配達員「じゃ、確かに届けましたよ」
俺「はい。どうも、ありがとうございましたー。
・・・これでチルドパックが送られて早2週間。いつまで続くんだ?」
シオン「エビか?」
俺「お前、涎だ微妙に出てるぞ。パブロフの犬か?」
シオン「ん、どうも条件反射で出てしまうようだ」
俺「・・・、さてこのエビで朝ごはんでも作りますか」
パカッ
シオン「ん?なんだ、この伊勢海老のできそこない見たいなエビは?」
俺「これは・・・ザリガニか?」
シオン「エビの種類ではなさそうだが・・・」
俺「いちおうエビ目ってことにはなってるがな」
シオン「食えるのか?」
俺「よく加熱すれば食べれると思うぞ」
俺「しかしあいつの家もザリガニを混入しなきゃいけなくなってきたのか・・・。
チルド送るのをやめさせてやろう」
シオン「わたしは断固として反対する」
俺「シオンは昼寝中。実行するならイマノウチ・・・」
シオン「ZZZ・・・」
俺「おい、触手たち。起きてるか?」
触手「・・・」
俺「やっぱり俺の声に反応はするけど、喋れはしないのか・・・」
触手J「俺は喋れるぜ」
俺「お、よかった。お前だけか?」
触手J「ああ、ほかのみんなは千切れるときに脳が少しだけ削れたみたいなんだ」
俺「脳が全部残っていないと喋れないのか」
触手J「そうなんだ。儚いだろう」
俺「ほかの奴ら、生きてるかな・・・」
触手J「きっとどこかで生きているさ。いや、そう信じていたい。
まぁ俺たちは生物に寄生できるからうまくやっていけば半永久的に存在できるんだけど」
そのころ、全国各地で身体のどこかに、一本の触手らしきものが生えた人間がちらほら確認されていた。
が、これはまた別の話。
火星人C「これより、アンドロメダ銀河の攻略における会議を始める。」
火星人C「アンドロメダ銀河はすでに厳重警戒を行っており、現在の兵力では到底進軍はできないと推測される。」
火星人D「だったら兵力を強化すればいい」
火星人E「バカ、今の兵力だとどんなに強化しても突破できねぇよ」
火星人F「だったら新たな兵器をつくるなりしてみてはどうだろう」
火星人C「どんなに強力な思念武装を開発しても、それを取り込める器の火星人は現在居ないのだ」
火星人D「なら、あいつを呼び戻せばいいではないか」
火星人C「地球呼称名“シオン”か・・・?」
火星人F「戯言を。すでに軍から追放したのだぞ?」
火星人C「なら、私有軍隊に入れるなりなんなりすればよい。そして、その私有軍隊を先発隊に編成すればいいのだ。
・・・“シオン”の指名手配を急げ」
俺「ザリガニって案外うまいもんだな」
シオン「しかし身が小さいな・・・」
テレビ「ここからは、放送中の番組を中止し、特集番組を放送します」
俺「ん、なんだ?事件でもあったのか?」
テレビ「では、現地より大田さんです。どうぞ」
テレビ「はい、こちら大田です。ここはH県の中心部なんですが、見てください!三本足のタコのようなロボットが
たくさん歩いているのです!これは合成ではありません!今、まさにここで・・・アッー!!」
テレビ「大田さん、太田さん!?
えー、放送事故がありましたので、しばらくそのままでお待ちください・・・」
俺「なあ、今の三本足のロボットって・・・」
シオン「トライポッドだろうな」
俺「なんであそこにウヨウヨいたんだ?」
シオン「トライポッドは地球のあらゆる場所に埋まっている。」
俺「・・・火星人が乗り込んでいるのか?」
シオン「トライポッドの無人操作はほとんど不可能だからな」
俺「今更地球侵略と洒落込むつもりか?」
シオン「いや、目当てはわたしだろうな」
俺「今までになく大規模だな」
シオン「おそらくどこか別の銀河と戦争でも始めるつもりだろうな」
シオン「3時の方角にトライポッド・・・13機確認」
俺「なあ、本当にこのスナイパーライフルらしきものは使えるのか?」
シオン「わたしが火星軍時代に使っていた高性能陽電子狙撃銃だ。最近使っていなかったが、
多分使えるだろう」
俺「で、電力とかは要るのか?」
シオン「まず、このプラグをコンセントに挿入する。あと単1サイズの乾電池をありったけ持って来い」
俺「冷却装置とかは要らないのか?」
シオン「うちわで扇いでいれば何とかなるだろう」
俺「プラグ10本を全部挿入完了・・・。単一の乾電池は7個しかなかった」
シオン「十分だ。それを全部この穴に入れろ」
俺「これでいいのか?」
シオン「それでいい。よし、充電を始めるぞ」
俺「ああ、これで光熱費は軽く10万は越えるぞ・・・」
シオン「電力は十分に溜まったな。消費電力を最小に絞り、狙撃する」
俺「最小でいいのか?」
シオン「トライポッドはフィジカルキャンセラーしか装備してないから装甲を貫くのは容易い。」
俺「それならいいんだが・・・
・・・撃たないのか?」
シオン「引き金が重くて引けない・・・」
俺「なあ、安全装置がONになってないか?」
シオン「・・・」
俺(ONだったのか・・・)
シオン「2時の方向、新たに3機出現」
俺「まだ来るのか。かれこれ70機ぐらい落としてないか?」
シオン「なんだ、もう疲れたのか?」
俺「よそ見しながらスナイプは命に関わるぞ」
シオン「大丈夫だ、あの距離からトライポッドは攻撃を加えられな――」
触手J「1時の方向からトライポッド出現!距離約200!」
シオン「喋った・・・?」
俺「おい、シオン!」
―その時、突如現れたトライポッドの砲塔から光がこちらに向かってきたような気がした―
俺「あ、危ねー・・・」
シオン「よもやあそこから出現するとは思いもしなかった。とりあえず、落としておこう」
カチッ
俺「・・・もう破壊したのか。本当にあっけないな。
つーかアパートの屋根根こそぎ削られたぞ!これからどう生活していけばいいんだ!」
シオン「また直せば済むことだろう。これを持っていろ」
俺「これは・・・自動小銃?」
シオン「もちろんわたしのお古だが。性能は保証する。・・・自分の身は自分で守れ」
俺「把握した」
小一時間後。
シオン「ふう、これでトライポッドは全部落ちたか」
俺「目算でもゆうに100は越えたな・・・」
シオン「ここで疲れていると身体が持たないぞ。そろそろ火星の私有軍隊の戦艦が到着する頃だろうな」
俺「そんなのまで来るのか・・・。でも、自衛隊とかもそろそろ動き出してくれるんじゃないのかな」
シオン「自衛隊というのは税金で動くのだろう?それなら、税金がまったくの無駄となるな」
俺「?」
俺「前みたいに先制攻撃は仕掛けないのか?」
シオン「思念武装は身体に負担がかかる。それにあれは消耗品だからな。あまり使いたくは無い」
俺「そうか、なら仕方が無いのか。
・・・あれが火星の戦艦とやらか?」
シオン「そうだ。地球のフネなどとは違い、一本の尖った大岩に砲塔が備えられたような感じだろう」
俺「つーか空飛んでるぞ!?」
シオン「半重力の応用だ」
俺「すごいんだな、火星って。ん、自衛隊の戦闘機か、あれ。」
シオン「恐らくそうだろう。しかし、ものの1分も持たないぞ」
俺「え?」
俺「あ、自衛隊がミサイル攻撃を仕掛けたぞ」
シオン「戦艦のフィジカルキャンセラーに弾かれて意味は成さないな。
たとえフィジカルキャンセラーがなくとも、装甲を突破することはできないだろうしな」
俺「じゃあ、どうすればいいんだ!?」
シオン「いくらわたしでも丸腰のままでは戦艦は撃墜できないしな・・・」
俺「その陽電子銃は?」
シオン「戦艦が、今度はビームキャンセラーを展開したらまったく役に立たなくなるな」
シオン「これ以上、地球にも被害を与えない方法は、わたしが捕まるしかないだろうな」
シオン「もちろん、そんなことをする気は毛頭ないが」
俺「じゃあ・・・どうするよ」
シオン「地球人が“核”とやらを使えば戦艦の1つぐらいは撃墜できるかもな」
俺「そんな・・・」
シオン「そんな困った顔をされてもな・・・」
そのころ、
火星人下っ端A「ここのアパートだな?」
火星人下っ端B「そうだ」
火星人下っ端A「やっぱり怖いよな。“冥府の魔王”とか呼ばれてたんだろ?」
火星人下っ端B「怖いよな。正直帰りたいわけだが」
火星人下っ端A「でも連れずに帰ったら火星で殺されるよな」
火星人下っ端B「仕方が無い・・・。突撃するぞ」
ピンポーン
俺「あ、誰か来たみたいだ。ちょっと出てくる」
シオン「わかった」
俺「はーい、どちらさま・・・ってうわ
あああ!」
シオン「どうした?」
火星人下っ端A「ひひひ、ノコノコと人質になるなんてバカなヤツ!」
俺「まさか火星人がチャイムを押すとは・・・」
火星人下っ端B「シオン、あなたを迎えに来た。この男の命がほしければ、我々と
一緒に来てもらおうか
シオン「姑息なマネをしてくれるな。」
火星人下っ端A「拉致に姑息も綺麗もあるかい!」
火星人下っ端B「どうするんだ?選択肢は二つのみだ。
火星へ行くか、行かないかの!」
シオン「考えるまでもないだろう?」
俺「は?」
シオン「すまないな、これでお別れだ」
火星人下っ端B「我々と一緒に来るということだな?」
シオン「ああ。でも1つ約束していただこう。戦争が終わればわたしを地球に返してもらう」
火星人下っ端A「なんて傲慢なやつだ。戦争の華となれるのに」
火星人下っ端B「いいだろう。約束しよう。・・・この男の命は助けてやろう」
火星人下っ端B「では、ついてきて貰おう」
俺「痛っ・・・シオン!」
俺「・・・待てよ!」
シオン「・・・」
俺「何で黙ってるんだ、なあ!?」
シオン「必ず帰ってくる。それまで待っていろ」
俺「おい・・・!?」
シオン「それ以上近づくと、いくらお前でも、排除するぞ」
俺「なっ・・・・・・」
火星人下っ端A「あー、捨てられちゃったんだな。可哀想に」
シオン「・・・どうやって火星に行くんだ?」
火星人下っ端B「向こうに我々の戦艦がある。それに乗ってもらう」
俺「・・・行っちゃったのか・・・」
触手「ぬう、せっかくここまで来たのに。ご主人が戦地に赴くとは・・・」
俺「うわっ、ど、どこからだ!?」
触手「後ろ後ろ!」
俺「後ろ・・・居ないじゃないか」
触手「お前の背中だ!」
俺「は・・・?・・・うわっ、俺に寄生しやがったのか!?」
触手「仕方が無い。それぞればらばらになってたのを、俺が召集をかけてここまで来たんだ。
宿主のだったザリガニはあの通りだ」
俺「ザリガニの干物状態だな」
触手「さて、長旅も疲れたし。ちょっと落ち着こうぜ」
俺「は!?シオンが行っちゃったんだぞ。それで落ち着けるか!」
触手「大丈夫だ。あの人は必ず帰ってくる。」
俺「でも・・・」
触手「絶対に帰ってくるさ。帰ってきたときは、笑顔で迎えようぜ」
俺「ああ・・・」
俺「なあ・・・シオン遅くないか・・・」
触手「戦争が終わってないんだろ。最近アンドロメダ連合軍の先駆隊を全滅させたらしいがな」
俺「なんで知ってんだ・・・?」
触手「言ってなかったか?我々、触手は一本一本に脳があるのだが、それらは見えない糸で繋がっている。
だから、他の触手たちとの情報交換なんてお茶の子さいさいなんだ」
俺「本当にお前らは便利でうらやましい・・・」
触手「あれから1ヶ月か・・・。早いものだな」
俺「本当だな・・・」
触手「それにしてもやつれているな。どうかしたのか?」
俺「お前が多めに俺から養分を盗ってるからだろうが・・・」
触手「ん?なあ、その自動小銃はなんだ?」
俺「シオンから貰ったやつだ。これで自分の身を守れってさ」
触手「ふむ、ふむ。これは自動小銃なんかじゃないぞ。
自動小銃型無線機、映像付きバージョン。」
俺「え?」
触手「ちょっと待て、電源をつけてご主人に連絡を入れてみるぞ」
俺「お、おう・・・」
触手「中々繋がらない。電磁波の妨害が強すぎる。ご主人は戦闘の真っ最中なのかもしれないな」
俺「そうか、なら、切ってくれ」
触手「いいのか?」
俺「ああ、シオンも向こうで頑張ってるんだ。また別の機会に通信できればいいと思うんだ」
触手「そうか・・・なら電源を落とすが。」
触手「それより、お前。何か食べないとまずいぞ」
俺「食うもんが無いんだよ。何か調達してくれよ」
触手「大佐!冷蔵庫裏にてアンパンを発見した!指示をくれ!」
俺「本当か!スネーク、そこを動くんじゃないぞ!」
俺「・・・これ?」
触手「ああ、変なキノコが生えてるが。なんら問題はなさそうだぞ」
俺「傘にブツブツはあるし・・・赤を基調とした美しいカラーリングだな・・・」
触手「食っちまえよ」
俺「俺を殺す気か」
触手「ほらほらほらほらほら」
俺「むぐっむむむーっ」
アンパン「ま、待て!俺を
食べるな!」
俺「はんはんは・・・(アンパンが・・・)」
触手「喋った・・・!?」
アンパン「俺だよ、プールで千切れた触手の一本だよ!」
アンパン「いや、助かった。本当にアンパンとして死ぬところだった」
触手「しかし動物などに寄生するキノコに寄生していたのか・・・」
俺「なんであのキノコに?」
アンパン「プールで千切れて、みんなばらばらになった後、俺は人に寄生しながらこのアンパンに
たどり着いたんだ」
アンパン「で、宿主の人間が力尽きて倒れたんで、アンパンの中にもぐりこんだんだ。
でも、アンパンから直接栄養を、俺たちは吸収できない。生き物ではないからな」
アンパン「そしてアンパンは袋に詰められ、ある人間が購入した。」
俺「誰?」
アンパン「ご主人だよ」
触手「なんと、これこそ運命・・・」
俺「どこのロマンチックな乙女だ」
アンパン「そして、いざ食われる、ってときに、そこの人間がご主人にエビとアンパンを交換しよう
と持ちかけたんだ。」
俺「あ、あの時の・・・」
アンパン「でも、結局このアンパンは食されること無く、なぜか冷蔵庫裏に捨てられてしまった。
そしてキノコが生えてきて、俺が寄生することができた、というわたしの人生の物語」
俺「大変だったな」
触手「とりあえず、お前は何番目の触手だ?」
アンパン「第三触手だ。」
触手「そうか、あのいつも控えめな弟だったか」
俺「お前ら触手って兄弟なのか?」
触手「ああ。全部で10本居る。俺は一番上の第一触手なんだ」
触手(第一触手)「とりあえず、今俺が宿っているこいつに寄生するといいぞ」
アンパン(第三触手)「すまない。恩に着る」
俺「単純に考えれば、持ってかれる栄養も2倍ってことだよな。」
第一触手「この弟は控えめだからな。せいぜい1,5倍といったところだな」
俺「それでも・・・きついような」
第三触手「気を悪くしないでくれよな」
俺「・・・はぁ。とりあえずシャワーでも浴びよ」
俺「ああ、やっぱり夏はお湯を出さずに水だけに限る」
第一触手「シンイチ、冷たい。なんてな!」
第三触手「あははは!」
俺「明日から絶食しようかな」
第一触手「嘘です、すいません」
俺「そうだ、そろそろシオンに連絡とって見ないか?」
第一触手「たかが小一時間程度で戦闘が終わるとでも・・・?」
俺「お前ら、シオンの方の触手とデータ交換できるんだろ」
第一触手「しかし、今はなぜか通信ができないんだ。戦争で大規模破壊兵器でも使ったのかも」
第三触手「それなら仕方が無いな。」
俺「そうか・・・ならこの通信機でも無理なのかな・・・」
ピピッ ガガガガッ
俺「うおっ、通信機が!?」
第一触手「向こうから受信したらしい。電源をONにしてデータ接続を試みるぞ」
俺「任せる」
第一触手「繋がったようだ」
第三触手「流石兄貴!機会弄りは得意だな」
シオン「聞こえるか?」
俺「シオンか!?」
シオン「そうだ。映像、音声、ともに感度良好だな」
シオン「現在、火星の軍隊どもがアンドロメダ連合軍の最終掃討をしているところだ。」
俺「シオンは休んでていいのか?」
シオン「いや、とある星の裏でサボっている」
第一触手「ご主人!ずいぶんとお久しぶりで」
第三触手「俺も居ますよ」
シオン「ふむ。順調に触手は集まっているな」
俺「どういうことだ」
シオン「わたしから、千切れた触手にお前のところへ向かうよう命令しておいた。
一週間もすれば全てそろうと思う。」
俺「マジか」
シオン「ああ。だから面倒を見てやってくれ。それでは、わたしは任務に戻るので、接続を切る」
俺「わかった。元気そうで安心したよ」
シオン「わたしもだ。それではまた連絡を入れる・・・」
第三触手「聞いたか?俺たち触手は全員そろうぞ」
第一触手「よかったな弟よ!」
俺「単純に考えて、現在の状況よりも、5倍も栄養を持っていかれるのか・・・」
それからしばらくして・・・
俺「げっ、いつのまに右足に寄生しやがった!」
俺「お、猫か・・・かわいいな・・・って、触手が寄生してやがる!」
俺「ご、ゴキブリにまで・・・」
俺「なあ・・・これで何本触手集まった?」
第一触手「掛け声始め!1!」
第二触手「2!」
第三触手「3!」
第五触手「4!」
第六触手「5!」
第七触手「6!」
第八触手「7!」
第九触手「8!」
第十触手「9!」
第一触手「9本だ。あと残ってるのは4番目の弟だけだな」
第二触手「ああ、だめだ。あいつはノロマだからきっとどこかで干からびてるだろうさ」
第八触手「あいつは昔っからそうだったな。」
俺「お前らは兄弟を思う気持ちはないのか」
俺「おい、俺が人間じゃなくなっていくぞ」
第一触手「背中に集合していたら背中の筋肉とかが腐るぞ」
第五触手「こうやって分散したほうが便利でごわす」
俺「第五、その喋り方をやめろ」
第五触手「そ、そんな。基本的人権は守ってほしいでごわす」
俺「お前らなんか人間じゃねえ」
第三触手「な、なあ。ご主人に連絡入れなくていいのか?」
第一触手「あ、ああ・・・そうだったな」
第七触手「これが通信機か?」
第一触手「そうだ。これをこうしてこうすれば・・・」
ガピー ザザー
シオン「ん、何か音が・・?」
俺「あ、映像が入ったのか?」
シオン「これの音だったか。どうだ、触手は集まったか?」
俺「ああ。どうもあと一本来てないみたいだが。」
シオン「そうか・・・。それはそうと、そろそろそっちに戻れそうだ」
俺「早!」
シオン「連合軍が無条件降伏を受け入れたからな」
俺「早く帰ってきてくれー。俺、触手たちに栄養吸われて死ぬかもしれない」
シオン「うむ。できるだけ早く帰れるようにする。では、また」
ドンドン
俺「ん?誰か来たのか?」
第一触手「誰だろうな」
俺「さあーな。・・・どちらさまです・・・。ライオン?」
第三触手「ライオンだな。」
第八触手「これがライオンとやらなのか・・・」
第四触手「みんな、すまない!」
第一触手「4の弟か!?」
第四触手「ライオンに寄生してここまで来たんだが・・・制御がうまく利かないんだ!
このライオンを殺してくれ!」
ライオン「がう」
第一触手「よし、今夜はライオンの肉でパーティだ!行くぞ野郎ども!」
触手一同「おう!」
ライオン「うがああああああう!」
第一触手「第六!腹にいったぞ!」
第六触手「おうよ、よし、ライオンの右腕を封じたぞ!」
第一触手「次、第二、第三、第五。獅子の四肢を封じろ!なんちゃって」
俺「・・・」
ライオン「ぐるるるるる・・・」
俺「流石の百獣の王も、手も足も出ないってことだな」
第四触手「ああ、助かった・・・。ありがとうみんな」
第一触手「何を言ってやがる!困ったときはお互い様だろう。なあ、そうだろみんな!!」
第五触手「そうでごわす」
第三触手「そうだ、そうだぞ!」
俺「早く帰ってきてくれ~シオン・・・」
ライオン「Zzz・・・」
第一触手「さて、第四の弟も喉に寄生したし、これで全員そろったな」
俺「あーあ、さっさとシオン帰ってこないかな」
第五触手「わし達といるのがいやでごわすか!」
第十触手「べっ、別に、ご主人までの中継ぎなんだからな!」
俺「黙れ男ツンデレ」
俺「それより、このライオンどうするよ」
ライオン「がう」
第一触手「すっかり懐いてしまったな」
俺「食べるわけにもいかないし、お引取り願おう・・・」
俺「ほら、もとの動物園に帰っていいんだぞ」
ライオン「ぐるる・・・」
第六触手「ちくしょう、猫の目で見つめやがって!」
俺「今だ、ドアを閉めるぞ!」
バターン
第五触手「鬼でごわす!」
俺「うるせえええ!俺はもう寝るぞ!!」
第一触手「おい、シンイチ。絶食は身体に毒だぞ」
俺「誰だよシンイチって!」
第一触手「コナン=シンイチ」
俺「それはない」
それから三日後
シオン「おい、居るか―――」
俺「オ・・カエリナ・・サ・・イ・・・」
第一触手「ご、ご主人・・・ごぶさた・・・です・・・」
シオン「わたしの料理がうまいからといってがっつくのは、よくないぞ」
俺「ハムッ、ハフハフ、ハフッ!」
触手一同「ああ・・・栄養がみなぎって来るぜ・・・!」
俺「ちくしょー!食っても食っても端から養分を吸われていくううう!」
俺「なあ、シオン。帰ってきてすぐに悪いんだが、この触手を取ってくれないか?」
シオン「別にいいが、触手たちがいいのならな」
触手一同「ぜひ、ご主人様のお傍に置いてください!!」
俺「・・・頼む」
シオン「わかった。お前たち、帰還命令だ。」
触手一同「うっしゃあああ!」
俺「ああ・・・体が軽くなっていく・・・!」
シオン「あっ」
俺「ビクッ」
シオン「んあっ!・・・す、すまない。触手を神経に接続するとき・・あっ
どうしても、声が、んっ・・・出てしまうのでな・・・あんっ!」
俺(火星人も大変なんだな・・・)
俺「なんでここにいるんですか、ユウコさん」
金星人「不倫しに来ました」
俺「はあ?」
金星人「さあ、わたしの胸に飛び込んで来るのです」
俺「ちょ・・・俺の自我が残ってるうちに誘惑はやめたほうがいいですよ」
金星人「はい、鬼さんこちら・・・手のなるほうへ・・・どんなに逃げても捕まえてあげる・・・!」
俺「アッー!!」
俺「そういや、ユウコさんはなぜ腰の手術を?」
金星人「分離できるってかっこよくないですか?」
俺「あ?」
金星人「すいません、嘘です。実は事故で大怪我しちゃったんですねー」
俺「大怪我?」
金星人「歯車ってありますよね。金星のわたしが住んでいる町にはおっきな歯車をつかった
時計塔があるんです。」
俺「ほうほう、それでそれで?」
金星人「面白そうだから、って時計塔の中で遊んでたら歯車に挟まっちゃったんですよ」
金星人「びっくりしましたねー。腰がメキョメキョ音立てて折れて、しばらくしたら裂けちゃって
臓物まででてくるんですから。」
俺「よく助かりましたね」
金星人「金星の医学力は太陽系一ですからね」
俺「金星で豊胸手術は発達してますか?」
金星人「豊胸ってなんですか?」
俺「ああ、いや。なんでもないです」
俺「ん、またその野良猫にエサやってんのか」
シオン「ああ。この顔を見ているとなんだか共鳴するものを感じてな」
俺「性格か」
シオン「わたしは性格が猫っぽいか?」
俺「自由気ままでマイペース。鏡で映したかのようだ」
シオン「ほう」
俺「“猫シオン”なんてキャラ作りでもするか?」
シオン「いや、それはやめておく」
俺「また連れてきたのか」
シオン「ああ。雨の中で濡れていたんだ。放って置けるわけがないだろう」
俺「ふーん。それにしてもこの猫、かわいいな」
シオン「わたしが見込んだだけはあるだろう」
俺「名前とか付けてみるか?」
シオン「例えば?」
俺「ジェネッタくん」
シオン「却下」
俺「なかなかいいと思ったんだが・・・」
俺「今日は親愛なるシオンにエビフライなるものを伝授しよう」
シオン「エビ?フライ?エビとハエのキマイラか?」
俺「何MOTHERチックなことを。れっきとした料理だ。」
シオン「本当か!?期待させてもらおうか」
俺「できた、人生の中で最高の出来・・・だと思う」
シオン「エビに衣をつけて揚げたものだな。ではいただくとしよう」
俺「ちょっと待て、ここで究極の選択が待っている」
シオン「?」
俺「エビフライにソース・醤油のどちらをかけるのか、選ぶんだ」
シオン「じゃあ両方」
俺「げっ、外道!」
シオン「勝てば官軍、うまけりゃ王道だ」
シオン「・・・両方は流石にまずかったな」
俺「そうだろ」
シオン「やはり何も無いほうが一番いいと思うのだが」
俺「俺は断然醤油派」
シオン「宿題を手伝ってほしい・・・と?」
俺「頼む。国語のワーク一冊丸々とか無理だろ」
シオン「手伝ってやってもいいが・・・その前に足を舐めておねだりしたら手伝ってやってもいい」
俺「てめぇ、俺の漫画読んだな」
シオン「さあて、何のことかわからないな・・・」
俺「まぁいい、お前にM開発されたから足を舐めるなど躊躇するにも値しない」
シオン「毒が塗ってあってもか?」
俺「ああ。」
シオン「そうか、なら止めはしない。心行くまで舐めていろ」
俺「そうか、把握した。では・・・ベロリ
・・・う”っ!」
シオン「わたしが本当に毒を塗らないとでも思ったか!?」
俺「ふ・・・お前のために死ねるなら本望・・・さ・・・」
俺「という正夢を見たんだ」
シオン「勝手に正夢と肯定するな」
俺「はぁ・・・血の繋がった姉か妹ってほしいよな・・・」
シオン「何だ、居ないのか?」
俺「俺は一人っ子なんだ」
俺「まぁ、お前には居ないだろうが・・・」
シオン「双子の姉が」
俺「嘘だろ」
シオン「そう思うなら、そう思っていればいい」
最終更新:2006年08月28日 23:44