楽日 第四話
× ×
「…ちゃん…愛衣姉ちゃん…」
「あ、はい」
浅瀬にたたずんだ愛衣は、小太郎の声に我に返り改めて周囲を見回す。
「こんな所があったんですねぇ」
「ああ、前に来た時に見付けたんや」
浅瀬から岩の陸地に上がった二人が、どちらともなく近づく。潮騒だけが岩に響く洞窟で唇を重ねる。
唇が離れ、すっと距離を置いた小太郎に上から下までじろじろ視線を送られ、愛衣は小首を傾げた。
「やっぱり愛衣姉ちゃん、細っこぅ見えるのにこうやって見るとむっちりしてるなぁ」
「やだぁ」
小太郎にあけすけに言われて、愛衣は、
ホルダーネックのオレンジビキニを身に着けた我が身を自分の腕に抱く。
だが、その腕を小太郎の手に取られると、愛衣は実に従順に腕の力を抜く。
「胸かてバーンて大きゅうて、俺、愛衣姉ちゃんの乳好きやで。
ほれ、柔らかくてでっかいのにこないに可愛いの…」
「んっ、あ、あっ…」
あっさりとまくり上げられたビキニブラから豊かな中身がぷるんと弾け出す。
普段は一見細身の割りにはすっかり大人の豊満さを見せる膨らみをむにむにと揉まれてから
ピッと突き出した可憐な蕾を指で摘まれ、そしてかぷっと吸い付かれてちゅうちゅうとされながら、
愛衣は早くも身をよじって甘い声を上げる。
「お、おっ」
愛衣の右手が下へと伸びる。小太郎は乳房から口を離して呻いた。
「愛衣姉ちゃん…お、おおっ…」
その隙に、小太郎の前にするするとしゃがみ込んだ愛衣が小太郎の海パンを引き下ろす。
最初はこんな逞しく猛々しいグロテスクなものが華奢な自分の中に入る事を大いに恐れていたが、
ここまでの小太郎と数々の激戦を経て、既に十分大人の仲間入りをした外観ながら、
思春期真っ盛りに貪欲に自分を求めるシンボルを可愛いと思えるぐらいの余裕が生まれていた。
「愛衣姉ちゃん…あ…お、おおっ!」
最初にちゅっと口づけをし、そのまま、的確に急所に舌を這わせて唇を寄せていた愛衣は、
それだけでもたまらなそうな小太郎の分身をかぷっと口にくわえる。
そのままもごもごとそれっぽく動いて見せるので精一杯だったが、
自分の上から洞窟に反響する叫び声と共に目を白黒させながら唇をきゅっときつく閉じた。
ごくんと喉を鳴らした愛衣は、そっと手の甲で唇を拭ってから立ち上がった。
「凄い、気持ちよかったけど愛衣姉ちゃん、こういうのどこで覚えて来るねん?」
「ふふっ、それは女性の友達同士とか雑誌とかですね、私だって興味ありますから」
「かなんなぁ。愛衣姉ちゃんはそういうエロエロなお勉強も優等生って事か」
「一番興味あるのは、どうしたら小太郎さんがあの可愛いお顔で喜んでくれるか、ですけどね」
にこっと微笑む愛衣にへへっと笑った小太郎が、何やら岩壁に向かってしゃがみ込んだ。
そして、小太郎は瓶を手にして、ぴっぴっと自分の掌や剥き出しになっていた愛衣の乳房に振りかける。
「あ、何?」
「サンオイル。先回りして置いといたんや」
「あっ、もうっ、何考えてるんですか小太郎さん」
「用意周到、言うて欲しいなぁ」
「もうっ、あんっ」
そのまま、ぬるぬるとした手つきで柔らかな膨らみをこねる様に揉まれ、
硬く尖った乳首をつるつると弄ばれながら、愛衣の呼吸は荒く、熱気を帯びる。
「あ、ああ…あっ!…」
小太郎の右手が、愛衣の胸からお腹につーっとオイルのラインを残しながら、
おへそでワンポイント悪戯してその下で小さな布地の中に滑り込む。
「あっ!小太郎さんああっ!!…」
まあ、本やお話で聞いている年頃の男の子と言うものに許したのだから、
まあ、その、自分も気持ちいいし愛してるし。
そんな感じで、一度覚えたら若さに任せ発情した猿と言うか犬と言うか、
猛々しく青臭い若い情熱を叩き付ける様にして求め、突き進んで来る。
愛衣もそんな小太郎をお姉さんとしておおらかに受け容れるぐらいの気持ちで、
自分もそうやって成長する小太郎と共に楽しんでいた、と言うのがつい最近までの話。
それが、今まで効率よくダメージを与える事をその身で覚え込んで来たファイターの才能なのか、
愛衣が気が付いた時には、小太郎が女性と言うものにいっぱしの熟練した技術を見せ始めた上に、
今となってはその体の隅々まで、愛衣が自分でも知らない特徴、タイミングに至るまで
優秀なバトル脳に克明にインプットされた後だったらしい。
「んー、何や、オイルとは違うなー何かぬるぬるして来たでぇ」
「やあっ、もうっ小太郎さんばかあっああっ!…」
今もこうして、外部のと内部のとミックスされた潤滑油をたっぷり馴染ませた
意外な程に繊細な指で最も敏感な真珠を磨かれながら、
特にここ最近は愛衣自身の手によっても秘かに頻度を増している様に今正に、
と、そこに至ろうかと言う直前になると、
その上でしっとりと濡れた楚々とした茂みや柔らかな太股へとターゲットが変更される。
そうされながら、右の胸もぬるぬるとしたくすぐったさと共にやわやわと頼りないぐらいにこね回され、
時折その先端が唇の中に含まれると、甘い声を漏らしながら愛衣の息は荒くなり、
顎を反らし逞しい背中にきゅっと腕を回してのアピールは体が勝手に動き出してしまう。
「はっ、あ、ああっ!小太郎さんあっ…んっ…」
「んー、何やキツそうやなー愛衣姉ちゃんどないしてん」
「あんっ、小太郎さんっそんな、ああっ、もう私ぃ、いいっ…」
「どないしたんや愛衣姉ちゃん何か汗ダラダラ息はぁはぁしてるなー」
修行の際は以前にも増して生真面目に徹している。
そして、少しずつ共有する時間の増えているプライベートでは随分砕けた所も見せ始めた愛衣だったが、
小太郎は、一度それを覚えたからには、
やっぱりそんな真面目な愛衣が身悶えして悪ガキに縋り付くのを見てみたくなる。
「は、はあんっ、こ、小太郎さんっ、小太郎さんのボショボショ、愛衣のボショボショ…」
「おお、可愛いキイチゴとんがってるなぁ。こっちもやな」
「あ、ああんっ!」
乳首をかりっと、もちろん痛くない、しかし痛いギリギリの甘噛みをされ、
そしてもっと敏感に尖った所をギリギリのタイミングまでぬるぬるの指で絶妙に撫でられて、
愛衣は背筋を反らして牝の声を上げながらもはぁはぁ息を荒げても、
突き抜ける前にするっと交わされてしまう。
「ああっ、やああっ、駄目、駄目えっ」
「んー、何やもうやめて欲しいんか愛衣姉ちゃん淡泊やな」
「やああっ、ダメッああっやめちゃ駄目えっ、
あんっ、小太郎さんのぉ、小太郎さんのおっきなおち○ちん、ああっ、
小太郎さんの逞しく勃起したおち○ちんを、
愛衣のぬるぬるびちょびちょに発情したお、おま○こに、どうかぶち込んで下さいぃ…」
「りょーかい、やっぱり指示は分かりやすく的確にって奴やなぁ。
愛衣姉ちゃんがどんだけド助平にエロエロで欲しがってるかよー分かったわ」
「はうぅ…小太郎さんだってぇ…」
「おうっ、こんなかわいー愛衣姉ちゃんにエロエロにおねだりされて誰が我慢出来るかい」
「ああっ」
気が付いた時には、愛衣は岩壁に手を着いてぷりっとお尻を突き出す格好になっていた。
「ちぃと大きいけど可愛い尻してるなー」
「恥ずかしいです…ああっ!!」
ビキニショーツをずるりと引き下ろした小太郎は、
そのまま硬く閉じていた白い腿を押し開き、その奥の果汁を果肉ごと舐め取りすすり始めた。
「やああっ!!ああっ、ら、らめぇっ、もう、もうっお願いです小太郎さあんっ!はひいいいっ!!」
岩壁にわんわん響き渡る程に懇願され、すくっと立ち上がった小太郎が愛衣の腰を抱えて一息に貫く。
「あ、ああっ、あああっ!!」
海水浴仕様に下ろして垂らしていた濡れ髪がゆらゆらと前後に揺れ動く。
熱い吐息、喘ぎ声。柔らかく熟れた肉に力強くも軽快な程にパン、パンと打ち付ける音がそこに交わり、
洞窟に淫靡な響きが満ちる。
「あっ、あ、あんっ」
背後から覆い被さる小太郎にぎゅっと乳房を掴まれ、
一瞬の痛みと快感に愛衣が顔を歪め、そして甘い喘ぎと共に顎を上げる。
そのまま、小太郎の左手は少し強めに柔らかい手つきで乳房を揉み続け、
右手は今正に二人が繋がり、音を立てて出入りしているその少し上に。
その最も敏感な一点を摘む、愛衣自身が絞り出した潤滑油をたっぷり乗せた指によるダイレクトアタックに、
愛衣は何度も背筋を反らし鋭い喘ぎ声を響かせる。
「あ、ああっ、こたろ、さん、あ、ああっ…」
「お、おおっ、愛衣姉ちゃんっおおっくうううっ」
反射的にぎゅうっと乳房を掴まれた、オイルに緩和された強過ぎるアクセントぐらいの痛みもつかの間。
首を一杯に上に伸ばし天井を仰いで声を振り絞った愛衣は、
岩壁に着いた掌で辛うじてその体を支えながら、ばさっと濡れ髪を揺らして頭部をがっくりと垂らす。
そんな愛衣の背中に縋り付いて、小太郎も荒い息を吐いてへばっている所だった。
× ×
「ん、んー」
名残惜しげに愛衣から離れ、もそもそと海パンを直していた小太郎の前に、
まだほとんど素っ裸の愛衣がトンと着地した。
「ん?…」
軽く腰を曲げて、にこっと笑った愛衣がちゅっと小太郎の唇を吸う。
「うふっ」
「へへっ」
そして、チラチラと上から下までなめ回す小太郎の視線にくすっと笑い、
愛衣も水着をようやく直し始めた頃、洞窟の中にざぱーんと一波暴れ込んだ。
「…きゃー、浮き輪ーっ」
「待てゴラアッ!!」
× ×
「で、沖で高波に呑まれて浮き輪と水着をまとめて持って行かれたのを担いで戻って来た、と。
お礼を言うべきなのでしょうね」
実力差がどうあれ、やはり、人間関係はそれだけでは決まらない。これまでの付き合いがものを言う。
自分と遜色の無いモデル級の背丈の高音に、腕組みして目の前に仁王立ちされて言われると、
小太郎としてもなかなか強い態度に出られるものではない。
「よくまあ、あんな沖まで付き合ったものですね。
あの娘のカナヅチはあなたが一番よく理解していると思いましたが?
まあ、ここまでエスコートした事はお礼を言いましょう。ねえ、愛衣」
「ごめんなさいです」
年を経て相応に成長したとは言え、やはり女同士の圧倒的な身長差はそのまま推移した。
その見事なスタイルを完璧に魅せる黒のハイレグワンピ姿で腕組みした高音にしっかりと見下ろされ、
バスタオルを体に巻いた愛衣は小さくなるばかりだった。
それを見て、高音はふんと鼻を鳴らす様にスタスタ歩き出し、
水色のワンピース水着で高音に従っていた夏目萌も、
ふふっと意味ありげな笑みで更に愛衣を縮小化して後に従う。
チラッと視線を上げて周囲を見回す。晒し者にする程高音の性格は悪くはない。
と言うより、やっぱりどちらかと言うと自グループの恥ぐらいに思ってる。
ちょっと離れてやれやれと言った顔つきで愛衣を見ていた明日菜が、
愛衣と目が合ってにかっと笑みを浮かべる。
そして、木乃香やネギと共に笑顔を交わしてその場を離れる。
今や、ネギと明日菜は公然の間柄。
だと言う事は、自分もお子ちゃまの時から知っている、
昔は勇壮な天才だが普段は礼儀正しく女の子の様に可愛らしい男の子。
それが今やスーパーイケメン白人少年のネギと、
やっぱり当時から知り合いの快活なお姉さんの明日菜ももしかしたらもう、いやあの余裕からしても、
そこに思い至ると、その生々しさに愛衣の頬がかああっと熱くなる。
別の方角には、素晴らしすぎる悩殺ビキニ姿で色黒サーファーをあしらう千鶴がいて、
その隣に立つ夏美と目が合った時、
ちょっと困った様な笑みを向けた夏美を見て、愛衣はもう一度顔を下に向けた。
× ×
「…ちゃん…愛衣姉ちゃん…」
「は、はいっ」
「綺麗やなぁ」
「あ…はい…」
隣の小太郎の声に、愛衣はハッと前を向き直す。
愛衣の視線の先では又、尾を引く打ち上げ音の後に赤紫の大輪の花が咲き誇り、夏の夜闇に溶けていく。
麻帆良花火大会の真っ最中、
今度は次々と打ち上がり派手な爆発音と共に色取り取りに乱れ咲く大輪の花々を目の当たりにして、
愛衣は素直にその光景に見とれていた。
「綺麗です」
「ああ、綺麗や」
「はい…え?」
愛衣が横を見ると、ほーっと横を見ていた小太郎と目が合った。
「あ、小太郎さん?」
「ああ、ん、ゲフンゲフン。ホンマ、綺麗やな、花火も…姉ちゃんも…」
最後はもごもご口ごもる小太郎を見て、愛衣はにこっと微笑んだ。
長い屋根の縁近くに座る浴衣姿の小太郎と愛衣が横を向いて唇を重ね、
その二人の向こうで、で一際大きな花火が鮮やかに夜空を照らす。
そんな実に絵になる光景を、穴場ポイントである学生街の屋根の上に仁王立ちした明日菜が、
腕組みして満足げに鼻を鳴らして眺めていた。
「綺麗ですね、アスナさん」
「ん」
するりと隣に立ったネギが言うと、明日菜も又無邪気な笑顔を見せて、
浴衣が実に似合いまくっている純和風京都美女コンビな親友達の元へと歩き出した。
「ん?」
鮮やかな光の照り返す愛衣の頬、愛衣の瞳もいいが、
改めて花火そのものに目を向け直した小太郎が腕の感触にそちらを見る。
「愛衣姉ちゃん?」
「えへへっ、小太郎さん」
「ん?」
「小太郎さん、私、幸せだなーって」
小太郎の腕に横から頭を乗せ、にこにこ微笑んだ愛衣が言った。
「今、私、凄く幸せだなーって」
「ああ、そうや」
小太郎の口調は真面目な程だった。
「ああ、そうや。今さらあんまし辛気くさくよう言わんけど、
こんなに平和な生活で、こんな、美人で優しい、彼女の隣でのんびり綺麗な花火見てるって、
こんな幸せ、俺にもあったんやなって」
小太郎が背中から愛衣の肩に腕を回すと、
愛衣は先回りする様に腕を絡め、きゅっとその身を柔らかな膨らみごと押し付ける。
インターバルの静寂の中、ちょっと頬を赤くした小太郎はそっぽを向く。
そんな小太郎の腕に、愛衣は更に嬉しそうな仕草で体重を預ける。
小太郎は、そっぽを向いたまま、一度ぽりぽりと頭を掻いてから、そんな愛衣の肩を引き寄せる。
その背後で、優しい笑みを浮かべた夏美が、踵を返して千鶴と合流した辺りで、
新たに発射音が尾を引き小太郎の、愛衣の明日菜のネギの夏美の皆々の前で天高く飛翔した。
× ×
「…衣…愛衣…」
「あ、お早う」
「ん、おはよ。なんか眠そうって言うか…」
「ん、大丈夫」
学食で声を掛けられた愛衣がそっちを見て挨拶を交わし、
トレイを手にした友人が愛衣の正面の席に座る。
「あーあ、またー就活全滅だよー。
愛衣はいいよねー、もう決まってるって言うか実質勤労学生だっけ?」
「んー、まあ、そんな所」
「関東科学文化歴史交流協会だっけか。なんか、仕分けとかされないのそれ?」
「大丈夫だと思う、多分」
愛衣が苦笑いして言う。言うまでもなく友人が言っている名前は表向きの看板に書かれているタイトルだが、
もしそんな事になったら恐ろし過ぎて笑えると言うのが愛衣の正直な感想だった。
「で、どうなの?」
「どうって?」
「決まってるでしょ」
ぷーっと膨れた友人が耳打ちする。
「え、あ、ああ、それは、うん」
「全く、就職先も安定、そんで卒業前にイケメン彼氏と学生結婚?
やんちゃ坊主の時から手懐けといて18なったら速攻入籍って、大人しい顔してよーやるわ。
ホント、のーろーわーれーろー、って感じ」
「もうっ」
「何てね」
流石に頬を染めて俯く愛衣に、友人はニカッと笑った。
「愛衣、真面目で努力家でホントいい娘だもんねー。
やっぱ、そういう娘が報われないと世の中間違ってるようん」
友人は、愛衣の隣でうんうん頷いている。
そうだ、大学と言っても、卒業単位をほとんど終えた愛衣の今週の時間割は、
今日ここで昼食を食べてゼミに出る事ぐらい。
卒論の用意もあるが、それよりも何よりも大変な準備がどっさりと。
× ×
「愛衣姉ちゃん」
「は、はいっ」
愛衣が振り返ると、小太郎があきれ顔で立っている。
「何突っ立ってんね」
「は、はい、いい部屋だなーって」
「そなや。ま、ええ部屋や。ここにベッド入れて寝床にするんやろ」
「はい、その予定です」
部屋に入ってスタスタ歩き回る小太郎に愛衣が言う。
「そうかー、ほならこの辺やな…ん…」
不意に、背中が重くなるのを感じた小太郎が振り返る。
小太郎の背にきゅっと抱き付いて頬を寄せる愛衣に、ニッと笑みを浮かべた小太郎がちゅっとその唇を吸う。
「あー、だから愛衣姉ちゃん、まだベッドは届いてへんで」
小太郎がニッと笑うと、愛衣は頬を真っ赤にしてそそそと小太郎から離れる。
「ご、ごめんなさい。その、何て言うか、あんまり…
…あんまり、幸せだったから…」
「ああ、そやな。この先あれや、色々あるかも知れんけど、
俺はここで愛衣姉ちゃんと家族になるの、最高に幸せや」
顔をくしゃくしゃにして笑う小太郎と愛衣は、改めて向かい合って抱き合って、唇を重ねた。
× ×
「ま、ええ部屋やな。リビングも風呂も家賃の割りにはまあまあ広くて十分や」
マンションを出て住宅街を並んで歩いていた小太郎が、つつつと愛衣に耳打ちする。
「引っ越したら風呂、一緒に入ろな」
小さくコクンと頷く愛衣に、小太郎は手を頭の後ろで組みながらニッと笑みを浮かべる。
「愛衣姉ちゃんも卒業したら協会の正社員、それもキャリア組でまあ当分首になりそないし」
「そうですね。私の収入でもあそこの家賃なら」
「ん、俺も仕事、頑張るさかい…おっ?」
等と言いながら愛衣を見た小太郎が、不意に愛衣に腕を取られる。
丸で思い詰めたかの様にズンズンと前進する愛衣に、小太郎はされるがままに従っていた。
× ×
連れ込まれるまま、住宅街の穴場なホテルの一室でシャワーを浴びていた小太郎は、
バスルームの扉が開く気配にそちらを見る。
「小太郎さん?」
「あ、ああ…」
上から下までじろじろと視線を走らせる小太郎に愛衣はくすっと笑みを浮かべ、
小太郎は咳払いをしてそっぽを向く。
「あー、なんつーか、やっぱ綺麗やな愛衣姉ちゃんの裸」
「ありがとうございます。小太郎さんも逞しくて、格好いいですよ」
互いに、素直な賛辞を交わした恋人、今や婚約者同士が、
共に生まれたままの姿で歩み寄り、ぎゅっと抱き合い胸と胸を重ね、唇を重ねる。
一つ一つ手順を踏んで秘められた至宝を露わにして行く。
そのもどかしくも楽しい時間もいいものだが、
こうして明るい照明の下で見事なオールヌードをそのまま目の当たりにすると言うのも、
ここまでのラブラブカップルとしては意外に無い機会で小太郎には新鮮に思えた。
かつては、綺麗で大人のお姉さんでもどこか真面目な少女っぽい青さが匂っていた。それも良かったのだが、
その柔らかく成熟した裸体からは今や女盛りの力強さすら伺える。
そんな愛衣は自分のもの。自分の腕の中で硬い蕾が女として花開いた。
その実感は、小太郎にとって実に誇らしいものに他ならない。
「…あ…くっ…」
小太郎が、懸命の忍耐に顔を歪める。
ちゅぽんと熱く深いキスから離れた愛衣は、つーっとその唇を下へ下へ、
ちゅっと吸った小太郎の乳首を舌で弄んでから、
立ち尽くす小太郎の体につーっと舌を唇を這わせてお臍でワンポイントを経て本丸攻めへと突入する。
「愛衣姉ちゃ、あ、くああっ!!…」
目の前の若々しく逞しい偉容に舌を這わせ、愛おしげに一通り舐め回してから思い切り口に含むと、
白旗はそのまま愛衣の顔面に叩き付けられていた。
「あ、あー…愛衣姉ちゃん、すまん…」
しゅんと縮こまった小太郎がばしゃばしゃと顔を洗う愛衣に言う。
最初の頃はお互い無我夢中だったが、このベッドでは意外なじゃじゃ馬ぶりを見せるイトはんの事を、
最近では男としてしっかり御してよがらせて男の威厳を見せていた筈。
ここまで無様な完敗は久しぶり。やはり漢、勝負にこだわる小太郎にはなかなか受け容れられない。
だが、振り返った愛衣の、全てを受け容れる様な女神の笑顔を見ると、そんなものもどうでも良くなり、
その柔らかさにただただ包み込まれたくなるのも本当の所だった。
「はい、座って下さい、小太郎さん」
「あ、ああ…」
促されるままに腰掛けに座る小太郎の脇で、
愛衣はぴっぴっとボトルの中身をその柔らかな乳房から上半身に塗りつけている。
「おっ…」
愛衣が小太郎の背後にしゃがむ。柔らかな乳房がローションに包まれて小太郎の背中に押し付けられる。
愛衣が背後から小太郎に抱き付き、
ローションを塗り込めた柔らかな乳房が、小太郎の背中でぬるりぬるりと蠢くのは、
なんとも新鮮でそして気持ちいい。
「気持ちいいですか、小太郎さん?」
「あ、ああ。愛衣姉ちゃん、又乳デカくなったんちゃうか?」
「それは、小太郎さんに一杯モミモミしてもらいましたから」
「ああ、愛衣姉ちゃんの乳たまらんさかいなぁ」
くるりと小太郎の前に回った愛衣は、ぬるぬると艶めく乳房を小太郎の胸板にも擦り付け始めた。
そして、それは段々と下降する。
「お、おっ…」
おおまかに言えば中の上、水着を着れば変な特化型に走らなくてもグラビアぐらい十分に張れる。
そんな、なんとかパイズリ及第なぬるぬる谷間で柔らかにむにむにとされて、
腰掛けでのけ反る小太郎の下半身が再びむくむくと膨らみ始めた。
「ふふっ、小太郎さんのも、こんなに大きくなってる」
「あ、ああ、そりゃ愛衣姉ちゃんにこんなエロエロされたらな、あっ!」
目の前に跪いた愛衣に軽口もたたけない程にむしゃぶりつかれ、
仰け反りながらこれはヤバイ、と、ぐっと堪えようとした小太郎の前に、
愛衣がぬおっと立ち上がったので小太郎はもう一度仰け反り引っ繰り返りそうになる。
柔らかく成熟した白い裸体をぬらぬらと輝かせ、ゆらりと立ち上がった愛衣の姿には凄絶さすら浮かんでいる。
それは、呑み込まれそうな迫力に満ちた圧倒的な色気。
「ん、くんっ」
「ああっ!」
ずりゅっと呑み込まれる快感に小太郎は歯を食いしばり、
愛衣は、甘い喘ぎ声と共に張りのある乳房をぷるんと揺らして背筋を反らせる。
「はああっ、ああっ、あーっ」
腰掛けに座ったままの小太郎の上で、愛衣がゆさゆさと動き出す。
解いた髪の毛をバサバサと揺らし、
ぬるりとコーティングされた柔らかおっぱいを逞しい胸板にむにむにと擦り付けながら。
少しでも長くこの甘美な感触を、と、懸命に堪えながら、
小太郎は目の前の愛衣の熱い吐息を聞き、
とろんととろける、自分しか知らない愛衣の表情に見とれそうになる。
「はあっ、あっ、あーあぁーっ…」
「あ、ああっ、愛衣姉ちゃん!」
叫んだ小太郎が、何か、どこか遠くに飛んで行ってしまいそうな愛衣をぎゅっと抱き留め、
弾力溢れる柔らかさがぐにゅっと潰れぬるりと擦り付けるその感触を実感する。
そうしている間にも、愛衣の腰はむっちりとローションの乗った太股もその奥の結合部も、
丸でこすり付ける様に差し込まれた男性を貪り続ける。
「あっ、あっ、小太郎、さんっ」
「ああっ、愛衣姉ちゃんっ!!」
ガックリと、愛衣の体重が小太郎の胸に被さって来た。
甘美なる下半身からなけなしの理性を取り返しながら、小太郎は愛衣をきゅうって抱き締め、髪の毛を撫でる。
女性はこうされると嬉しい、気持ちいい。この事を教えてくれたのも愛衣だった。
まだ、心ここにあらず、愛衣はとろんとした眼差しでうっとりと小太郎を見つめ、
二人は静かに唇を重ねる。
最終更新:2012年01月28日 14:57