29スレ318

朝起きたら、ちづ姉が私の顔を覗き込んでいた。
「おはよう、夏美。起こしちゃったわね」
ちづ姉の手には筆。枕もとには小瓶。顔のまわりがなんだかべたべたする。
「……おはよう。何してたの?」
べたべたするほっぺたを指で掻くと、白く濁った液体がこびり付いていた。
嫌な予感がしてちづ姉に聞いたけど、笑ってばかりで答えてくれなかった。
それどころか私の顎を押さえて、べたべたするモノがついている筆で私の
唇をなぞる。
「ひゃぷ……止めてよぉ、何これ…」
「練乳よ」
 真顔でちづ姉が教えてくれた。
 直感でわかる。嘘だ。確かに白くてベタベタしているけど、苦いしちょっと色が薄い。
「練乳なのよ」
 べたべた。ぺたぺた。筆がくすぐったい。そばかすの上や、抵抗する指先に遠慮なく
自称練乳が塗りたくられる。
「止めてよぉ、朝から、何で練乳何か…ひゃんっ!」
 臭くて苦くてべたべたする練乳をたっぷり塗りたくられて、私が泣きそうになると、ちづ姉は
ようやく解放してくれた。
「うぅ……何だったんだろう…」
 ねっとりこびりついた練乳っぽい何かを指で掬って舐めてみる。やっぱり苦い。
 指ではうまく落ちなかったから、洗面所で顔を洗う事にする。通りがかった人が
皆ぎょっとして振り返る。うぅ、恥ずかしいよぉ……。
 とにかく、顔を洗ってちづ姉に文句を言ったら、シュウチプレイセイコウと訳の分らない
事を言ってガッツポーズを決めていた。
 結局あの練乳は何だったんだろう

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最終更新:2012年01月28日 16:32
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