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68 : 果樹園経営(アラバマ州):2007/03/24(土) 12:00:13.86 ID:T+0gJ7z30
兄「…なんだ寝てるだけか、心配させやがって」
妹「?」
兄「いや、なんでもない。気にするな」
70 : あおらー(山梨県):2007/03/24(土) 12:00:53.68 ID:nKzVeGFL0
 目が覚めると、かすかに良い匂いがした。
「あ、おはよう。目が覚めた?」
 カーテンを開けながら、顔なじみの看護婦さんが私に微笑む。
 体は倒したまま、視線を移す。匂いは、ベッド脇に置いてある花瓶から漂っていた。
 小さくて黄色い花がたくさん咲いている、ふんわりした花。
「あ、それ? お兄さんが昨日の夜、あなたにって持ってきたのよ。面会時間が終わっちゃった後に、ね」
 開いた窓から、そよ風が入り込んでくる。今日も良い天気だ。
「朝ご飯持ってくるから、ちょっと待っててね。それまでには起きてるのよ?」
 看護婦さんが部屋から出て行くのを眺めつつ、私はゆっくりと体を起こした。
 そのまま、机の引き出しを開ける。

 ――入院してからずっと付けてきた日記帳も、そろそろ残りのページ数が数えられるほどになっていた。
 窓の外に視線を移せば、青々とした芝生と、小さな噴水。もはや見慣れてしまった景色だ。
 加えて真っ白なこの部屋だ。病院だから当たり前とも言えるが、季節感を全く感じない。
 ベッドの横に貼られたカレンダーが無ければ、今何月かもそのうち分からなくなるのではないか。
 深くため息をつく。それと同時に、また良い匂いがした。
「……これ、何ていう花なのかな」
「うん、ミモザアカシアっていうらしいぞ」
 突然聞こえた声に、思わず体がびくりと震えた。
「に、兄さん! いつからそこに……そもそもまだ面会時間じゃないですよ!」
「気にするな。顔パスだ」
 ヘラヘラと笑みを浮かべながら、兄さんがお盆を持っていた。
 その後ろに隠れるように、看護婦さんがこちらにガッツポーズを作っている。
「……はぁ」
「んー? どうした妹、朝から元気がないなぁ。そんなんじゃいけないぞ」
 お盆を置きながら、兄さんが私の頭を撫でる。
「……やめて下さい」
「いつもの事じゃないか、照れるな照れるな」
 毎日の様に行われるやりとり。私の頭をくしゃくしゃにするその手が、少しだけ心地よい。
71 : あおらー(山梨県):2007/03/24(土) 12:01:39.39 ID:nKzVeGFL0
「さ、朝ごはんだ。ちゃんと食べて体力付けろ。点滴はあくまで補助なんだから、な」
 ひとしきり私の頭を撫でた後、兄さんがテーブルを近づける。
「……美味しくないから、食べたくないです」
 これもいつものやりとり。私の、ちょっとしたワガママだ。
「今日もかぁ? 全く、最近ますます甘えんぼさんになってきたな妹は」
 ちょっと頬を赤くして、しかし何だか嬉しそうに、兄さんが笑う。
 扉を少し開けて、誰か来ないかを確認する。それから、私の隣に腰を下ろした。
 ご飯を口に含んで、そっと私の肩を抱く。
「……ん」
 兄さんの口から、少しずつお粥状になったご飯が流れ込んでくる。
 その度に、心臓が高鳴る。変化の無い私の毎日での、数少ない楽しみ。異常だと言われても、私は構わない。
 ご飯が無くなっても、しばらくは唇を、兄さんの味を求め続ける。
 それを繰り返し、長い朝食がようやく終わりを告げる頃、“メリーさんの羊”が聞こえてくる。
「お、回収の時間だな。ちょっと待ってろ」
 ほとんど空になったお盆を持って、兄さんが外に出て行く。
 再び視線を窓の外に移す。
 私の朝食はいつも時間がかかる。回収のワゴンが来る頃には、早い人はリハビリがてら、外に出て行く。
「たまには……外、出てみたいな」
 前回の手術から、およそ2ヶ月が経っている。お医者様の話では、次の手術が成功すれば車椅子でのリハビリを始められるらしい。
「ん、どうした妹。何か珍しいもんでも見えるのか」
「……いえ。そう言えば兄さん、私の手術の日程はお医者様から聞いていませんか?」
 私の問いに、兄さんの笑みが少し曇った様に見えた。
「ん、ああ……お医者さんも体力がついてきたって褒めてたぞ。早ければ、あと二週間程だそうだ」
「そうですか。それは良かったです」
 その言葉に、さらに兄さんの顔が曇った。
「何ですか兄さん、何か問題でも?」
「あ、いや……だ、大丈夫だよな! 成功率が低い程生存フラグが立つのは社会の常識だもんな!」
 言ってから、兄さんは明らかに“しまった”という顔をした。
「……低いんですか。成功率」
72 : あおらー(山梨県):2007/03/24(土) 12:02:03.98 ID:nKzVeGFL0
「あ……いや……」
「どれくらいですか」
 しばしの沈黙。その後、兄さんは静かに両手を前に差し出した。
「一割、ですか」
 小さく、ため息をつく。
「……兄さん、一つお願いを聞いてくれますか」
「何だ? 何でも言っていいぞ」
「もうすぐ日記帳が終わってしまうんです。手術が成功したら、新しいのを買って下さい」
 兄さんに、途端に笑顔が戻る。
「それくらい、いくらでも」
「それと」
 兄さんの言葉を遮って、私は続ける。
「手術が成功したら……私を、兄さんの恋人にして下さい」
 突然の告白に、兄さんの動きが固まる。
「頑張る目標が欲しいんです。成功率は一割なんでしょう? 兄さんが嫌だと言っても、失敗の可能性の方が」
「馬鹿だなぁ」
 突然、兄さんに抱きしめられた。言葉が止まる。
「ご飯を口移しで食べさせて、体を拭いてあげて、裸も見てる。こんな親密な恋人関係、今時のバカップルでもそうそう無いぞ」
 顔が熱くなっていくのが分かる。
「……私でいいんですか? こんな貧相な体でも」
「何を言うか。正直、体を拭いてる時なんて女の子の匂いがし過ぎて性欲を持て余す」
 ひときわ強く私を抱きしめた後、兄さんはそっと私から離れた。
「まっ、そんな事が条件なら手術の成功はもはや約束されたも同然だな」
 嬉しそうに兄さんが笑う。それと同時に、扉がノックされた。
「どうもー。妹ちゃん、検査の時間ですよー」
 看護婦さんが車椅子を持って入ってくる。
「もうそんな時間か。それじゃあ妹、また夕方にな」
 看護婦さんに会釈をして、兄さんが扉から出て行く。
「あら、何だか今日は特別嬉しそうね。血色も良いし。何かいいことあった?」
73 : あおらー(山梨県):2007/03/24(土) 12:02:42.45 ID:nKzVeGFL0
 検査表をテーブルに置きながら、看護婦さんが笑う。
「……日記帳を、買ってもらう約束をしたんです」
「あら、それだけ? ふぅん……あ、そうそう」
 花瓶の花を指さしながら、思い出したように看護婦さんが告げる。
「この花ね、ミモザアカシアって言うんだって。さっき図鑑で調べてたの」
「ええ、兄から聞きました」
「なんだ、そうだったの。あ、でも花言葉までは聞いてないでしょ? 花言葉はね、“秘密の愛”だって。ロマンチックだねぇ」

 ――秘密の愛。
 私と兄さんには、ぴったりの言葉かも知れない。
 小さく揺れる花を見ながら、私は少しだけ笑った。
 久しぶりの、笑顔だった。
                     (了)
74 : うどん屋(岐阜県):2007/03/24(土) 12:03:40.72 ID:3U1ZLwv40
GJ!!!!!11

75 : 山伏(東日本):2007/03/24(土) 12:05:07.45 ID:9JRgofo00
>>73
GJ!!!!!!

76 : 車内清掃員(コネチカット州):2007/03/24(土) 12:05:10.99 ID:+TB2tJ8kO
GJ!


77 : 通訳(アラバマ州):2007/03/24(土) 12:06:28.24 ID:DmBvg0Ug0
>>73
空気読めてないなんてとんでもない!
GJ!!!!

78 : 探検家(中国地方):2007/03/24(土) 12:06:37.05 ID:Z2TjJ92n0
GJ!!!!

79 : 果樹園経営(アラバマ州):2007/03/24(土) 12:06:39.32 ID:T+0gJ7z30
>>70-73
泣いた
81 : コレクター(コネチカット州):2007/03/24(土) 12:08:45.11 ID:YnCY3uiqO
>>73
すごく…いいじゃないか……
84 : 造園業(新潟・東北):2007/03/24(土) 12:13:43.73 ID:6WJmSnlWO
>73
GJ

85 : 野球選手(北海道):2007/03/24(土) 12:17:26.78 ID:t00k+idQO
(*´ω`*)
111 : (京都府):2007/03/24(土) 13:58:00.13 ID:FQZ5cBX00
後「こんにちわ。妹ちゃん、元気?」
妹「…ゴホッ…先ほどまでまずまずだったのですが、騒音源が来たせいで気分が悪いですね」
後「ご、ごめん…帰ったほうがいいかな?」
妹「あら? どうして後さんが帰る必要が? どうぞゆっくり話していってくださいな」
後「ううん…帰るね。これ以上悪化させると悪いし…」
妹「え…?」
バタン …シーン…
妹「…今のは冗談です」
妹「……」
妹「…私の馬鹿…ハァ…」
ガチャリ
妹「!!?」
後「今、何か言ったかな? ニヤニヤ」
妹「べ、別に…っ!」

妹(や、やられた…!)
115 : (京都府):2007/03/24(土) 14:11:34.62 ID:FQZ5cBX00
妹「後さん、後さんはお化粧ってしたことあります?」
後「ん? ちょっとだけだけど、たまにするよ」
妹「…私は、したことないんですよ…お化粧」
後「じゃあしてみよっか」
妹「いいんですか…?」
後「うん。私も軽くしかできないけど。妹ちゃん可愛いから、やりがいあるよー」

後「よし…!」
妹「…できましたか?」
後「うん…我ながらなかなかの…」
妹「…?」
後「っ……! ゴクリ」
妹「どうしました? そんなに見つめて」
後(すごく…綺麗…怖いくらい)
妹「…?」
後(真っ白で…唇は赤くて…)
妹「あの、後さん…?」
後(この世ならざるものは、理解を超えた美しさがあるって言うけれど…)
妹「そ、そんなに見つめられると恥ずかしいですね」
後「あ、うん、ごめん」

後(考えるのはよそう。そう、妹ちゃんは元々素材がいいんだもの…だからよ…)
117 : (京都府):2007/03/24(土) 14:35:56.64 ID:FQZ5cBX00
妹「これがお化粧…結構変わるものですね」
後「うん…」
妹「ありがとうございます。また一つ、やりたいことをできました」
後「そっか…ほかに、やりたいことがあったら言ってね、兄クンじゃないけど、出来る限りのことはするから」
妹「いえ、実は…この数ヶ月で、兄さんと後さんには、ほとんど願いをきいてもらっているんです」
後「え…」
妹「おかげで、もうやりたいことは残っていないんですよ」
後(…まるで…死ぬ準備みたいだよ…)
妹「口に出せない願いはいくらでもありますが」
後「え…?」
妹「何しろ破廉恥なもので…フフ」
後「は…はれ…?」
122 : (京都府):2007/03/24(土) 14:49:39.52 ID:FQZ5cBX00
妹「雨ですね…」
兄「ああ」
妹「兄さん、少し庭を歩きませんか?」
兄「え…いいけど…大丈夫なのか? 出歩いて」
妹「庭なら大丈夫でしょう。傘は兄さんが持ってくださいね」

妹「さすがに雨の日となると、誰も庭に出ていませんね」
兄「ああ」
妹「二人きりですね」
兄「そうだな」
妹「…兄さん、肩が濡れていますよ」
兄「かまわないよ」
妹「かまいます」
兄「妹を濡らすわけにもいかんだろ」
妹「寄り添えばいいじゃないですか」
兄「…妹、そんなにくっつかれると、歩けない」
妹「景色を見ていればいいじゃないですか」
兄「妹の体が冷えちゃうだろ」
妹「抱きしめてくれればいいじゃないですか」
兄「傘が持てない」
妹「じゃ、私が抱きつきますね」
兄「え…」
妹「…ギュー」
兄(うーん…これじゃ動けない)
妹(フフ…心ゆくまで堪能します)
124 : (京都府):2007/03/24(土) 15:03:35.97 ID:FQZ5cBX00
看「妹ちゃん、少し前よりずっと具合良さそうね」
妹「そうですか?」
看「ええ。肌に赤みが差してるわよ」
妹「そ、そうですか?」
看「これなら…もう少ししたら手術もできるかもね」
妹「…そ、そのですね…」
看「?」
妹「赤いのはたぶん…さっきまで兄さんと抱き合ってたからで…」
看「あら…じゃあ、これから毎日兄クンに抱きしめてもらえばいいかもね」

妹(いい考えですね)
126 : (京都府):2007/03/24(土) 15:14:38.91 ID:FQZ5cBX00
医「本当に上向いてきたよ」
兄「そうですか…良かった…」
医「どうやって妹さんを元気付けたんだね? 食事も食べるようになったし…」
兄(口移しとは言えない)
医「どことなく元気だし」
兄(それはなんでかよくわからない)
医「まあ…手術はできそうだよ」
兄「……!」
医「ただ、やっぱり失敗の可能性は高い」
兄「ウ…」
医「今のまま騙し騙しやっていけば、まだ数年はもつ。手術に失敗すれば…その数年も無くなるだろう」
兄「はい…」
医「妹さんにも話しておいたから…よく考えなさい」
131 : (京都府):2007/03/24(土) 15:38:26.31 ID:FQZ5cBX00
兄「妹…」
妹「その様子だと、話を聞いてきたみたいですね」
兄「ああ…」
妹「フフ…十年間戦っても、失敗する率の方が高いって言うんですから…笑っちゃいますね」
兄「ウ…ごめんな…兄ちゃんに、もっと力があれば…」
妹「もう…また泣く…兄さんは、十分にやってくれましたよ」
兄「……」
妹「兄さんは、0を1にしてくれたんですから。それだけで、十分ですよ」
133 : (京都府):2007/03/24(土) 15:51:11.99 ID:FQZ5cBX00
兄「どうしたい?」
妹「私はこのままでかまわないんですが…」
兄「治らないんだぞ?」
妹「でも数年間は生きられますよ」
兄「手術に成功したら、ずっと生きられるんだぞ?」
妹「手術に失敗したら、そこでおしまいですよ」
兄「…生きたくないのかよ?」
妹「…生きたくないわけ、ないじゃないですか」
兄「…だよな…ごめん」
134 : (京都府):2007/03/24(土) 15:59:07.00 ID:FQZ5cBX00
妹「兄さんに任せますよ」
兄「え?」
妹「…元々私は、死んでもいいかなと思っていました」
兄「……」
妹「でも、兄さんが楽しい思い出をくれたおかげで、生きたいと思うようになりました」
兄「そっか…」
妹「でも、兄さんが楽しい思い出をくれるおかげで…手術をして、今が壊れるのが怖いと思っています」
兄「そっか…」
妹「全てはそもそも兄さんのせい…もとい、兄さんのおかげなわけですから、兄さんに任せますよ」
兄「いいのか…大事なことなのに」
妹「どうせ、兄さんの言うことには逆らえませんから」
兄「それは嘘だろ。いつも反抗しまくってるくせに」

妹(いえ…惚れた弱みというやつですよ)

135 : (京都府):2007/03/24(土) 16:12:19.31 ID:FQZ5cBX00
後「そっか、手術することにしたんだね」
妹「ええ…来週になるそうです」
後「うん…きっと成功するよ」
妹「成功したら、もう兄さんには近寄らせませんからね」
後「えー…」
妹「でも失敗したら、兄さんのこと、よろしくお願いしますね」
後「…イヤ」
妹「返事が聞こえませんね」
後「…イヤ」
妹「フフ… 後さんも、頑固になりましたね」
137 : (京都府):2007/03/24(土) 16:32:24.65 ID:FQZ5cBX00
妹「兄さん、手術の前に、皆で写真を撮っておきませんか?」
兄「うん、いいな」
妹「集合写真がいいです」
兄「よしわかった。カメラ持ってくる。それにしてもお前…写真好きだな」

妹(私が生きた証明になりますからね)
139 : (京都府):2007/03/24(土) 16:41:21.23 ID:FQZ5cBX00
後「全員での写真も撮ったけど…まだフィルム余ってるね」
妹「あ…じゃあ後さん、私と兄さんを撮ってもらえますか?」
後「うん、いいよ」
妹「兄さんもかまいませんか?」
兄「おう、撮ろう撮ろう」
妹「じゃあその…並んで立ちましょう」
兄「ん」
後「じゃあ撮るよ…はい、チー」
妹「…! グイッ」
兄「ん? ンン!?」
後「ズ…」カシャ
妹「ン…」
兄「……」
妹「…フゥ… あらら…キスシーン、撮られちゃいましたね」

後(や、やられた…)


140 : 野球選手(関東・甲信越):2007/03/24(土) 16:46:37.77 ID:+9Sh4RMsO
(´;ω;`)ブワッ

141 : 建設作業員(東京都):2007/03/24(土) 16:53:26.00 ID:P8K3IxPm0
教えてくれ・・・俺はあと何回泣けばいい・・・

142 : 野球選手(関東・甲信越):2007/03/24(土) 17:05:28.36 ID:+9Sh4RMsO
おれがホームラン打ったら妹ちゃんの病気は治るんだ…

143 : (京都府):2007/03/24(土) 17:09:03.44 ID:FQZ5cBX00
妹「フゥ…」
看「あら? また何か書いてたの?」
妹「はい。明日に備えて」
看「……」
妹「と言っても、遺書じゃないですよ」
看「そ、そうよね」
妹「また兄さん、手術中に泣いちゃうでしょうから…この前みたいに手紙を用意しようと思って」
看「この前みたいに…?」
妹「はい。今回のジョークは最高の出来ですよ」
看「そ、そう…」
妹「でもボブとヘンリーはなぜか受けが悪いみたいですから…今度はジョンとトマスにしようかしら…」

看(そういう問題じゃない…そういう問題じゃないよ、妹ちゃん…)
189 : (京都府):2007/03/24(土) 21:55:12.29 ID:FQZ5cBX00
――手術中

後「…もう始まってるんだ…」
兄「後…来たのか。学校はどうした…?」
後「休んだよ」
兄「お前な…」
後「大丈夫だよ。友達を大事にしなさいって、普段あれだけ偉そうに言ってるんだから」
兄「…まあ…そうだな」
後「それに、妹ちゃんは家族みたいなものだしね…」
兄「ん?」
後「あ、別に変な意味じゃなく!」
兄「変な意味…?」

後(うう…こんな時に何言ってるの、私ってば…)

190 : (京都府):2007/03/24(土) 21:59:24.50 ID:FQZ5cBX00
看「はい、これ…」
兄「…?」
看「兄クンに渡して欲しいって…」
兄「でも俺、まだ泣きそうになっていませんよ?」
看「泣きそうになってなくても読んで欲しいって」
兄「……」
看「後ちゃんにも」
後「え? わ、私にも?」
看「それに、私にもね」
後「妹ちゃんって…マメですね」
看「そうね… もっと、自分のことだけ考えてくれてもいいのにね…」

191 : (京都府):2007/03/24(土) 22:02:35.89 ID:FQZ5cBX00
――後さんへ
妹『この手紙を読んでいるということは、学校を休んで来たということになりますね』
後(うん…来ちゃったよ)
妹『先ほどまで調子よく手術は進んでいましたが、誰かさんが来たおかげで私はすこぶる調子が悪いです』
後(ウウ…こ、来ない方が良かったかな…?)
妹『とはいえ後さんが帰る必要はありません。ゆっくり壁に話しかけていてください』
後(こんな時でも…いつものやり取りだね)
妹『さて、後さんと初めて会ってから、もう数ヶ月がたちます。
  後さんは可愛くて、おっぱいが大きくて、人当たりが良くて、おっぱいが大きくて、
  初めの印象は、正直あまり良くありませんでした』
後(な、なぜおっぱいが二回…)
妹『でも、しばらくしてすぐに印象が変わりました』
後(妹ちゃん…)
妹『さらに悪くなりました』
後(悪くなったの!?)
妹『おっぱいが実はDだったということもありますが、些細な問題です。
  兄さんと付き合っている振りをしていたことも、兄さんのことが好きだということも、大したことではありません』
後(お、おっぱい三回目…)
妹『私が一番ショックだったのは、私以外に兄さんと多くの時間を過ごしている人がいるということ…
  兄さんに、私以外の世界があるとわかってしまったことでした』
後(……)
妹『後さんは、私にとっての全てが、小さくて脆い欠片に過ぎないと、思い知らせてくれた存在なわけです。
  いつか、私の世界の話をしたと思います。
  十年間で六人の世界――でもその六人のうち、私以外は皆、実は外の広い世界の住人で…気まぐれで私の世界に居てくれているにすぎないと…
  結局、病気に縛られた私は、一人なのではないかと…後さんが来るようになってから、そんな不安が拭えないのです』
後(ごめん、妹ちゃん…)
妹『だからといって謝らないで下さい。私の考えの問題で、後さんのせいではありませんから』
後(ウ…反応が読まれてる…)
妹『後さんに対してどうしても負の感情が働いてしまったことには、こういった思いがあるわけで…御了承ください』
後(了承しました…)
193 : (京都府):2007/03/24(土) 22:04:48.37 ID:FQZ5cBX00
妹『恨み言ばかりになっていますが、後さんには実は感謝もしております。
  五人の世界を六人にしてくれたのは後さんです。
  後さんは私の世界を1.2倍にしてくれたわけです。
  それに…後さんは私に恋を教えてくれました』
後(教えたってわけでもないけど…)
妹『後さんのおかげで、私は兄さんへの恋愛感情を、はっきりと認識できました。
  この女には渡すまいと、燃え上がることができました。
  実は世界云々より、負の感情の八割はこっちと言われても、否定はしません』
後(こっちなの!?)
妹『ひょっとしたら知らずに終わった恋という感情を教えてくれたこと…感謝しています。
  こんな至らない私にいつも優しく接してくれて、ありがとうございます。
  あんな恥ずかしい兄をいつも支えてくれて、ありがとうございます。
  これだけ世話になっておいて、この上お願いなんてあつかましいと思いますが…
  もし私がダメだったときは…兄さんのことをお願いします』
後(妹ちゃん…)
妹『兄さんはどうしようもなく素直で、優しくて、馬鹿な人です。
  私が死んだら自分も死ぬかという質問に、何も考えずにYesと答えてしまう大馬鹿者です。
  だから…兄さんをお願いします。
  色々とけちはつけましたが…後さんは十分に及第点の、素晴らしい女性ですから。
  どうか兄さんをお願いします』
後(…わかったよ…)
妹『さて…伝えたいことはこれで全部ですが、最後に…
  もし私の手術の成功を願うなら、下の文をら行を抜いて、大きく声に出して読み上げてください。
  「おらおきろな、おっらぱろい」』
後「えーと… お お き な 、 お っ ぱ い!」
兄&看「な、何言ってるの、こんな時に!?」
後(! ひ、ひっかかっちゃった…)

194 : 金田一(東海):2007/03/24(土) 22:11:03.19 ID:73VJt2mkO
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡

195 : 土木施工”管理”技師(東日本):2007/03/24(土) 22:12:21.53 ID:nLth2WnR0
おっぱいトーク炸裂
200 : (京都府):2007/03/24(土) 22:44:01.33 ID:FQZ5cBX00
――看さんへ
妹『看さんが病院へやってきたのは、私が入院して数年たってからでしたね。
  あの時は、若くて綺麗な看護婦さんが来て、子供心に嬉しかったです』
看(そっか…もうそんなになるんだね…)
妹『一応フォローしておきますと、別に今は若くて綺麗ではない、というわけではありません。
  決してそのような…』
看(一言多いよ!)
妹『我ながら可愛くない子だったと思います。
  看さんは私に嫌われないようにと、いくつもわがままをきいてくれましたね。
  ちょろいと、思ってしまったこともありました』
看(正直へこむわ…)
妹『でも先日は、私のわがままを頑としてきいてくれませんでしたね。
  寂しかったですけど、嬉しかったです。
  看さんも、立派な看護婦さんになったんだなって』
看(……)
妹『看さんには色んなことを教えてもらい、いつも支えてもらいました。
  兄さんには相談できないことも、親身になって聞いていただきました。
  時折本気で怒ってもいただきました。
  看さんは…私にとって、父さんや母さんよりも身近な、頼りになる大人でした』
看(…お父さんやお母さんにちょっと悪いけど…嬉しいな)
妹『もっといい子で居られれば良かったのですが…最後まで負担をかけてごめんなさい。
  でも、最後にまたわがままを言わせてください。
  看さんは今もたくさんの患者さんを診ていて、今後もたくさんの患者さんを診ていくことになるんでしょうが…
  私のことを忘れないでください。
  退院する方、亡くなる方…看さんは、これから数え切れない人たちとすれ違っていくのでしょう。
  私はその中の一人に過ぎませんし、私だけ特別扱いしろというのはあまりに勝手な話だとわかります。
  でも…私は看さんに忘れて欲しくありません。
  看さんが好きだから、忘れて欲しくありません。
  たくさんの患者さんの中に、私という生意気な女の子がいたこと…覚えていてください』


201 : 電話番(山口県):2007/03/24(土) 22:49:40.94 ID:6OgUTnPI0
(´;ω;`)もうたまらんです

202 : 山伏(東日本):2007/03/24(土) 22:52:58.92 ID:9JRgofo00
水分が……

203 : 野球選手(北海道):2007/03/24(土) 23:08:59.56 ID:t00k+idQO
あれだね、アルコール摂取してからこのスレくると(´;ω;`)ブアッ

204 : (京都府):2007/03/24(土) 23:16:03.41 ID:FQZ5cBX00
看(忘れられるわけ…ないでしょう…!)
妹『…いつか看さんに家族の話を聞きましたね。
  家族も人と人、と看さんは仰いました。
  血の繋がりはあってもお見舞いに来ない人がいれば、看さんのように、血の繋がりがなくても尽くしてくれる方もいます。
  法律上の定義はともかく…何をもって人は家族と呼ばれるのでしょうか。
  未熟な私の考えですが…やはり、無償の愛情が、人と人を家族ならしめるのではないでしょうか。
  私の兄は、もう驚くほど自分の犠牲を顧みずに私の面倒をみてしまいます。
  私も兄に何かあれば、自分の出来る範囲で、あらゆる手を尽くそうとするでしょう。
  そして…看さんに何かあれば、やはり私は…何があろうと放っておけません』
看(……)
妹『看さんが尽くしてくださったのは、看護婦の仕事という面は確かにあるでしょう。
  でも、私にとって看さんは、優しく、愛情をもって接してくれる…かけがえのない存在でした。
  私にとって看さんは…紛れもない家族でした。
  これもまた勝手な望みですが、できれば…看さんにも私のことを家族と思ってもらえると、嬉しいです』
看(…ずっと…私にとっては…可愛い妹ちゃんだったわよ…)
妹『伝えたいことはまだありますが、残りは戻ってからにしたいと思います。
  ちなみに戻った時は、最後のわがままは無効になりますので、これからもわがままを言わせてもらいます。
  覚悟していてください』
看(いくらでもオッケーよ)
妹『あ、あと、失敗したら、医先生に「正直恨めしいけど気にするな」と伝えてください』
看(いや…これは気にするでしょ…)
妹『ちょっとしんみりしてしまったので、最後に会心のジョークを一つ。前向きな気分になること間違いなしです。

  ジョン「よおトマス、最近俺は前向きが好きなんだよ」
  トマス「ほう? そいつはどういうこった?」
  ジョン「ワイフに言ってやったんだ。お前の顔にも慣れたから、ベッドで前向いていいぞってさ」
  トマス「ハッハッハッ! ジョン! そいつは妥協って言うんだぜ!」』
看「前に聞いたわよ!」

205 : 不動産鑑定士(コネチカット州):2007/03/24(土) 23:22:41.47 ID:qGAMuFvwO
ジョンとトマスに爆笑した俺に一言↓

206 : 電話番(山口県):2007/03/24(土) 23:23:55.40 ID:6OgUTnPI0
同士よ!!

207 : 野球選手(北海道):2007/03/24(土) 23:24:50.83 ID:t00k+idQO
リアルに発泡酒噴いたwwwwww
210 : (京都府):2007/03/24(土) 23:43:12.07 ID:FQZ5cBX00
兄(看さんも後も、叫びながら読んでる…)
兄(俺のは手紙じゃなくて…日記?)
兄(すごい厚さだな…)
パラリ…

妹『兄さんも知ってはいたでしょうが、私は入院して以来、ずっと日記を書いていました。
  一行しか書かない日もあれば、何ページにもわたって書く日もありました。
  この本は、一冊の日記帳に過ぎませんが、私の人生の大半でもあります。
  面白いとも思えませんが、私のことを知ってください』
216 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:05:24.27 ID:U6f0FfJ70
2がつ5か
びょういんはつまらない

2がつ8か
びょういんはつまらない

3がつ10か
おとうさんもおかあさんもこない

3がつ11にち
おかあさんとおにいちゃんがきた

3がつ12にち
おにいちゃんがきた

3がつ15にち
だれもこない

3がつ18にち
おにいちゃんがきた

3がつ19にち
おにいちゃんがきた

4がつ20にち
おにいちゃんがこない

4がつ21にち
おにいちゃんがこない
220 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:10:36.60 ID:U6f0FfJ70
12月22日
おにいちゃんがきた

12月23日
おにいちゃんがこない

12月24日
おにいちゃんがきた
よるにきた
サンタさんがいないってわかった

兄(夢を壊してすまん、妹よ…)

1月1日
おにいちゃんがこない

1月10日
おにいちゃんがこない

2月1日
おにいちゃんがきた

兄(何だ…あいつ、一年間ずっと俺が来るか来ないかばかりじゃないか)
兄(病院だから…ほかに書くこともなかったのかな…)

221 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:17:00.93 ID:U6f0FfJ70
兄(最初の頃は本当に一行だな…)

4月10日
お兄ちゃんが来た

4月14日
お兄ちゃんが恥ずかしい格好で来た

4月16日
お兄ちゃんが恥ずかしいことをして帰っていった

兄(ごめん、妹よ…兄ちゃん何をしたんだ?)
兄(さすがにこれくらいの年になると、漢字も増えてくるな)
兄(お、看さんのことが書いてあるぞ)

222 : 請負労働者(アラバマ州):2007/03/25(日) 00:18:23.23 ID:1UIP/fSd0
兄よ、何をしたんだwwww
226 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:24:41.22 ID:U6f0FfJ70
4月5日
今日新しい人が来た
看さんという名前の人
きれいだけど、点滴がすごくいたかった
泣いたら、チョコレートを買ってきてくれた
また泣こう

4月6日
看さん
きれいだけど、検査介助もすごく下手だった
泣いたら、飴を買ってきてくれた
また泣こう

4月7日
看さん
きれいだけど、検温はすきだらけだった
おかげで今日は庭に出ることができた
またやろう

4月8日
看さん
きれいだけど、体をふくのもすごく下手だった
水をかけられた
ひょっとしたら仕返し…?
泣いたら、ジュースを買ってきてくれた
でも二度とやられたくない

兄(看さん…ダメな人だったんですね…)


227 : 経営学科卒(北海道):2007/03/25(日) 00:26:55.88 ID:6KepBVRJO
(´;∀;`)ミニ妹と若看のやりとり想像したら泣けてきた
230 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 00:30:47.45 ID:fInZM4bw0
妹ちゃんと看さんのやりとりがあまりにも微笑ましいよ

231 : 保母(関西・北陸):2007/03/25(日) 00:31:05.75 ID:W4bx5U4wO
m9(;Д;)
233 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:42:57.80 ID:U6f0FfJ70
5月5日
看さんがお兄ちゃんと話していた
私を手なずけたいらしい
さっそく、私の好きなチーズケーキを持ってきた
甘い
もらうだけもらっておこう

5月6日
また検温をごまかした
看さんだとかんたんにごまかせる
お兄ちゃんと庭に出よう

5月7日
倒れた
熱がすごく出てる
お兄ちゃんが来たけど、イライラして怒ってしまった
お兄ちゃんごめん
でも恥ずかしすぎるよ

5月8日
熱がさがらない
看さんが怒られていた
検温ごまかしていたのがわかったみたい
看さん泣いてた
泣いてたのにわたしにあやまってきた
ごめんねって
なんでわたしにあやまるんだろ

兄(俺が何を…? いや、看さん…)

234 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 00:52:46.14 ID:U6f0FfJ70
5月9日
体が熱い

5月10日
看さんにあやまった
いいのよって言われた
またやっていいのかな…?

6月11日
また検温をごまかした
と思ったら看さん、庭にまで追ってきた
看さんよくわかりましたね、もう一人前ですねと言ったら、照れていた。
その間に逃げようとしたら泣かれてしまった
泣き返したら、少し庭で遊んでいいと言ってくれた
ちょろい

兄(か、看さんには見せられん…)
236 : 神(ネブラスカ州):2007/03/25(日) 00:55:06.62 ID:EC8/abtVO
看さんちょろすぎww

237 : DJ(北陸地方):2007/03/25(日) 00:59:57.80 ID:qYsj5/kxO
ギギギ…目やにが止まらないよぅ…(´;ω;`)ボトボト

238 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:03:45.57 ID:U6f0FfJ70
10月4日
またお兄ちゃんが恥ずかしいことをした。
ちょっと距離をおいて、にいさんと呼んだ。
お兄ちゃん固まってた。
この呼び方はいける。

兄(そういや、兄さんって呼び始めたのこの頃だった…!)

10月10日
兄さんが来ない。
看さんでストレス解消をした。

12月23日
兄さんが来てくれた。
サンタさんがいないのは知っていると言ったら、ショックを受けていた。
兄さんのせいだとは言えなかった…。
241 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:12:17.10 ID:U6f0FfJ70
兄(結構読み進んだ…この頃には色々書くようになってるけど…)
兄(やっぱり俺が来る来ないが多いな…)
兄(楽しみにしていてくれたんだな… 兄冥利に尽きる…)

2月13日
世の中にはバレンタインデーというものがあるらしい。
女の子が男の子にチョコレートをあげる日だと兄さんが言っていた。
わざわざ言うからには欲しいのだろうし、購買で買ってきておいた。
兄さんが言うには、アメリカとかの風習らしい。
学校で流行っているアメリカンジョークというのも聞かせてくれた。
アメリカは色んなことの先がけで、じょうだんも一流らしい。
ちょっと勉強してみよう。

兄(!!? 妹のギャグセンスは、俺が原因だったのか…!)

2月14日
兄さんにチョコレートをあげたら、とても喜んでくれた。
来年もあげよう。
再来年もあげよう。
ずっとあげられたらいいな…。

兄(妹…)
244 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:23:48.10 ID:U6f0FfJ70
4月10日
今日改めて自分の病気について説明を受けた。
死ぬ可能性なんて説明されて、どうしろというのだろう、あの医者は。
…正直、ショックだった。
何で私が…こんな目に…。

4月11日
兄さんが来た。
早く元気になれと言ってくる。
どうしろというのよ…

4月12日
兄さんが来た。
いつか治ると言ってくる。
あまりの能天気に腹が立ったので、殴っておいた。

兄(そういやこのくらいから暴力的になったんだった…ごめん、妹…)
247 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:29:10.47 ID:U6f0FfJ70
8月10日
熱が出た。
思うように体が動かない。

8月17日
久々の日記だ。
熱が下がらない。
体中が痛い。

8月23日
熱が下がったけど、物が食べられない。
体が動かないのに、色々なところが痛い。
気が狂いそうに。

8月25日
辛い

兄(しばらく書いてない…
  そっか…確かこの頃ずっと意識が無くて…
  ちょっと経ってから初めての手術を受けたんだ)
253 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:41:08.43 ID:U6f0FfJ70
10月1日
手術をしたらしいけれど、よく覚えていない。
右手は動くけれど体を起こすのも辛い。

10月7日
また意識がなかったらしい。
兄さんが来てくれて、少し元気が出た。

10月11日
体が熱い、痛い、辛い

11月20日
もうやだ 死にたい
254 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:41:33.26 ID:U6f0FfJ70
11月22日
花瓶を割って、首を切ろう。
ガラスの花瓶にかえてもらおう。

11月23日
兄さんに早めのクリスマスプレゼント頼んで、ガラスの花瓶を買ってきてもらった。
綺麗な青いガラス。
大切に使えよって兄さん言ってた。
でも割るために買ってもらったんです。
兄さん、ごめんなさい。

11月24日
花瓶を窓際から落して割った。
鋭い欠片が転がった。
でも、拾おうとしたのに、体が動かなかった。
痛くて動かなかった。
あと少しで指が届くという時に、看さんが来てしまった。
ナースコール鳴らしてないのに、何で来るんですか。
…ガラス一つ拾えない体って、何なんだろ
255 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:43:26.12 ID:U6f0FfJ70
兄(こんな…)

兄(こんな思いで、妹はあの花瓶を頼んだのか…)

兄(兄ちゃん…何も気付かなかったよ…)

兄(看さん…ありがとうございます)
257 : 張出横綱(関西・北陸):2007/03/25(日) 01:51:02.26 ID:SmNooflHO
ガチで泣いてんだけど、同じやついる?

258 : 留学生(東日本):2007/03/25(日) 01:53:41.27 ID:IV2a3W7m0
せつない

259 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 01:56:41.24 ID:U6f0FfJ70
1月3日
死にたい

2月3日
死にたい

3月3日
死にたい

兄(この年の3月3日って…父さんと母さんも来てひな祭りのお祝いやったのに…)
兄(一言も書いてない…)

3月15日
死にたいけど、死ぬのが怖い自分がいる。
生きていたってどうしようもないのに。

4月1日
もっと人と距離を置こう。
そうすれば、死ぬのが怖くなくなるだろうし、前みたいに邪魔されることもなくなるはず。
言葉遣いも変えよう。

4月3日
兄さんが来た。
ヘラヘラ笑って腹が立ったので殴っておいた。
言葉遣いを変えたこと、気にしてたけど、女としてのたしなみと言ったら納得していた。
ちょろいですね。

兄(そっか…いつからか、やたら丁寧に話すようになったと思ったら…
  そんな理由かよ…クソ…!)
261 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 02:03:52.09 ID:U6f0FfJ70
10月11日
今日も無駄な一日が過ぎた。

10月12日
検査というけれど、何の意味があるんだろう。
死にたい。

10月13日
兄さんが来た。
下劣な冗談を言ったので殴っておいた。
ブラックホールって…何ですか?

10月14日
体が辛い…死にたい。

10月15日
兄さんが来た。
代わってやりたいと言ってきたので噛み付いてやったら、涙ぐんでいた。
…あんな痛みで泣くんなら、代わるなんて言うなってのに

10月16日
兄さんが来たので殴っておいた。

兄(俺…来るたびに何かして殴られてる気が…)
兄(しまいには来ただけで殴られてるし)
283 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 03:50:35.85 ID:U6f0FfJ70
1月10日
もう体もだいぶ動くようになったし、死のうと思えば死ねるかもしれない。
これからは、三日続けて嫌なことがことがあったら、命を絶つことにしよう。
そもそも病気も良くないみたいだし、遺書を残しておこう。

1月12日
看さんに遺書を書いているのを見られた。
泣かれてしまったけれど、こればかりは私の自由だと思う。
しかし意外と遺書は難しい…また書き直しをしなければ…。

1月13日
今日は嫌なこともあったけれど、楽しいこともあったから、リセットになる。
兄さんが、私のジョークで笑ってくれた。
笑いすぎて茫然自失となっていた。

兄(三日続けて…そんな…何も知らずに接してきたけど…兄ちゃん実は綱渡りしてたのか…)
兄(というか、笑った覚えないんだが)
286 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 03:59:56.84 ID:U6f0FfJ70
1月10日
さすがに一年書いていると、遺書も書き慣れてくる。
思えば、あの三日ルールはずっと続けているけれど、いまだ私は命を絶っていない。
365日を単純に3で割って…121回以上は楽しいことがあったということになるんでしょうか…。

1月16日 遺書
この度この文章を読まれているということは、私は病魔に負けたか、自ら命を絶ったということになります。
この遺書を読んだということは、この分厚い日記をわざわざ読み進めたということになりますから、今これを読んでいる方は、それなりに私に興味を持ってくださっていたのでしょう。
そういった方なら、あるいは、私の死に悲しみを感じてくれているかもしれません。
しかしどうかお願いです。
悲しまないで下さい。
確かにあなた方の見方からすると、死は悲しく、辛いものなのかもしれません。
しかし私にとって、毎日の体の苦痛、襲い来る病魔と死への恐怖からくる精神的苦痛は、気が狂いそうなほどに辛く、耐え難いものなのです。
ですからこの度私が死んだことは、死そのもの以上に辛い生から救われたと言って良いでしょう。
きっと私は喜んで死んだと思います。
ですからあなたも喜んでください。
また、何かの拍子にこの遺書を読んでしまった、そもそもにして私の死を喜んでいる方々。
今までさぞや御迷惑をかけたのでしょう。
死んでしまっては何ができるというわけでもありませんが、ここにお詫びさせていただきます。
もし次があるとしたら、せめて人に迷惑をかけない生を受けたいと思います。
看さん、今までありがとうございます。
兄さんには…申し訳ないことをしたと思います。
どうか、これからは自由に生きてください。
寝ぐせには気をつけてくださいね。
それでは。

1月17日
遺書を推敲しているのを兄さんに見られた。
兄さんを尊敬する文…気が向いたら書いておこうかな…。
そこまで尊敬しているわけじゃないけど、サービスに…。
290 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 04:15:09.14 ID:U6f0FfJ70
1月21日
兄さんが誕生日のことを言ってきた。
いらついていたので、意地悪して、命が欲しいと言ってみた。
…兄さんは、まだ私が生きると信じているようだけど…どこをどうしたらそんな風に考えられるのか…。
理解不能。

1月22日
兄さんがかまって光線を送ってきた。
やっぱりとてもじゃないけど、尊敬する文なんてかけないわね…ハァ…

1月24日
今日DSをかち割った。
兄さんは泣いていた。
293 : 三銃士(岐阜県):2007/03/25(日) 04:37:28.51 ID:CZrUh20A0
だれもいない・・・保守投下するなら今のうち・・・

男(妹、よく窓の外見てるな・・・何見てるんだ・・・)
妹「・・・」
男(ん?、あ、窓のそばの木・・・そろそろ全部散りそう・・・もしかして!?)
男「なあ、お前まさかあの葉が全部散ったらとか考えてないだろうな?
妹「え・・・。あははっそんなわけないじゃん、お兄ちゃんベタすぎだよー」
男「ふふっ何言ってるんだろうな、俺」
 びゅぅっ
妹「ぁ・・・・・・」
男「・・・」(妹・・・)

翌日
 バタン
男「妹!」
妹「どうしたのお兄ちゃん、うわっ泥だらけじゃない!」
男「ほらっこれ、飾っとけよ」
妹「・・・鉢・・・これ、松?」
男「ああ、これなら葉、散らないぞ。」
妹「え・・・」
男「知ってるか?松は年中新しい葉が出続けるんだ。お前もうれしいことを見つけ続けよう!」
妹「お兄ちゃん・・・」
男「妹のためなら俺はなんでもしてやる。だから、そんな悲しいこと考えるなよ!」
妹「・・・」
男「調子がよくなったら外へ出よう。春には花見をして夏には海へ行って秋には」
妹「あの、お兄ちゃん、・・・・・・それ、盆栽・・・しかもおじいちゃんの」
男「え?、あ!・・・ぅ・・・いや、庭見てたら目に入って・・・」
妹「あっはははは、お兄ちゃん、女の子のお見舞いによりによって盆栽もってくる!?クスクスクス」
男「ふふふっそうだな、俺何やってたんだろな」
妹(こんなトンチンカンで、でも一生懸命なお兄ちゃん、こんな危なっかしい人、残しておけないもんね・・・)

294 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 04:42:12.84 ID:fInZM4bw0
>>293
こういうのもありですよ

295 : ダンサー(千葉県):2007/03/25(日) 04:45:27.63 ID:ZBV1sJEh0
盆栽って…鉢植え…なのかな?

296 : 金田一(関東・甲信越):2007/03/25(日) 04:46:32.41 ID:VW/klx/dO
>>293
GJ

297 : 軍事評論家(東日本):2007/03/25(日) 04:50:57.27 ID:S2h0EKdv0
このスレは豆知識持ってるヤツ多いな

298 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 04:51:40.79 ID:U6f0FfJ70
2月3日
兄さんも看さんも医先生も、外に出ろ外に出ろとうるさい。
普通に人が歩いているのを見るだけで、私がどれだけ惨めさを感じるか、わかっていない。
兄さんにはちょっと黙ってもらった。
一日待てと言ったけれど…明日は土下座して頼みにくるのかしらね。

2月4日
最悪に不快な一日だった。
牛みたいな乳をした女がやってきて、兄さんの恋人だと言った。
徹底的にいびりぬいてストレス解消してやったけれど、帰らなかった。
胸に栄養がいった分、頭の感度が悪いんだろうか?
結局恋人というのは嘘で、頼まれたから引き受けたと言っていたけれど、普通のまっとうな神経の持ち主が引き受けますか?そんな話を!
頭がおかしいとしか思えない。
というか、根性に免じて最後には兄さんとの仲を許してやったのに、わざわざ嘘だと明かすなんて…!
哀れみ!? 私みたいな病人、どうとでもなると思ったの!? 兄さんと出掛けたことがあるくらい、何だっていうんです!
私は病院の庭しか歩いたことはないけれど、数だけなら…!
というか、微妙に気のあるような無いようなふりして、あれで兄さんを釣るつもりなのかしら?
気はあったようだけど…ひょっとしたらまた来るかしらね。
ま、いいわ。この私があんなのに負けるわけないし。
今日はちょっと興奮しちゃって涙を見せてしまったけれど、あんな○○○で×××な、■■■!
泣いて土下座して謝るまでいびってあげるわ。
そう、あんなおっぱい人間、きっとどうしようもない●●●で、△△で…!
もう人間扱いしなくていいわね! エイリアンよエイリアン! あの胸は!
きっと××、●△□! □□□で、×○☆な、○■●! あsdfghjkllll:」!
くぁswでfrtghyじゅきぉ;p@:!!
zxcvbんm、。・。!
…………!

兄(う…こ、この放送禁止用語の羅列は…いつまで続くんだ…?)
兄(妹よ…後には見せられんよ…)

299 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 04:53:50.70 ID:U6f0FfJ70
2月5日
昨日の日記を見た。
私は何を考えてるんでしょ?
今までこれほど自己嫌悪に陥ったことはない。
今日はもう寝よう…


兄(…まあ、尋常じゃないな、あれは)

300 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 05:02:39.93 ID:U6f0FfJ70
2月6日
いまだ胸がむかむかする。
何でこんなにいらいらするんだろう。

2月7日
来た。
あの女が来た。
花瓶を割って掃除させた。
指を切らないかと楽しみにしていたけれど、意外に器用だった。
また来るねと言っていた。
嫌がってるのがわからないのだろうか…。
想像を絶して空気が読めない女らしい。

2月8日
自殺するために置いておいた花瓶だったことを思い出した。
二度目だったせいで、看さんが危ないからと、割れないものにしてしまった。
あの女…疫病神としか思えない…。

兄(いや、後、ナイス妨害だ…!)

301 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 05:08:45.29 ID:fInZM4bw0
>>298
ついに後さん出ましたねwww

302 : 刺客(東日本):2007/03/25(日) 05:10:00.29 ID:PE33NsTE0
ついに後さんキタ━(゜∀゜)━!!!!!

303 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 05:15:47.20 ID:U6f0FfJ70
2月10日
今度は兄さんと連れ立ってやってきた。
…何だか…同じ学校の制服を着ている二人を見ると、ショックだった。
兄さんに感づかれるといけないから、今日はあまりいびることができなかった。

2月20日
どうしたらあの女と兄さんを離れさせられるだろう。
ずっと考えたけど、二人は同じ高校で…私はずっと病院で…どうしようもない。
どうしようもない…。

2月24日
このところずっとあの女を観察して…どうやら兄さんに惚れているのは確実だとわかった。
兄さんは…どうやらそんな気は無いようだ。と思う。
無駄な努力、馬鹿な人だ。

2月25日
あの女がチーズケーキを買ってきた。
手懐けようとしているようだけど、そうはいかない。
苦渋の決断…お腹がいっぱいだからと跳ね除けた。

2月26日
兄さんがあの女の話ばかりするので、殴ってやった。
思ったより力がこもっていたらしく、鼻血を出していた。
謝る気は欠片もない。

2月27日
また来た。
恐ろしいまでの執念…もはや病気。
全身全霊をもって、本格的に対策を練る必要があるようだ。


304 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 05:23:49.42 ID:U6f0FfJ70
2月28日
兄さんとあの女をいかに引き離すか。
対策1:あの女とは二度と会わないでと、兄さんに頼む
対策2:兄さんに近づいたらヒドイ目に遭わせると、あの女を脅す
対策3:兄さんに好感を抱かないよう、兄さんを貶める
対策4:あの女に好感を抱かないよう、あの女を貶める
対策5:…
対策6:……
 ・
 ・
 ・


兄(な、何ページ書いてあるんだ、これ… 良く思いつくな…)
兄(こんな様子全然見せてなかったのに…)
兄(妹…兄ちゃん、お前の執念の方が心配だよ)



305 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 05:30:22.71 ID:U6f0FfJ70
3月1日
先月の日記を見返した。
病気は私の方だ。
何を考えているんだろう…。

兄(お、自省している…良かった…)

驚いたのは、先月の日記で、ただの一度も自殺に触れていないということだ。
こんなことは今まで一度もなかった。
花瓶のことで少し書いたけれど、当時の私は、あの女のことを気にしても、花瓶にそこまで執着していない様子だ。
先月の日記は、驚くほど字も汚く、兄さんとあの女のことばかり書いてある。
一体私はどうしなってしまったんだろう。
…いえ、冷静さが売りの私、ここは一つ、落ち着いて考えることにしましょう。

兄(冷静さが売りは嘘だろう…)
307 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 05:41:02.42 ID:U6f0FfJ70
3月2日
人は紙に書いて考えると思考力が10倍になるといいますし、紙に書いて考えることにしましょう。
口調も落ち着けて…。
順番に書いていきましょう。

私は後さんに敵対的な行動をとっている
なぜなら後さんを排除したいから
なぜなら後さんを兄さんから引き離したいから
なぜなら兄さんと後さんが一緒にいるのが嫌だから
なぜなら…
……
…………ん?
早くも詰まりましたね。
どうしたものでしょう。
少し…時間が必要なようですね。

兄(妹…物静かに見えて、色々考えてたんだな…)

310 : 但馬牛(関東):2007/03/25(日) 05:47:36.62 ID:6PqTqjHXO
妹冷静さ欠きすぎだw

311 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 05:48:15.01 ID:E19d7oUmO
【眠れない夜の小夜曲】
いつの日かの深い夜のこと。

看「今日も平和…と」
病院という場所は命が消える場所だ。常に、気を張って……。というのは、さすがに無理があるが。患者さんが夜中に容態が急変することも珍しくはない。よって深夜の見回りは非常に重要になる。
少しの変化も、見逃してはならない。
看「…あれ?」
就寝時間だと言うのに、ぼんやり明かりが付いている。
看「…妹ちゃんの部屋ね…」
まったく、あの子は天邪鬼だ。
私は戸を開ける。
妹「……!」
ビクッとする彼女。顔もそうだが、一挙一動がいちいち可愛い。同じ女として恨めし…もとい羨ましい限りだ。
妹「ど、どうしましたか…看さん」
看「どうしましたも何も…就寝時間はとっくに過ぎてますが何か」
妹「うぅ…」
これ以上は可哀想かな。
看「…ま、いいわ。で、何をしてたの」
妹「本を…読んでいたんですよ」
看「何の本?」
妹「これです」
そうして、本を手渡された。死生観に関する本…のようだ。
看「これはまた、哲学的な…」
妹「眠れない夜には、ピッタリなんです」
看「よく解らないわね…」


312 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 05:51:56.20 ID:E19d7oUmO
妹「ほら、夜眠る時いろいろ考えるでしょう?普段考えないことを」
看「…まぁ…」
妹ちゃんの年ぐらいになくはない、かな。
看「じゃ、何を考えながら読んでいたの?」
妹「…」
看「言えない?」
妹「いえ」
そしてゆっくりと。
妹「私が何故生まれてきたのか」
歌うように。
妹「私が生まれてきた意味は?」
空気が震える。
妹「私が今、ここに居る、その意味は?」

看「…」
妹「…なんだか、湿っぽく、かつ重くなりましたね」
看「……そんなことはないわよ」
妹「ふふ、看さんが大人で助かります」
…私達は年は違えど女だ。そこは変わらない。…だが決定的に違う。妹ちゃんの年の頃の私は、もっと子供で世界が光に満ちていることを信じて疑わなかった。だが、彼女はどうだ。こんなに意思に満ちた瞳をしている。
こんなに輝いている。
看「…ねぇ」
妹「はい?」
看「まだ眠れない?」
妹「…当たりです」
看「良かったら…屋上に行かない?」
妹「良いんですか…?見回り的にも、看護師的にも」
看「見回りは一応済ませてあるし…」
看「こんな夜もたまには良いんじゃない?」

313 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 05:54:46.94 ID:E19d7oUmO
屋上に来た。
看・妹「うわぁ…」
ここ数日暖かな陽気だったし、晴れていたからだろう。
満面の星が、落ちてこないかと思うぐらい瞬いていた。
妹「…」
看「…」
静寂。
私が声を発する。
看「妹ちゃん」
妹「はい」
看「さっきの…問いがあったじゃない?」
妹「はい」
看「正直、答えは解らないんだけど」
妹「まぁ、私が出すべきものですしね」
看「そうね。
…いきなりなんだけど。妹ちゃんってね。案外幸せだと思うの」
妹「?」
看「私とあなたじゃ立場も年齢も状況も…違うわ」
妹「…」
看「でも、女、であるのは共通じゃない?女の幸せって…まぁ世間的には、いろいろあるだろうけど。命をかけられるぐらい、好きな人が居て。その人の隣に居られることだと、思うの」
妹「そう、ですね」
看「貴女は、どう?」
妹「…」
看「まぁ私が今感じたことを言っただけなんだけど」
正直、要点がまとまっていたか怪しい。
妹「そう…ですね…」
弱々しい声は、風にさらわれた。
なんか…私がイジメたみたいになってる気もするが気にしない。
看「そろそろ、戻ろうか」
妹「…はい」

314 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 05:58:13.92 ID:E19d7oUmO
妹「看さん」
看「何?」
看護師的にマズイことをしてるのも、頭に置きつつ、声を抑えて会話をしながら妹ちゃんの部屋に向かう。
妹「私が…」
妹「私が死んだら…兄はどうすると思いますか?」
…兄くんの一番の理解者であるであろう彼女が聞くのも、おかしな話だ。
看「そうね…」
看「彼の性格なら、自分を責めて責めて責めて。悔やんで悔やんで悔やみきれなくて。
死ぬまで、後悔し続けるわね」
妹「でしょうね…」
やっぱり、兄のことをよく理解している。まぁ丸解りの性格をしている彼のせいでもあるのだろうが。
看「…」
妹「…」
また、静寂。ほどなくして妹ちゃんの部屋に着く。
妹「それじゃ…」
看「あー…妹ちゃん」
言っておかないと、彼女はまた眠れないだろうから。
看「私は、あなた達が羨ましいわ」
看「兄くんも、貴女も…とても羨ましい」
妹「…」
看「あなた達は、これからお互いに何かを無くすけど…」
看「すでにお互いに失う以上に『全て』を手に入れているもの」
妹「…!」
妹「どうして…看さんは私を泣かそうとするんですか…」
妹「どうして…」
看「そんなつもりは無いんだけどなぁ…」


315 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 05:59:23.65 ID:fInZM4bw0
>>311-313
イイ(・∀・)
乙です

316 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 06:00:28.52 ID:E19d7oUmO
少しだけ彼女の目に涙が見える。
妹「…ふぅー」
深呼吸する彼女。
妹「私はまだまだ子供ですね…」
看「…私はあなたが大人び過ぎていて、怖かったけどね」
妹「こ、怖いとはなんですか…」
…でも、可愛い。
だけど悔しいから言わない。
看「…ちょっと夜も遅くなったけど…」
看「眠れそう?」
妹「はい…もう、大丈夫ですよ」
もう、心配ないようだ。
妹「今日はありがとうございました」
看「いえいえ」
妹「看さんはとても尊敬できる大人ですね」
若干、冗談を含めて彼女が言う。
私も冗談を含めて返す。
看「あなたは、まだまだ子供ね」
ささやかに二人で笑う。
くすくす、と。
互いを称える歌を唄うように。
妹「…それじゃ…」
看「ええ、お休みなさい」
妹「お休みなさい」

…とある病院の、少女が眠れない夜の歌。

317 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 06:02:33.52 ID:E19d7oUmO
>>315
まだ終わってなかったのになんという先走り…
まぁたまにはそんなこともあるよ、うんうん

318 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 06:07:15.21 ID:fInZM4bw0
>>317
やられました・・・・。

319 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 06:14:55.74 ID:E19d7oUmO
>>318
妹「なんと、うかつな方でしょうか」
看「いや、まぁわざわざ作者が読みやすいように区切ってあるから誤解したんでしょうし…」
妹「まぁ…誰にでも一度くらいは失敗はあるものですが…」
後「そうだよね!妹ちゃんも失敗したよね!

胸の成長具合とか」
妹「…看さん、メスとか貸し出ししてないですか?」
看「医療道具をレンタルDVD借りるぐらいの気持ちで借りないでくれる?」

320 : 留学生(東海):2007/03/25(日) 06:31:12.80 ID:IfNCx2ODO
後輩が攻撃的だwwwwww

321 : ダンサー(千葉県):2007/03/25(日) 06:34:52.86 ID:ZBV1sJEh0
なんとなく・・・

最後に…
  もし私の手術の成功を願うなら、下の文をら行を抜いて、縦書きで入力してください。
  「おらおきろな、おっらぱろい」』


322 : すっとこどっこい(東京都):2007/03/25(日) 06:35:27.86 ID:Uwrd+V0o0
おおきな、おっぱい

323 : 名無し募集中。。。(コネチカット州):2007/03/25(日) 06:39:46.43 ID:Yol48oAsO









324 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 06:41:19.52 ID:E19d7oUmO
>>320
後「たまには私も攻めるんですよ」
妹「生意気な…」
後「私は妹ちゃんみたいに控え目な自己主張が出来ないからねぇ」
妹「どこを見ながら言ってるのですか」
後「まな板」
妹「(殺るか)」
後「嘘だって、私はこれでも妹ちゃんを愛しているもの」
妹「…じゃあちゃんと、訂正してください!ここで、まな板発言を!さぁ、今すぐ!」
後「洗濯板の間違いだったわね」

プチン

妹「し…」
妹「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
後「ちょ、花瓶は無いって待っ(ry」

ゴス。

妹「…ここが病院で良かったわ…」
看「良くないわよ…」

325 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 07:02:29.23 ID:U6f0FfJ70
3月4日
なぜなら兄さんと後さんが一緒にいるのが嫌だから――
先日はここで止まりました。
さらに落ち着いて、自己分析を進めましょう。
なぜ、兄さんと後さんが一緒にいるのが嫌なのでしょう。
まず思いつくのは独占欲です。
そりゃ、あんな兄さんですけど、兄さんは兄さんですし、私の兄さんなわけです。
悔しい話ですが…独占欲があることは否定しません。
ええ、ありますとも。
しかし、だとすると、看さんと触れ合う兄さんや、母さんと触れ合う兄さんを見ても、似た感情を抱くはずなのではないでしょうか。
客観的に見た親しさで言えば、むしろ看さんの方が大きいでしょうし。
でも看さんには全く嫌悪は抱きませんし、母さんにも抱きようがありません。
とすると、後さんには、他の女性たちにはない、特別な要素が存在すると考えられます。
年齢が近い、というのは一つでしょう。
他に…考えられる特別な点…他の女性たちと異なる点…。

……兄さんの傍にいて、兄さんを好きだということ?

兄(えっ! 後って俺のこと好きだったの!!?)

326 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 07:12:30.02 ID:U6f0FfJ70
3月5日
後さんが兄さんのことを何とも思っていないとして…私のところに訪ねてきてくれるのを想像してみましょう。
意外と嬉しいかもしれませんね…。
ではなぜ、兄さんのことを好きだとダメなのでしょう。
……
私は後さんに敵対的な行動をとっている
なぜなら後さんを排除したいから
なぜなら後さんを兄さんから引き離したいから
なぜなら兄さんと後さんが一緒にいるのが嫌だから
なぜなら後さんが兄さんを好いているのが嫌だから
なぜなら、兄さんを私のものにしたいから
なぜなら…

私が兄さんを好きだから?

兄(!! え、まあ、俺も妹は好きだけど…)
兄(何か…微妙に…雰囲気が…)
兄(あれ…?)


327 : 留学生(東海):2007/03/25(日) 07:12:38.47 ID:IfNCx2ODO
兄鈍感杉wwwww

328 : 野球選手(関東・甲信越):2007/03/25(日) 07:13:12.38 ID:oo6FGwapO
良い

329 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 07:21:16.45 ID:fInZM4bw0
単発物です

女「妹ちゃーん。どうもー。」
妹「あっ、女さん。こんにちは。」
女「どう?元気してる?」
妹「ええ、まあ。」
女「あれー、顔にはつらいって書いてあるぞー。」
妹「えっ、いやっ、そんなことないですよー。」
女「聞いたよ。看さんから。明日手術するんだって?」
妹「はい・・・。」
女「怖い?」
妹「ええ・・・、まあ・・・、それなりに・・・。」
女「失敗したときとか考えちゃう?」
妹「・・・・・・。」
女「あたしね、手術って信頼関係だと思うの。」
妹「えっ。」
女「すべてを医先生に託すわけでさ、あたしたちは何もわからないし何もできない。」
妹「まあ、そうですね。」
女「でもさ、先生が今まであたしたちに悪いようにしたことがあるかっていうと、無いよね。
  じゃあもう、あーだこーだ考えるのをやめちゃってさ、先生に任せちゃうの。
  そう思えばさ、なんとなくだけど、少し気が楽になるような気がするのよね。
  そりゃ、妹ちゃんの考えとは違うと思うけどさ、こういう考えもありかなーと。」

330 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 07:22:02.04 ID:fInZM4bw0
妹「・・・・・・。」  
女「すこし楽観的すぎかな。あはは・・・。」
妹「いや、確かにそうですよ。私が手術に対してどうこう考えても仕方ないですもんね!」
女「あと妹ちゃんにはさ、手術中も、どんなときも、ずっと妹ちゃんのことを思ってくれる人がいるんだから。
  私のところになんかこの半年、だれも見舞いにさえ来やしない・・・。とかなんとか言ってると、来たみたいだよ。」
兄「あっ、どうもこんにちは。」
女「こんにちはー。それじゃああたしは自分の部屋に戻るね。今度会えるのは来週ぐらいかな?」
妹「私、またここに戻ってくるから、また来てね!」
兄「なんだ、今日は機嫌がいいな。」
妹「なによー、その言い方ー。」


妹(やっぱりいい人だな。ちょっと元気がでたかも。でも女さんいつも一人みたいな感じだったな・・・。)
331 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 07:30:10.49 ID:U6f0FfJ70
3月6日
兄妹だから、好きなのは当たり前なんですよね…まあ、ずっと昔から好きでしたし。

兄(うん、そうだよな…)

妹として、冴えない兄さんに春が訪れることは、祝福してあげるべきなんですよね。

兄(というか…この、後が俺のこと好きって…本当なのか? 冗談じゃないの?)

でも、祝福する気にはならないんですよね。
むしろ邪魔したくなります。

兄(……)

すなわち、妹としての愛情とは、別の愛情の可能性が…高いのでしょうか…。

兄(お、おい、待て、妹よ…そこから先は…)

すなわち、一人の女として、恋愛感情を、兄さんに抱いている…ということになりますね。

兄(れ、冷静に進めすぎだろ! 何で動揺も躊躇も無いんだよ!?)

…壊れた体で、心も満足に育っていないと思ったけれど…私にも、恋をする心があったんですね。
相手は兄さんですか…ちょっと、嬉しいですね。
でも、やっぱり家族としての親愛の情かもしれませんし、この心はゆっくり育てることにしましょうか…。

兄(…妹…兄ちゃん…この日記にはびっくりしっぱなしだよ)
333 : ぬこ(京都府):2007/03/25(日) 07:39:50.25 ID:D4F7p2Jo0
なんだこの良スレは

334 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 07:49:28.86 ID:U6f0FfJ70
3月7日
本当に恋愛感情なのか試してみることにする。
兄さんに私が好きかと改めて訊いてみた。
即答だった。
嬉しいか嬉しくないかでいうと、嬉しかった。
…すいません、正直すごく嬉しかったです。

3月8日
兄さんの上着の匂いをかいだ。
とても安心した。
変態っぽいけど、気にしたら負けだと思う。

3月9日
兄さんに好きだと言ってみたら、兄さんも私を好きだと返してくれた。
小さい頃にも、兄さんに好きと言ったことはあるけれど、全然違う感覚だった。
すごく緊張した。
緊張したけど…好きと返してもらえて、やっぱり嬉しかった。

兄(よ、読むのが怖くなってきた…)



335 : 漂流者(九州):2007/03/25(日) 08:02:56.64 ID:fESWVgb6O
すごく・・・おっぱいです・・・

336 : 金田一(山口県):2007/03/25(日) 08:05:15.69 ID:8x1uoOvz0
やばい凄くいい話なんだけど涙がでねぇ
どうしちまったんだおれはorz
今泣かずにいつ泣くというんだ

337 : ダンサー(千葉県):2007/03/25(日) 08:06:14.20 ID:ZBV1sJEh0
>>336
もちろん感動のラストで
339 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 08:09:48.93 ID:U6f0FfJ70
3月22日
今日も落ち着いて自己分析をしてみましょう。
あれから色々試して、わかったことが一つあります。
私が兄さんを好きだということ、愛しているということ。
どうやら私は、尋常ではないほど兄さんが好きみたいです。
大好きです。
言葉を聞くと安心して、好きだと言われると嬉しくて、来てくれないと寂しくて、とられそうになると妄執に駆られる――
これが恋じゃなくて、何だというのでしょう。
後さんには渡したくない。
私だけの兄さん。
好きです…兄さん…好き…。

3月23日
兄さんは今日も無邪気に私のことを好きだと言ってくれた。
兄さんは…私の胸のうちの感情に気付いたら、同じように笑ってくれるんでしょうか。
私が後さんに抱いている、醜い感情に気付いたら…どんな顔をするんでしょうね。

兄(今兄ちゃんは…どんな顔をしてるんだろうな…?)
346 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 08:51:37.39 ID:U6f0FfJ70
3月24日
結局今月も、死にたいと思うことはなかった。
つい先頃の日記を見返すと、あきれるほど私は死を求めているのに。
死に備えて人との距離を置こうとしたのに、このところ考えているのは兄さんと後さんのことばかりです。
どうしようもなく人に執着しています。
思えば最初からそうだったのでしょう。
私は最初から兄さんに執着し、兄さんに縛られていたのでしょうね。
だから結局、いつまで経っても死ぬことができなかった。
そう…兄さんてば、一日置かずやってきて、必ず私を楽しませてくれるんですもの。
自殺なんて、元々しようがなかったんですね。

3月25日
なぜだか後さんが来ても、そこまで拒否反応は起こらなくなった。
まあ…別にいびらなくても、私自身の魅力で兄さんを繋ぎ止められればいいわけですし…。
ストレス解消にとどめよう。
でも…このポンコツな体で、どこまで後さんと戦えるのかな…。

3月26日
兄さんは相変わらず私に生きろ生きろという。
ちょっと辛い時もあるけれど…結局流されて、最後には同意しちゃうんですよね。
私は自分の体を信じていないけど、兄さんが信じるなら、頑張ってみようかな…。

347 : トリマー(関東・甲信越):2007/03/25(日) 08:56:27.12 ID:yZHN2kctO
水分はラストにとっておこう
348 : 経営学科卒(関東・甲信越):2007/03/25(日) 09:03:20.54 ID:D8MY2NqhO
エイプリルフールにはなんて書いてあるんだろうな…

349 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 09:15:34.37 ID:U6f0FfJ70
4月1日
兄さんに、胸がBになったと言った。
一笑に付されたので殴った。
兄さんに、恋人ができたと言われた。
不覚にも泣きそうになったので殴った。

10月12日
明日は手術だ。
怖いけど、兄さんに勇気をもらったから大丈夫。
兄さんと、ほんの数分間だけど、恋人同士になった。
演技と言ったけれど、私は、心の底からの告白をした。
兄さんは…やっぱり気付かなかったけれど…。
もし死んでも後悔の無いよう、精一杯思いのたけを伝えた。
ファーストキスもした。
こんな体で、こんなところで育って、恋をして、キスができるなんて思っていなかった。
兄さん、ありがとう。
手紙にも、想いは書いておいたけど…最後まで読むかしら。
読んでも気付くかしら…?
362 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 10:22:36.25 ID:Xt/AYkrK0
10月18日
どうやら手術は成功したらしい。
正直驚いた。
兄さんは…あの手紙の内容をあまり理解してはいないようだけど…。
時間ができたなら焦ることもないか…。

11月20日
安定してきた。
術後は割りと体調がいい。
看さんに兄さんのことを好きかと訊かれたので、思ったままを答えた。
なにやら驚いていたけれど…。

11月22日
兄妹は結婚できないらしい。
…どこの誰が決めたのでしょう。
もし完治したら…政治家を目指すべき…?

11月29日
思えばひどい体だなあと思う。
兄さんや看さんや後さんは、私のことを可愛いといってくれるけど…薬漬けで、傷だらけだし。
もう普通の人とは中身が違っているのに、これでも私は、人間の女の子って言えるのかな…。
365 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 10:32:34.18 ID:Xt/AYkrK0
12月15日
だるい…。
熱があるみたい。
でも、もうしばらく安定が続いたら外出許可をくれるって言ってたし…。
看さんも、さすがに昔みたいに検温見逃してくれないかな…。
兄さんと町を歩いてみたいのに。
後さんは兄さんと休日に出かけたって言ってたものね…。
…私と後さん…どっちがリードしてるんだろう。

12月16日
ダウン。
おでこにキスしてもらったからよしとする。

12月17日
頭痛い…。
しばらく面会を制限すると言われた。
兄さんに会えなくなっちゃうな…。

12月19日
兄さん…会いたいよ

兄(体調崩して会えなかったときだな…)
367 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 10:52:48.70 ID:Xt/AYkrK0
12月26日
あれ以来体調がすぐれない。
せっかく生きている理由がわかってきたのに…。
どうにも、私の望みと逆の方向に私の命は進むみたいですね。

1月6日
後さんと恋愛についての話をした。
後さんは…私が兄さんを好きだって納得してくれたみたいだった。
結局…小さい頃からずっと兄さんに支えられて…おかげで幸せだったと思う。
昔の感情を恋と呼べるのかわからないけど、少なくとも、ずっと世界で一番好きな人だったことに間違いは無いんだし。
私は…生き物として、もう後さんには完敗しているから…せめて重ねた歳月だけは勝りたいよね。

2月5日
もうずっと体調が悪い。
正直、話すのも面倒に感じる。
せっかく生きたいと思ったのに…もう、昔の覚悟なんて捨てちゃったよ…。

2月7日
兄さんに食事を口移ししてもらった!
もらったぞ!
368 : 乳母(コネチカット州):2007/03/25(日) 10:58:42.20 ID:tX40OhDlO
最後テンションたけぇww

369 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 11:07:42.50 ID:Xt/AYkrK0
4月2日
手術が決まった。
兄さんやみんなには悪いけど…一応覚悟は決めておこう。
死ぬつもりはないけれど、私の思うように世の中いかないっていうのは、もうイヤってくらいわかってる。
怖いけど…絶対泣かないようにしよう。

4月5日
写真を撮った。
兄さんとのキスの写真を、後さんに撮らせた。
ちょっと怒っていたけど…許してくださいね。
最後の思い出になるかもしれないんですから。

兄(お前は…何かというと最後最後って…兄ちゃんいいかげん怒るぞ…)


370 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 11:13:44.58 ID:Xt/AYkrK0
兄(ん…)
兄(日記はこれで終わりか…?)
兄(いや、日付はついてないけど、まだ書いてある…)

後(兄クン…知っちゃったんだね)

看(…あなたたちはホント…最後になるまで…お互い気を遣いすぎだよ)
372 : 美容師見習い(関西・北陸):2007/03/25(日) 11:24:30.54 ID:RPsNzy8CO
目から塩水が(´;ω;`)
375 : 塗装工(アラバマ州):2007/03/25(日) 11:43:54.66 ID:DnngJ4F20
泣きたいが我慢汁
378 : 練習生(東日本):2007/03/25(日) 12:20:05.52 ID:1BRLSfFA0
wktk
380 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 12:37:07.01 ID:Xt/AYkrK0
――兄さんへ
妹『日記をここまで読みきったということは、手術はまだ続いているということでしょう。
  医先生は、ダメだと判断したらすぐに閉じると言っていたので、ここまで続いているということは意外と望みがあるのかもしれませんね』
兄(「意外と」じゃねえ…。何であきらめモードなんだよ…。兄ちゃん本気で怒ってるぞ)
妹『日記にははっきり書いておいたので、もう私の気持ちは伝わっていると思います。
  が、兄さんが人並み外れた鈍感だということも重々承知しているので、もう一度きちんと言っておきますね。
  兄さん、大好きです。世界で一番好きです。一人の女として愛しています』
兄(本気なんだな…)
妹『日記を読んで兄さんがどう感じたかはわかりませんが、いいかげんで安直な結論だと思わないで下さい。
  私なりに精一杯考えて見つけた気持ちです。
  なぜ兄さんをとられたくないのか、なぜ兄さんと一緒にいたいのか、なぜ兄さんの好きという言葉があんなにも嬉しいのか…ずっと考えて、たどり着いた気持ちなんです。
  あるいは、恋という名がふさわしくなくても、今の私の中で最も強く、私の全てを支配する想いは、兄さんを好きだというこの想いなんです』
兄(……)
妹『はっきりと意識してからはほんの一年余りですが、この想いのおかげで、私はさまざまな感情を抱きました。
  喜び、苦しみ、泣いて…人を憎むこともありました。
  自分のどうしようもない体を恨むこともありました。
  でも、それらの感情が、死の境界線にいた私を、再び現実に引き戻してくれました。
  兄さんへの想いが、私に生きたいと願わせてくれたのです』
兄(……)
妹『生きるのが無理でも、せめて満足いくまで戦って、悔いなく死のうと思えるようになりました。
  だから私は、この一年…全力で、命をかけて兄さんを愛しました。
  愛するという喜びを、こんな身でありながら知ることができたんです』
兄(…兄ちゃん…どう言っていいかわからないよ…)
妹『愛することの喜びを、愛する人と過ごす喜びを知ったおかげで、死への恐怖は以前より格段に増しました。
  夜に一人泣くこともありました。
  でも、それを補って余りある幸せがいつも傍にありました』
兄(ダメだ…兄ちゃん…そんなこと妹に言ってもらえるようなこと…何一つ…)
妹『…私が日記をつけた日数は、2892日。そのうち兄さんのことが触れられているのは、2663日でした。
  九割以上、兄さんのことが書かれていました。
  私の人生は…最初から最後まで…兄さんでつくられていたんです』

381 : 練習生(東日本):2007/03/25(日) 12:42:12.65 ID:1BRLSfFA0
(;Д;)

382 : ぬこ(兵庫県):2007/03/25(日) 12:51:57.48 ID:FijxULYN0
最後じゃないだろ!

383 : 停学中(中部地方):2007/03/25(日) 12:55:35.44 ID:1SJn7UwQ0
ブワ
385 : 金田一(新潟・東北):2007/03/25(日) 13:00:32.55 ID:xCKh0ffeO
(´;ω;`)ブワッ

386 : ぬこ(兵庫県):2007/03/25(日) 13:01:12.96 ID:FijxULYN0
死亡フラグは立てすぎると逆に生き残るんだぜ?

387 : ネット廃人(山形県):2007/03/25(日) 13:07:43.94 ID:N0Lq5ZT00
>>380
これはやばい・・・

388 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 13:12:17.22 ID:Xt/AYkrK0
妹『兄さんには、本当に感謝しています。
  私の心を人の心に戻してくださって。
  私の人生をつくってくださって。
  兄さんがいなかったら、私は恋なんてすることなく、人間らしい感情も忘れたままで死んでいたでしょう。
  そもそも、誰にも知られない、何の意味も無い人生となっていたでしょう。
  普段全然言えたことがないので、ここで心よりお礼を申し上げます。
  …ありがとうございます』
兄「いいかげんにしろよ…! お礼なんて…全部終わってから言えばいいじゃないかよ…」
妹『私の人生は全部日記に残しましたし、私の心も伝えました。
  そもそも兄さんは、私のことを十分にわかってらっしゃいます。
  なので、私が死んでも、私は兄さんの心の中に残ることができるでしょう。
  寂しくなったら、心の中の私と遊んでください。
  私は時々、心の中の兄さんと色々しましたが、なかなか乙なものですよ?』
兄「…ですよ?じゃねえ。 何で死んだ時の話ばっかりするんだよ」
妹『そういうわけで、兄さん、私が死んでも悲しまないで下さいね?
  …本当は、悲しみを乗り越えるには忘れるのが一番らしいですけど、そこはわがままを言わせてください。
  兄さんの心に残れないのは、私が悲しすぎます。
  そう、まさかと思いますが、父さんや母さんをおいて後を追ってこないで下さいよ?
  生きて、私の分までたくさんのことを経験して、幸せになってください。
  お世話になった兄さんには…大好きな兄さんには、どうか幸せになって欲しいです。
  それが私の、わがままな妹の、本当に最後の兄さんへのわがままです』
兄「…嫌だよ」
妹『普段の生活では、寝癖に気をつけて、恥ずかしいことは慎むように。
  …………
  …終わりに…キス、嬉しかったです。
  できればずっと覚えていてくださいね。
  今までありがとうございました。
  ホントに…大好きですよ、兄さん』

389 : 請負労働者(山口県):2007/03/25(日) 13:15:45.35 ID:rb7AUjMh0
うわあああああああ

390 : 経営学科卒(北海道):2007/03/25(日) 13:15:49.74 ID:O2kr79BBO
(´;Ω;`)妹は生きる

391 : 停学中(中部地方):2007/03/25(日) 13:17:39.80 ID:1SJn7UwQ0
目が、目がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

392 : 宇宙飛行士(中国地方):2007/03/25(日) 13:18:55.56 ID:x4dwsmtJ0
妹は俺と違って死んでいい存在ではない
生きるべき存在だ

393 : 美容師見習い(九州・沖縄):2007/03/25(日) 13:19:11.41 ID:yQQbYBHtO
あれ、目から塩水が…
399 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 13:29:57.47 ID:Xt/AYkrK0
兄「…嫌だ…嫌だよ…お前が死んだら…絶対幸せになれないよ…絶対無理だよ…」
後「兄クン…」
兄「後…何で…もう死ぬみたいな言い方…あいつ…」
後「兄クン、泣いちゃダメだよ。泣いたら妹ちゃん、怒っちゃうよ」
兄「お、俺だって、泣きたくねえよ! でも…! あいつ…ふざけやがって…!
  あ、あいつ、俺のこと、植物か何かだと思ってんのかよ!? こんなの読んで、平然としていられるわけないだろ!
  本当に俺のことが好きだっていうなら、生きてくれよ! 何が何でも生きるって言ってくれよ!
  何でこんな…諦めたみたいな言い方…」
後「兄クン! 妹ちゃんだって死ぬつもりはないって言ってたじゃない!
  ただ…妹ちゃんは、本当に兄クンのことを心配してるんだよ!
  自分が生きても死んでも、兄クンに幸せになって欲しいと思ってるんだよ!
  それくらい、妹ちゃんは兄クンが好きなんだよ…。
  妹ちゃんの気持ちも、わかってあげてよ…」
兄「…ウ…クソ…」
後「泣くなら、静かに泣こう…私も付き合うよ…」

看(…大人は泣かないと…言いたいけれど…妹ちゃん……!)
442 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 15:32:39.36 ID:Xt/AYkrK0

看「……フゥ…この部屋もお役御免、か…」

看「…いつもいた子がいなくなると、やっぱり寂しいわね」

看「しっかり片付けなきゃ」

看「枕をどけて、シーツも剥がして…床も掃いて…」

パサリ…

看「あら? これは…」

看「枕カバーの下から…」

看「手紙…?」

看「これは…」
444 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 15:33:29.07 ID:Xt/AYkrK0
看「兄クン…」
兄「あ…看さん…」
看「これ、妹ちゃんの手紙」
兄「え…? 俺にですか?」
看「ううん…。妹ちゃんが、自分に書いた手紙よ」
兄「…じゃあ…妹に渡さないといけませんね」
看「そうね」
兄「でも…妹は…」
看「…目覚めないわね」
兄「……」
看「先生は…あとは妹ちゃんの体力次第だって言っているけど…」
兄「もう五日間…集中治療室にこもりっぱなしですよ…」
看「読んであげなさい。読んで、叱ってあげなさい」
兄「……」
カサ…
446 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 15:35:10.31 ID:Xt/AYkrK0
――私へ
私が生まれてからもう十数年…病気になってこの部屋に来てから、およそ十年になりますね。
思えばあなたには苦労させられました。
難病に冒され、死にたい時には動かず、生きたい時には崩れゆく…。
本当に、ことごとく私の意図を裏切ってくれました。
私はあなたが嫌いです。
私を心身ともに削り、色々な人を傷つけるあなたが嫌いです。
何故あなたがこの世に生まれてきたのか…何度も問いました。
何もできない体、歪んだ心、狭い知識――どこにもいいところはありません。
ただ私と周囲の人に悲しみを振りまくだけのあなたが、何故生まれてきたのか。
何のために生きるのか。
ずっとずっと考えてきました。
十年間閉じた部屋の中で考えて、ようやく得た結論は、結局意味なんて無いということ。
あなたは意味無く生まれ、意味無く生きているということでした。
強いて言うなら、両親の愛の確認、という面はあったのでしょう。
しかし、あなたにとってのあなたの存在の意味は、ありませんでした。
でもあなたはへこたれませんでしたね。
あなた一人ではそれは成し得ませんでしたが、大切な人を知って、生きる意味を創りあげてしまいました。
生きる意味はそもそも無く、逆に言えば自由に創れるものなのだと、その時知りました。
その点、あなたは運がよかったですね。
素敵な意味を見つけることができましたから。
でも…私はあなたが嫌いです。
何もできない体と、歪んだ心と、狭い知識しか持たないあなたが嫌いです。
なので私はあなたとお別れします。
明日の手術で、あなたとお別れします。
そして、大切な人と私がもっと幸せになれる、より素敵な生きる意味を創りあげてみせます。
さようなら。

447 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 15:35:23.10 ID:ufWGT5t40
がんばれ妹!!

448 : プロスキーヤー(東日本):2007/03/25(日) 15:36:44.88 ID:goCs2bGO0
がんばれ妹!!

449 : 塗装工(アラバマ州):2007/03/25(日) 15:37:21.11 ID:DnngJ4F20
がんばれ妹!!

451 : 請負労働者(山口県):2007/03/25(日) 15:42:16.23 ID:rb7AUjMh0
妹ーーー!イキロ

452 : 三銃士(四国):2007/03/25(日) 15:42:30.97 ID:a7Jr8ox6O
がんばれ

453 : 通訳(コネチカット州):2007/03/25(日) 15:42:47.18 ID:0TzGdrQgO
がんばれ妹!!

456 : ダンサー(千葉県):2007/03/25(日) 15:44:19.90 ID:30e3dQ/20

                i
      、        i!
      i,`ヽ、     i |
      i   丶、  ,i :|
       i;::_,、-、`1_ | .:|
      -'‐'"1i !、'i゛ヽ:;、__
       ヽ:::|| | /' _,、‐'" '`‐、
        ヽ|i!r'/       \
         W'" ̄''‐-、_.     \
                `''‐-―一
がんばれ妹ついでに兄も
464 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 15:55:18.82 ID:Xt/AYkrK0
兄「妹…お前…死ぬ気はなかったんだな」
妹「……」
兄「おい、こら、妹」
妹「……」
兄「生きる意味を創ってくれるんじゃないのかよ」
妹「……」
兄「寝転がってるのは、さすがにわがままが過ぎるだろ!」
妹「……」
兄「大切な人と妹がもっと幸せになれるようにするんじゃないのかよ…!」
妹「……」
兄「ウ……」
妹「……」
兄「…………」
妹「…誰が…」
兄「…!!?」
妹「…誰が…手紙を読んでいいと言いました…? あれは私に宛てた…」
兄「!!!?!!」
看「ちょ、ちょ…! 抱きついたら傷が開いちゃうわよ! 落ち着きなさいっての!」
兄「うんうん! ごめん!」
妹「…ちょっと…鼻水たらさないで下さいよ…恥ずかしい…」
兄「ごめん! 見えないところで垂らすから!」
妹「…その分だと、日記を全部読んでくれなかったんですね…」
兄「いや読んだ! 読んだよ!」
妹「大切な人に…」
兄「え…?」
妹「大切な人と私がもっと幸せになれる…より素敵な生きる意味を創りあげてみせます」
兄「兄ちゃんと…妹…?」
妹「フフ…当たりです…。良かった…」

465 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 15:57:22.98 ID:ufWGT5t40
(´;ω;`)ブワッ

466 : 練習生(東日本):2007/03/25(日) 15:58:39.09 ID:1BRLSfFA0
妹おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

467 : 塗装工(アラバマ州):2007/03/25(日) 15:59:34.82 ID:DnngJ4F20
妹よ
・゚・(つД`)・゚・
474 : 高校生(京都府):2007/03/25(日) 16:19:59.06 ID:Xt/AYkrK0
妹「兄さん、夕日が…」
兄「沈むな…」
妹「こうして見ると、病院の窓からの景色も綺麗ですね…」
兄「…しばらくは集中治療室なんだな…」
妹「ええ…」
兄「頑張ろうな」
妹「でも…体が弱いのはもう体質みたいで…これから先どうなるか…」
兄「大丈夫だよ」
妹「ですね…十年間戦って、最後の賭けにも勝ったんですもの」
兄「ああ…」
妹「何がきても、乗り越えてみせますよ」
兄「…強くなったな…」
妹「まだまだ…兄さんがいないと、途端に潰れてしまいますよ」
兄「俺が傍にいれば問題ないだろ?」
妹「それじゃダメなんですよ。正しい恋愛になるために…」

妹(私も兄さんを支えられるよう…強く…なりますからね!)

  (了)
477 : 美容師見習い(関東):2007/03/25(日) 16:22:13.05 ID:6lxoOfrOO
おあああああああああ!
乙!ありがとう!
481 : 空軍(山口県):2007/03/25(日) 16:24:10.06 ID:ufWGT5t40
>>474
乙でした!!!!!!!!!!!!!
ガチでよかったです!!!!!!!!

482 : 女工(愛知県):2007/03/25(日) 16:25:06.74 ID:sc5/G1/s0
感動した、乙。
484 名前: 張出横綱(関西・北陸)[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:27:06.62 ID:c6bnwe0YO
ホント良かった
良い物見せてもらったよ
ありがとう

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最終更新:2007年03月25日 16:28