30スレ474

リボンなナイト10 第二話

 +     +

「そう言えば、この部屋ってお二人で住んでるんですか?」

沈黙の中、ほぼ同時に紅茶のカップを傾けてから、ふと気が付いた様にネギが尋ねた。

「ええ。元々学校は別ですけど、
裏の仕事の関係で色々と口実を付けて同居と言う事になっています」
「そうですか」

そこで会話が途切れ、差し向かえにテーブルについた二人はほぼ同時に紅茶を傾ける。
そうしていると、バスローブ姿の愛衣がスタスタとリビングに現れた。

「どうしたのメイ」
「うん、急だったから着替え用意してなかった」
「いや、あの…」

バスローブがばさっと落ちて、セミロングの髪の毛が流れる白い背中、
くりっと丸っこいお尻を見たネギが思わず紅茶を噴き出した。

「?」

くるりと振り返った愛衣とネギが無言で見つめ合う。

「ごっ、ごめんなさいっ!」

ネギと愛衣が同時に叫び、わたわたとネギは横を向き愛衣はバスローブを身に着ける。
そして、愛衣はつかつかとネギに近づいた。

「ネギ先生」
「はわわわっ、ごごごごめんなさいっ」
「H」

ふふっと笑みを浮かべ、愛衣の拳がこつんとネギの頭に当たる。


「あああのっ、僕何も見てませんからっ!」
「なんてね、ごめんなさいネギ先生」
「いえ、こちらこそ」

ネギが顔を上げると、バスローブ姿の愛衣がネギの顔を覗き込む様にやや前のめりになっていた。
実の所、そんなネギの目の前でバスローブの前の合わせはかなり大きく緩んでいた、
それが気にならなかったと言うのは嘘になるが、
それよりもネギは愛衣の寂しげな笑顔の方に引き付けられていた。

「駄目ですねぇ」

愛衣は、そう言いながら背筋を伸ばし上を向いた。

「女子校の女子寮長いとどうしても忘れちゃうんですよねぇ、男の子の事なんて。
ホント、駄目だなぁ」
「佐倉さん…メイさんっ!」

ネギの決然とした口調に、愛衣と萌がはっとそちらを見る。
そんな愛衣の前に、ネギはしゃきっと立ち上がっていた。

「メイさんは、メイさんは素敵な女性(ひと)です」

ネギは、一拍置いてから言い切った。

「メイさんは、とても、とっても素敵な女性です。
綺麗で優しくて、勉強も魔法も一生懸命で。
恋愛だから、恋愛ってそういう事もあるんだって。
でも、でもメイさんは、メイさんはとても、とても素敵な女の人です」

しっかり前を見て言い切ったネギを、愛衣はきょとんと見ていた。

「…あっ、あのっごめんなさいっ。
僕、僕その恋愛の事とかなにも分からないのに
年上の女の人にそんな分かった様な事言って…」

ぺこぺこと頭を下げていたネギのその頭に掌が乗せられた。
くしゅくしゅと頭を撫でられたネギが顔を上げ、優しい笑顔を見た。

「ありがとう、ネギ先生」
「い、いえ…うぶぶっ!!」

ネギがこれ以上何かを言う前に、ネギの顔はしっとり湿ったバスローブにぎゅっと押し付けられていた。


「ふふっ、ネギ先生。あんなに英雄で凛々しくて逞しく活躍してたのに、やっぱりまだ…」
「え、えっと、メイさん…あ、あのっあっ、なっ、あーっ…」
「?」

ぎゅっと抱き締めた腕の中に奇妙な痙攣を感じた愛衣がその腕を緩めると、
ネギはその場にへたっと腰を抜かしていた。

「あ、あの、ネギ先生?」

丸で震え出しそうな青い顔でその場に座り込むネギを見て、
愛衣が心配そうに声を掛けて萌も近づいてきた。
愛衣が一歩踏み出すと、ネギはバッと内股に体を縮めてその内股に両手を挟み込む。

「…あのー、ネギ先生。もしかしてお漏らし、とかしちゃいました?」

心配そうな愛衣の隣で、萌が淡々と尋ねる。
その返事はネギの顔に書いてあった。
そんなネギの前に萌がしゃがみ込み、にっこりと微笑んだ。

「大丈夫ですよネギ先生。
ほらメイ、ネギ先生も男の子じゃなくって男だったんだって。
ネギ先生が健康に男性として成長しているあかしですから」

後ろで聞いていた愛衣も、それを聞いてぽんと手を打った。

「あ、えっと、それじゃあこれって…」
「ネギ先生、確か大卒レベルの学力と伺いましたがこれは保健体育とか…」

理解の追い付いた愛衣の冷静な問いかけに、ネギがこっくりと頷いた。

 +     +

「じゃあ、ネギ先生もシャワー使って下さい。
このまま帰る訳にもいかないでしょう」
「うん、そうそう。お風呂で洗濯しちゃってもいいですから」

愛衣に続く萌の勧めに従い、ネギは部屋のユニットバスに移動する。
リビングに残った萌が愛衣にごにょごにょと何やら耳打ちしていたのは、その後の事。
とは言え、一応裸になってバスタブに入っては見ても、
まだどこかネギの頭の中はぐちゃぐちゃだった。


「こんにちわー」

その事を自覚し、バスタブの真ん中に真っ裸で突っ立って腕組みして目を閉じて整えていたネギの思考は、
その可愛らしい挨拶により一撃で木っ端微塵に吹き飛んだ。

「…!?!?!?」

ネギがその声に周囲を見回すと、仕切りのカーテンの向こうから、
この場所においてはごく一般的に当たり前の姿の愛衣と萌がバスタブに踏み込んでいた。

「えっ?あっ、あのっメイさん夏目さんあのっ…」
「聞いてますよーネギ先生」

わたわたと真っ赤な顔の前で腕を振るネギの前で、萌がふふっと笑った。

「イケメンで逞しくてスーパー魔法使いで英雄の天才お子ちゃまネギ先生の唯一の弱点。
お風呂が嫌いで放っておいたら体を洗うのも嫌がるから、
アスナさんとかクラスの皆さんでピカピカに丸洗いしてもらってるって」
「ちちち違いますっ!」

萌の思わぬ暴露に、ネギが悲鳴を上げた。

「あ、嘘だったんですか?」

愛衣が真顔で尋ねる。

「あのっ、それはその、嘘、と言いますかその今はそんなにちゃんとあのそのっもごもご…」
「はいタイムオーバーしっかーっくっ。
だって、私達のお部屋のお客さんをそんなきちゃないまんまお返ししたら、私達がね、メイ」
「はい、ネギ先生の事とってもとっても大事にしてるアスナさんから、
あの魔法使いの天敵で三枚下ろしにされちゃいますよ私達。それでもいいんですか?」
「え、えーと、あううっ!」

そうこうしている内に、ネギは立ったまま背後から愛衣に羽交い締めにされて、
その感触に気付いたネギのイメージ映像にはぷしゅーっと湯気が噴出した。

「んふふっ、でも、ちょっと安心しました」

そんなネギの前に回った萌が、ふふっと微笑んで言った。
普段も似合っているが、その、眼鏡を外した笑顔をネギは素直に可愛いと思った。


「あっちの世界の人とかじゃなくってネギ先生、
色々天才過ぎてそういう俗っぽい感覚なんてなくなってるんじゃないかとか、
私達にも聞こえてますよ、いつも無理やり引っ張り出さないと遊びにも行かないって。
一生懸命努力し過ぎて、何か忘れちゃったんじゃないかとか。
でも、ネギ先生。ネギ先生もちゃんとスケベな男の子だったんですね、いい意味で」
「あうっ、萌さん、それはそのあうぅ…」
「ふふっ、どうですかーネギ先生。
メイにはちょっと負けるけど、結構いい線行ってるでしょー」
「え、えーと…夏目さん…」
「んー、私の事はフレンドリーに呼んでくれないんですかネギ先生は?」
「あ、あのっ、すごく、綺麗です萌さん」

ネギの前に立ち、右耳の辺りに右手を当てて軽くくねるポーズを取った萌に、
胸の前で両手の人差し指をちょんちょんと合わせていたネギがもごもごと言う。
ネギはちらちらと上目遣いに見ていたが、実際、麻帆良女子の特徴(例外あり)と言うべきか、
萌の裸体も又、年齢を考えると出る所はそこそこ発達していて若い娘と言っても良かった。

「うーん、ネギ先生の場合、誰にでも言っちゃいそうですからねー、それも本心で。
でも、体は正直、みたいですから信じちゃいます♪」
「はううっ!」

しゃがみ込んだ萌にピンと指で跳ねられ、
羽交い締めにされたとは言え隠す事も忘れていたネギが声を上げた。

「あっ、あのっ萌さんっ」
「ちゃんと、ピカピカにして3Aにお返ししまーすっ」
「はううっ!」

ネギの目の前でしゃがみ込んだままボディーソープを泡立てた萌の両手に両サイドからしっかと掴まれ、
ネギは顎を反らして悲鳴を上げていた。

「ふふっ、こんな風にカチカチになるんだねメイ。
私ったらセクシーダイナマイト?それとも背中のおっぱいがいいのかなー」

余程の特殊事情がない限り、
大体この年代構成で似た様な事をすれば似た様な結果になろうと言う事を知ってか知らずか、
萌はにこにこと楽しそうに作業を開始した。
無論、今の段階で何がどうなってどうなるか、本当の意味では知っている筈も無かった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年01月28日 15:06
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。