160 :P.T ◆3QNEGIp2Uc :04/04/01 03:48 ID:71xDejqh
ifネギま! ~ 一話一妄想 ~
第十一話
明日菜をはじめとするバカレンジャーたちの脅威のがんばりにより、実力で学年1位をゲットした2-A。ネギは試験に合格し、クラスメートたちとも交流をいっそう深めることに成功したのだが……。
「あんたたち、いーかげんに出ていきなさーい!」
明日菜は口を目一杯開いて、彼女ら三人の部屋で騒いでいるクラスメートたちを追い出し始めた。
見事学年1位の座を射止めたこと、そしてネギが晴れて麻帆良中学の教員となったことを記念して、今まで祝賀会が開かれていたのである。
広いとはいえない部屋に、バカレンジャー5人と図書館三人娘、さらにはおまつり好きの桜子にまき絵、新聞の記事にするからというので朝倉、ネギ目当てのあやかが押しかけ、消灯時間間際の今まで大騒ぎしていたのである。
明日菜はその尋常ではない腕力でぽぽいぽいと夕映、まき絵、のどか、桜子を廊下へとほうりだし、楓、朝倉、クー、のどかをひとかたまりにしてぐいぐいと押し出し、感極まってネギに抱きついているあやかをひっぺがして蹴り出した。
「まったく限度ってものを知らないんだから……」
明日菜は腰に手を果てて鼻息荒く言うと、ドアを閉めた。
「いいやん、学年1位なんて滅多にとれるものやないんやし」
木乃香が早速、片手で机の上の平皿を重ねつつ、もう片方の手のハンドクリーナーで紙吹雪を掃除しながらニコニコと言った。
「別に宴会をするのが悪いって言ってるわけじゃないわよ」
おっとりとした笑顔と口調で言われ、怒りがしぼんでしまったらしく、明日菜は眉間のしわを解いた。
「ほら、あんたもいつまでもこんなもの着けてないで」
明日菜は、木乃香の横でちょこちょこと、スナック菓子の袋を集めているネギのそばに歩み寄った。
彼の頭にかぶせられているトンガリ帽子を取る。面白がって桜子がかぶせたのを、律儀に今までかぶっていたのだ。
「あ、どうも」
振り向いたネギの前髪に、リボン状によれた細長い紙がいくつかくっついている。おそらく、まき絵が持ってきたクラッカーのはじけたものだろう。
「ほら、ゴミついてるわよ」
そう言うと、明日菜はネギの頭をきれいにしてやった。
さてその後。
3人がかりで大急ぎで後かたづけをし、なんとか消灯時間までにはざっと部屋をきれいにした。
もっとも、木乃香は「あとでちゃんと掃除機かけないとあかんな~」などと言っているが、それは明日にまわすことにする。
三人が寝間着に着替え終えた頃、ちょうど部屋の照明が落ちた。しかし机に置いてある電気スタンドが、部屋全体を照らすには足りないながらも明かりを供給している。
「それじゃアスナ、ネギ君、おやすみ~」
木乃香が、はやくも眠そうに間延びした声で言いながら、二段ベッドの下に潜り込む。
「おやすみなさい、木乃香さん、アスナさん」
続いてネギの声が、ソファーの方から聞こえてくる。もっとも、こちらはまだ昼間の興奮が冷めていないのか、声に張りがある。
「うん、二人ともおやすみ」
明日菜は応えたあと、二段ベッドのはしごに手をかけ、そこでふと止まった。
軽く握った手をあごに当て、ふっとネギの方を振り返る。
わずかに躊躇したものの、明日菜はゆっくりとソファーのそばに向かった。
中腰になり、まくらに顔をうずめて目を閉じているネギに囁く。
「ちょっとネギ……」
「なんですか?」
瞼を下ろしてはいたものの、やはり眠ってはいなかったようだ。ネギはすぐにぱっと目を開き、はっきりとした声で応えた。
明日菜は「しーっ」と口元に立てた人差し指を当て、次いで同じ指でベッドの木乃香を指した。
耳を澄ますと、はやくも木乃香のかすかな寝息が聞こえてくる。ネギは慌てて自分の口を押さえた。
明日菜は、ちらりと自分も木乃香の方に横目で視線をやり、ネギに視線を戻し、またすぐにあさっての方向を見るようにその視線をずらす。
「あのね……」
ネギに呼びかけたまま口ごもってしまう。暗がりの中だからネギには見えないだろうが、彼女の頬がうっすらと染まり、表情は強張っていた。
なかなか本題を切り出さない明日菜をネギは辛抱強くじっと待っていた。やがて明日菜の方が沈黙に耐えきれなくなってようやく言った。
「あの……今夜は私のベッドで寝ていいわよ」
「え……」
ネギは目をぱちくりさせた。
相変わらずネギと目を合わせないまま、明日菜は続ける。
「その、いつもソファーで寝かすのも悪いかなーと思ってたし、今回のテストはホントにあんた頑張ったと思ったから……まあ、私からのご褒美ってことで……」
と、ここで急に明日菜は怒ったような顔と口調になり、
「あ、言っとくけど、今日だけだからね! あんたはしょせん居候なんだから!」
「はい、ありがとうございます」
ニコっとネギは笑った。さほど長くはないが、これまでのつきあいの中で、これが明日菜の照れ隠しであることを分かっているようだった。
「あれ、明日菜さんどうするんですか?」
梯子を上り終え、二段ベッドの上に到着したネギが、未だ下に留まっている明日菜を見下ろして言った。
電気スタンドを豆電球にした彼女は、自分の枕を抱えてソファーへ向かおうとしている。
「どうって、あんたが私のベッドを使うんだから、私はソファーで寝るんじゃない」
ネギはそれを聞いて、慌てて胸の前で小刻みに両手を振った。
「そんな、悪いですよ。明日菜さんもベッドで寝てください」
こめかみに指を当てて、明日菜は思った。一人用のベッドなのだから二人で寝るには狭すぎる。しかし慣れないソファーでうまく寝られるかというとそれは少し不安があった。明日も新聞配達で朝が早いのだ。
(ネギは子供だからまあいいか……)
と、明日菜はネギに向かってうなずくと、足音を忍ばせながら2段ベッドに歩み寄る。
枕をぽーんとベッドに投げ入れると、梯子に手をかけた。
一段目に足をかけたところで、木乃香の顔をが目に入る。可愛らしく目を閉じ、ぐっすり眠っているようだ。
(ネギと一緒に寝ているところなんか木乃香に見られたら、また何か言われそうね。まあ私の方が先に起きるからいいか)
手探りでベッドの二階に上がった明日菜は、途中、ネギの体を踏んづけたりしながらも(「あぎゅ」「あ、ごめん」)、横になって布団の中にもぐり込んだ。
机の上の、豆電球にしたスタンドの光がかすかに届いていた。目鼻の位置はわからないが、ネギの華奢な体の線が、うっすらとシルエットになって見える。
そのシルエットに向かって、明日菜は
「おやすみ、ネギ」
と言った。
「おやすみなさい、アスナさん」
すぐさま返ってくるネギの声を聞いて、明日菜は目を閉じた。
視界を閉ざすと、すぐ隣りに寝ているネギの存在を感じた。
ぴったりくっついて寝ているわけではないが、彼の体温、彼の呼吸、彼の雰囲気を、ごく身近に感じる。
眠れるかな、という心配は、杞憂だった。
長い間一人で寝ることに慣れているはずの明日菜だったが、そばに人がいるというのは不思議に安らぎをもたらす感覚で、彼女は間もなく眠りについた。
いったいどれだけ経ったか、明日菜はふと目を覚ました。
寝ぼけた頭は数秒間、自分が起きていることにすら気づかなかったが、やがて胸の辺りになにか違和感があることに気づいた。
さらに数秒後、霧が晴れるように意識が明らかになってきて、明日菜は顎を引いて自分の胸元を見た。
「!?」
彼女は、危うく声をあげるところだった。
明日菜の胸元に、ネギが顔をうずめている。ただうずめているのではない。二つのふくらみが完全に露出するまでパジャマがたくしあげられており、無防備にも外気にさらされた右の乳首に唇を押し付けるようにしている。
「このエロガ……!」
拳を固く握り締め、ハンマーのように振り上げる明日菜。しかし、ネギの目に火花を散らせるであろうその手が、空中でぴたりと止まる。
ネギが、まるで反応しないからだ。
もし彼がすぐそばで寝ている明日菜の体に触れようと意図してやったことならば、彼女が拳を振り上げた時点で頭をかばうなりなんなりするはず。
(う、確かネギがこの部屋にきた最初の頃にも似たようなことが……)
自分の痴態を思い出して冷や汗を流す明日菜。これまでずっと一人で寝ていたせいなのかなんなのか、彼女はひどく寝相が悪い。
(そ、そういえば、朝起きると半裸になってたことが何度もあったわね)
振り上げていた拳を降ろす。
しかしもちろん、寝ているとはいえ、このままネギに自分の胸の感触を楽しませてやる義理はないということで、明日菜は体の下に腕をおいて、ずりずりとあとずさる。
と、明日菜の胸がネギの口から離れた瞬間、ネギが片手を前方に突き出した。
空中を、さぐるようにさまよったあと、明日菜の胸をむんずと掴んだ。
(! こ、こいつやっぱり意識あるんじゃないの!?)
手を払いのけようとしたその時、ネギの声がかすかに届いた。
「mamma...」
明日菜の手が、いや体全体が、ぴたりと止まる。
胸をネギの手に任せたまま、闇の中に目と耳を凝らした。
「...mam......」
(もしかして、ママって言ってるの?)
その瞬間、明日菜の頭の中で電光が幾条も駆け巡った。
かつて、ネギが明日菜のことを姉に似ていると言ったこと、ネギが家族のことを話す時、母親の話題をまったくしないことが一瞬のうちに結びついた。
話を聞くかぎり、ネギの姉というのはおそらく二十歳前後、そしてその姉は、ネギの母親代わりとなっていたのではないか。
そしてネギの姉が明日菜と同い年の時、ネギはちょうど、最も母親を求める年齢のはずだ。
(ネギは……私を通して、お姉さんを通して、お母さんを見ているってこと……?)
自分の推測が合っているかどうかはわからないが、一度そう思ってしまうと、もう明日菜はネギの手を払いのける気にはなれなかった。
それは、彼が夢の中でのみ許される母親との触れ合いを邪魔することに思えたのだ。
明日菜は逆に、ネギに体を寄せ、彼の頭を抱きかかえた。先ほどと同じように自分の胸にネギの顔を触れさせる。
自分が母親の代わりになれるというなら、せめて今このひとときだけでも……。
幼い頃に両親を亡くした者同士の共感、そしてこのところの共同生活で芽生え始めた母性本能が彼女にそんな行動を取らせた。
そんな明日菜の思いが通じたのか、ネギは幼い子供が添寝してくれる母親にそうするように、明日菜の体にぎゅっと抱き付いてくる。
ここまで近付くと、常夜灯にしている豆電球のかすかな明かりでもネギの表情が見てとれる。口元にかすかに微笑みを浮かべ、安心感に満ちた、見ている方まで幸せになってしまう赤ちゃんの表情だ。
子供を育てるには少々役者が足りない明日菜の柔らかい胸に二三度頬擦りをしたあと、ちゅうっとその先端に吸い付いた。
「あっ」
乳首に走る刺激に、思わず声が出てしまう。
(もう、本格的に幼児退行しちゃったの? やっぱりガキはガキね)
ふうっと息を吐く。多少呆れつつも、自分が親代わりになれたことに、明日菜は奇妙に快い満足感を感じていた。
母乳を求めて吸い付いてくるネギ。彼はますます明日菜の体にぴったりとくっつき、より深く明日菜の乳首をくわえてきた。
その勢い、圧力が思いのほか強く、明日菜は乳頭を引っ張られる感覚に体をぴくっと震わせた。
(ちょ、やだ……これ、結構感じる……!)
いつの間にか、明日菜は自分の体と吐息に熱がこもりはじめたのを自覚した。
親代わりのつもりの授乳に、いつのまにか性的な要素を見つけ出してしまう自分の体。明日菜はたまらない恥ずかしさを覚えてしまう。
それでも、ネギを起こさないようなんとか口の中であえぎ声を噛み殺す。
が。
「んんっ」
本物の赤ん坊と違って、ネギには歯がある。固い前歯が敏感になった乳首を甘噛みし、明日菜はその鋭くも甘美な刺激に両目をぎゅっと閉じた。
しかしそれが返って胸から送られてくる快感に意識を集中させてしまうことになる。
乳輪を挟む上下の唇。吸い上げられ、時に舌の愛撫を受ける乳首。ネギの唾液で濡れた肌は、空気に触れるとすっと熱を奪い、その冷たさがまたアクセントとなっていっそう官能の炎に勢いを与える。
彼女は明らかに欲情した様子で、うねうねと全身を悶えさせた。
あえぎ声は止められても、激しくなる息遣いはどうしようもなく彼女の吐息の音が、送り出されては闇に溶け、溶ける先から次々と送り出される。
「……ふ、うっ」
頭を小刻みに震わせ、明日菜は身をすくめる。目の前で、ネギの髪の毛がゆらり、またゆらりと波がさざめくように動いている。彼女の熱い息のせいだ。
(こんなことしてたら、ネギが起きちゃう……っ!)
そう思いつつも、彼女はネギに胸を与えるのを止められなかった。がしかし、その動機が母性本能とか同情とか、そういうものから離れていっているのは、明日菜自身よくわかっている。
頭の中が熱で冒されてきて、快楽を求めることだけに集中していく。その感覚には、覚えがあった。
(あ……そういえば、私、寮生活に入ってからオナニーしてなかったんだ……)
比較的早い年齢で自慰を覚えていた明日菜だが、木乃香と同室になってからはさすがに恥ずかしいので自重していた。
その分のつけが、一気に襲ってきたようだった。
明日菜はこらえきれず、ネギの頭を抱く手に一層力を込め、彼の顔を自らの柔らかいクッションに押し付ける。
ネギが起きるかもしれないという恐怖感。健気な少年の母親を求める心を自慰の道具代わりにするという罪の意識。それらでさえ、久しぶりに点火された性欲には良質の燃料だった。
(駄目なのに……こんなこと……でも……)
明日菜は顔を傾け、枕に口を押し付けることで無理矢理に荒い息の音を殺す。
その一方で、明日菜は片手を股間にやった。パジャマのズボンを軽く下げると、もどかしげに下着の中に手を入れる。びっくりするほど熱く湿っていた。
唇と突起の位置を探り当てると、いきなり激しく手をうごめかせる。
どうせ逃れられないなら、逆に早く達してしまおうという考えだ。
すでにだいぶ水位の高まっていたところに猛烈な勢いで官能が注がれ、明日菜は声を出さないようにするため枕のカバーを思いっきり噛みしめることになった。
「うう───っ!」
しばらくぶりで敏感になっていたのか、思ったより早く絶頂が到達した。
手足を突っ張らせ、あちこちの筋肉が痙攣する。その拍子に、ネギの口から明日菜の乳首がちゅぽん、と音を立てて抜ける。
明日菜はごろんと横向きだった体を仰向けにした。
若々しい両乳房が、大きく上下している。明日菜は、片手を下着の中に突っ込んだまま、しばしの間虚ろな目で真っ暗な天井を見上げていた。
やがて、彼女は自分の姿に気づき、慌てて首までたくし上げられていたパジャマの上を戻す。
下着は愛液が冷えて気持ちが悪かったので、そーっと枕元のティッシュを何枚か取って下着の中に入れて水気を取り、さらにもう何枚かを重ねて股間と下着の間に敷いた。
一段落して、明日菜はふと胸を押さえた。快楽が過ぎ去った後に、罪悪感が残っている。自分の強烈な欲望に振りまわされ、ネギを自慰の道具にしてしまったことに対する罪悪感だ。
慎重にネギの様子をうかがう。
限りなく闇に近い薄明かりの中、ネギはさきほど明日菜の胸にしゃぶりついていた時よりも一層、安らかな顔で寝息を立てている。どうやら、彼の方も満足したらしかった。
その表情を見ていると、過程はどうあれ、自分が母親の代わりを果たせたような気がして、胸の痛みは雪が木漏れ日に溶けるように無くなっていった。
軽く溜息をつくと、明日菜は身を起こした。
ネギの耳元に顔を寄せ、囁く。
「ごめんね、ゆっくり寝なさい」
彼女はネギを起こさないよう慎重に、枕を抱えながら梯子を降りると、ソファーに向かって歩いて行った。
第十一話 終わり
次回予告!
必要以上に個性派揃いの2-Aだが、千雨はそんな中にあって数少ない常識人だ。密かにクラメートたちの言動にツッコミを入れる毎日だが、彼女にはネットアイドルにしてスーパーハカーという裏の顔があった。
もし彼女が、より深いネットビジネスに手を染めていたら……? 乞うご期待!
最終更新:2012年03月03日 23:55