04スレ456

456 座薬 ◆lQS9gmV2XM sage 03/12/11 23:46 ID:jX/gafPj

「壊れて壊れて壊れるまで―――」
 パレットの絵の具を混ぜているように、黒子や日本庭園が溶け合って別の何かを造り始める。
 変化する背景の中で唯一その影響を受けない桜子が、ラクロス棒を持って笑っている。
 ……………………
 ………
 動こうとした楓は足が動かず転びそうになる。
「ん、ここは……何でござるか?」
 そこは沼のような場所だった。
 楓の太ももまで水位はあり、決して浅くはない。
 水は濁って底は見えず、異常に粘度が高くて水飴のようにネバネバしていた。そして肉が腐ったよ
うな匂いが水から漂ってくる。
 その上を覆い尽くしているのは、大小の蓮や睡蓮だった。
 数十センチメートル程のものもあれば、三メートルはある巨大なものもある。
 それらは静かに、そして不気味に、ゆらゆらと水面に群れていた。

「ようこそ楓ちゃん。絶対に勝てない幻覚の世界にっ」

 地平線まで広がった、沼の濁った水面。
 埋め尽くすのは蓮と睡蓮の群れ。
 それらを背景に、ひときわ大きな蓮の葉の上に立つのは、よく知った顔の少女。
 普段は着ない魔女の服を纏い、魔法の杖の代わりにラクロス棒を持っている。
 もう片方の手には、幻覚を発生させるタロットカード。
 椎名桜子。
 643号室で逃がした吸血鬼は、魔女の護衛として再び楓の前に現れた。

「拘束をわざわざ解くとは、後悔するでござるよ。その余裕」

 苦無を構えて楓が、じゃぶ、じゃぶ、と沼を進む。
「ダメだよ楓ちゃん。これは、楓ちゃんが、絶対に勝てない幻覚なんだから―――」
 微笑を浮かべて桜子が、ラクロス棒を楓に向けた。


「幻覚強化・兵隊多数―――」
 桜子の何気ない言葉に、タロットの輝きが増していき、沼がぼこぼこと盛り上がった。

「げろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろげろ―――」

 腐った水のような色をした皮膚に、ぎょろりとした眼球を持ったカエルが、次々と沼から飛び出し
てきた。それらは数センチから三メートルの怪物級まで大きさは様々で、対応した蓮の葉の上に飛び
乗って頬を膨らませる。巨大なカエルの何匹かには、股間に人間と同じような特大のペニスが生えて
いる。そのデタラメで間抜けな姿からは、しかし歪んだ悪意が感じられた。
(や、やっぱりカエルがきたでござるか。しかも男根付き……)
 内心はカエルに怯えながら、しかし楓は桜子に弱みを見せはしない。
「ふん、お前らにどうにかされるほど、拙者の身体は安くないでござるよ―――」
 桜子が目を細めた。
 魔女のローブがしゅるしゅると伸びて、根のように沼の中に潜っていく。そして、
「幻覚強化・触手化―――」
 バババババババシャ―――と音を立てて大量の、睡蓮や蓮の茎や根が水面を突き破って噴出した。
「―――!」
 巻き上げられた沼の水が雨のように降り注ぐ。それに混じって跳躍したカエルと触手化した蓮の茎
や根が、前後左右から一斉に、たった一人の楓に集中した。
 沼の静けさを破壊する怒涛の攻撃が、楓のいる場所に叩き込まれる。
 爆撃を受けたように水柱が起こり、楓の姿を消した。
「あははは。「絶対勝てない」この幻覚の世界は、何もかもが私の思いのままなんだよっ!」
 桜子が、巨大な蓮の上でけらけら笑う。
「ふむ、確かに凄いでござるなぁ―――」
 ドボォン、と水面から飛び出した楓が苦無を振るい、桜子が立っていた蓮が一瞬で三つに裂けた。
「うひゃあっ!? さっすが楓ちゃん、あんな大雑把な攻撃は効かないか―――」
 蓮や睡蓮の上をぴょんぴょん渡っていく桜子を、苦無を持った楓が追う。
「でも、絶対に勝てない、って意味が分かってないみたいだね。もう…バカなんだから」
 桜子は飛び乗った睡蓮の上でくるりと回転し、追ってくる楓にラクロス棒を向けた。


「ビリビリいくよぉ―――っ!」
 青く放電するラクロス棒を持った桜子が、笑いながら沼の中の楓に飛びかかる。
(水の中で電撃を使うつもりでござるか―――?)
 桜子自身も感電するのではないか? そんな楓の疑問はすぐに答えが出た。
 すたっ、と水面に立った桜子は、まるで地面を走るように、水面の上を走って突撃してきた。
「思いのまま、って―――そういう意味でござったかっ!」
 慌てて沼の中を逃げる楓に向けて、水面に立った桜子が放電した棒を叩き付け、水柱が起こる。
 バチバチバチバチバチ―――と、沼の水面を叩いた棒から、周囲に電撃が広がっていく。
 十分に距離をとった楓だが、それでも身体が微かに痺れた。桜子の方を見てみる。電気を帯びた水
に触れたはずの桜子だが、平気な顔で笑っている。噴き上がった水飛沫が落ちてくるが、その水飛沫
が幻覚である事を証明するように、それらは尽く桜子を透り抜けていった。
「………」
 桜子だけが影響を受けていないらしい。
「どんどんいくよぉ―――っ!」
 桜子がラクロスのボールを放つ。怪しく輝くそれは楓の近くで炸裂し、重い衝撃を沼に伝えた。
「な、ならばこっちも飛び道具で―――」
 気をとり直して楓が苦無を投じた。不公平な電撃攻撃がある以上、迂闊に桜子には接近できない。
「幻覚強化・武装解除―――」
 牽制のために投げた苦無だったが、桜子の一言で煙のように消失してしまった。
「ど、どうして……?」
 さすがに呆然として、楓は呟いた。
「いや、だから、幻覚なんだって。楓ちゃんの今の装備も、ぜーんぶ幻覚。消すぐらい簡単だよ?」
「そ、そんな、そんなバカなっ!」
 身体中を探る楓の顔が引き攣った。装備していた武器は失われ、完全に無防備になっていた。
「おバカさんの楓ちゃんも、ようやく、自分の置かれた状況に気付いたかな?」
「うう………」
「ここは夢と同じだから、何でもあり。ただし主導権を持っているのは、私なんだよ―――」


「こうなったら―――小細工無用でござるな! 分身の術!」
 十六人に分身した楓が、それぞれ異なる方向から桜子を狙う。
「むむっ、これが楓ちゃんの本気っ!?」
 桜子が驚きの声を上げ、
「でもね、ここじゃ絶対に勝てないんだって。ここでは、私は、何でもできる」
 楓を嘲笑って、口を動かした。

「幻覚強化・楓ちゃんは平均的な女子中学生の運動能力になれ―――」

「―――っ!」
 分身が一瞬で消滅し、跳んでいた楓が無様に沼に落ちる
 たった一言で勝負はついた。
「そ、そんな……汚いでござるよ!」
「うふふふ、「絶対に勝てない幻覚」は木乃香ちゃんが、エヴァちゃん影響下の吸血鬼数十人の血を
 啜って力を蓄え、その魔力の90%を使って編み出した必殺技だからね。簡単には破れないよ」
「…………エヴァンジェリン、か」
 楓の問いかけに、桜子は肯いた。
「もう今はどーでもいい事だよ。エヴァちゃんの影響下の吸血鬼はとっくに全滅してるし」
「………バカリーダーと人形はどうしたでござる。お主等の方に逃げたと思ったが」
「ああ、あの二人ね」
 桜子はくすくす笑った。
「人形は壊されたよ。夕映ちゃんは「絶対勝てない幻覚」で徹底的に調教中、策士だからね彼女は」
 笑い声が大きくなる。心底可笑しそうに、桜子は笑っていた。

「何がおかしい!」

 楓の怒声に、桜子の笑い声がぴたりと止まる。
「………まあいいや。これから楓ちゃんを調教すれば、そんな口は聞けなくなるから――」
「げろげろげろ―――」
「………」
 楓を、人間の巨根を生やしたカエルの大群が取り囲んでいた。


 勝ち目は薄い。それを楓はもちろん自覚しているが、降参する気などはあるはずもない。
「くっ、このまま好きにされると思ったら大間違いでござるよ―――お前、拙者に近づくなっ!」
 楓が背後から接近してきたカエルに回し蹴りを繰り出したが、本来のスピードは失われていた。
 楓の足先はぱくりとカエルに咥えられてしまい、そのまま唾液が溢れる口内に脹脛から太ももまで
がズブズブと呑み込まれてしまう。
「ひっ……! カエルのくせに拙者の脚をしゃぶるなっ! ぬっ、抜けないっ! 離せえっ!」
 脚を付け根まで呑み込まれた楓は、半ばパニック状態でカエルの顔に突きを繰り出したが、非力な
一般人の力しかない攻撃はカエルに全く通じなかった。楓の股間が大きな手で掴まれ、そのままビリ
ビリと恥部を覆う布を引き裂かれていく。毛に囲まれた陰唇がカエルの眼球に映った。
「あっ!? 何を……ああ、止め、あっ、ふああっ!」
 寒気を感じた楓が仰け反った。太ももにカエルの舌が蛇のように絡み付いてきて、楓はそのまま陰
唇を舌先で舐められていた。唾液塗れの舌がぐちゅぐちゅと楓の陰唇を押し広げ、ざらざらした表面
で敏感な肉を撫で回される。カエルの舌技の上手さに楓は心の中で悲鳴を上げた。
「ふあぁ、ああっ! か、カエルの、責め如きで……あ、あぁぁ――っ! あぁ―――」
 暴れる楓の腕が、別のカエルに掴まれて動かせなくなる。たった一匹のカエルに弄ばれているのに、
傍観していたカエルたちも群がってきた事が、楓の心に絶望の影を落とし始めた。
「いやああぁぁっ、カエルがいっぱいっ! せ、拙者に触るなっ。寄るなっ。やああああっ!」
 蒼白になった顔をべろべろ舐められて、楓が涙目で拘束を解こうとするが、無駄な抵抗で終ってし
まう。忍装束やサラシが引き裂かれ、巨大な乳房がぶるるん、と生臭い集団に顔を見せた。


「止めろ……ひぃっ、あっ、うあぁぁぁ、触るなっ! ああっ、あうぅ、さ、触らないで……」
 周囲から何本もの手が伸びてきた。弾力のある膨らみが好き勝手に揉まれて握り潰され、乳首をざ
らざらした舌に転がされて思い切り引っ張られた。柔らかな白い肌が粘液と唾液に塗れていく。
(か、身体が自由に動けば……こんなヤツらなど、一撃で……)
 クラスメイトから全貌の眼差しを浴びていた自慢の胸、それがカエルの玩具にされていても反撃も
できない事に、楓は悔しさを噛み締める。
 しかも楓は女忍としても、敗北寸前の状態にあった。
「ああっ、あ、はぁぁ……ぁっ、あっ、はあ、はあ、や、めろ……あぁ、そこはぁ……」
 カエルに舐められていた股間は唾液でベトベトになっていたが、そこに楓の蜜が混じり始めていた。
カエルたちは外見に似合わない巧みな責めで、性的に鍛えられている忍の少女を、無理矢理に絶頂に
追い詰めていた。
「あ、あぁ―――っ!」
 肉体を乱暴に扱われているのに、股間の奥が疼いて止まらず、些細な刺激も快感に変わってしまう。
性技にしても戦闘技術にしても、楓が修行で培ってきたモノは、簡単に否定されてしまった。
 目の前で脚を咥えたカエルが、間抜けな、しかし大き過ぎるペニスを準備し始めた事に、楓の目の
前が暗くなった。どれだけ甘く評価しても、今の楓を狂わすには十分な大きさである。
 ずんっ!
「くは、ぁ……あ、ぁ……」
 子宮口まで突き上げてきた巨根が生み出す快感に、楓は焦点の定まらない目を開いて固まった。
「うあっ、あっ、ああっ、あっ、あっ、あっ、あっ、す、すごい……大きい……」
 じゅぷじゅぷと肉棒が出入りする度に、楓の口から甘い声が漏れていた。脇やぴんと立った乳首を
舐められても、乳房を揉まれても、嫌悪感に快感が勝っていた。
「うぶっ、う、ううん、う、うん―――」
 カエルの舌が、楓の口に侵入してくる。どろどろした唾液の中で舌を泳がせながら、両者の舌が絡
み合う。カエルたちは連続して次々と楓の口内を蹂躙し、頬や唇を汚していく。


「ぷはっ…はあ、はあ、あ、ああっ、あっ、あっ、あっ、も、もう、あっ、だ、めぇ……」
 激しくなる突き上げに、楓の身体は周囲のカエルに支えられている有様だった。カエルたちに奪い
合われながら唇や胸を貪られ続け、下半身から押し寄せてくる快楽に翻弄される。
「あっ、ああっ、あああっ、やあぁぁぁっ、出さないでぇ……」
 射精が近い事を悟った楓が、悲痛な声を上げる。
「何言ってんの? こーんなにいやらしく、カエルのブツでよがっといて―――」
 遠くから、桜子の声が聞こえてきた。
「あっ、あっ、か、カエルの、精なんて、い、嫌ぁ―――っ!」
 膣の中で肉棒が震え、子宮に大量の精液が注ぎ込みながら、楓に止めの一突きを加える。
「あ…あぁ――――――っ! あ……ああ………中に………出したでござるか…………」
 びくびくと痙攣する楓が、虚ろな表情で言った。
「ん? これは…」
 楓は自分の首に、いつのまにか犬の首輪が嵌められているのに気が付いた。
 鎖の先には、桜子がいて、
「―――っ!」
 引っ張られて、楓は沼の中を引き摺られる。
「木乃香ちゃんは言いました―――護衛は決して裏切らないように、決して逆らわないように」
 引き寄せた楓を踏み付け、言う。
「もうメチャクチャにグチャグチャに、壊せるところまで壊してしまえ―――」
 哀れむような、しかし笑顔で桜子は謳う。
「ううふふ。でも簡単に壊れたら面白くないし、もっともっと愉しませてねっ!」
 ばちちちちちちち――――
「きゃあああああああああああああ―――――」
「壊れて壊れて壊れるまでぇ―――きゃはははははははははは」
 電撃を叩き込みながら桜子は笑う。

「これ、けっこう、楽しいかも―――」

 ………………………………………………………………
 ……………………………
 …………


 …………
 …………
 女子寮の六階に、半径10メートルほどのドームができていた。
 ドームは緑色の、幻覚の光が固まってできた魔法の空間で、障壁の役割も果たしている。
 長瀬楓はその中で倒れ、悪夢にうなされていた。
 椎名桜子はその前に立ち、楓を見下ろして微笑んでいる。

 緑色の光で包まれた、女子寮の六階―――

 楓を嬲っている幻覚の世界―――

 二つの世界を同時に知覚しながら、桜子は静かに楓と戦闘していた。
 妙な趣味に目覚めつつある吸血鬼の護衛。
 その足下で、忍の少女は意識も朦朧として沼に浮かぶ。
 二つの世界が重なっている、それは何とも言えない不思議な感覚だった。
「それにしても……私って強いねぇ」
 忍の少女を次はどうしてやろうか―――
 遊びに使う脳味噌は、勉学とは別の部分だと実感する。
 面白い。楽しい。
 護衛の少女は愉悦の笑みを浮かべ、忍の少女を苦しめ、壊す方法を考えていた―――



≪to be continued ≫

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最終更新:2012年02月12日 21:16
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