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ifネギま! ~ 一話一妄想 ~
第五話
昼休み、校庭でバレーに興じるまき絵・亜子・裕奈・アキラ。バレーをしながら雑談を交わすうちに、ネギの話になったのだが……。
「そーれ」
白いボールが宙に舞いあがった。
太陽は高いが、雲量があるのでまぶしくはなく、外で過ごすには絶好の昼休みである。
大勢の生徒たちが、思い思いにシートを広げて昼食を採り、あるいは連れ立って歩き、あるいは何かスポーツをして楽しんでいる。
そんな校庭の一角で、まき絵、亜子、裕奈、アキラの四人はバレーボールを楽しんでいた。
「そーれ」
と、裕奈が高く両手首でレシーブする。
淡い陽光を受けて白く輝くボール。
「はーい」
と、亜子が両手を天に突き出して、ボールを中天高くはじき返す。
「ねー、あのネギ君が来てから五日経ったけど」
と、まき絵は手で受けると見せかけて、「よ♪」と額で器用にボールを受けとめた。
「みんなネギ君のことどう思う?」
さすがは新体操部というべきか、そのまま膝の屈伸と背筋を使って、頭でボールをうちだす。
「ん……いーんじゃないかな」
さすがに狙いが外れ、あさっての方向へ行きかけたのを、アキラが体勢を崩しながらレシーブして言った。声色も表情も冷静だが、小さく「カワイイし……」などと付け加える。
それを横目で見ながら、裕奈も答える。
「そだね。教育実習生としても頑張ってるしね」
と、亜子はアキラのボールをうまくとれず、地面に落とした。慌てて拾ってきて言う。
「でもウチら、来年は受験やし子供先生じゃ頼りなくない?」
亜子の問いに、裕奈が指を振る。
「受験てあんた、私たち大学までエスカレーターじゃん」
まき絵も笑いながら言った。
「でもやっぱネギ君10歳だし、大人の高畑先生と違って悩み事なんか相談できないよねー(はぁと)。年上の女として……」
まき絵の『年上の女』という言葉に、裕奈は悪戯っぽい笑みを浮かべ、ぷぷぷと、吹き出す。
「逆に私たちがセンセの悩みを聞いてあげたりして(はぁと)」
一方亜子は同じ言葉に動揺したのか、変な方向へトスしてしまう。
「アハハ、経験豊富なお姉サマとしてー? 体の悩みとか(はぁと)」
まき絵は言いながら後ずさり、片手を伸ばしてなんとかレシーブ。しかし体勢が後ろに泳いでいるため、うまく受けきれずすぐに地面に落としてしまう。
「も──、ちゃんとトスあげてよね──」
ボールを拾いにいくまき絵。
と、落ちたボールの先に、黒いストッキングを履いた幾本もの脚が見えた。
「!」
まき絵が驚いて顔を上げると、相手は見下すような嘲笑をはらんだ声で言う。
「──誰が経験豊富なお姉サマですって……? 笑わせてくれるわね……」
「はう」
まき絵の声に、他の三人も気づいた。
「あ……あなたたちは…!! 高等部2-D!!」
広大な学園であるから高等部だけでも数多くのクラスがあるが、中でも2-Dはリーダー格の英子を中心として、何かにつけて強引なことが知れ渡っていた。
まき絵たちが対峙したのは、まさにその2-Dの面々だったのである。
先頭の英子が、長く美しい黒髪をすっとかきあげながら言う。
「あら、ご存知とは光栄ね。ところでいきなりだけど、あなたたちが使っている場所、あたしたちに譲ってくれないかしら」
英子がしゃべる間に、他の生徒たちはまき絵たちを囲むように左右に分かれていく。
亜子がそれを不安げに見ていると、2-Dの生徒たちの列を通して、まわりでそれぞれ楽しんでいた他のクラスの生徒たちが次々と足早に去っていくのが見えた。
2-Dの悪名はそうとう高く鳴り響いているようだ。
しかしそんな様子を知りながらも、まき絵は退かない。
「申し訳無いですけどお断りします」
落ち付いた口調で、アキラも付け加える。
「校庭の使用権は、先着順と決まっています……」
「へえ……経験豊富なお姉サマたちは、あたしたちに場所が譲れないってわけね……」
温かみのかけらもない口調で言うと、英子は声を張り上げた。
「みんな、ちょっとこのガキたちがどれだけ経験豊富か調べてみない?」
英子が呼びかけると、2-Dの女子達は、まるで申し合わせていたかのようにいっせいにまき絵たちにとびかかった。
すぐ後ろから両肩を掴まれた裕奈は抵抗する暇もなく押さえ込まれ、同時に四人を相手にすることになったアキラもあっという間に羽交い締めにされる。
一方、まき絵と亜子は一度は2-D生徒の手を振りほどいた。
しかし亜子はすぐさま上から圧し掛かられて地面に潰され、まき絵は走り出そうとしたところを足をひっかけられて、転んだ。
倒れたところを、二人に片方ずつ、両腕を押さえ込まれた状態で引き起こされるまき絵と亜子。
まき絵は右手の甲に、亜子は額に、かすり傷を負っていた。
まるで罪人のように、二人がかりで拘束されたまき絵たち。英子はその様子を満足げな微笑みと共に見ると、まず手近な亜子に向かっていった。
体を震わせ、首を縮める亜子の正面に立った英子は亜子の顔に手をやる。
「ひっ」
と咽喉が詰まったような短い悲鳴。しかし英子は、亜子の恐怖に満ちた表情とは裏腹に、優しげな手つきで亜子の前髪をかきあげた。亜子の額が露わになる。
右眉の上の皮膚が、細かく横に裂けて血が滲んでいた。さきほど押し潰された時に額が地面に当たり、その時についた傷だ。
「あらあら、かわいそうに。それじゃあ、あんたは後回しにしてあげましょう」
許すとも止めるとも言わなかった。
次に英子はまき絵のもとへ向かった。
まき絵は亜子とは違い、歯を食いしばって英子をきっと見上げている。
「へえ……。あんたも怪我をしているから後回しにしてあげようかと思ったけど、元気よさそうね。そういえば、確かあなたよね。『経験豊富なお姉サマ』とか、面白いことを言ってたのは」
「……」
無言で英子をにらみ続けるまき絵。
英子はニヤっと冷酷に微笑むとまき絵の上着の裾に手をかけた。
そのまま、一気に首まで引きずり上げる。
まき絵の白くスリムな胴体と、彼女の胸に着けられた桜色のブラが、皆の視線にさらされた。
「「!!」」
まき絵本人はもとより、亜子・アキラ・裕奈の三人も突然の乱暴に息をのんだ。
悲鳴をあげるいとまも与えず、英子はまき絵のブラをむしりとり、下に捨てる。
まき絵の、お世辞にも標準に達しているとは言えない小さなふくらみがあきらかになった。
真っ白な肌と、頂点の乳房相応に小さい薄い色の乳首が、この高い陽射しの下では逆に痛々しい。
2-Dに恐れをなして、他のクラスの生徒たちはほとんど逃げ出しているが、遠巻きにこの様子を眺めている者もいる。
しかし、2-Dの生徒たちががっちり輪を組んだ中で行われているため、外からはこの無法な行いが見えなかった。
「い、いやああああああぁぁぁ!!」
まき絵は絶叫し、猛烈に暴れまわる。しかし両手はそれぞれ2-Dの生徒にがっちりと押さえつけられ、彼女は首を左右に激しく振りながら上半身を揺さぶることしかできなかった。
英子はまき絵の悲鳴の大きさに顔をしかめたあと、まき絵の体を見て鼻で笑った。
「何よ、見られて悲鳴をあげるほどの体じゃないじゃない」
英子の言葉に迎合するように、2-Dの生徒たちがくすくすと、あるいはあからさまに声を上げて笑った。
ひどい恥辱と屈辱に、涙を浮かべるまき絵。
そこに、英子はさらに追い打ちをかける。
「こんなんじゃ下の方も期待薄ね」
そう言うと、英子はたくし上げた上着のすそを、まき絵の腕を掴んでいる一人に渡した。
そしてまき絵のスカートに手をかけ、手慣れた様子でホックを外すと、下着ごとそれを足首まで引きずり下ろした。
「やめてやめてやめてやめてぇぇぇぇ!」
まき絵のすらりと長く細い両足があらわになる。
まき絵は押さえられていない足を動かし、あわよくば目の前の英子を蹴ろうとしたが、足首までおろされた下着が足枷の役目を果たしてろくな動きができない。
むしろ下手に脚を動かすと、女性にとって一番人目に触れさせたくない部分をかえって見せ付ける結果になると知り、逆に脚をぎゅっと閉じた。
まき絵の脚は、新体操で鍛えられ、全体がきゅっと引き締まっている。肉付きが薄く色気には欠けるが、その細さ、肌の美しさは、間近で見ていた英子をすら嫉妬させるほどだった。
馬鹿にしていた相手の思わぬ美脚に一瞬言葉を詰まらせる英子だったが、視線を少し上にあげてまき絵の股間を見ると、再び抑圧する側としての自信を取り戻した。
「あはっ、まるで小学生ね!」
脚の細さが災いし、どんなに強くももを閉じても肝心な部分にどうしても隙間ができてしまうのだった。
まだ未成熟な性器と、薄い恥毛をじっくりと観察され、まき絵はぽろぽろと涙を流した。
英子は体を起こすと、まき絵の小粒な乳首を人差し指と親指でつまみあげ、ぐいっと引っ張る。
「あっ!」
胸の先端に走る鋭い痛みに、まき絵は短い悲鳴をあげた。
「こんなお子ちゃまボディで経験豊富なお姉さまとは、聞いてあきれるわ」
「あっ、あっ、痛い、あっ……」
乳首を日本の指の間でぐりぐりと痛めつけなが言うと、英子はいったん指を離した。
そして、おまけ、とばかりに、赤くなった乳首をおはじきのようにピンッと人差し指ではじき、まき絵に悲鳴をあげさせる。
「さて、次は……」
英子はまき絵を屈辱的な格好にしたまま歩みを進め、裕奈の前に立った。
親友に与えられた恥辱を目の当たりにし、それと同じことをされると知って、裕奈は半狂乱になって暴れ出した。
もとより両手は動かないが、自分の腕を掴んでいる相手の足を蹴り、頭突きをし、なんとかのがれようともがく。
「痛っ! ちょっとビビ! 手伝って!」
すねを蹴られた生徒が、痛みに顔をゆがめながら言った。すぐさまビビが裕奈の真後ろにつくと、左手を裕奈の顎の下に入れて頭部をホールド。続いて右腕を裕奈の両足の間に突っ込んでから、その右足を抱え込むように持ちあげた。
裕奈はこれで、まったく動きがとれなくなってしまう。
ビビが右手を高く胸元までひきつけたため、新体操のY字バランスのような体勢になってしまう。短いスカートがまくれあがり、空色の下着がのぞいている。
「さあーて、あんたはどうかしら?」
近づいてくる英子の姿を裕奈は恐怖と涙が溢れる瞳で見た。歯がガチガチと鳴り、あれほど暴れまわった体は、今や押さえつけられるまでもなく硬直して動かない。
英子は、まき絵と同じように裕奈の上着をアンダーシャツごと乱暴にたくしあげる。首まであげると、落ちないようにその裾を、裕奈の首をホールドしているビビの手に預けた。
パンツとおそろいの、空色のブラを引っ張って、ゴミのように後ろに捨てる。
「うあーっ」
顎の下に腕を入れられているため自由にならない裕奈の口から、悲しいうめき声が漏れた。彼女の頬を、涙が一粒伝う。
英子は軽くかがむと、裕奈の胸に顔を近づけて観察する。
まき絵よりは大きいが、まだまだ内に発展する余地を秘めている、開きかけた蕾のようなバストだった。中学二年生らしい大きさだが、可憐な色の先端はつんと上を向いていて、可愛らしい形をしている。
「さっきの子に比べればマシだけど、どっちにしろ貧相なものね」
そう言うと、英子はやはりまき絵の時と同じように素早く裕奈のスカートを取り去る。
しかし、片足を高くかかげられたこの状態では、パンツを脱がすことができない。
ビビが目で「足をおろそうか?」と聞いてくるが、英子はやはり目で制止し、アキラを押さえているしぃの方を向く。
「しぃ、あんた確か、ソーイングセット持ち歩いてたわよね。糸切りバサミ貸して」
しぃはニッと笑って、別の生徒とアキラの拘束を交代した。胸ポケットから携帯用ソーイングセットの小さな箱を取り出す。
中から親指より小さな糸切りバサミを出すと、英子に手渡した。
英子はそれを持ってしゃがむと、裕奈のパンツの、一番細い脇の部分をくいっと引っ張って切っていく。
自分の下着が無惨に切り刻まれていく様子を音と感触で感じ、裕奈は「ひどい……」と小さくこぼした。
パチっというハサミの刃を閉じる音と共に、裕奈の下着は単なる一続きの布となって地面に落ちた。
「くぅ……」
隠しておくべき場所が外気に触れ、裕奈は目をぎゅっと閉じ、唇を噛んで羞恥に耐える。
裕奈は下半身の発達に関しても、まき絵をやや上回っていた。
とはいえ、下の毛の方も生え揃うまでにはまだ時間がある。
片足を抱えられているため、若い茂みの奥に見える少女らしい性器は少しだけ口を開いていた。
その様子を見て、英子の表情が酷薄な微笑に染まる。
「でもまあ……外見から経験の有無がわかるってわけでもないかもね」
そう言うと、裕奈の左手を押さえている生徒に目を向けた。
「ねえあんた、ちょっとこの子の左足も持ち上げて。処女検査といきましょう」
「!?」
「オッケー」
指示された生徒は軽く応えると、裕奈のバスケで引き締まった左脚の、膝の部分に手をかけた。
「なに!? これ以上なにをするっていうの! や、やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
絶望的な悲鳴と共に、裕奈の体が宙に浮き、両足が割り裂かれていく。
まるで、空中で産婦人科の分娩台を再現したような形。
今まで自分の置かれた姿に涙していたまき絵も含め、裕奈以外の三人もその光景に絶句した。
少女にとって一番隠しておきたい部分を、わざわざ強調して露出する格好に、裕奈は悲鳴すら声にならず、泣きながら酸欠の金魚のように口をパクパクと開けたり閉じたりした。
英子はさらに、軽く上体を前に倒して裕奈の性器に顔を近づける。
大股を開かれ、半開きになった割れ目の両側の唇に、親指を押し当てる。
そのまま無造作に、ぐっと左右に開いて奥をのぞきこんだ。
「なっ……!」
頭部を押さえられているためかがんだ英子の姿は直接見えないが、自分の割れ目が押し開かれている感触から、何をされているのか裕奈は察した。
「み、見ないでぇぇっぇぇ、やめて、そんなところ見ないでよぅ!」
裕奈の必死の嘆願が聞こえた素振りすら見せず、英子はさらに親指に力を入れ、その上人差し指を無遠慮に突っ込んで奥まで開いていく。
「あ───っ! あ───っ! やめてぇ!! お願いだからぁぁぁ! 見ないでぇぇぇ!」
裕奈が「やめて」と「見ないで」を交互に繰り返すのをBGMにしつつ、英子はそれからたっぷり時間をかけて裕奈の奥をじっくりと覗いた。
裕奈の声がすすり泣きに変わる頃、英子はようやく裕奈の割れ目から指を離した。
「なんだ、やーっぱり処女じゃない。苦労して調べて損したわ」
そう言うと、英子はもはや抵抗する気力もなくした裕奈の両足を解放するよう指示した。それも、別に裕奈を気遣ってのことではなく、単に足を持っている生徒が疲れるだろうから、という理由だった。
「さてお次は……」
英子は残る二人、アキラと亜子を交互に見やった。
アキラはきっと唇を結んで英子の方を見つめている。その表情は静かだが、瞳には猛烈な怒りが燃え盛っているのが見て取れる。しかし特に抵抗し、暴れる素振りはなかった。
一方亜子の方は、顔面蒼白となり、極寒の地に放り出されたかのように全身で震えている。いつ気絶してしまってもおかしくないといった感じだ。
気絶されてはつまらない、そう思い英子は亜子の方へと歩を進めた。
「あ……あ…………」
自分に向かってくる陵辱者の姿を認め、亜子は何事か言おうとしたが声帯が麻痺して声にならない。
その姿を見て満足げに微笑みながら、英子は亜子の正面に立った。
英子は三度、制服の上着の裾を掴む。しかし今度は前二人と違い、亜子の恐怖心を煽るようにゆっくりとひきあげていった。
亜子の新雪のような肌が見え、細くくびれたウエスト、形の良いへそ、そして……。
「? なにこの……」
英子は一瞬言葉に詰まった。
きめの細かい磁器のような亜子の肌。その脇腹に、まるで雪道を乱暴に除雪車が通ったようなひどい傷跡がある。まわりの肌が美しい分、無理に皮を剥ぎ取られたようなその古傷がよけいに醜く、凄惨な印象を与える。
英子がその傷について、非常に残酷なコメントを思い付いた瞬間。
「あっ!」
と背後で鋭い声。英子が振り向くと、彼女に向かって拘束を振りほどいたアキラが猛然と走ってくる。
これまでずっと大人しかった分、アキラを押さえていた生徒たちは完全に油断していたのだ。さらに、亜子の傷跡を見て注意力がそちらに向かっていた。まさにその瞬間をアキラはついたのだ。
無抵抗の相手の恐怖を貪ることに熱中していた2-D生徒たちはすぐには反応できず、アキラは英子までの無人の数メートルを邪魔されることなく走った。
英子自身、振り向いたすぐあとで対応が遅れる。
アキラは走りながら右手を振りかぶり、英子の横を駆け抜けざまその頬を思いきり叩いた。
「ああっ!!」
強烈な破裂音と共に、英子は半回転しながら地面に倒れる。アキラはさらに突進し、左手を突き出して亜子の右腕を抱え込んでいる生徒の顎に掌底を打ち込んだ。
「ぐっ!」
くぐもった声をあげて、のけぞりながら仰向けに地面に倒れる生徒。
とそこでようやく、2-Dの生徒たちが金縛りが解けたようにアキラに殺到した。一部の者は、倒れた英子を助け起こす。
アキラはあっと言うまに何人もの生徒に囲まれる。
髪の毛を掴まれ、頬を張られながら、アキラは大声をあげた。
「逃げろ!」
その声にはじかれたように、亜子が走り出す。まき絵も、下着とスカートをずりあげて駆け出した。アキラに気を取られていて、力を緩めた隙をつかれたのだ。
しかし裕奈はビビが頭のホールドを外さなかったのと、下半身が完全に裸にされていたのとで逃げることができない。
何人かは逃げた二人を追おうとした。
しかし、すでにまき絵も亜子もかなり足がはやく、だいぶ先まで行っている。仮に追い付いたとしても、校舎の中かその近くでは、人が多すぎてそう無茶なこともできない。
そのことを悟り、何歩か駆け出していた者もあったが、舌打ちしつつすぐに戻ってきた。
一方アキラはといえば、多勢に無勢、あっと言う間に押さえつけられていた。
髪の毛を何人にも引っ張られたために長いポニーテールはボサボサになり、顔にも平手打ちをされたあとや引っ掻かれた傷が二三ついている。
ようやく、仲間の手を借りながら英子が立ち上がった。
今さっきアキラに張り飛ばされた顔の左側を手で押さえている。髪の毛が激しく乱れ、アキラに優るとも劣らない艶やかな長い黒髪が、砂まみれ埃まみれになっている。
頬をおさえた手で片目が隠れているが、もう片方の目はらんらんと光り、アキラに対する押さえきれない怒りが火傷しそうなほど熱い視線となってアキラに突き刺さっていた。
英子が、ふらつきながらアキラに近付くと、アキラを押さえていた生徒たちは英子の前にアキラを突き出した。
英子はアキラを目の前にして、髪の毛が逆立つような怒りで顔を歪ませる。眉が逆立ち、歯を剥き出しにし、元が美形なだけにその表情に壮絶なものがある。
猫ぐらいなら殺せそうな英子の視線を、しかしアキラは真っ向から受けとめ睨み返している。
英子は張られた頬を押さえていた手を離した。案の定、顎から眉の上までが真っ赤になり、軽く空気を入れたように腫れ上がっていた。
英子は右手を開くと、アキラの首めがけて咽喉輪をつきこんだ。
「ぐっ」
と咽喉を締め付けられてうめくアキラだが、その顔はいささかも怯まない。
アキラの咽喉を閉める指に渾身の力を込めながら、英子はぞっとするほど低い声で言った。
「後悔させてあげるわ」
その声色に含まれた『真剣味』に、まわりの2-D生徒たちも思わず体を震わせた。
「英子……目立つ傷はやばいよ……」
おそるおそる、裕奈を押さえているビビが言う。
英子はゆっくりとビビの方を振りかえると、パッとアキラの首を押さえていた手を離した。アキラは何度か咳き込む。その首すじには、みみず腫れにも似た、五本の赤いすじがくっきりとついていた。
「そうね……大丈夫、私は冷静よ。私は冷静」
と自分に言い聞かせるように言って、見る者の背筋を凍らせる微笑を浮かべる英子。すでに火山のような怒りの表情は消えた。しかしその皮膚の下には、まるで凍り付いた鉄の仮面があるようだ。
英子は顎に手を当てると、ゆっくりと、小さな円を描くように歩きながら言った。
「つまり外から見てわかるものではなく……医者にかかるほど重大なものでもなく……本人がそれを言い出すこともできない……何より苦痛を伴うもの……となれば、これしかないわね」
英子はそこですっとかがむと、30センチほどあるまっすぐな木の枝を拾った。
そしてその棒を、指揮棒のように何度か空中で振ると、びっとアキラの方に向けた。
「裸にして足を開かせて」
英子の指示と共に、アキラを押さえつけていた十人近くの生徒たちが、よってたかってアキラの服を剥ぎにかかった。
ネクタイが乱暴にほどかれ、Yシャツのボタンが強引に引っ張られてはじけとび、スカートが無慈悲に落とされ、白い飾り気の無いブラがむしりとられた。
パンツは四方からぐいぐいと無理に引っ張られたためにゴムが音を立ててはじけとび、無惨な布の切れ端となって地面にうち捨てられた。
そして先ほど裕奈がされたように、二人に片足ずつ抱え上げられ、性器はもちろん菊の門まで思いきり露出される、屈辱的なポーズをとらされた。
さすがのアキラも頬を紅潮させるが、もはや覚悟は決めているらしく、悲鳴もあげなければ暴れることもしない。ただ唇を噛んで、木の枝を片手で弄ぶ英子をじっとねめつけているのみだ。
アキラのスタイルは、スレンダー揃いの四人の中では一番成熟度が高かった。
モデルのような長身で、ラインを殺す競泳用の水着から解放されたバストはそこそこの大きさがある。下の毛のほうも生え揃っており、さすがに英子も、アキラだけは『お子ちゃま』と言い辛いものがあった。アキラより体型で劣る者が何人か2-Dにいたからだ。
しかし今、英子の目的は、もはや相手をからかうという当初のものから逸脱している。
英子はアキラに近付くと、水泳で鍛えられたそのふとももを何度か枝で叩く。
そしてニヤリと薄く笑うと、枝の先端をアキラの割れ目の真ん中にあてがい、言った。
「誰かに初めての相手を聞かれることがあったら、正直に『木の枝です』と答えなさいね」
英子の意図を察して、アキラの表情に一瞬、恐怖がよぎった。しかしすぐに歯を食いしばってこれからくる痛みをこらえようとする。気丈なアキラも、思わず顔を背けた。
「しぃ、顔をこっちに向けさせなさい。一生の思い出になるんだからちゃんと自分の目でロストバージンの瞬間を見なさいよ」
アキラの後ろのあたりにいたしぃが、抵抗するアキラの頭を両手で抱えるように掴み、無理矢理自分の股間を見せ付けた。
英子の持つ枝の先端が、アキラの中へと、ずぶりと入った。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
悲鳴じみた叫びが、後ろからあがった。
予想外の方向からの声に、思わず英子の動きが止まる。後ろを振り向けば、未だ二人の生徒に捕まったままの裕奈が、下半身裸のまま叫んでいた。
「やめてよ! アキラにそんなひどいことしないでっ! なんでもするからそんなことするのはやめてっ!」
一息に言い終えて、裕奈は二三度大きく呼吸し、そのあとも浅い呼吸を続けた。
顔色は青ざめるのを通り越して白くなり、全身が震えているが、彼女は抗議の声をあげずにはいられなかった。
亜子とまき絵を逃がすために、アキラが冷静さを失わずに行動したのを見て、またアキラがアキラ自身に加えられる暴力に挫けないのを見て、親友のために何かを行わなければいけないという気持ちが、彼女の中の恐怖を上回ったのだ。
今や般若と化した英子の怒りの矛先が、自分に向かうことも省みずに。
アキラは無言で、裕奈を見た。裕奈も、英子の表情をうかがいたくなる気持ちを押し殺してアキラの顔を見ている。
一方英子は、アキラの股間に突き刺さった枝をちらりと見た。
まだ一センチ入ったか、入らないかといたところで、とうてい処女膜を傷つけるところまでは達しない。
英子は裕奈の抗議など無視してこのままつき入れてやりたい衝動にかられてもいたが、その一方で、この状況を利用できないだろうか、という考えも浮かんでいた。
ややあって、英子は裕奈とアキラの顔を交互に見たあと、ゆっくりと作り笑顔を浮かべた。
「あらあら……見つめあっちゃって、二人はそうとうな親友同士のようね。それじゃあ二人の友情に免じて、この子を大人にしてあげるのは止めてあげましょう」
そう言って、枝を引きぬいた。
裕奈は明かにほっと息をついたが、アキラの方は緊張した表情を崩さない。英子のこれまでの言動からして、何か代わりの抑圧をくわえてくることは明白だったからだ。
果たしてアキラの想像通り、英子は「ただし」と言った。
「せっかくだから、二人の友情がどれくらい深いのか見せてもらいましょう。ビビ、その子、上半身も裸にしちゃいなさい」
裕奈は気を抜いた瞬間をつかれて、瞬く間に全裸にされてしまった。
英子はくいくいっと指で裕奈を押さえているビビたちを招き寄せ、アキラと裕奈を相対させた。
二人の全裸の美少女は、これから起こることに対する不安と、お互いに裸体を見せ合う羞恥に、視線を合わせられずにいた。
英子はそんな二人を見て満足そうに口元を吊り上げて、言った。
「あんたたち、女同士で抱き合いなさい。それでキスでもなんでもして……まあ方法はあんたたちに任せるけど……とにかく相手をイかせなさい」
アキラも裕奈も、ぽかんとして英子の顔を見つめた。何を指示されたか、すぐにはわからなかったからだ。
しかしすぐにその意味を理解し、顔を真っ赤にした。二人とも抗議をしようとしたが、英子は枝をつきつけてそれを制す。
「ちなみに、イかせられなかったら、罰を与えるわ。この枝で大人にしてあげるの……あらこれはご褒美かしらね。まあどっちでもいいけど」
裕奈は首を締められたように息の詰まる音を立てて黙った。アキラは拳を握り締め、固い決意の宿る瞳で英子を睨んでいる。
英子は枝でアキラの方を指してつけくわえた。
「ちなみに、これ重要だからよく聞いて。『罰は本人ではなく友達に対して行われる』。わかる? つまりあなたが」
とアキラの顔を枝で指し
「相手をイかせるのに失敗したり、あるいは反抗したら、こっちの子が」
と今度は裕奈の顔を指し
「この枝で処女を奪われるってわけ。逆も同じ。わかった?」
これまで終始、大きな感情を表さなかったアキラが、はじめて激しい狼狽を浮かべた。
ペナルティが自分にふりかかるのだったら、単に自分が我慢すればいいだけのこと。すでにさきほどから、もはや貞操は無いものと覚悟していた。
しかし英子はそれを見越していたのだ。
アキラは全身をぶるぶると震わせながら、短く
「卑劣な」
と言った。
英子はその言葉に魔物じみた笑顔で応えると、言う。
「これから体を自由にしてあげるけど……友達が大事だったら逃げようなんて考えないことね」
英子がさっと手をあげると、それにあわせてアキラと裕奈を捕えていたいくつもの手がぱっと離れた。
その上、二人同時に背中を強く押され、図らずもぶつかるようにして抱き合う形になってしまう。
二人は、思わずお互いに見つめあった。一〇センチと離れていない、相手の吐息を感じられるほどの至近距離。
裕奈もアキラも、とまどいと悲しみのこもった相手の目の中に、同じ顔をした自分を見た。
「あ、言い忘れたけど時間制限あるから。いつまでとは言わないけど時間稼ぎしないようにね」
英子の冷たい嘲笑を含んだ声が、アキラの背中に吹きつけられる。
アキラは意を決した。ぐずぐずしていると、英子がどんないいがかりをつけてくるかわからない。
「裕奈、ごめん」
そう言うと、裕奈の背中に手を回し、目をつむって裕奈に口づけた。
裕奈はその柔らかい肢体を硬直させたが、すぐに同じようにアキラの背中に手を回し、キスを受け入れた。
二人とも、ファーストキスだった。
「おー、見せ付けるねー!」
「ひゅー、本当は友情じゃなくて愛情だったのかなー?」
2-Dの生徒たちの無情なはやしたてる声に、裕奈の閉じた目から涙がこぼれ落ちる。アキラの体も、羞恥と屈辱にぶるぶると震えていた。
同性とのキスは、ふざけてまき絵あたりとやったこともある裕奈だし、アキラもそういう光景を笑って見ていたこともある。
しかしそれはあくまで挨拶の延長、一瞬だけ頬に唇をくっつけてすぐ離すもので、同じ女子を相手に唇をこんなに長い間触れさせるのは二人ともかなり抵抗があった。
それでも、女の子の唇は驚くほど柔らかくしっとりとして、その感触は不快どころか病みつきになるものがあった。
裸で抱き合っているため、相手のすべすべとした肌と体温が直接伝わってきて、それが禁じられた官能に徐々に火を入れようとする。
ただキスしているだけではもちろん駄目なので、アキラは左手は裕奈の背中に回したまま、右手をおずおずと裕奈の股間に手を伸ばす。
薄い繁みをなぞると、裕奈の体がびくりと震えた。
一方裕奈の方も、片手でアキラを抱いたまま、もう片方の手でアキラのふとももの内側に触れ、そこからなぞりあげるようにして割れ目に指をあてがった。
二人して、おそるおそる相手の花弁をなぞる。とても顔を見て、見られていることなどできないのでうつむき、目を閉じて愛撫をする。
目を閉じる分、他の感覚に神経が集中してしまう。
相手の吐息が大きく聞こえる。女性特有の甘い体臭が鼻をくすぐる。指先に触れる秘所の体温、滑らかさ、毛の生え具合、風呂で洗う時やベッドの中で密かに慰める時に自分のものを触るが、それとは微妙に違うことまでよくわかってしまう。
しかし、このような腫れ物をさわるような大人しい撫でかたでは、羞恥こそつのるものの一向に興奮させることはできない。
英子の友情を逆手に取る卑怯な脅しを甘受する二人は、さらに積極的な行為を親友に行わなければならない。
アキラは人差し指を、第一関節まで裕奈の中に押し込んだ。裕奈は人差し指と中指で、アキラの淫核を探り当てた。
「うっ」
「あっ」
これまでと一段上の刺激に、同時に声をあげる。それに耐えながら、アキラと裕奈は今までより強く、それでも遠慮を残しながら、指を動かす。
アキラは裕奈の内側の、ごく浅い部分を探り、裕奈はアキラの小さな突起をいじる。
こんな衆人環視の中、とても高まることなどできないと思っていたが、他人に、それもよく見知った同性の友人に敏感な場所を触られるという異常な事態がかえって性感を増幅させているようだ。
「普段どんなオナニーをしているかよくわかるわね」
英子がアキラ達の羞恥心を煽ろうと意地悪な口調で言い、まさにそれが図に当たってしまい、いやいやと首を振る裕奈、肩を震わせてうつむくアキラ。
しかしそれでも指の動きを止めるわけにはいかないという悪夢のような状況。
荒くなる息が恥ずかしくて歯を食いしばってそれを悟られないようにするが、全身が紅潮するのは隠せないし、結局は強くなる一方の吐息も口元から漏れてしまう。
そっと目を開くと、自分が愛撫し、自分を愛撫する親友は頬を赤らめ、伏目がちにこちらを見ている。
二人は高まる官能の赴くまま、磁石の両極が引き合うように再びキスをする。
先ほどのような、強制されたぎこちなさはなく、ごく自然で情熱のこもった口付けだった。どちらからともなく舌を出し、空中で軽く絡め、音のしない程度に静かに舌同士をこすりあわせた。
「やだあ、本物のレズ同士みたい」
「案外そうかもよ」
「それじゃあたしたち、同性愛のヘンタイが楽しんでるのを見せつけられてるの? それじゃこっちが罰受けてるようなものね!」
クスクスと嘲りを含んだ笑い声があがった。
2-D生徒たちのしのび笑いが背中から胸に突き刺さる。
いっそのこと、この行為に没頭しよう。屈辱感や、羞恥心を忘れるくらいに。
期せずして、アキラも裕奈も同じことを思ったようだ。
口付けは一層情熱的になり、相手の性器を撫でまわす指の動きは一層激しくなった。
奥の方から、こんな状況にも関わらず感じていることを示す、熱い蜜が溢れ出す。
それぞれ相手の背中に回した腕に力がこもり、鎖骨のすぐ下から下腹部までがぴったりとくっつき、乳房が押し付けられあって柔軟に潰れている。
はっはっと、まるで走ってきた犬のような激しい呼吸音をもはや隠そうともせず、女性同士ということも、ここが屋外であるということも、大勢に囲まれ好奇と嘲笑の視線で見られていることも忘れたかのように、激しく裕奈とアキラは睦みあった。
2-Dの生徒たちの言う通り、それは本当に同性愛者同士が愛し合っているかのようであった。
しかし二人の指や舌の動きが激しくなるに連れて、とめどなく涙をこぼし、絶望的な表情を浮かべているのを見れば、彼女たちの心に深いひびが入り続けているのがわかる。
「っふうっ!」
「あ、ああっ!」
唾液の泡を吹きこぼしながら、アキラと裕奈の唇が離れる。
測ったように同時に二人はつま先だちになり、お互いを抱く腕にぐっと力がこもった。
そして突然、動力が切れたように、二人は膝から崩れ落ちた。
抱き合ったまま、お互いに体重を預けあい、支えあうようにして地面に膝をつく。荒く息をつきながら、相手の肩に顎を乗せあうアキラと裕奈の瞳は、焦点が合わずガラス玉のように何も映していない。
英子は地面に落ちて砂のついている裕奈たちの制服を拾うと、ぐったりと放心している二人に向かって投げ付けた。
「ほら、さっさと服を着てそこをどきなさい」
正直言ってまだ責めたりない気もするが、顔を張られた痛みもだいぶ引いてきたし、これ以上時間をかけると本来の「コートを奪う」という目的が意味をなさなくなってしまう。英子はそう考えたのだ。
のろのろと、スローモーションをかけたように服を着るアキラと裕奈。
パンツは二人とも破かれてしまっているので、その残骸をポケットに収め、ノーパンのままスカートを履く羽目になった。
お互いに高め合う行為に没頭していた分、まだ現実に戻ってこれない。
それとも、辛過ぎる現実に戻ってきたくない、というのが正しいのだろうか。
普段の何倍も時間をかけて服を着終えたアキラはふらふらと立ち上がったが、裕奈は着終えても未だ地にへたりこんだままだ。
業を煮やした英子は裕奈の襟首を引っ掴み、ずるずると引きずっていく。
「ほら、どいたどいた」
とそこに、はるか向こう側から何やら小さな男の子が駆けてきた。手をわたわたと大きく振りながら、叫んでいる。
「コラ───、君たち待ちなさ───い」
その聞き覚えのある声に、アキラは我に返る。
「ネギ坊主!」
まき絵たちが呼んできてくれたのだろうが、あまりにも遅過ぎた。
やはり子ども先生では……と、英子に抗議しようとして逆におもちゃにされるネギを見て、アキラは首を振った。
第五話 終わり
最終更新:2012年02月12日 21:36