212 :(;´・`) ◆FOU/niiiV6 :04/04/07 01:13 ID:CbJi0bYV
第三話
「おいで……。」
素直になれない気持ちを整理してもやもやを吐き出した明日菜はネギを寝床に招く。
「えっ…。いいんですかアスナさん?邪魔じゃないんですか?」
いつもと雰囲気が違うことを察し、梯子に足をかけるのを一寸躊躇するネギ。
「ふふっ、たまには良いかな、って思っただけよ。そりゃ普段こんな風に誘わないから珍しいだろうけど、そんなに怖がらないで……。」
「で、でも……いつまで経っても添い寝してもらうだなんて、今まで迷惑に思っている風だったから」
「ゴルァ!今は先生として振舞っているわけじゃないんだからガキらしく素直に甘えとけぃ!♪」
「うわあっ!」
普段では想像しない態度を取ったので違和感を覚えるのでは、と承知していたとはいえ、
やはりというか、変に生真面目に拒否しようとしていたので、隙を見ていつものテンションで怒声を出しつつ、
でも妙に嬉しそうな顔で、ネギを豪快に釣り上げて強引に自分の隣に横たわらせて、一緒に布団を被った。
「…………。」
「♪」
無意識のうちに隣に入ってきたことはあっても、意識がある程度はっきりしたとき、
それも、普段は嫌がっていた相手に何故か誘われるという経験が無く、どぎまぎして何も言えずに硬直するネギ。
それに対して、明日菜は、タカミチの居残り補修を受けているとき並、いや、それ以上に満足げな表情で、
ネギに背中から抱きつき、自分の体を程よく強く密着させ、胸の間の少し下にネギの頭が挟まっている事も
意に介さずにネギの表情・心拍・息遣い・温度を堪能している。
「ふふん……ネギの体、あったかい……。」
「あ、ぁのー、アスナさん……?」
「ん?なあに?」
「えっと……心遣いは嬉しいのですが……流石にこれは恥ずかしいので少し離れてください……。」
「全く……。ほぼ毎晩こっちにその気が無いのにこっそり入ってきてはこれくらい密着しておきながらよく言うわ♪」
「あ、あわわわ……そ、それは…………。」
「……もういいわ、そのときの話は。最初は、体面もあったから嫌がっていたけど……実の所、しばらく続いてから
逆にアンタが入ってこないと、少し寂しかったり調子が狂ったりしていたもんよ。……だから水に流しておくわよ♪」
「す……すいません……。」
「……私が赦すって言っているんだからちったぁ素直に受け止めなさいよ…あはは♪」
「あ、あははは……」
互いに密着しながら、眠りに落ちるまでしばし談笑する二人。
「それにしても、アンタ……思っていたよりもちょっと逞しくない?
もっと華奢かと思ってた……。流石は高畑先生に訓練されただけの事はあるわね……。」
「いえ……それ程でも……。修学旅行の時も、まだまだだな、と思っています……。」
「アレは相手が人間じゃないから仕方ないわよ……。でもさ、同い年の男の子同士だったら、
かなりイイ線行っていると思うけど。頭は良いし、可愛いし、多少ぼろは出るけど礼儀もしっかりしている。」
「そ、そうですか……?」
「私が幾らガキが嫌いと普段から言っていても、見る時には見ているもんよ。
この私が言ってるんだからさ、ちょっとは魔法以外の自分に自信持っても罰は当たらないわよ♪」
「あははは……アスナさんを信じます。」
「ふふふっ…………でも、ね……。」
「でも?」
「私の心配の種が無くなる位にアンタが完璧な人間になるのも、なんかつまらないかな……。」
「??」
「例えば……同い年の男の子より何もかも優れている中に、神経以外の面で、弱いところないかなー…って。
誰にもさらけ出さないアンタ特有の弱み……私だけが知っていて、私しか弄れないような所。
アンタは私だけにしかそれについて打ち明けられず、私のみが自由に処置したり、悪戯したり……。」
「あ、あのー……話がよく見えないのですが……。」
「例えば、 こ う い う 事 ♥ 」
「!!!!」
ネギの体を誉めたり同年代と比べたりした後、明日菜は、突然何か物足りなさそうな
顔をしながらネギを正面に向け、ネギの顎を少し上に向けて、唇をふさいだ……。
「はああっ……うん……うんんっ!」
「んん……ううんっ……あはあっ!」
(あ……ちょっと紅茶の香りがする……。それに、ちょっと甘酸っぱいな……♥)
仮契約の時と違って、義務的に済ましているという感じではなく、妄想の中でタカミチとやっているかの如く
甘く、激しく、ネギの唇、舌、口腔を貪りだす明日菜。
上手くネギの歯をこじ開けて舌を絡め、口腔にたまった唾液をすくって飲み込み、タイミングを合わせて
舌に吸い付き、自分の口腔に誘ったり、唇を塞いだまま息をしたりと、すっかりネギの口に夢中になっている。
時々、息継ぎのためにすこし口を離すも、ちょっと息をしたら(させたら)すぐに喰らいついて、執拗に舌を絡め合わせる。
「んん…………ふうん…………。」
(嘘…………前は渋々だったのに……今のアスナさんのキス……凄い……頭が溶けそう……。)
ネギの方も、いきなりの反応に戸惑いながらも、一番信頼を置いている従者のキスの快楽にすっかり溺れてしまっている。
「「ぷはぁーっ!」」
ようやく唇を離した二人。離れた後には、その余韻を表すように長い唾液の糸が読書投の光で薄く煌いていた。
「……これで本当の一番目、お終い、と。」
「え……?これは、二回目じゃ……?」
「へ?あー、仮契約の時ね。言ったじゃない、あれはノーカンだって。でも、今回のはちゃんと数えるから。だから一回目。」
「あ……。だったら、なんで「本当の一回目」を、タカミチにしないのですか……?」
「気が変わったの……。どうしても、アンタにしたかった……。」
「…………?」
明日菜とのキスの余韻に浸りながら、明日菜の不自然な心変わりを疑問に思うネギ。
「良かった……。神経以外にちゃんと人並みに弱い所あって。」
「??」
「さっきのキス……そんなに、気持ち良かったんだ。アンタのパンツ、いつ破れてもおかしくない位になってるわよ♥」
「え…………あっ!」
続く
最終更新:2012年03月03日 23:59