29スレ276

家鴨雛は月で鳴く 第三回


「みみっ、美晴さんっ!?どうしてどうやってっ!?」
「秘密の出入り口。ここ、密会仕様にも改造してあるの」
「は、ははは…」
「やっと、二人きりになれたね、ネギ君…」
それだけ言って美晴が目を閉じると、ネギは迷わず美晴に抱き付き、唇を奪っていた。
美晴も積極的に、熱烈に、背中に腕を回し舌を押し込んで力強くそれに応じ、
ネギも又、負けじと情熱的なキスでお返しする。
唇が離れ、美晴は、不敵な程の笑みを浮かべていた。
ネギは、美晴に促されるまま、長椅子に座る美晴の隣にちょこんと腰掛ける。
「んふふっ、何を期待してたのかな、ネギ君は?」
「あっ、あのっ、それはっ…」
「ほら、もう、ちゃーんと分かる様になっちゃってるわよ。
ふーん、ネギ先生は、表に教え子待たせておいて、美人のお姉様とエッチな事期待したりしてるんだー」
「あううー…」
美晴の柔らかな掌にハーフパンツ越しに優しく掴まれ、ネギが情けない声を出す。
「その、真面目な所がネギ君のいい所。
それに、エッチなのは私も一緒。ネギ君と二人きりで凄く、ドキドキしてる。
見たでしょう、ここはセレブ仕様の二重扉プライバシー厳守、
一回外に出ちゃったら、覗き見も盗み聞きも出来ない。
でも、時間までは止められない。迷ってる暇、あるのかな?」
ネギは、美晴が横を向いて突き出した唇に、乱暴なぐらいに自分の唇を重ねた。
美晴が、そんなネギの幼くも逞しい体をぎゅっと抱き締め、ネギもそれに応じる。
美晴の挑む様な瞳に当てられたネギは、矢も楯もたまらずと言った風情で、
ネギが美晴のシャツをまくり上げ、ぷるんと弾けだした白い乳房に吸い付く。
美晴が眉根を寄せて喘ぐ声を聞きながら、貪る様に吸い続ける。
そして、スカートの中に手を突っ込むが、そのまま、指にさらさらとした手触りが伝わった事には
さすがにちょっとびっくりした。
「ね、エッチでしょ、こんなバカみたいな準備してネギ君に会いに来て、ほらっ」
「あっ」
美晴が、ネギの手を取り、更にぐいっと奥に差し込む。
「ほら、ネギ君が触ってる、それだけでこんなになって、
ああっ、そうっ、ネギ君上手っ、こないだ初めてだったのに、こんなに器用で、上手でっ」
「美晴さん、美晴さん僕の指に、僕の指にとろとろしたのっ」
「そう、そうよ、ネギ君が触ってるから凄くエッチな気分になって、
ネギ君が欲しくて欲しくてたまらなくなってるっ」
「美晴、さん?」

スカートの中のネギの手にぴっ、ぴっと熱いものが掛かり、
甲高い声を上げてはあはあと荒い息を吐く美晴に、ネギはちょっとぎょっとしていた。
「やっぱり、ネギ君の指いい、それに、ドキドキスリルがあるとすっごい興奮する。
優しいお姉さんとお子様先生が、あの女の子たちと壁一つ挟んでこーんなエッチな事してるなんて。
そうよ、ネギ君、壁一つ向こうでネギ先生の可愛い生徒達がこーんなエッチな事してるネギ先生見てるのよー」
「…はううっ!」
「もー、真面目なんだからネギ君は、んふっ、大丈夫、ちゃんと手は打ってあるから心配しないの」
言いながら、ネギの目の前で、乳房を丸出しにした美晴がするすると床に降りる。
「え?美晴さん?はうっ!あっ、駄目っ美晴さん汚いっ…」
「んふふっ、あんなに一杯元気に運動したもんね。
でも、んんっ、ネギ君のも、ネギ君の可愛いの、私のお口の中でまた元気になってエッチな形になって」
「だ、だって、美晴さんの、美晴さんのお口、温かくて、くすぐったくて…」
「じゃあ、こう言うのは?ネギ君、ネギ君おっぱい大好きだもんね」
ネギの前に跪き、ハーフパンツとトランクスを下ろして口で刺激していた美晴が、
テニスシャツからぷるんと剥き出しにした豊かな胸の谷間にローションを垂らし、
すっかり硬くなった所を挟み込んだ。
「はうっ!あっ、僕の、僕のオチ○チン、美晴さんの、美晴さんのおっぱい、
ぬるぬるして、ぷるぷるしてああっ、あっ、駄目あーっ…」
ネギは必死にそれを堪えようとするが、それは無理な相談だった。
「ご、ごめんなさい、美晴さんの、顔…」
にこっと笑みを浮かべ、ぺろりと唇を嘗めてネギの情熱を味わった美晴は、
しゅんとしたネギの顔にそれだけでもむしゃぶりつきたいと、じわりと熱く溢れるのを感じていた。
そして、その顔は、自らも欲望のまま振る舞おうと美晴をかき立てた。
「美晴さん…ああっ!」
「いいっ、ネギ君っ、我慢出来ないのはネギ君だけじゃないのっ、んんっ。
すぐに、ネギ君のすぐに元気にしてあげるからねっネギ君私もすっごくエッチな気分なのっ!」
一応自分の後始末をしたスポーツタオルをかなぐり捨て、文字通りむしゃぶりついた美晴は、
まだ幼さを残すものが唾液にまみれてぴょこんと反り返ると、
ものも言わず、スカートをまくり上げ目の前に座るネギに向かい合い
ネギの腰を両脚で挟む様に長椅子に腰を下ろし、そのまま繋がり激しく貪った。
その獣じみた情熱を前に、振り回されたネギもほとんど為す術なく、
ただ、目の前で揺れる白い膨らみ、そして、美晴の美しい顔が情熱的に喘ぎ眉根を寄せるのを目にしながら、
されるがまま下半身の熱い感触に任せてるしかなかった。


互いに熱く上り詰め欲望を解き放った二人は、少しの間長椅子の上で抱き合い、
それから無理やり理性を働かせて後始末を始めていた。
「あっ、ネギ君っ」
「美晴さんっ」
汗を流しに浴場のシャワーコーナーに入り直した美晴に、丸裸になったネギが後ろから抱き付く。
「もうっ、いけない子ね」
「すぐ、終わりますから」
「んー、それ、男の子だとあんまり自慢になんないんだけどなぁ、ああんっ」
その間にも、美晴は後ろからぎゅっと胸を掴まれ、ぐいぐいとネギの熱いものが押し付けられるのに、
その声の昂ぶりを隠さなかった。
「はあっ、ああっ、あっ、どう?こう言うのっ?」
「いいっ、僕、僕美晴さんを、ああっ」
「そう、私、私ネギ君にっ、いいっ」
壁に手を着いた美晴が喘ぎ、後ろから覆い被さるネギが濡れた黒髪の香りを吸い込む。
美晴の大きなお尻を抱えて後ろから力一杯貫き、丸裸の美晴の大きく柔らかい乳房を揉みながら、あの美晴に、
あの美しく強いお姉さんにこんな風に柔らかいおっぱいを掴みながら後ろから突っ込んで泣かせていると、
その事を体が実感する度にネギの中で何かが吹っ飛びそうになり、
実際とっくに残り少ない筈のネギの欲望の塊はあっと言う間に美晴の中に飛び込み止まらなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ふぅーっ」
ネギが腰を抜かし、美晴も邪魔な髪の毛を払って腰を下ろす。
互いに、丸裸の、恥ずかしい所が丸見えになっている身も蓋もない姿で向き合って、声を上げて笑った。
「じゃ、今度こそお風呂入らないとね、ネギ君。
こーんな汗と女の匂いぷんぷんさせて可愛い生徒の前に出られないでしょう先生。
今度はちゃーんとぴっかぴかにしてあげるからねー♪」
「あううぅー…」

「あの、どうでした?」
浴場棟の一角で、二重扉の一つ目を開けて、閉めて、深呼吸を何回かして、
回れ右して目の前の扉を開けて戻って来た黒服に明日菜が尋ねる。
「ああ、ちょっとバッグを引っ繰り返してしまったとかで、今やっと片付いて着替えて出て来ますとの事です」
「もーっ、ドジなんだからーっ」
「お待たせ、しましたー…ごめんなさい…」
目の前で腕組みをしてぐわっと睨み付ける明日菜を前にしては、
ネギも見る見る小さくなっていった。
そんなネギに明日菜がズンズン近づき、くんくんと鼻をうごめかせる。
「ふーん、ちゃんと洗って来たんだー、やっぱりー、美人のお姉様が側にいると違うものねー。
こーんなに時間掛けてぴっかぴかにして来ちゃってー」
ギクリとしたネギの表情を、当たらずとも遠からじに解釈した明日菜がつんとネギに背中を向けた。


「いただきます」
ミクロに縮まってひたすら平身低頭のネギの前でひたすら雷を落としまくった明日菜が、
今度はとりなしに入ったあやかとボコボコのドツキ合いを始めたりなんだり、退屈しない待ち時間の末、
一同は洒落た山荘の食堂で夕食のテーブルを囲んでいた。
「美味しいっ!」
「アスナさんっ」
あやかか咳払いしそうになるが、実際、明日菜は素っ頓狂なぐらいの声を出していた。
「こんな機会そうありません、元気で賑やかで素直なぐらいがいいですよ」
美晴がにこっと笑って言い、明日菜はちょっとばつ悪そうにするが、もう、余り悪い気分ではなくなっていた。
これが彼女の魅力なのかと明日菜も自覚し始める。
「でも、本当に美味しいですね。これ、フランス料理ですか?」
明日菜が言う。
「鹿のステーキをメインに雉や鶉の冷製やロースト、鱒のムニエル、
ソースも木の実メイン、ジビエですね。凄くおいしーです」
ネギが言う。
「ジビエ?」
「あちらの猟師さんの料理や」
聞き返す明日菜に木乃香が言う。
「鶉じゃなくてこじゅけいですね。
これは、美晴さんが撃ったものですか?」
刹那が言う。
「季節とか免許とか、さすがに今の日本でそれは無理です。
その内、機会があればあちらの別荘でご用意したいものですが。
だから、肉は買い取った冷凍になります」
「それでも素材は最高のもの。山菜木の実茸は手ずから採取され、
それを今この別荘で美晴様自ら調理されたと先ほど伺いました。
これ程の味、そう口に出来るものではありません」
あやかが生真面目なくらいの口調で言う。
「なーに見てるのよいいんちょ」
「な、何ですの?」
「確かに、見とれるわよね」
美晴がにこにこ笑って言う。
「だってネギ先生、本当に可愛い紳士さんなんだもの」
「い、いえ、そんな僕なんてまだまだです」
また、明日菜はちょっと面白くなかった。

「それでは、乗り物を手配します。
ネギ先生も一応連絡を入れた方がいいでしょう」
「はい」
食後の一時、ネギが、美晴に促されてトランプの輪を抜け出した。

黒服に促され、明日菜が山荘の一室に入ると、
目の前で、ベッドに掛けた美晴が指を立てて唇に当てていた。
その美晴の膝に頭を乗せ、安らかに寝息を立てるネギの姿を見て、明日菜はかあっと頭に血が上るのを
自覚せずにはおれなかった。
「疲れたのね、あれだけ勇猛果敢だったんだもの無理もない」
ネギに向けられた優しく、美しい笑みを見て、明日菜は逃げ出したい衝動すら覚えていた。
「ネギ君と凄く親しそうだったけど、あなたは、ネギ君のお姉さん?」
「いえ、違います」
「じゃあ、恋人?」
「違います。寮で一緒の部屋で、保護者と言いますか、その…」
至って真面目に問われ、明日菜は口ごもっていた。
「ネギ君のテーブルマナー、寸分の隙もない見事な紳士だった。
不思議な子、見事な紳士であれだけ勇猛果敢で、文武両道に秀でている。
でも、こうして見ると本当に只の子供。何か、随分と無理もしているみたい」
「分かりますか?」
明日菜は、つり込まれる様に口を開いていた。
「無理をするなって言っても無理をして、責任感が強くて他の人、特に大切な人に迷惑を掛ける事を潔しとせず、
自分一人で解決しようとして自らを高め一杯一杯頑張り続ける。
側にいる身としては気が気じゃない」
言いながら美晴はベッドの自分の隣を撫で、明日菜がそこに座る。
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「信用して、見守ってあげて、そうしているってメッセージを出し続けるしかない、
口で言う程簡単なら苦労はしないけど、それでもちゃんと、あなたが側にいる事、
それだけは心のどこかで分かっている様に…ネギ君、アスナさんが迎えに来たわよ」
「ん、んー」
ネギが寝ぼけ眼で立ち上がる。
そして、明日菜の隣に再び座る。
「ちょっと、ネギ、そろそろ…」
「ん、んー…お姉ちゃん…(すりすり)…」
「ちょっ…くぉのヴァカネギイイィィィィィーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
「ん、んー…お姉ちゃん…アスナさん?」
「アスナさんじゃなぁーいっ!」
頭にじんじんと痛みを覚えながら指で瞼をこするネギと真っ赤な顔で叫ぶ明日菜の側で、
美晴がくすくす笑っていた。
「やっぱり仲がいいのね」
「あっ、美晴さんっ、これは、あのっ…」
明日菜があたふたと手を振る。
「ネギ君、アスナさん好き?」
「え?あ、はい、アスナさん好きです」
「ちちちちちちちょっと…」

「お似合いよ、まるで姉弟みたいに仲が良くって」
「はい、アスナさん、お姉ちゃんみたいに、僕の事色々心配してくれて、
どうしても僕、自分だけで何でもしようとして、その度にアスナさん、
こんな風に本気で心配して、怒ってくれて、だから、大好きです」
美晴がぱちんとウインクし、明日菜は毒気を抜かれた様に嘆息する。
「さあ、そろそろ帰りましょうか」
「えーっと、今日じゅうに帰れるのかな…」
窓の外を見た明日菜が言う。
「米軍機を用意しますか?一瞬で到着出来ますが」
「いいいえ、結構…」
「冗談です。でも、ちゃんと時間までには到着出来ますよ」
にこっと笑う美晴だが、美晴が言うと全然冗談には聞こえなかった。

「ごめんなさいね、遅くなって」
「とんでもない」
「ありがとうございました」
「おおきにー」
明日菜も含め、車で近くまで送られた一同丁重にお礼を言い、皆取りあえずは気分良く帰路に就いていた。
「なんか、すっごい人だったねー。楽しんだから当然だけど、何か引っ張り回されたけど憎めないみたいな」
女子寮の廊下で、明日菜がちょっと呆れた様に言う。
「ですねー。しかし、見事な人です。様々な意味で」
刹那が苦笑いしてから真面目な表情で言った。
「そやなー、頭いいし格好よくて優しくて、あんな人お姉さんやったらええなー」
「うーん、いいかも知れないけど、実際あんなスーパーな人がお姉ちゃんで身近にいたらちょっと怖いかも。
イザって時には最高だけど」
明日菜が言い、皆もちょっと苦笑いした。
「でも、美晴さんってなんとなくお姉ちゃんっぽい感じですよ、なんか、慣れてるって言うか…」
苦笑を浮かべながらネギが言った。
「当然ですわ、美晴様は」
「へーっ、だーかーらーネギったらあーんなに美晴さんに懐いてたんだー。
私の事もお姉ちゃんみたいって言って布団の中まで潜り込んで来てたもんねー」
「ぬぅわぁんですっとぅえぇえぇえぇーーーーーーーーーっっっ!!!」
「あううぅーーーーーーっ」
それぞれの部屋に向かう、賑やか過ぎる帰路であった。

「じゃあ、そんなに剣道も強いんだ美晴さんって」
「ええ、あれだけの手練れは本山師範にもそうはいません、アスナさんも一度、私からお願いしてみましょうか」
「うーん…ホント完璧超人だねあの人…」
「どう言う事だ?」
翌日、女子寮周辺で、苦笑いしていた明日菜と刹那がハッとして振り返ると、千雨がそこに立っていた。
「千雨、ちゃん?」
「どう言う事だ?どうして?」
ぶつぶつと言う千雨の顔は、異常に青かった。

「あら」
「どうして、ここに…」
「久しぶりね、千雨」
庵に向かった所、待機の黒服を通じて案内されたホテルプロトンマホラのスイートルームで、
促されるままリビングに入った千雨と美晴が言葉を交わす。
「どうぞ」
美晴が促し、千雨と、その後ろで頭を下げていた明日菜、刹那もテーブルの椅子に着く。
「美味しい、ネギのも美味しいけど」
「ありがとう」
美晴のいれた紅茶に、明日菜が素直な賞賛を言葉にする。
「えーと、千雨ちゃんと美晴さんって…」
「そろそろ、最初からお話ししましょうか」
三人と向かい合って椅子に掛けた美晴が言い、紙ナプキンを折り始めた。
それは、三つの鶴に化ける。
“…刀印?…”
刹那の目が鋭いものになる。
美晴が右手の人差し指と中指を立てると、折り鶴は羽ばたき宙を舞い始めた。
美晴が気合いと共にその指で印を切ると、折り鶴は空中で炎を上げる。
美晴が唇を指に寄せると、灰は小さな輝く蝶々となって、舞い上がりながら消えていく。
「美晴さんも、魔法使い?」
明日菜が言い、美晴の笑顔を前にハッと自分の口を手で塞ぐ。
「確かに、あなた程の技量才能があれば、あのぐらいの事は容易い」
刹那が鋭い眼差しを崩さずに言う。
「いにしえより京の山深くに伝わり王城の地を守護せし退魔の技神鳴る剣」
美晴の言葉に、刹那の眼差しの鋭さが増した。
「まだまだこれからだけど、筋はいい。何より真っ直ぐに取り組んでいるのが分かる。
でも、随分な事を言いますね。これでも結構苦労したんですよ、地獄の特訓。
しかし、私は魔法使い、いわんやマギステル・マギなどになりたい訳ではありません」
その言葉に明日菜が目を見張り、千雨の肩がビクッと震えた。
「私の目的は、魔法使いとの友好的な関係です。
私は、私の直感を信じて、細心の注意を払って一見何という事もない膨大な情報を深く掘り下げていきました。
その結果、この世界において知り得る最高レベルの情報を得ているものと確信しています。
無論、その全てを手に入れようと考える程私は愚かでも欲深でありません。
公共の福祉に叶う建設的な関係、共によりよい世界の未来を築く事が出来るものと確信しています。
そして、私を無碍に排除すると言うのならば、魔法世界は旧世界そのものを敵に回す事になる」
美晴の自信は、明日菜を圧倒した。
千雨は、青い顔でうつむきながら聞いている。
刹那だけが辛うじて冷静に事態を見守っていた。

「そのために、どこから接触しようかとリサーチする中で、極めてユニークな存在を発見しました。
魔法関係者の中でも様々な利害、勢力の渦中にありそして尊敬される存在。
それが日本で先生をしている若干十歳の少年ネギ・スプリングフィールド。
そのために、取りあえず麻帆良に前線基地を確保しました。
ユニーク過ぎて正直どう接触すればいいか攻めあぐねていましたが、あなた方の方から近づいてきてくれました。
あの様なバカ共に感謝するつもりはありませんが。
ネギ・スプリングフィールドとの接触に成功し、私は考えを改めました。
ネギ・スプリングフィールドと接触し、魔法世界に接触する糸口として友好的な関係を築くのではなく、
ネギ・スプリングフィールドを手に入れようと」
「なっ…」
明日菜が絶句し、うつむいた千雨の震えが激しくなる。
「彼は何れ、いや、今でも実に偉大で魅力的な男性。その年齢を妨げとしない程に。
私は、そんな彼のパートナーとなる。
ネギ・スプリングフィールドのパートナーとなり、共に、魔法世界との友好的で建設的な関係を築いていく。
彼にとっても私にとっても必要で、建設的で温かな、そんな関係になりたい、なる自信はあります」
ガタリと立ち上がった千雨は、真っ青な顔でうつむき、ガタガタと震えていた。
「千雨ちゃんっ!」
部屋を飛び出した千雨を明日菜が追い、刹那もぺこりと頭を下げてその後を追う。
美晴は一人、静かに紅茶を傾けていた。

イヤダヨ、トラナイデ、イヤダヨ、トラナイデ、イヤダヨ、トラナイデ、
イヤダヨ、モッテイカナイデ、モウイヤダ、イヤダ…
「!!」
跳ね起きた千雨は、荒く息を吐き、濡れた頬を袖で拭う。
そう言えばここはどこだ?
どうやら和室の様だが。
「気が付いたか?」
「大河内?」
「さっきも言ったが、私は大河内さんとやらではない」

「はい、お久しぶりでございます」
千雨を探して走り回っていた明日菜は、側で一緒にいた刹那が携帯電話相手に最敬礼しているのに気付いた。
「はいっ、え?はい、確かに麻帆良学園3‐Aですが…」

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最終更新:2012年01月28日 16:24
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