06スレ269

269 :第32話「絵師と司書の狂騒祭(中編)」 ◆LsUrNEsQeQ :04/04/19 00:18 ID:3Aoo2nOt

 殴られ続けると、恐怖も麻痺してくる。
「あ゛う゛――っ!」
 鉄の塊がひしゃげる鈍い音に続いて、ガラスに蜘蛛の巣のようなヒビが走る。
 道路に停車していたワゴンに思いきり叩き付けられた和泉亜子は、自分が人間ではなくなったこ
とを再認識していた。


 なぜなら、普通の中学生であれば、とうの昔にこの世から存在が消えているだろうから。


「ごほ……ごほっ、えほ……はあ、はあ、はあ」
 べっこりと凹んだワゴンの前に亜子はずるずると崩れ落ちる。背中は怪我が酷く、凹んだワゴン
のボディには赤黒い痕が伝い落ちている。
 殴られ続けた腹や胸には痛みが残っている。足は切り傷だらけで、乾きかけた血がべとべとと汚
らしくへばり付いていた。身体中の大切な部分が壊れかけている気がする。
 周囲からは、無数の気配が近づいてくるのを感じた。ハルナがスケッチブックから具現化した怪
物たちは数を増やしながら、体当たりで吹き飛ばした亜子を探して周囲を徘徊している。
「ごほっ、ごふっ……はあ、はあ……参ったなぁ……あんなん、反則やわ……」
 亜子は身体を起こそうと、手足に力を集中させる。色々な所からぽたぽたと、真新しい血が落下
して大小の点々を作っていった。しかし亜子は気にしないで、身体を少しずつ浮かせていく。
 この戦場から逃げることは最早不可能だった。
 ハルナたちは、亜子の名前を吐かせて心を読もうとしている。
 亜子は直接的な明日菜の居場所は本当に知らないが、エヴァにネギ救出を頼んでいるし、明日
菜には手紙でネギと合流するように指示していた。
 それを読み取られると、ハルナたちはネギと明日菜の逃亡を阻止しようと行動を起こすに違いな
い。そうなれば、亜子を助けてくれる最後の望みも断たれてしまう。
 それに亜子が陥落すれば、ハルナたちは間違いなく明日菜を追って結界から街に侵攻するだろ
う。結界の外は住民で溢れかえっており、その時の被害は計り知れない。

 詰まるところ、亜子がハルナたちに嬲られ続けている間だけは、結界周辺の安全は保障される
ということである。切れかけた糸のような亜子の抵抗だったが、それには大きな意味があった。
 亜子が暴行に耐えて時間を稼げば、その分みんなは助かる。
 明日菜たちが助かれば亜子にも望みがあった。
 逃げるだけの力が残っていない今の亜子には、耐えることが最善の策に思えた。
 ただ……。


(でも、いくら明日菜やネギ先生でも、吸血鬼になったウチを受けいれてくれるんやろうか……?)


 自分の中の比較的冷静な部分が、最悪の展開をリアルに想像する。
 むしろ攻撃してくるのではないか? 亜子はそんな不安すら抱いてしまった。
 女子寮の事件があった日、親友の裕奈とまき絵に嬲られたトラウマがぐちぐちと疼く。
 行方不明になっても、みんな木乃香ばかりで、誰も亜子を探そうとしなかった現実が重い。


(いや、そんなことないっ! ……そんなこと……あらへん……)


「うぐっ! うっ……くうぅ……」
 全身に走る痛みに耐え、亜子はボロボロの身体で何とか立ち上がった。
「大丈夫……大丈夫や……」
 壊れかけた心が、身体が、壊れていく世界に僅かな救いを求めて、動き出す。
 その時、どこからともなく、スローな声が聞こえた。



          *


 亜子さん、見つけましたぁ―――。


「!?」
 その時、上空から巨大な質量が、亜子がもたれているワゴンを直撃した。
「きゃあああっ!」
 反動で吹き飛ばされた亜子が、ごろごろと前に転がっていく。ワゴンを踏み潰した巨大な蜘蛛
は、ハルナがアーティファクトで創った作品「鬼蜘蛛」だった。オリジナルである木乃香の式神より
強いという、生みの親直々のありがたくない紹介もされている。


 ふふふっ、ふふ―――。


 そして一人の少女がいた。
 蜘蛛の丸々とした巨躯の上に立ち、風にスカートを靡かせている宮崎のどかは、まるで「蜘蛛の
上の少女」という一枚の絵のように、堂々とそこに存在していた。目立たず静々とした、野草の花
ような素朴な華が、前髪の奥でゆっくりと咲いていく。
 そして咲いた華がぐにゃりと歪んだ。口が三日月になり、鋭い牙を覗かせてにたりと嗤った。
 風に揺れる前髪の隙間から見える瞳は、獲物を嬲り、追い詰めていく愉悦に濁っていく。
 最初こそ亜子と戦う気のなかったのどかだが、本当に亜子が鬼蜘蛛に手も足も出ないことが分
かってくると、時間が経つにつれて、いい感じにノってきたようである。

「の、のどか……」


 貴女の名前は何ですか―――? そして明日菜さんの居場所を、本当に知らないですか――?


 倒れた亜子に、蜘蛛から降りたのどかが黒いロッドを片手に近づいていく。先端に電極が付いて
いるそれは、カシ、カシ、カシ、とアンテナのように伸びて剣のようになる。
 ハルナが創り、のどかに与えた物騒な武器は、スタンガンのような性質のモノらしい。
「うっ!?」
 のどかに気をとられた一瞬に、四方から寄ってきた蜘蛛たちに手足を捉まれてしまう。そのまま
地面に押さえ付けられた亜子に、パチパチと火花を散らす電極がキスをしようと迫ってくる。
「く、うぅ…………そ、そんなもので、ウチを……」
「えへへ」
 のどかは嬉しそうにスタンガンを亜子の顔から逸らし、そのまま杖のように胸に押し付けた。
「きゃあ、あ、ああ、あああ―――っ! あっ! ああっ! あぁ―――っ! ―――っ!」
 バチチッ、バチ、バチチィ! と、胸から乾いた音が響き渡る。胸に与えられた電撃は服を越え、
その下のピンクの突起から肉山の中で暴れまわり、そのまま亜子の身体を一気に貫いた。
「ひやああ、ああっ、あっ、あ―――っ! ほ、ほんまに、知ら、へ、んねん! あぁ―――っ!」
 押さえられた手足がばたばたと振動し、神経が焼き切れそうな電流が身体中を駆け巡る。髪が
ふわりと立ち上がり、逃れられない拷問に亜子の顔が悲痛に歪んだ。
「じゃあ、亜子さんの名前を教えてください―――。それを知らないとは言わせません―――」
 電極を離して、のどかが嗤いながら亜子の顔を覗きこむ。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ……はあ…………………あああっ! きゃあああ―――っ!」
 黙った亜子に再び電極が押し付けられ、電流が身体に一気に流れ込んでくる。髪を振り乱して
悲鳴を漏らし続ける亜子の目の前では、大小の光がちかちかと点滅していた。
「貴女に黙秘権はありません―――」
「甘いってのどか、亜子ちゃんは自分に契約執行してるんだから、これぐらいやらないと」
 建物の影からわさわさと大小の鬼蜘蛛が溢れ出して、辺りを瞬く間に埋め尽くした。絨毯のよう
に波打つ怪物の群れは、子供大の大きさから乗用車大のものまで様々である。
 現れた「作者」にして「生みの親」である早乙女ハルナは、モーゼのように蜘蛛の大群を割って亜
子の前に立ち、にっこりと嗤ってスケッチブックから絵を具現化させる。
 現れたのは鉄球が付いた鎖、一般にモーニングスターと呼ばれる武器だった。
「う、うぐうう……うう……ふ、あ……」
 両脇の鬼蜘蛛が、電気ショックで弛緩した亜子を器用に立たせた。足に力が入らず、手を吊り
上げられて固定されたその姿は、かの有名な「人間に捕まった宇宙人」の構図に似ている。


(都合のいい漫画みたいに……こ、こういう時に、力を使いこなせて、必殺技とか出せたり……)


 エヴァの力を奪ったのに、ほとんど使いこなせないのが悲しい。
 ひゅぃん、と鎖が風を切る音を聞いて、意識が朦朧とした亜子の視線がその方向をさ迷う。


(……せーへんよね……は、はは、ははは……)



「―――っ! がは、ぁ……」
 鈍い音を立てて鉄球が腹にめり込み、押し出されるように亜子は口から半透明な胃液を噴く。
「ふ、う……う……うう……おえ、ぇ……え……えっ……げほっ……」
 衝撃に意識が遠くなったが、吊るし上げられている状態では亜子は倒れることもできない。器用
に2本の脚で亜子の手を吊るす鬼蜘蛛たちは強固で、それを振り払って逃げることができない。


(もう……ダメ……や……)


 絶望の色を浮かべる亜子の胸や肩に、遠慮なく鉄球が叩き付けられる。腹や負傷した背中や肩
を鉄球で抉られ、亜子は痛みに声にならない悲鳴を撒き散らした。


(エヴァンジェリンって名前を言えば……でも、ここで吐いたら……何もかも……台無しに……)


「……はあ……はあ……はあ、はあ……ああ……そんな……」
 ハルナがのどかに、同じモーニングスターを与えている。その時、鬼蜘蛛たちが亜子の手足を掴
んで、そのまま違う方向に引っ張り始めた。4方向のベクトルの始点になった亜子の身体が、だん
だんと不自然なポーズになって、そのまま手足が独立して運動しようとする。
「……ああっ! いやあああっ! やめて! やめてえっ! う、腕が! うでがぁ!」
 引き千切られそうな力に、関節や筋肉がぎちぎちと悲鳴を上げる。八つ裂きではなく四つ裂きだ
った。引き伸ばされて限界まで張り詰めた四肢、更に亜子のボロボロの肉体に鉄球が交互に叩き
付けられた。



(いやああ゙あ゛あ゛あ゛あ゛、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ―――――――――――――――っ!)


 終りが見えない暴行の中で、磨耗していく精神。
 自分が屈すまで続く地獄。
 それが拷問というものなのだろう。
 亜子は肉体を嬲られ尽くされる苦痛の前に、ただ悲鳴をあげるだけだった。


          *


 ……………………
 ………………………………………
 ………………………………………………………………


「う、うぐ、ぅ……う、ウチ、生きてるん?」
 全身がずきりと痛かった。目覚めた亜子はぼんやりした頭で、意識を失う前のことを思い出す。
過酷な拷問に意識が潰え、一瞬の解放を求めて眠りに引き込まれてしまった。
「あ、何やこれ、動けへん……服は……?」
 亜子はマントも何も纏ってはおらず、剥かれた状態で寝転がっていた。拷問でできた蒼痣や切り
傷が、まるで皮膚病のように全身に広がっていて、糸がコイルのように巻き付いている。
 小さな膨らみや淫裂までが全て露になっている格好だと気付いて、亜子は何とか自由を得よう
と、痛みを我慢してもがいてみる。しかし、滑らかなラインの体躯は糸でぐるぐるに絡みとられ、
細い手足も糸で縛られていた。

 周辺には歪な多角形を紡いだ糸がびっしりと何重にも、背景を埋め尽くすように濃密に張り巡ら
されていた。学園都市の建物に糸がぐしゃぐしゃに絡み付いて綿飴のようになっている。その変貌
した学園都市の光景は亜子に、まるで巨大な蜘蛛の巣に捕らわれた蝶になった気分にさせた。
「……って、これ、蜘蛛の巣!?」
 ようやく理性が戻ってきた亜子は、自分が危険な状況にいると悟った。
「御名答、亜子ちゃんがあんまりにも白状しないから、責め方を変えることにしたの」
 後ろからハルナの声が聞こえた。のどかの気配も感じる。
「あれを見てよ。ほら、蜘蛛の巣の所々に張ってある呪符、あれがねー、なかなかスゴイんだわ」
 よく見ると、周囲の蜘蛛の巣には無数の赤い呪符が貼ってあった。
「このかの特製の呪符だよ。まあ、空間をまんべんなく包むように配置しなくちゃいけないから、私
の可愛くて、強くて、働き者の鬼蜘蛛ちゃんが沢山いないと使えなんだけどね。それは」


「1分を30分に変える魔法」


「この呪符だらけの蜘蛛の巣での30分は、外での1分だよ。そろそろ関東魔法協会が動いてくる
かも知れないけど、これならまだ、ゆっくり、ゆっくり、亜子ちゃんのお話を聞いてあげられるね」
 つまり、仮にあと10分で救援が来るとしても、それは5時間後ということになる。
「う、ウチをどうする気なん……? うひゃ!?」
 怯えたような声で尋ねた亜子の前に、人間大の鬼蜘蛛が姿を現した。
 鬼蜘蛛は8本の脚で身体を持ち上げて器用に立ち上がっている。そして、その腹部にはハルナ
の悪趣味としか表現のしようがない、どす黒い肉の塊が盛り上がっていた。太く、醜悪な外見のそ
れは、育ち方を間違えたキノコのように見えるが、亜子がそれを見間違えるはずがない。
「ああ……」
 亜子の牙がカチカチと鳴り始めた。

 あの悪夢を忘れるはずがない。
 公園で、体育倉庫で、屋上で、一人の女として嬲られ尽くされたあの日を。
 目の前に聳えている肉棒は、亜子を嬲っていた茶々丸よりも巨大だった。亀裂からとろとろと透
明な汁を垂れ流しているその怪物は、亜子には料理を前に涎を垂らしているように見えた。
「い、嫌やっ! 蜘蛛なんかに犯られるやなんて……! じょ、冗談やない!」
 なんとか拘束を解こうとする亜子だったが、縛っている糸は思ったよりも強靭で、吸血鬼の力でも
びくともしなかった。鬼蜘蛛が少しずつ、亜子に近づいてくる。
「くっ! うっ、くう、ぅ……! この糸、切れへん……! な、なんで切れへんの!」
 糸を切ろうと力をふり絞る亜子の顔に、だんだんと諦観の色が濃くなっていく。潤んだ赤い瞳に、
凶悪な肉の塔が堂々と映り込んだ。
「い、いやっ!」
 亜子が顔を背けて拒絶の意志を示した。縛られた身体で這うように、蜘蛛に背中を向けるように
動いていく。
「あああっ!」
 しかし鬼蜘蛛は前脚で、お好み焼きをひっくり返すように亜子の身体を回転させると、己の欲望
の塊を亜子の鼻先に突き付けた。
「ううっ、臭い! 近づけやんといて……」
 猛烈な臭気に亜子の顔が歪んだ。ハルナの嫌がらせなのか、その肉棒はまったく洗われていな
いような異常な匂いを放ち、黒い亀頭にはカスのようなものがびっしりとこびり付いている。生ゴミ
としか思えないその肉塊を近づけただけで、亜子の身体はそれを拒絶していた。
「まあ、明日菜の陵辱用に生やしたモノだからね、そんなに上等なブツじゃないよ」
 ハルナがくすくすと嗤って、鬼蜘蛛の頭をそっと撫ぜる。
「亜子ちゃんには最後の考える時間を与えてあげる。タイムリミットは、この鬼蜘蛛ちゃんが射精す
るまでかな。いい返事を信じてるからね―――」

「な、なにを……う、うむぅ!?」
 異臭を放つ肉の塊が、亜子の舌の上に滑り込んできた。鬼蜘蛛は8本の脚を器用に使い、4本
の脚で己の身体を支え、2本の脚で亜子の身体を支え、残る2本の脚で亜子の後頭部を押して、
亜子の口に肉棒をねじり込んだ。悪臭に亜子は思わず呻く。
「う、うぶ―――ん、んん―――う、うう、うん―――う、うぅ―――」
 縛られて抵抗もできない亜子の頭が前後して、口と舌で肉棒をしごかされる。舌に肉棒を擦り付
けられるたびに、亜子の舌の表面のざらざらがカスを拭いとっていく。
 唾液を潤滑油にして舌の上の肉棒が、亜子の口から喉までを激しく犯していった。それが新しい
刺激になって唾液がさらに分泌され、口の中をどろどろにしながら肉棒に絡み付いていく。


(……うううっ、うえっ! こんな汚いもん、口でさせられるやなんて……口が腐ってまう……!)


 口の中に広がる肉の異臭と、喉奥まで犯される苦しみから、加速度的に吐き気が高まっていく。
しかし口はしっかりと塞がれて、込み上げてくるモノですら肉棒に押し返される気がした。
「う、ぐうう、ん―――ぷはっ!」
 鬼蜘蛛の動きにタイミングを合わせて、亜子が頭を力いっぱいに動かして肉棒を吐き出した。亜
子の口から解放された肉の塊は少しキレイになった姿で、亜子の前にぴんと直立する。
「うえっ! おええっ! ごほっ! はあ、はあ、はあ」
 嘔吐する亜子の小さな唇から、ペニスの味が溶けた唾液がだらだらと垂れ落ちる。口の中に染
み付いた肉棒の残滓を吐き出す亜子のほっぺに、硬直した肉棒がべちゃりと押し付けられた。
「ちょっとちょっと」ハルナが笑いながら、亜子に言った。「吐き出しちゃダメだよ」

「き、汚い、うっ、く、ぅ……」
 固く閉ざされた亜子のピンク色の唇に、巨大な亀頭が割って入ろうとする。亜子は顔を動かして
唇をずらしながら、侵入を防ごうと必死に肉棒と格闘した。
 しかし鬼蜘蛛は亜子で遊んでいるように、カウパーや唾液が混じった汁をほっぺや鼻、目の周り
や顎ににじり付けながら、ゆっくりと唇を追いかけている。


(ウチ、遊ばれてる……この蜘蛛、やろうと思えば簡単やのに……ウチが嫌がるのを……)


 綺麗な顔をべとべとに汚しながら、鬼蜘蛛はたまにほっぺを亀頭で突ついたり、嗅がせるように
鼻先に近づけたりしながら亜子を嬲る。そしてしばらくして、今までのが遊びだったと言わんばかり
に、簡単に唇を捉えて、亀頭をそのまま前進させていった。
「ん、うぐぐ、い、やぁ……ぐうう、ん―――」
 唇の防壁を突破され、再び肉の塊が口の中に侵入してくる。一度吐き出したモノを再び口に入
れられ、再び喉まで深く犯されていく。
「う、んん―――んぐ、ぅ―――ぐう―――ん、んんっ―――」
 口内で大きさを増していく肉の塊に抵抗しようと、亜子は牙を思いきり立てた。しかし固いゴムの
ような感触が伝わってきただけで、文字通りに歯が立たない。
 まるでヘドロ塗れの分厚いホースをしゃぶらせれているような錯覚に陥りつつある亜子に、鬼蜘
蛛は気持ち良いのか、さらに勢い良く腰(?)を亜子の顔に打ち付けていった。
 何回か犯された経験のある亜子は、そろそろ射精が近いことを察知していた。再び吐き出そうと
するがしかし、今度は蜘蛛も警戒していて叶わなかった。


どびゅるるる、どぷっ、どぷぷ、びゅるびゅるびゅる、どぴゅ―――っ!


「―――っ!」

 どくどくと脈打つ肉塊から、まるで水道の蛇口を捻ったように大量の欲望が吐き出され、亜子の
口という受け皿にぶちまけられた。人間ではない、限度と言う概念を知らない勢いと量だった。
 どろどろとした濃い精液が口の中に溜まっていき、その苦さと生臭さ、そして息苦しさが亜子を苦
しめる。しかし、口が塞がれている以上、亜子は悔しさを押し殺して、口にいっぱいになった精液を
ごくり、ごくり、と喉の奥に流しこんでいくしかない。
「う、うぶ……うんん! う、ううっ! うっ! ごほっ!」
 ようやく口から肉棒が抜かれると、亜子の口からどろどろと粘っこい欲望が溢れ出した。気管に
精液が入って激しく咽込み、赤い瞳に苦しさと悔しさの涙が浮かぶ。
 しかし、呆れたことに蜘蛛はまだ射精を終えておらず、咽込む亜子のホワイトブルーの髪に精液
を降らせていて、亜子の髪の毛の中には大小無数の精液の塊ができていた。重力に引っ張られ
てゆっくりと、ナメクジのように亜子の頭から垂れ落ち、髪から地面に滴り落ちる。
 さらに鬼蜘蛛は、口を精液塗れにして苦しんでいる亜子を脚で掴み上げると、さきほど汚した顔
にさらに残りの白濁液をびちゃびちゃとかける。
「あ、あああっ……こ、こんな……あぶ、うぶぶ……」
 顔中を生臭い精液塗れにされた亜子が、どさりと地面に放り投げられる。鬼蜘蛛はとりあえず満
足といった感じに「くもおおっ!」と叫ぶと、作者であるハルナに場所を譲った。
 亜子は身体的な拷問とはまた違った、敗北感に近い感情に打ちのめされていた。
「鬼蜘蛛ちゃんけっこうスゴイでしょー。で、返事はどう?」
「………」
 亜子は何も答えない。ハルナはその沈黙から、拒絶の意志を感じていた。
「まっ、そうこなくっちゃ面白くないよねぇ。亜子ちゃん。ねえ、みんなもそう思うでしょ?」
 ハルナがそう言うと、周囲の蜘蛛の巣からわらわらと大量の蜘蛛が現れる。見た感じでは、百匹
はいそうな数である。どうやら、亜子が眠っている間にさらに増産したらしい。

「100Pとかって、なかなか愉しそうだよね」
 ハルナの声に、亜子はびくりと身体を震わせた。これから始まるであろう亜子を嬲り尽くす宴に
対し、亜子には覚悟を決める時間も与えられていないらしい。
「す、すごいねー。ハルナ」
 アーティファクトをカードに戻していたのどかが、ハルナに話しかけている。
「ふっふっふー。まあ、このミニストラ・コノカ最強のパル様はもう、無敵って感じかな?」
 にやりと嗤ってハルナは応えた。


「この『魔法のスケッチブック』に、勝てるやつなんていないのよ。うっふっふ―――」


          *


 人を排し、沈黙を守る無人都市。
 囲む人々から少し離れた場所に、チリンと鈴の音がした。
 そこに立つのは一人の少女、名を神楽坂明日菜という。
 病院に入院しているはずの彼女は、今、無人都市の境界にいた。
 右手に亜子からの手紙を握り締め、その顔は心配そうに無人都市を眺めている。
 その、色の異なる瞳が見つめる先は―――






 ≪to be continued≫

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最終更新:2012年03月04日 00:02
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