逆に突き破らんばかりに。
だから私も、ゆるゆると腰を使い、或いは力を込めて、踏み止まろうとするネギさんを私は翻弄します。
いかがですかネギさん?
ある時は寝物語を運ぶ記憶の箱、ある時は想い人に向き合えない方のための完璧な生き人形。
それは、甘いだけ言いなりだけじゃない、そんなの「面白くない」。
痛いも苦いも全てが「リアル」な完璧なエロゲ。
例えそれが本物そのままでどんなに酷い事でも傷ついてもそれはその時だけの事。
そして私、その時はその姿のその人で頭の中まで全部その人、でも、後になれはその全ては私の記憶。
だから、こんな事もこうやって、こんな風にすれば男の人がどうなるか、全部覚えています。
ネギさんの見た「アスナさん」もそれと同じなんです。
それが私。軽蔑しますかネギさん?
+ +
気が付いた時には、真っ白な光から夜闇の寝室へとゆっくりと私の意識は戻って来ていました。
ネギさんも、ほんのりと頬を染めたまま、
頭の中を突き抜けた感覚を処理し切れない様です。
やっぱり、こういう事まではまだ難しかったのですねネギさん。
体の求めるまま、私はネギさんに抱き付いていました。
私の程よく形のいい美乳がふにゅっと潰れています。
やっぱりネギさんの、ほんのり汗の浮かんだ胸板。ほっそりして見えて逞しい、温かい。
「栞さん、どうして…」
それでもさんを付けて下さるのですね。そうであれば、裏切らなければいけません。
「フェイト様のスパイが、敵リーダーを誘惑しに参りました。
この体、ネギさんの思し召しのまま。二人だけの秘密、一杯一杯気持ちよくして差し上げますわ」
そんな澄んだ、哀しい眼差しを向けないで下さい。
お願いです、そんな優しい、哀しい目を向けないで下さい。唇が、裏切ってしまいます。
「…助けて下さった…お礼を…」
なぜ、私の頬は濡れているのでしょう。濡れた頬は熱いです。
どうして?それは私が聞きたい事です。どうして?
どうしてこんなに優しく、力強くぎゅっとなさってくれるのですかネギさんどうして?
だから、止まらない、頬が、濡れて、止められないじゃないですかネギさん。
ネギさん?ネギさんどうして、泣いているのですかネギさんどうして悪いのは私なのに
バタバタと入口が騒がしくなって参りました。
龍宮さんが、左手で払いのける様なジェスチャーをしながら、銃口を向けて叫んでいます。
それでいいんです。
私の心がどちらを向いていても、大恩あるフェイト様を裏切る事は出来ません。
全てを知られた私は、フェイト様にとって、
「偸生の符」の能力者とフェイト様の下僕として全て心得ています、身の処し方も。
だから、ネギさんを抱き留めながら、くるりと龍宮さんに背を向けます。
そうです、ネギさんは全然悪くありません。
全てがこの私が、フェイト様の女スパイが年端も行かぬ敵リーダーに色仕掛けで迫った、それだけの事。
さあ、龍宮さん、ネギさんの首、刈って差し上げますわよ。
+ +
私は目を閉じていました。
その事に気が付いて、目を開きました。
後ろに視線を向けると、のどかさんの背中が見えました。両腕を広げて立ちはだかるのどかさん。
知られた今、この人にだけはかなわない。
だから、決行前には一生懸命フェイト様フェイト様と心の中で繰り返し、
直前には一服盛らせていただきました。もうお目覚めなのですね。
そののどかさんが両腕を広げて、私と龍宮さんの間に立ちはだかっています。
どうして?どうして?どうして?どうして?
チラッと後ろを見たのどかさん。黒髪の間から覗いた瞳は、優しく微笑んでいました。
もう、嘘はつけない様です。姿も、言葉も、私は、そうです、のどかさんと同じく、
止まらない、頬を濡らし、シーツにも染みが広がって、どうして?どうして銃を下ろすのですか?
ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ
-了-
最終更新:2012年01月28日 14:37