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シオン「まずいことになったぞ」
俺「どうかしたのか?」
シオン「人間状態のわたしの姿が1つに固定化されてきた」
俺「もう少し簡単に、なおかつ複雑に教えてくれ」
シオン「わたしは今まで、視認した人間に変身が出来たのだが、できなくなってきた」
シオン「つまり、今のわたしの姿が人間状態として固定されてきたのだ」
俺「もう少し簡単に・・・」
シオン「だから、わたしは今の姿から、別の人間の姿に変身できなくなった。
    火星人の状態になるのは可能なのだが」
俺「なんだってー!」
シオン「火星の食べ物や、火星の大気に触れなくなったせいなのか。退化してきたのかもしれないな」
俺「退化のメカニズムとは、その部分や機能が必要なくなったからしだいに消えていく、と、まあ
  こんな感じだよな」
シオン「お前がこの姿しか必要としていないからな」
俺「そんなわけないよー。タコでもシオンはシオンなんだヨー」
シオン「なら火星人の姿でも抱擁してくれるか?」

シオン「・・・なんてな。今のは忘れておいてくれ」
シオン「それより、そろそろ朝食にしないか?」
俺「あ・・・ああ。確か冷蔵庫にこの前のエビフライの残りがあったな」

俺「一人で食べすぎだぞ」
シオン「小皿に分けないからだ。大皿に盛るときは一人一人の取り分など存在しない。」
俺「シオンはエビフライの尻尾も食べるんだな」
シオン「うむ。尻尾を味わえずに、何が美食家か。
    この世の全てのエビ?ふん、わたしを喜ばせたいのならその3倍はもってこいというのだ」
俺「そのキャラやめてくれ」
シオン「そうだ、伊勢海老のエビフライも食べてみたいな」
俺「だったらお前もたまにはバイトしてくれよ」
シオン「そうだ、あとで豆乳を持ってきてくれ。朝食の後は豆乳に限る」
俺「最近やけに豆乳を飲むようになったな」
シオン「豆乳のもたらす効果を知れば誰でも飲みたくなるものだ」
俺「・・・?何か効果あったのか?」



ピンポーン
俺「あ?まだ朝の6時だぞ・・・なんだってこんな時に・・・?」
ガチャ
俺「はーい、どなたっすかー」
?「ええと、こんな早朝にすまないが、1つたずねてもいいかな」
俺「はあ」
?「この部屋に火星人が住んでいるだろう?」
俺「え・・・」
?「わたしに隠し事は通用しない。ちょっとあがらせてもらうぞ」
俺「あ、ストップ、ストップ!」
シオン「なんだ・・・こんな朝早くに・・・?」
俺「あ、出てくんなって!」
?「やはりここか・・・。エレ・・・いや、地球ではシオンだったか・・・」
シオン「ま、まさか・・・」
俺「シオン、向こうに行ってろって!」
シオン「姉さんなのか・・・?」


俺「はぁ?」

シオン「外見は知らないが・・・独特の雰囲気でわかるぞ」
俺「ほ、本当に姉妹が存在したのか・・・」
姉「どこに行ったかと思うと地球に住んでるって聞いたからさぁ。ちょっと遊びに来てみたんだけど?」
俺「いやいや、あなたみたいな美人な方なら定住されても困ら・・・」
シオン「近づくな。0.001秒で首を折られるぞ」
俺「は?」
姉「流石、対なる力の持ち主の妹だね。わたしの能力はお見通しなんだね」
シオン「わたしは絶対的な火力を持ち、姉さんは絶対的な運動能力を有している」
俺「つまり白兵戦向きということか」

シオン「以前、組み手をしたらボッコボコにされたこともある」
俺「以前って、火星で?タコの状態で?」
シオン「無論、そうに決まっているだろう」
俺(タコ同士の・・・格闘・・・)
姉「それより、玄関で会話をするのは訪問客にとって失礼じゃないの?」
俺「あ、そうっすね。何も危害を加えないのならどうぞ」
姉「おじゃましまーす」

姉「わたしの名前、教えておいたほうがいいかな?」
俺「あ、シオンは名前を知らないのか?」
シオン「火星での呼び名は知っているが、地球での呼び名は聞いていないからな」

姉「・・・申し遅れました。太陽系第四惑星、火星軍所属、地球呼称名カレン、と申します。
  よろしくお願いします」
俺「ああ、こちらこそ・・・」
シオン「握手したら手を握りつぶされるぞ」
俺「ビクッ」
カレン「何よ、そこまで言わなくたって・・・。でもその恐れはあるかも」
俺「ちくしょう、火星人不信になっちまうぜ・・・」

シオン「で、姉さんは何をしに地球に来た?」
カレン「ちょっとした忠告。」
シオン「わたしの人間時の容姿の固定化のことか」
カレン「ご名答」
俺「何の話っすか」

カレン「地球人が知ることではない。・・・といいたいけれど、特別に話してあげる」
カレン「わたし達火星人は、視認した者に変身することが出来る。これは多分知っていると思うけど。
    でも、変身し、人間状態になったといえど、中身はほとんど火星人。だから人間としての機能は
    ほとんどないの」
俺「つまり、見た目は人間。中身は火星人。ってこと?」
カレン「そう。でも、人間状態を維持し続け、なおかつ地球の大気や瘴気に触れていると、人間時のみ、
    限りなく人間に近くなっていく。火星人の姿には戻れるし、火星人としての能力もそのまんまだけれど」
俺「触手はどうなるんですか?」
カレン「触手は外部機器みたいなものだから、影響は受けないの。」
俺「なんと便利な」
カレン「・・・と、まあこんなところ。そこで、わたしはシオンに火星の食べ物をいくつか持ってきたんだけど」
シオン「わたしに人間のいらない機能を捨てさせるためか?」
カレン「ええ。このままではあなたの人間状態はひ弱な人間そのものになる。そうしたら、戦争で不利になる
    でしょう?」
俺「あの・・・人間状態と戦争に何の関係が?」
カレン「あら、知らないんだ。今、宇宙の戦争は、地球の人間をお手本に行われているようなものなの」
俺「え?」
カレン「わかりやすくいうと、姿を自由に変えられる宇宙人は、身体を人間と同じ形状にして、戦闘するように
    なってきているの」
俺「何で?」

カレン「だって、火星人のままと、人間の状態で戦うの、どっちがやりやすいと思う?」
俺「なんとなく・・・人間?」
カレン「そう。本来の人間は弱いけど、わたし達はその弱さを補える。
    人間の形状は瞬発力も、腕力も火星人の姿で戦うよりも数十倍に跳ね上がるの」
俺「へぇ~」
カレン「と、いうわけで。シオンはどうする?」
シオン「別に、火星の食べ物を食べるつもりはない。エビがあればそれでいい」
カレン「エビ?」
俺「あ、これです」
カレン「ど、どうも奇怪な食べ物ね・・・いただいていい・・か・・な?」
俺「どうぞ、どうぞ」
カレン「じゃあ、いただきます・・・」
シオン「どうだ、おいしいだろう?」
カレン「まっず!・・・ペッペッ」
俺(タコの癖にっ!)

シオン「!捨てるな、勿体無い!」
カレン「え、あ、ちょっ・・・んむぅ」
俺「ついに一度噛み潰されたものを口移しで奪うつもりか・・・
  流石の俺でもそれは引くわ」
俺「ま、これも素敵な姉妹愛ということで目を瞑ろうではないか。」

カレン「うぇ~人間でのファーストキッスをシオンに持ってかれちゃった・・・」
シオン「なんだ、それは。食べれるのか?」
俺「不憫な姉だな」
カレン「でも、こんな食材があったなんて。軍の学校では地球科を専攻してたんだけどな・・・」
俺「いつか、別の火星人もそんなこと言ってたな」
シオン「それより、忠告は終わった。なら、帰ったらどうだ、姉さん?」
俺(怒ってるのか)
カレン「うん、そうする。でもまた遊びに来るからねー」
俺「さよーならー。夜道には気をつけろよ」
シオン「まったく、興が削がれたな。何かエビで料理を作ってくれないか?」
俺「まだ食うんかい」


数日後。
俺「今日の夕飯は何にするかなー・・・」
カレン「お邪魔しまーす」
俺「また来た!?」
カレン「晩御飯のおかずになるような物を持ってきたよー。地球の料理に興味があったから作ってみた
    んだけど」
シオン「なんだ、この人間の小腸を茹でたようなものは・・・?」
俺「ん、スパゲッティーじゃないか?」
シオン「本当か?」
カレン「シオンにはシオン用のシーフードのも持ってきたよ」
シオン「シーフード?」
俺「魚介類盛りだくさんってこった」
カレン「そちらの人間のオスには牛肉入りのを作ってみたんだけど、どうかな?」
俺「牛肉入りって・・・牛肉の中にスパゲッティをオマケで入れてみました、な感じになってるんだが・・・」
カレン「気にしない、気にしない。それでは、わたしは帰るね」
俺「行ってしまわれた」
シオン「シーフードというのも中々おいしいな」



365日リアルタイムで繰り広げられる18禁ビジュアルノベル「俺の彼女は宇宙人」発売未定!
今回はその中のデッドエンドをご紹介しよう。平均コンプリート時間はざっと5年


240日目
シオン「おい、山を歩いてたらこんな動物を見つけたぞ」
俺「ん?これは熊の子どもじゃなかろうな?」
シオン「ほぅ、熊というのか。じゃあ今日の夕飯は熊鍋だな」
俺「バカ!親が子どもを捜しに来たら・・・
  ・・・シ、シオン・・・後ろ・・・」
シオン「後ろがどうかしたのか・・・?」
クマ母「ルオオオオオアアアアアア!!」
シオン「あ――」
ドシャッ
            [dead end]


金星人「はーい、ユウコさんの補習授業始めますね」
俺「はーい」
金星人「実はこのシオンちゃんが熊の子を連れてくるイベントは必須イベントなんですねー」
俺「ん?じゃあどうやって回避するんですか?」
金星人「そうですねー。ちょうど150日目に現れるカレンさんと親交を深めていると助けに来てくれますし、
    そのときに、シオンちゃんにカレンさんの持ってきた火星の食べ物を食べさせておくと反撃してくれます」
俺「なるほど。シオン寄りに攻略しちゃダメだってことですね」
金星人「そうですよー。シオンちゃんと会ったときから人間化は進んでますからねー。注意ですよぉ」



俺「ん~・・・もう朝か・・・」
俺「おい、シオン起き―――」

ヒュルルル   ドンッ

俺「うおおおああっ!朝っぱらから部屋が爆発!?」
シオン「なんだ、何が起きたんだ?」
俺「いや、物が落ちてくるような音がして、そんで爆発して・・・」
シオン「・・・?とりあえず、外の状態を確認することが先決だ」
俺「おう」

俺「おい、なんだありゃ」
シオン「戦艦だな。どこの星の物かは知らないが」
俺「またシオン絡みか?」
シオン「そんな感じはしないな。むしろ、町の攻撃に精を出しているようだぞ」
俺「はぁ・・・?」
バタンッ
カレン「大変大変。大マゼラン銀河の奴らが太陽系を攻撃しにきたみたい。」
カレン「火星チャンネルに繋いでみたらもう、冥王星の最終防衛ラインは突破されてるってさ」
シオン「これはまた大変なことになったな」
俺「何、何事!?」
シオン「地球には宇宙に進出する力だ無いからな。手始めに地球を侵略するつもりだ」
カレン「そうね。でも黙ってるわけにも行かないじゃない。」
シオン「打つ手はあるのか?」
カレン「一応、火星から収束重火器をいくつか持ってきておいたんだけど」
カレン「あの戦艦程度ならがんばれば落とせるんじゃない?」

シオン「荷電粒子砲に、超大型ポジトロンライフルに・・・」
俺「何を始める気っすか」
カレン「あの異星人の戦艦を落とすの」
俺「一体、何が起きたんだ?」
カレン「大マゼラン銀河から敵が進行してきたの」
俺「つまり戦争ってことか」
カレン「ただの戦争じゃない。全ての銀河が関わる、第一次大宇宙戦争ってところかな」
俺「・・・地球は、大量の資源と、防衛力の無さが、最初の標的にされた理由か?」
カレン「ご名答。財布に10万円も持っている人間が、べらぼうに弱かったらお金を奪うでしょう?」
俺「いや、そんなことはしないけど」
カレン「今の宇宙はね、そんな甘ったるいこと言ってられないの。いつ尽きるかもわからない資源で、細々と
    生活している星もあるってことを、忘れないでね」
カレン「はい、ポジトロンライフル。あなたもこれで応戦してね」

俺「・・・はぁ?」

俺「絶対無理だ!むりむりむりむりむりかたつむりだ」
シオン「いいか、戦艦の動力部を狙え」
俺「わかるか!それより、こういう武器って電気はいらないのか?」
カレン「これがあれば大丈夫。火星で生まれた長圧縮乾電池」
俺「見た目は地球にある単一電池なんだけど」
カレン「それ一本で、地球のジャンボジェットだって動かせるわ」
俺「嘘ぉ」
カレン「ポジトロンライフルに使うと、50発程度しか撃てないけどね」
俺「ちゃんと、戦艦を落とせるんだよな?」
シオン「敵の戦艦がよほど強いシールドを展開していなかったら大丈夫だと思うが」
俺「なんたって別銀河の敵だもんな・・・」

シオン「では、先頭の戦艦から落ちてもらうとしよう」
カレン「シオン、狙撃は苦手分野だったけど克服したの?」
シオン「いや・・・」
俺「え、でも前のトライポッドの時は・・・」
シオン「姉さんはわたしよりも上手いぞ。狙った部分を1mmもはずさないからな」
俺「ふーん・・・」

さて、誰が狙撃をするか――
  シオン(出力最強の荷電粒子砲)
  カレン(一般的なビームを利用したスナイパーライフル)
  俺  (ポジトロンライフル)

俺「やっぱり狙撃上手のカレンだろ!」

カレン「では、いきまーす」

ドシュッ
カキーン

シオン「なっ、A.T.フィールド!?」
俺「なにいいいい!?」
カレン「しまった、気づかれた!伏せ―――」

―俺の記憶も、精神も、肉体も、そこで全てが蒸発した
                    [dead end]


金星人「はい、365日目、つまるところの最終日です。ここで最後のイベント、“大宇宙戦争”が
    開始されます」
俺「狙撃上手、といって決めるのは死亡フラグだったのか」
金星人「そうですねー。あなたに期待は何も出来ませんから、シオンちゃんに任せるのが一番だったでしょうね」
俺「シオンがあんなこというから心が揺らいでしまった・・・」
金星人「こればっかりは仕方が無いです。ちなみにこのゲームはオートセーブや、手動セーブなんて洒落た機能は
    ないので、最初からやりなおしましょうー」
俺「まさに鬼畜」

もし、シオンを選択した場合


俺「いくらカレンが狙撃上手といっても、それは微々たる差。シオン、お前にお願いする。」
シオン「わかった。せいぜい期待に答えられるようにする」
カチッ ドシュンッ
俺「相手のシールドらしきものを貫通したぞ!」
シオン「だめだ、失敗だ。わずかに動力部を外したな」
俺「え・・・?」
シオン「これで、わたし達は終わりだ。今度生まれ変わったら、人間同士で会いたいものだな」

―その時、シオンは不器用にも俺に微笑みかけた。今まで、最高の笑顔だった。

                              [dead end]


金星人「はい。どうも。どの選択肢を選んでも出て来そうに無い、わたしです」
俺「これ、本当にデッドエンド以外の終わり方があるんですか?」
金星人「ちゃーんとありますってば。ちなみに、先ほどの選択肢で、シオンちゃんを選択すると
    CG回収できるのでお忘れなく。また最初からしないといけませんが」
俺「また1年これで無駄になるな・・・」


シオン「なあ、この外で降っているを水を、雨というのか?」
俺「そうだけど」
シオン「雨もやはり水なんだよな?なら、外に出ないわけには行くまい」
俺「ちょ、風邪引くぞ!」
シオン「何、腐っても火星人。風邪など引くわけが無いだろう」
俺「待てよ!こうなったら俺も行くぞうわああああああああ」

俺「びえっくし!」
シオン「へくちっ!」
俺「あ~風邪引いちまったな~ズルズル」
シオン「そうだな~ズルズル」



俺「さて、もっともベタなエンディングといえば?」
シオン「やはり、主人公が死ぬか、ヒロインが死ぬか、だろうな」
俺「シオンは人間化が進んでるからな。死亡率が高いぞ」
シオン「そのときはお前を盾にする。なに、冥王星人だから死にはしないだろう?」
俺「この外道め!」




シオン「ふぅ・・・また朝か・・・」
シオン「ん、やけに・・・下半身が冷たい様な・・・?」

俺「なんだよー。まだ朝の6時なんだが」
シオン「大変なんだ!股から出血しているんだ」
俺「なんですと!」
シオン「これは病気の類なのか?」
俺「まさか・・・月経っすか!しかも初経になるのかな」
シオン「なんだ、それは・・・?」
俺「人間の生理機能だよ。まぁ、何ていうの?
  子どもが生める体になってしまったというわけだな」
シオン「何!?」
俺「そこまで驚く・・・よな。」
シオン「子孫を生む体が完成するということは、99%人間と同じことになるんだ!」
俺「つまり、人間状態のシオンはまさに人間と、ということか!」
シオン「そうだ!・・・ん?でもあまり困らない気がしないでもないのだが」
俺「何ゆえ?」
シオン「お前の・・・わ、わたしに全て言わせる気か?」
俺「だって、なんの事だかわかんねーもん」

俺「あ、今日は銀行で金下ろさないとなー」
シオン「わたしも同行する」
俺「あんまり面白くないぞ」
シオン「いけないのか?」
俺「そういうわけじゃないんだけど」
シオン「なら、さっさと行くぞ」


俺「おい、ベタベタしすぎだぞ」
シオン「そうか?手を繋いでいるだけだろう」
俺「前はこんなことなかったけどな」
シオン「さあな。わたしにもよくわからない」
俺「生理機能の追加に合わせて性欲も追加されたか?」
シオン「周りの人間がものめずらしそうにこっち見てるぞ」
俺「シオンが手を繋いでるからじゃないのか?」
シオン「お前が性欲だの言ってるからだろう」
俺「あ、なーる。」

俺「さて、着いたぞっと」
シオン「どうやって金を下ろすんだ?」
俺「機械をいじって、まあいろいろと」
シオン「触手からハッキングするか?」
俺「やめなさい」
シオン「いくら下ろすんだ?帰りに伊勢海老を買う分も忘れないように」
俺「1000円の安物な」
シオン「そんなに安いものはないだろう」
俺「俺の友達なら最高の物を1000円で売ってくれるんだぜ」
シオン「ああ、あの夜店の時の・・・」


俺「さて、無事に下ろせたし、友達のとこに寄りますか」
シオン「実に楽しみだな」

?「こちらキラーC。目標の二人組みを見つけた。人気の無い場所に出しだい、殺す」

男「で、俺のところに伊勢海老を売ってほしいと?」
俺「頼むよ。一尾1000円で」
男「うーん、夜店の事もあるしなぁ。もうチルドは送り終えちまったけど、売ってやるわ」
俺「おお・・・恩に着る」
男「いっそのこと5尾で3000円にしちゃうぜ!!」
俺「勇者、おまえは勇者だよ!!!」
シオン「10尾で5000円にしてくれ」
男「なっ・・・!?」
俺「ちょ、シオン!」
シオン「嘘だ。気にしないでくれ」
男「ふぅ~・・・お前の彼女は本当にハラハラさせてくれるな」
俺「彼女に見えるか?」
男「おう、バリバリ見えるぞ」
俺「そうか・・・。ほら、3000円だ」
男「毎度ありー」

シオン「5尾もあれば、いろいろできるな。てんぷらに活き作りに・・・」
俺「はい、妄想禁止ー。帰ってから妄想しよう、な!」

?「・・・こちらキラーC。人気のない路地裏に入ったようだ。これより作戦を開始する。」

俺「この裏路地と通れば、すぐにアパートに着くんだ」
シオン「ふーん。で?」
俺「で?って・・・もうエビのことしか頭に無いな」
?「止まれ」
シオン「!?」
俺「?」
?「シオン、―――エレイルミィ=リブルートか?」
シオン「ふん、火星時代の名前を持ち出すなんてな。そうだ。わたしがエレイルミィだが」
?「悪いが、死んでもらうことになる」
シオン「依頼主は誰だ?」
?「それは依頼主により、解答が許可されている。リブルート卿からの命令だ」
シオン「父さん、か・・・。ついにわたしを消しにかかるつもりか」
?「伝言は伝えた。死んでもらう」
シオン「わたしがタダでやられるとでも・・・?」
俺「これは・・・?」
シオン「火星の暗殺者だ。見た目は人間だが、迷うな!」
俺「それってどういう――」

?「なるほど、この地球人、いや。冥王星人が弱点か?」
俺「な!?」
?「ほう、わたしのナイフをよけるとは・・・。よほど冥王星人の血が濃い地球人と見た」
シオン「後ろがお留守になっているぞ!」
?「無謀な・・・。人間に近づいている貴様にわたしが負けるわけがなかろう」
バキッ
シオン「ぐっ・・・」
?「ナイフを使わず、このまま嬲り殺しといくか!?」
俺「シオンを・・・離せ・・・!」
?「上段、蹴りか。冥王星人であろうと20何年も地球に居たお前なんかに・・・!?」
 ゴキッ
?「がぁっ!?こんな脚があるなど・・・」
俺「もいっぱつああああ!」
?(パンチ!?顔面か?マズイ、体に力が――)

 メ メ タ ァ

?「あ・・・がふっ・・・」
俺「・・・倒れたか?」
シオン「そのようだ・・・」
俺「大丈夫か、殴られたところは・・・」
シオン「左腕の骨をやられたな。これほど人間の骨格の弱さを思い知るとはな・・・」

?「ひひっ、まさかこの俺がよぉ・・・。こんな冥王星人にしてやられるとは・・・
  こいつはメチャ許せんよなぁ・・・?」

シオン「どうやら、まだ骨を再生するぐらいはわたしにも出来るようだ」
俺「ああ、よかった・・・」
シオン「とにかく、一端アパートへ・・・」
俺「どうした・・・?」
シオン「あ・・・、あ・・・」
俺「だからどうし――」
?「あはははは!もうこの町なんてどうでもいい!思念武装で根こそぎ破壊すりゃァァァよお!!」
俺「まだ生きてた・・・!?」
?「思念武装“Zabaniya”発動!くはははは!全員、全部殺してやるゥ!!!」

シオン「まずい、こいつだったのか・・・」
俺「知っているのかシオン!?」
シオン「こいつは火星軍の暗殺部隊の隊長だ。思念武装は“ザバーニーヤ”。自分を中心に、半径20kmに
    存在する生命体を奈落の底に引きずり込む」
俺「最高にやばいな」
シオン「もう、終わりだな。何もかも。
        ・・・おい、何をするつもりだ?」
俺「何って、あいつの思念武装が発動する前に止める。シオンは戦えないだろう」
俺「じゃあな、生きてたらかえって伊勢海老食おうぜ!」



――それが、わたしの見た、彼の最後でした。



住職「ほぅ・・・なんとも映画の中のような話ですじゃ」
シオン「信じることはなかなかできないでしょうが・・・事実なんです」
住職「わしゃ、信じるよ。あんたの目は真実を話す者の目だ」
シオン「そうですか、ありがとうございます」
住職「しかし、あなたも毎日このお墓に来ていらっしゃるが・・・」
シオン「今日が、彼の亡くなった日なんです。そして誕生日でもあるんです。
    だからこれをお供えしようと・・・」
住職「これは・・・干し肉のかけら・・・?」
シオン「はい、わたしの左腕の肉を干したものです。せめて、彼がわたしを近くに感じていられれば、と思って・・・」
住職「変わった人だ・・・。よほど、その男性を愛していらっしゃったんですなぁ」
シオン「結局、一度も告白はできませんでしたけどね」
住職「そうですか・・・。では、この肉を彼の墓の中に入れておいてあげましょうか」
シオン「ありがとうございます」

シオン「あいつが死んで、もう10年か・・・。ほんと、月日が経つのは早いものだな・・・」


カレン「あ、おかえりー。墓参りお疲れだったね」
金星人「誕生日会の準備はできてますよ」
シオン「ああ、ありがとう。では、始めるか」
カレン「ケーキにろうそく挿入完了!」
金星人「点火しますです、サー!」
シオン「まったく、誕生日と命日が同じなんて、皮肉だな」
カレン「それはもう仕方が無いね、なんていか・・・はは」
金星人「そうですよぉ。そんな言い方は・・・」
シオン「お、おい。辛気臭くなる前に始めるぞ。いいな」
カレン「はいはい、では、いっせーのーでっ」

「33歳の誕生日 おめでとう」

 あの日以来、わたし達姉妹は、火星人としての能力を封印し、人間化の進行を促した。触手たちは個別で
移動ができるようにし、遠い山に放した。しかし、20本のうち3本がこのアパートの一室に帰ってきて、
今もペットとして同居している。
 あの日、あいつはザバーニーヤ発動中だったキラーの頭をひねりつぶした。その事もありザバーニーヤは
暴走を起こし、キラーとあいつだけを奈落の底に引きずり込んでいった。精神状態がおかしかったのか、見えも
しないあいつの顔が笑っていた気がした。
 今、完全に人間と化したわたし達は、あいつとわたしが住んでいた部屋を使っている。最近は腕力も人間と
同じレベルまで退化し、たびたび苦労している。今では思う。あいつの力を借りれたら、どんなに楽なのだろうかと。
しかし、いつもそこまで考えただけで、足がガクガクと震え、目から涙が頼んでもいないのに出てくる。
これがあいつを守れなかった代償だ。守る、と約束しておいて、守れなかった・・・代償。

キミはわたしに微笑んだ  わたしが冷たく突き放しても  それでもキミは笑ってた
ひどい仕打ちをされたのに  それでもキミは微笑んだ

キミはわたしを助けてくれた  わたしの役目だというのに  それでもキミは助けてくれた
結局失敗したけれど  それでもキミは微笑んだ

わたしはキミに  冷たくしてしまったかもしれないけれど  わたしはキミが好きだった
キミは知らなかったけれど  わたしはずっと好きだった

わたしがキミを守ると言ったけれど
結局わたしが守られた
覚えてられないほどの昔の約束
破ってしまった代償は 大きいけれど
許してくれとも言わないけれど
わたしはキミを 忘れない

                 シオン



        Fin

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最終更新:2006年08月31日 21:08