29スレ107

逆まる

<本ルート再開>>101から続く>

まあ、あんな事、なければ一番いい訳ですので…

麻帆良学園2002年度三学期。
「…すな…アスナ…」
「ん、んー…」
明日菜が首を振る。
「もう着くえ、アスナ」
隣に木乃香が座っている。周囲を見回す、相変わらず混雑した通学電車の中だ。
「又、夢見たん?」
「んんー、毎回よく覚えてないんだけどさー、なーんかやな夢」
「アスナ毎朝早いのに、大変やなー」
「きゃあ」
「いやあっ」
「何だろ?」
「窓でも開いてたん?」
遠くの悲鳴と共に頬を撫でた強風に明日菜と木乃香が首を傾げる。

「おっはよーっ千雨ちゃんっ!」
「おわっ!」
駅を降りて校舎に向かう千雨に、明日菜が後ろからガバッと抱き付いた。
「じゃあねーっ♪」
「アスナ、千雨ちゃんと仲良かったっけ?」
「うーん、何となく♪」
「バカが極まったか…」
千雨はぼそっと呟いて先を行く明日菜の背中を見るが、何故かちょっと楽しかった。
「高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生高畑先生(以下略)
ワンッ!」
「ホントにやるとわ…」
「殺すわよ(ゴゴ…)」
「あのー、あなた失恋の相が出てますよ」
漫才問答の末、横を向いた明日菜の瞳に、不意に涙が溢れた。
「アスナ?」
瞬きだけして硬直した明日菜は、ずずっと鼻をすすり、突如現れた失礼なお子ちゃまに一転鬼の形相で迫る。
その瞼には涙が光っていた。

-逆まる・終了-

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最終更新:2012年01月28日 16:04
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