72 二日目65 ◆lQS9gmV2XM sage 03/10/17 20:06 ID:2Cs7R0t1
女子寮・廊下―――
吸血鬼たちはほぼ拘束され、ようやく平穏が戻りつつあった。
「やっぱり、夕映さんがいません―――」
「桜子も、いないよね……」
その廊下には、寮を襲った吸血鬼の集団が縛られていた。楓やクーに撃破されたのが大半で、中には
早乙女ハルナの姿もある。全員がロープでぐるぐるに縛られていて、それは吸血鬼たちの自由を封じる
ための苦肉の策だった。横には壊れた人形の残骸も積まれている。
宮崎のどか、釘宮円、柿崎美砂の三名は、吸血鬼の中に友人がいるかどうか確認しに来ていた。もし
行方が知れない友人が吸血鬼の中にいなければ、その娘はどこかで助けを待っている可能性もある。
「なあなあ、何してるの?」
三人がびくりとして振りかえると、近衛木乃香が立っていた。
「こ、木乃香………どうして、ここに?」
「まあ、いろいろあってな、ちょっと汚れたさかいお風呂はいってたんやけど……?」
質問の意味が分からないような素振りで、木乃香は首を傾げた。
「木乃香……悪いけれど、首筋を見せて」
モップや箒を構えて、円と美砂が木乃香を牽制する。吸血鬼の中には囮を使ったり、牙が短い者が
いるらしい事を二人は聞いていた。よく知った顔でも、無条件に信用はできない。
「? これでええかな」
木乃香は服から首と、白い肩を出して微笑んだ。そこには噛み跡など、どこにも無い。
「ほっ……良かった」
「ふふふ、もっと面白いものも、見せてあげる」
パァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ――――――
木乃香を中心に光の粒子の嵐が巻き起こり、釘宮たちと吸血鬼たちを通り過ぎていった。
その異様な現象は、ロール・プレイング・ゲームでいうところの、≪回復魔法≫に酷似していた。
ブチブチと、ロープが切れるような不吉な音が聞こえてくる。
のどかと美砂の腕が、首が、脚が、腰が、肩が、胸が、頭が、髪が、一斉に背後から掴まれた。
「ひっ、いやあああああああああああああああああああああああああああああ―――っ!」
「やめてくださいぃぃぃぃぃ、あ、ああ―――っ!」
背後で復活した吸血鬼の集団に、のどかと美砂が引きずり込まれた。
「あ………ああ……美砂……本屋ちゃん……」
円の、モップを持つ手がカタカタ震える。
「ま、まどかぁ……助け……て……」
吸血鬼の群から、弱々しく美砂の右手が円の方に伸びる。
横では壊れた人形が、ゆっくりと修復していく。
「うふふ、みんな回復したてで、お腹が空いてるようやな」
木乃香は無邪気に、くすくすと嗤う。
「ふ、二人を離しなさいよぉ!」
モップの先を木乃香に向けて、震えながら円が凄む。
「ばりあ~」
パンッ、と乾いた音を残して円が吹き飛び、吸血鬼の群れの中に落下する。
木乃香を護る半径数メートルの魔法障壁、それに触れたモップの先が、ぶすぶすと焦げた。
「すっごい! どうしたの木乃香!」
ハルナが木乃香に近づいていく。魔法障壁は発動しない。
「ふふふ、すごいやろ? クーちゃんに噛まれてから使えるようになったんよ」
木乃香が微笑みながらハルナの首筋を撫ぜると、噛み跡が一瞬で消えてなくなってしまった。
「回復の他にもまあ、いろいろできるえ。まき絵ちゃんにも、もう、たっぷりお礼ができる―――」
愉悦の笑みを浮かべて、木乃香はハルナの額にそっと触れる。
「ハルナちゃんは誰にやられたん? その娘に勝てるように、ウチが能力を与えたるで―――」
……………………………
―――643号室
背中が部屋のコーナーにぶつかり、まき絵に逃げ道は無くなった。
「ひい、ひい、胸もあそこも壊れちゃう……リボンか、バトンさえあれば、戦えるのに………」
暴力ともいえる過酷な責めの痕が、まき絵の肉体に刻まれていた。
膨らみかけた胸は執拗に捏ね回されて握り潰され、桜色の乳は爪で捻られた。
白い柔肌に傷が重なり、乳房は腫れを通り越して内出血で変色していた。
硬い棒で叩かれ続けた股間はデリケートな部分が裂けて、レオタードを赤黒く染めている。
「やめて! 来ないでぇ! ね、ネギ君を捕まえに来たのに、何でこんなことに……っ!」」
一体の人形が、グロテスクなペニスを生やして近づいてくる。クーと桜子が左右からまき絵を押し倒
し、レオタードをずらして性器を晒した。血が滲むそれは、クーに胸を噛まれたので濡れていた。
まき絵の顔が恐怖に歪む。茶々丸同様、人形のペニスは精液の量は人間の数倍でタイヤのように固い。
棍棒のように長く太く、主人の魔力の続く限り萎えない怪物である。
そもそも賞金稼ぎの拷問用で、セックスのためのモノですらない。吸血鬼の肉体とはいえ力任せに突
かれればどうなるかは、まき絵でも容易に想像できた。
「ひっ、いやあああっ、やだ、ひっ……は……あああああああああああああああっ!」
巨大なペニスがずぶずぶとまき絵の中に押し込まれていく。結合した箇所から大量の血が流れ落ちる。
滑りをよくする愛液の効果もなく、凶悪な摩擦の余韻を膣に刻みつつ、ペニスが子宮に到達した。
「うぐぁ、あ、あっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、や、めて、ぇ………」
泣き叫ぶまき絵を無視して人形が動き始める。まき絵は身体を揺らしながら、膣を抉られる痛みにひ
たすら耐えた。
「ああ、あ、そこはぁ……あ、ああ、はうっ、」
まき絵の尻に別の人形が、ペニスをぴったり当てる。
レオタードに穴が開いた。
「ひぎいぃぃぃ―――っ! い、いたっ、痛いいいいっ!」
ペニスはレオタードを突き破ってまき絵の肛門に押し込まれ、白い尻を赤く染める。
「お尻がぁ、い、いやぁ、あぐっ、うっ、あっ、うああっ! あっ、あっあっ!」
腸壁をぎちぎち抉りながら、人形はまき絵の尻を犯す。当然のように穴が裂け、前後から流れる血で
股間は血の海になった。
「ふぐぁあっ、あっ……がぁ……うぁ……」
肛門と性器が同時に突き上げられ、まき絵は意識が途切れ始めた。まき絵の思考は既に消滅していた。
胸は嬲り尽くされ、性器も肛門も犯され、最早限界を超えていた。
「意識を失えば楽になれる」という呪文が、まき絵の頭を埋め尽くしていた。
パチン、とクーがまき絵の頬を軽く張る。
「ああ、ひぐっ、ううっ、う、あ、あ、ああああああああああ―――っ!」
絶妙のタイミングの一撃で、意識はしっかりと回復してしまう。
どぷ、どぴゅるるる、どぷどぷっ……
「――――――――――――――――っ!」
まき絵の膣と尻に、どくどくと精液が注ぎ込まれた。
「ああ、まき絵まで…………うぐっ」
そのときの裕奈の声は、自分が追い詰められていた時よりも悲痛なものだった。
裕奈の性器と口を、人形が犯し始める。下半身は子宮まで、上半身は喉の奥まで、二本の肉棒が裕奈の
肉体を蹂躙し始めた。
「うぅぅ、うぐぅ、う、ぅう、ぅ、ぅう、ぅ、う、ごふっ、はあ、はあ、あっ、ああっ、うぐぐ……」
過酷な挿入の連続で、裕奈の膣がペニスの直径まで広がりきってしまう。人形は先ほど中出しした精
液と愛液をシェイクしながら、子宮の入口をずんずん突いてくる。
「う、うぅ――っ! ううん!」
苦しむ裕奈の口には別の人形が、喉まで深い挿入を繰り返していた。
「う、うぐぁ―――っ! う―――っ! んむ―――っ!」
後ろで史伽がバチン、バチンと尻を叩き、前で風香が乳房をつねって裕奈を嬲る。
身体の中で暴れるペニスが、どんどん大きくなっていく。
どぴゅるる、どぷ、どぷぷ、どぷっ……
裕奈の口と膣の中に、人形たちの精子が大量に放たれた。
「うぅ……うぶぅ……ぶはっ、……おぇ……」
裕奈は泣きながら精液を口から吐き出し、そのまま力なく倒れる。
「……はあ、はあ、お、お願い、休ませて……あっ、きゃあああっ!」
巨大なペニスが裕奈に躊躇なく挿入される。
傷ついた膣に精液を擦り込みながら、人形は再び裕奈を犯し始めた。
まき絵と裕奈の悲鳴を聞きながら、夕映は携帯で会話をしていた。
「分かりました木乃香さん。そう伝えます」
かかってきた携帯を切って、夕映が言った。
「桜子さん。釘宮さんと柿崎さんが、こちら側になりました」
「えっ、本当? ちょっと話してきていいかな?」
夕映が肯くと、桜子が嬉々として部屋を出ていく。
「…………………」
長瀬楓は一言も喋らずに、冷静に部屋の状況を分析していた。
吸血鬼は夕映、クー、鳴滝姉妹、まき絵、裕奈の六人になった。
人形は結界の核らしいチャチャゼロと、他に四体。
楓を縛っている結界は頑丈だが、右足首は自由に動かせるのを確認した。
足下には破られた忍装束が落ちている。
奥歯の辺りを舌で舐める。そこにはくノ一としての武器が仕込まれていた。
そして―――
(こやつら………黒幕に、切り捨てられたでござるかな……)
ネギが寮にいない以上、寮で暴れている勢力は目的を失っているはずだった。
夕映のように自分がリーダーの勢力を作って、気に入らない者に制裁を加える者がでてきている。
しかし黒幕は仲間割れを止めもしなければ、新しい命令も出さない。その事が楓は気になっていた。
黒幕は既に女子寮に、夕映たちに、関心を失っている―――楓はそう読んだ。
当たっていようが、外れていようが、楓には直接の関係はない。
ただ、もし本当に、まき絵や夕映たちが捨て駒で、既に役目を終えて捨てられたのだとしたら―――
理不尽な攻撃を女子寮に仕掛けてきた黒幕に怒りを覚え、夕映やまき絵が酷く哀れに思えた。
そして楓は、反撃を開始する。
「………として、お主たち………」
楓が小声で何か呟いているのを、夕映の耳が拾った。
「え? 何ですか? 聞こえません?」
夕映が、楓の顔に耳を近づける。
「友として、お主たちのために、これから拙者は、正しいと信じる事をするでござる―――」
「んぐっ!?」
楓が、近づいてきた夕映の唇を奪い、奥歯に仕込んであったモノを唾液と一緒に流し込んだ。
「ぷはっ、な、何を飲ませたんですか………あ、ああ…ぁ………」
「甲賀特性、痺れ薬でござるよ―――」
微笑む楓の顔を見て、夕映の顔がみるみる引き攣る。
「何シテンダオマエ!」
「忍びは全身に、武器を隠し持っているでござるよ。化け人形―――」
近づいてくるチャチャゼロの前で、楓の足の爪が火花を散らした。目を凝らして見てみると、爪には
小さな石が仕込まれていた。火花が忍装束のポケットに入っていた導火線に引火する。線は短い。
その先には竹筒が、チャチャゼロの方を向いていて、そして―――
ボォォォォォォ―――ン
「フギャアアアアアアアア―――ッ!」
竹筒が大砲のように火を吹いてチャチャゼロを吹き飛ばした。
「お前さんがその位置にくるのを、待っていたでござる」
楓の前で夕映が崩れ落ちる。
焦げたチャチャゼロが天井に激突して、楓の後ろにどさりと落ちる。
同時に結界が砕けて消滅した。
「ふむ―――まずは二人」
吸血鬼たちが呆然とする中、楓は顔だけは微笑みながら、口調だけは和やかに、言い放った。
≪to be continued≫
最終更新:2012年02月12日 21:01