リボンなナイト10 第六話最終回
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「ひゃっ!?」
「ネーギ先生、ふふっ」
剥き出しの肩にふにっと柔らかな感触を感じた。と、思ったら、
ぬるりとくすぐったくなった耳に萌のくすぐったい声と言うか息と言うかが流れ込む。
「凄いんですねーネギ先生。
メイなんてほとんどKOじゃないですか一体どんなお子ちゃま先生なんですかネギ先生。
やっぱりモテモテ天才少年は違いますねー」
「あうぅ…」
きゅっとネギの背中から胸の側に回した腕に力を込められ、
背中で潰れる感触が改めてネギの頬を赤くする。
その腕を緩めた萌はするりとネギの前に回り込み、
座り込んだままのネギの顔をにこにこと覗き込む。
果たして、萌は既に生まれたままの姿でネギの眼前に登場していた。
「ふふふっ、どうですかネギ先生?メイの方がいいですか?」
「いえ、そんな事は…萌さんは萌さん、とても綺麗です」
「有り難う」
ネギの言葉に、萌はにっこり微笑む。
ネギから見て、座ってやや前のめりにネギを覗き込む、
そんな萌の裸体に彩られる陰影もちょっと新鮮だった。
「ネギ先生」
「はい」
「私も、覚えたてな女の子のエッチな授業、ネギ先生に一杯教えて欲しいなぁー」
すとんと座り直した萌がおちゃらけた口調で言うが、
色白の頬は赤く染まり、呼吸はその柔らかな膨らみからも波打って目に見える。
チャッと眼鏡が外され、萌の黒曜石の様な瞳からとろりと潤んだ光がより一層ネギの瞳へと放たれる。
ネギの優れた直感力、学習力は、かつて伊達眼鏡を外した仕草を記憶の底から導き出していた。
「ん、むっ、ん…」
改めて、睫長い、女の子にしてもいい綺麗な顔、等と萌が思ったのは一瞬の事。
ぎゅっと抱き合い、貪り合い、その唇が糸を引いて離れた時、既に萌の息は荒かった。
「ネギ先生」
「はい」
どこかぽーっとした口調で言う萌に、ネギは平然と応じる。
「キスだけでもう危うく、って、どんだけなんですか」
「あの…」
怒られている様に縮こまるネギの姿は、それだけで、
キスにより火を付けられた萌の何かにじゅんと熱く燃料を注ぎ込む。
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「どう、ですか?」
「綺麗です、凄く」
いい加減何度目かと言うやり取りな気もするが、
ネギの直球な言葉は真実であり、そして安心感がある。
「萌さん、色白なんですね」
「うん、デスクワークだからかな」
ネギの言葉に、床に横たわった萌が苦笑して答える。
「ふふっ、メイのよりちょっと小さいかな」
「柔らかくて、好きですよ」
「ありがと」
そんな言葉を交わしながら、ネギが萌の乳房をすっぽりと掌に包み込んだ。
どこか、端々にコンプレックスを感じる萌の言葉だが、
ネギの素直な言葉がそれを解かしていく。
こうして生まれたままの姿で比べた場合、
愛衣はどちらかと言うと大人の、若い女性に近い早熟タイプと言ってもいい。
萌はそれに比べてどこか少女の脆さがより強い、
華奢な色白の裸体と床に流れる美しい黒髪のコントラストに、
ネギはそれを見てほうっと息を呑んでいた。
ネギの掌から、ふわふわと柔らかな感触が伝わって来る。
この手応えは愛衣の方がしっかりしていた様な気もするが、
ネギにとっては優劣を云々する事など最初から考えていない。
萌の裸体も年齢を考えれば十分に丸っこく女性としての主張を見せ、
ネギから見たら、どちらも十分、魅力的な年上の大人のお姉さんに他ならない。
「あ、あっ」
緩やかな白い丘の上で、ピッと可憐に突き出した桃色の蕾をネギが口に含む。
少しの間吸い立てながら、無闇に転がさずに柔らかく舌を使うと、
萌の声は益々、今ではおきゃんな女の子から何か甘い女性の声へと移り変わる。
「あっ、く、あんっ」
ネギの舌も、掌も、僅かな経験と目の前の反応から見事に応用問題を解いて見せる。
ネギの掌は全般にふわふわと頼りなく、そして大事に大事にしながらも、
決める時はほんの少し、絶妙のタイミングで力を込めてくる。
萌の白く柔らかく期待度十分な乳房に相対して、
ネギはこの歳にして舌も唇も、歯さえも使いこなして見せる。
ネギがそうやってアクセントをつける度に、
喘ぎ声と共に萌の黒髪がたゆたい背中が床を打ち付けそうになる。
その内、ネギの右手が思い出したかの様に萌の女体をつーっと下に下る。
先ほど見た白いお腹とその下に見えた楚々とした艶のある黒影を思い出しながら、
ネギの右手の指がさらりとしたものを通り過ぎる。
「んあっ!?」
「萌さん?萌さんも」
ネギが掲げた右手の指は輝きを帯びてつーっと糸を引く。
「そ、そうなの。だから、だからネギ先生。
ネギ先生の指で、私もメイみたいにネギ先生お願いっ」
「はい、分かりました」
一度かああっと顔を伏せた萌は切羽詰まった開き直った懇願をしたが、
その後の、やけに生真面目でお仕事でもこなすかの様なネギの口調に萌は一抹の不安を覚える。
「あっ、あ…あっ…ああっ…あっあっ…
ああぁぁあーーーーーっっっストップネギ先生ストォーップッ!!」
途中から体全体を下にずらし、
楚々とした黒い茂みの下で輝く鮮やかなピンク色の花園を直視し美しさに嘆息しつつ一つ一つ確かめながら、
ネギはその右手に天性の器用さと学習能力の粋を集結させていた。
突如絶叫した萌は、そんなネギを抱き起こす様にして、
二人とも座った状態でぎゅっと抱き留めて強制停止させた。
「あ、あの、萌さんっ」
「ち、ちょっとぉ、だってネギ先生すっごく上手なんだから、
もう、ナツメグはネギ先生にキッスとおっぱいだけでイカされそうだったのにあんな器用で繊細で力強くって、
どこの天然ジゴロのスケコマシのエロ伝道師なんですかネギ先生はぁ」
「あううぅ」
黒髪をばさばさに乱して鬼気迫る勢いの萌から機関銃攻撃を食らい、
叱られていると思ったのかネギがしゅんとなる。
「あうっ!」
そんなネギが、萌のストレート過ぎる急所鷲掴みの暴挙に背筋を反らして悲鳴を上げた。
「ふふっ、メイとあんなに一杯したのに、こんなになってるんですね」
「萌さん、萌さんが凄く綺麗で、その…」
「エッチな私を見て、エッチな気分になっちゃいました?」
にっこり笑って尋ねる萌に、ネギがこくんと頷いた。
そんなネギに萌がすっと顔を近づけ、ネギがそれに応じてちゅっと唇を重ねる。
「ほら、ネギ先生」
「萌さん?」
ゆるりと動いた萌は、ネギに黒髪の流れる背中を向け、そのまま床に這った。
萌は自分の丸っこいお尻に手を回し、指でその奥を開いて見せる。
「あううっ」
「どうですか、ネギ先生。凄く、熱いんですけど」
「は、はい、なんか萌さんの、凄くぬるぬるして」
「だからネギ先生。ネギ先生がそういう気分でビンビンになって、
私もそんなネギ先生の男の子のをこうやって、欲しがってるんです」
未知のスタイルだったが、それを切り開いて来たのも又ネギの道程。
武道会でも夏休みも別行動だった、真面目そうな綺麗なお姉さんだなぐらいの記憶だったのが、
女性にとって最も恥ずかしい筈の既に滴り落ちそうな秘処を一杯に開陳し、
切羽詰まった口調でハイテンションに求める萌。
ごくりと喉を鳴らしたネギは、腹を決めた。
「あ、あっ」
「萌さん」
「大丈夫、だからネギ先生、ネギ先生の一杯、お願いああっ」
既に、溢れ返った女の蜜につーっと赤いものが一筋混じっていたのだが、
早々に形状を理解し後ろから貫き通したネギは萌の意を理解してそのまま腰を打ち続ける。
それに合わせて、萌の腰も段々と前後に揺れ動き、ネギを求める動きが加速する。
部屋の中に、ぱん、ぱんと叩き付ける音が軽やかなぐらいにリズミカルに響き渡っていた。
「あ、んっ」
「萌さん、萌さん」
「う、うんっ、私、私も、私もああっ私も飛ぶっあっ、あ、あーっ」
ネギが萌の乳房をぎゅっと掴み、萌がうめき声を上げた。
その、先ほどの紳士的なものとは打って変わった荒々しい痛みも又、ここに至ってはいいスパイス。
そして、その時はすぐに訪れた。
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「ネギ先生」
床にふにゃーっと横たわる萌を前に、背後から囁かれた転がす様なそしてとても色っぽい声に、
一休みして座り込んでいたネギの背筋がゾクゾクッと震えた。
「ナツメグにもすごーく、エッチだったんですね。私、ドキドキしちゃいました」
「あ、あの、メイさん…」
裸の肩にむにゅっとした感触が伝わり、ネギがごくりと息を呑んだ。
「凄いんですね、ネギ先生」
愛衣の視線の落ちた先を追って、
その先で分身が隆々としているとのは対照的にネギ本体はしゅんと下を向く。
「メ、メイさぁん」
さっさと掴まれ、しゅっしゅとしごかれて、ネギが情けない声を上げた。
「もちろん、無理強いなんてしませんよ。どうします、ネギ先生?」
横からネギを覗き込んだ愛衣の瞳は、男を引き寄せる磁力の様な輝きを帯びていた。
「ひゃっ」
そんな愛衣も、ひょいと体が浮き上がった時には素直な少女の悲鳴を上げていた。
「あ、あの、ネギ、先生あううっ」
下から太股と背中を支えられる体勢で持ち上げられ、ベッドに優しく横たえられて、
先ほどまでの押せ押せお姉さんはどこへやらの赤ら顔の少女がそこにはいた。
「すごーい…天然紳士の天然ジゴロでこっちは野獣…」
「だって、メイさんがすごーく綺麗ですごーくエッチなんですから」
そうやって、ちょっと小憎たらしい笑みを浮かべたネギも少女の心を撃ち抜く。
時には、リラックスした時には、アスナとこんな小生意気な、
心を許したやり取りもしてるんだろうと愛衣にも思い浮かぶ。
ふふっと笑みを浮かべた愛衣は身を起こし、
ベッドの上に座ったまま二人で熱く唇を交わす。
そのまま、互いにちょっとの間そのすべすべの裸体を撫で合ったりもしていたが、
若い雄と雌と化した二人の肉体はとうに熱く潤い、昂ぶりきっていた。
「ネギ先生」
「はい」
挑む様な目を見せた愛衣が、にこにこ天使の微笑みを見せるネギの両肩を押す。
そのままベッドに横たえられながら、ネギは楽しみだと顔に書いてある笑みを浮かべていた。
「お姉さんをからかった、お仕置きですっ。
大変お疲れの所すいませんが、うんっと気持ちよくお願いしますね」
「あ、あの、メイさん?」
ちょっと何事かと思ったネギの前で、
愛衣は膝立ちで腰を浮かせ、ネギの腰を両膝でまたぐ様に移動する。
「あ、ああっ!!」
ネギの腰から全身にとろける様に包まれる幾度目かの快感が突き抜ける。
そうやってベッドに横たわったままのネギが前を見ると、
きゅっと上向きに膨らみの形となった乳房がぷるん、ぷるんと上下して、
その上に上気した愛衣の顔が見える。
バサッ、バサッと髪の毛を振り乱し、熱い息遣いで切羽詰まった喘ぎ声を漏らしている。
半開きの目は涙がこぼれそうな潤んだ瞳。
そうしながらぐいぐいと上下に、時に丸く腰を使い、体中で懸命に貪り喘いでいる。
それは浅ましいと言えば浅ましいと言っても良かったが、
綺麗で礼儀正しい真面目な年齢的には先輩魔法使い、
と言う印象だった愛衣がそこまでして求めている。
そうやって、女として全てを食らい尽くそうと言うのは凄絶な美しさであり、
そして、そんな素直に欲望を解き放った愛衣はどこか可愛らしい。
最初だったら難しかったかも知れないが、
今のネギにはその魅力を味わい、より大きなものとするだけの余裕があった。
「ああっ!」
ネギの下からの突き上げに、愛衣がビクンと体を震わせ、一際大きく甘い声を響かせる。
「ああっ!あっ、ああっ!!ネ、ネギ先生っ」
「はいっ、メイさん、メイさんの綺麗で可愛いメイさんをもっとっ」
「あああっ!!だっ、だめっああっネギ先生だめっやめないでぇああっ」
「ふふっ、やっぱりメイさん、メイさんもエッチなんですね」
「は、はいっ、ああっはいメイはネギ先生のおち○ちんが大好きな
すごーくエッチな女の子ですっ、ああっ、だからああっ」
「はいっ、僕も、僕もエッチで可愛いメイさんのお相手で、
すごーくエッチになっちゃいますっ、ううっ、僕も、もうっ」
「は、はい、ネギ先生、ネギ先生っああっいいっあっああっああぁー…」
ネギが、苦痛とない交ぜとも思える引き金を引き、込めていた力を緩める。
それと共に、ネギの上で甘く糸を引く叫びを響かせ、ピンと背筋を反らしていた愛衣も、
ふにゃっと力を抜いてネギに覆い被さって来る。
ネギは、ふっとついさっきの泣き顔を思い出していた。
「ネギ先生?」
隣の愛衣の顔は満ち足りた、幸せそうなものだった。
そのまま、二人は互いににっこり微笑み唇を重ねる。
そのベッドの柵をガシッと十本が掴み、柵の向こうで眼鏡越しの瞳が爛々と輝いていた事など、
今だけは知る由もなかった。
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「こ、これは…」
部屋に入った高音・D・グッドマンは、
リビングの惨状を目の当たりにして両手の荷物をどさっと床に落とした。
リビングの一角では、
ブラックサンタ姿の愛衣と萌が、幸せそうに満ち足りた表情ですーすー寝息を立てている。
「あー、おほんっ、ネギ先生、ネギ先生っ」
そんなリビングの真ん中に身を横たえたネギに高音が駆け寄り、ゆさゆさと揺さぶる。
んーんっと呻いたネギが、ごろんと大の字になり高音の顔に見る見る赤みが差す。
「んー…お姉ちゃん…(スリスリ)」
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「あーーーーーーーーうーーーーーーーーーーーーー」
愛衣と萌は、ネギの全身が自分達の共用部屋の窓をぶち破って
生まれたままの姿に怪しい光を帯びたまま高々とお空のお星様になるのを
大汗を浮かべて黙って見守る以外の選択肢を持ち合わせていなかった。
「総員整列!気を付けえっ!!」
周回軌道となる事無く辛うじて生還して取り敢えずミニスカサンタを着せられたネギ共々、
高音のキビキビとした、怒号以外の何物でも無い指示にネギを中心に両サイドに立ってキビキビと従う。
「あー、メイ。
いくら謎の染みでレシピメモが滲んで読みにくかったからと言って、
リキュールではなくスピリットと成人指定魔法ハーブを生のままでぶち込む人がありますか」
「ごめんなさい」
「全く、ネギ先生がついていながらなんと言う事ですかっ!」
「ごめんなさい」
しゅんと下を向いて消え入る様に言うネギを前に、
腕組みしてうろうろしていた高音はそのネギをチラッと横目に見てピタッと足を止めた。
「分かっているんですかネギ先生。
よりにもよってこの時期に○学生と××歳がアルコール入りでハレンチ行為なんて、
こんな事をしていたら来年の7月には私達まとめて消滅ですよ消滅っ」
「ごめんなさい。僕、先生なのにこんな事になって、
本当に反省してますごめんなさい」
涙ぐむネギのアホ毛がしおしおと萎れて行く内に、
ズンズンと迫り来る高音の足がぴたりと止まって高音の体がやや後方に傾く。
そんな高音を、愛衣と萌も恐る恐る上目遣いに見ている。
「…あー、おほんっ、
ネギ先生、これは厳重なお仕置きが必要と言う事ですね」
「あーーーーーーーうーーーーーーー」
高音は、ガシッとネギの手を取り、バスルームへと連行する。
その一部始終の間、愛衣と萌は大汗を浮かべて立ち尽くして待つしか無かった。
「…あーっ、あっあっあっあっああーっ!!」
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「………」
直立不動に戻った愛衣と萌の前で、
高音がよろよろとリビングに戻って来て、ガシッと壁に縋り付く。
「あー、おほんっ、
ネギ先生も深くふかーく反省している様ですので、
今回の限り特別に、厳重注意と言う事で私の胸にしまっておきます。
次はありませんのでいいですね…よろしいですねっ!」
「は、はいっ!」
気を取り直して目の前でツヤツヤテカテカ光り輝きながらお説教を締める高音と
文字通り杖に縋り付いて隣に立つネギを大汗を浮かべて見比べていた愛衣と萌は、
高音の念押しにネギ共々飛び上がる様に返答した。
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「さあさあ、金毛連盟のよしみでターキーも手に入りましたし、
パーティーの支度を始めましょう。
ネギ先生も、クラスの皆さんが探していましたよ」
「はい。どうも、お邪魔しました」
高音がパンパンと手を叩いて指示を出し、
高音がふんっとツンデレし愛衣と萌に生温かい微笑みを向けられながら、
ぺこりと一礼したネギがパタパタと部屋を出て行った。
「あの、ネギ先生」
女子寮の廊下で、ネギは後ろから来た愛衣に呼び止められた。
「あ、メイさん」
「今日はその、色々と有り難うございました」
「いえ、こちらこそ」
向かい合ってぽっと赤くなって下を向きながらもごもご言っていた二人だったが、
お互いのそんな姿を見て二人ともくすくすと笑い出した。
「…あ…」
そんなネギの頬に、柔らかい感触が当たる。
「ふふっ、お子ちゃまにはまだまだこれが丁度いいプレゼントですね」
「はい」
すっとネギの顔から顔を離し、しゃっきり立った愛衣にネギもにっこりと微笑んだ。
「Merry X’mas」
「Merry X’mas」
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「おー、いたいた」
「?」
パタパタとネギが走り去り、
抜け出して来た自分の部屋に戻ろうとした愛衣がくるりと振り返る。
「あ、小太郎さん」
そんなメイに小太郎が駆け寄り、その後ろからにこにこと苦笑した夏美が付いてくる。
愛衣の心の底に、ちくっと痛みがなかったと言えば嘘になる。
「おう、メイ姉ちゃん、これ」
「?」
小太郎がメイの掌に置いたのは、リボンのついた小さな紙袋だった。
「いやー、俺育ち悪いさかい気付かへんかったけどなー、
何かクラスのガキらはプレゼント交換とかしてるし、
俺の無茶な稽古にも頑張って付いて来てたからなぁメイ姉ちゃん」
「あ、有り難うございます」
背中で手を組んで言う小太郎の言葉に、愛衣はきょとんと言葉を返した。
「ほな、めりーくりすます」
「メリー・クリスマス、メイちゃん」
「Merry X’mas」
小太郎と夏美が掲げた手を振り、ちょっと見には姉妹喧嘩の様に談笑しながら立ち去る。
2003年12月24日23時5×分
ターキーと皿洗いの後の僅かな時間で毛糸との死闘を制し、
トナカイ引きの橇ならぬ箒に乗って飛び出したミニスカサンタの事は又別のお話
Merry X’mas
リボンなナイト10-了-
最終更新:2012年01月28日 15:16