第2話
「ふぅふぅふぅ」
「鼻息が荒くてよあやか」
「うう、大きな塊が4つは重いよぉ。二人とも大きすぎだよ…。はぁ、あたしのはちっちゃいなぁ」
夕食後3人は待ち伏せするために浴槽清掃用具倉庫室に身を潜めて扉のスキマから脱衣所を伺っていた。
「いやでも柔らかいなぁ」
「夏美ちゃんも直ぐ大きくなるわよ♪」
「そうかなぁ…ぽよんぽよんになるかなぁ」
「スレンダーな夏美ちゃんも素敵だけど、きっと大きくなるわ」
「そっかなぁ、えへへ」
「ふぅ…はぁ…ふぅ…」
夏美と千鶴が和やかに話しているそばで、あやかは脱衣所の様子を興奮した趣でのぞいていた。
「あやか、落ち着いて」
「お、おひふいてるわほ」
声が裏返っていた。
「新しいわ!」 と、千鶴はつぶやいた。
「ちづねぇ…いいんちょで遊ぶのはそろそろ…うわ!こ、小太郎くん」
まるで犬のように這いながら脱衣所に滑り込んで来る村上(仮名)小太郎くんだった。
飢えた野良犬のようにあたりを警戒し、下着が脱ぎ捨ててある籠を鋭い眼で探す。
「夏美ちゃん。静かに、あやかも落ち着いて」
「おひふいてるわ」 カミカミだった。
コクコクと無言で頷く夏美。
小太郎は乱暴に下着の入った籠に腕を突っ込んで何枚か口にくわえると四本足で逃げ出して、ほとんど誰も使ってない。個室のシャワー室に消えていった。
「す、すごいもの見ちゃった…」
「ち、千鶴さん…い、いまのは?」
「下着泥の現行犯ね♪」
「明るく言わないでください! 弟さんがあんなハレンチな事をしているなんて…」
「あ、あ、そうだね。びっくりしたよ」
そういえば弟という設定だった。でも、小太郎くん、ギラギラした眼でカッコよかったかも!
「夏美ちゃんのそういうとこも可愛いわよ」
三人は小太郎くんが消えた個室に足音を忍ばせてそっと近づいて中の気配をうかがった。
「あれはあやかの下着だったわね」
「千鶴ねぇのもあったよ」
「2枚も! まぁ小太郎くんたらとても大胆ね!」
「枚数の問題ではありません!!」
あやかが激高した。
小太郎くんは気づかないで学生服のズボンを膝まで降ろした途中のまま、下着をおちんちんに巻いてお尻丸出しでいじっていた。
「千鶴さん! そんな見てないで止めてください!」
「怒らないであやか」
コンコン。夏美がシャワー室の個室の扉を叩く、もう少しで気持ちよくなれた瞬間、突然叩かれた音に小太郎くんはびっくりして扉を押さえた。
「下着泥棒さん? 怒らないから出てきなさい」
ゆっくりとした口調で力強く千鶴が口を開いた。
「下着泥棒が小太郎くんだったなんて、とても残念ですよ」
「千鶴さん!? あなた、まさか犯人が誰か知らなかったんじゃ…」
「えへ」と笑ってごまかす。
「千鶴ねぇ!」「千鶴さん!」
「私は小太郎くんがやっていたら、二人とも妙に意識して面白いなって思って、まさか本当に小太郎くんが犯人だなんてとても残念です。疑って御免なさいね」
3人に沈黙が流れる。
「困ったわ、どうしましょう警察を呼びましょうか?」
「千鶴さん。それは………可愛そうだわ」
「そうだよ千鶴ねぇ。小太郎くんも反省していると思うよ」
警察という言葉に反応して小太郎くんを庇う二人。
「二人ともよく聞いて。悪いことをしたら警察の人に連絡して本人に反省させるのが正しいことなのよ」
「で、でもぉ」
「千鶴さん。警察はやりすぎだと思うの」
「でも、小太郎くんは中に閉じこもったままよ。もしかしたら見間違いかもしれない。私、信じられないの小太郎くんが下着泥棒をするなんて」
「でもアレは小太郎くんだよ」
「夏美ちゃん! 実の弟を信じられないの! 実の弟がこっそり姉の友達の下着を盗んでズボンを脱ぎ散らかしておちんちんを弄っちゃう変態犬だって言うの!」
がっしり肩をつかむ千鶴。
「毎日、人の目を盗んでは下着を汚して喜ぶド変態が小太郎くんだって言うの! 私は信じないわ! きっとよく似た別人よ!」
「千鶴ねぇちゃん。ゴメン」
小太郎くんは、おずおずとシャワー室から出てきた。
オドオドして泣きそうな顔で立ち尽くしていた。
きゅうううぅぅぅぅぅぅぅん。あやかのスイッチが入った。
「千鶴さん、小太郎くんを許して上げて…」
「あやか…」
「さ、小太郎くん、泣かないで、酷いこと言ってごめんなさい。男の子ですもの仕方ないわ」
あやす様に小太郎くんの目線でかがむあやか。
「ね、女の子の下着に興味あるのはわかるけど、相手の気持ちを考えてあげて」
「……」
泣きそうな顔でうつむく小太郎。
あやかは優しげにそっと小太郎の頭を撫でてやる。
「ねぇ夏美ちゃんはどう思った?」
「千鶴ねぇ…えぇと、びっくりしたよ」
「それだけ?」
「えーと、なんか、すごい恥ずかしかったよ」
「そうよね…死にたいぐらい恥ずかしくて、屋上から身を投げてしまったり男性不振になって男の子なんて怖くて一緒に住めないわよね」
「そこまでは…」
「駄目よ、夏美ちゃん自分を偽っちゃ!」
「俺、ごめん夏美ねぇちゃん」
「そ、そこまで思って無いよちづねぇ」「ああ、泣かないで小太郎くん」
あやかが辛そうな顔で小太郎を慰める。少年の泣き顔にとても弱いあやかだった。
「悪いことだって反省しているの小太郎くん?」
千鶴の問い詰めに無言で頷く小太郎くん。
「じゃぁ、わたしたちの見ている前で続きをやってごらんなさい」
ええ! 夏美、あやか、小太郎はびっくりして千鶴に視線が集まる。
「悪いとわかってもやっちゃうくらい我慢が利かない悪い子には、夏見ちゃんがどれくらい恥ずかしかったか、やってごらんなさい」
千鶴は厳しい視線で小太郎くんを見下ろしていた。
最終更新:2012年01月28日 16:10