ゲームセンターに行った ◆KKELIaaFJU
「ここはゲームセンターかな……?」
その場所は少女にとってとても新鮮だった。
娯楽施設というものは人の心を高揚させる。
しかし、今の彼女にとっては不安でしかなかった。
ゲームモニターの光も、スピーカーから流れるBGMも不安を煽るものでしかない。
「れんげ……蛍……」
そこで彼女はその体を小さくなるようにうずくまっていた。
カタカタと震えながら、まるで小動物のように怯えていた。
(この腕輪……お兄ちゃんだったらあっさり外してくれそうだけど……私には……)
こんな状況でも一番頼りになりそうな兄の卓はいない。
いつも騒がしい妹の夏海はこの場にはいない。
だが、旭丘分校に通う年が離れたクラスメート。
『
宮内れんげ』と『
一条蛍』の小学生の二人がいる。
「私が二人を護らないと……」
きっと二人も怯えているだろう。
だから、年長者として二人を探して護らないといけない。
――護る……どうやって?
――そのために他の人を殺すのか?
(無理無理無理無理だーーーーっ!!!)
結論はすぐに出た。
自分に人殺しという行為は無理だということに。
例え絶対に人を殺せる剣や銃、反応兵器があっても小鞠には使う勇気がない。
(それに『赤マルジャンプ』って何よ!!)
彼女の黒カードから最初に出てきたアイテムがそれだった。
自転車で20分くらいのところにある本屋の毎週水曜日発売の漫画雑誌によく似ていた。
しかし、その週刊漫画雑誌よりも少しばかり分厚く重い。そして、値段もそこそこ高い。
(お腹の辺りに仕込んでおけば……銃弾くらいは防げるかも……)
アニメや漫画でありそうなことではある。
しかし、実際にこんな雑誌一冊分でどこまで防げるかわからない。
でも、一先ずは仕込んでおく。
その時であった。
(ん……なんだろうこの声……?)
何かブツブツと呟く声が聞こえてきた。
そっとその声の方を覗いてみる。
いたのは一人の男。
痩せ型だが、小鞠の兄貴よりも背が高い。
金髪にサングラスにバーテンダー服。
村でも見かけないような風体の都会の男。
しかし、何かをぶつくさと呟いている。
「殺す殺す殺す殺す殺す……」
(転がす……? 何を……転がすの?)
小鞠はしっかりと聞こえてたが信じたくはなかった。
明確な殺意を持ってその言葉が紡がれていくのを信じたくはなかった。
だが、もう一度聞く耳をたて、ちゃんと聞こうとする。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」
(ものすごく殺すって言ってる―――――っ!!!!?)
そして、その直後の光景はさらに衝撃的だった。
「オラァ!!」
男によってゲームの筐体(電○FCの筐体)が持ち上がった。
まるでテレビに出てくるヒーローが悪役を持ち上げてそのまま投げ飛ばす前動作のように。
しかし、小鞠にとってはその光景はただの恐怖でしかない。
「ギャアアアアアァァァァァ!!! 殺さないでぇぇぇぇ!!!」
「ん?」
小鞠はおもいっきりちびった。
中学二年生なのにおもいっきり漏らしたのだ。
そして、そのままは小鞠は意識を失い、音を立てて倒れた。
「気絶してんのか?」
その大声で、男は小鞠の存在に気づいた。
◆ ◇ ◆
ある人曰く『池袋最強』。
ある人曰く『池袋の自動喧嘩人形』。
またある人曰く『喧嘩を売ってはいけない男』。
はたまたある人曰く『池袋のフォルテッシモ』。
◆ ◇ ◆
「誰が手前の思い通りに動くかよ……!」
静雄はこんなバトルロワイアルを開いた少女に怒りを覚えた。
静雄自身、暴力を振るうことは嫌いだ。
それを強要しようとするあの女は――殺す。
名簿を見た限りここには静雄の数少ない友人であるセルティもいる。
このことにもさらに怒りを覚える。
ついでに
折原臨也もここにいる。
臨也は見つけ次第に――殺す。
方針は決まった。
セルティを探して、臨也とあの女(繭)を殺す。
以上である。
だが、今のこの状況には少々困惑した。
静雄の目の前には失禁して気を失って倒れている小学生女子。
「……さて、どうするか……」
果たして、静雄はこの状況でどう動くか。
【G-7/ゲームセンター/一日目・深夜】
【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:健康
[服装]:バーテン服、グラサン
[装備]:ゲームの筐体(電○FCの筐体(現地調達))
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0~3(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:あの女(繭)を殺す
1:臨也は殺す
2:セルティを探す
3:この小学生女子(小鞠)をどうするか……?
【
越谷小鞠@のんのんびより】
[状態]:失禁、気絶中、恐怖心(大)
[服装]:旭丘分校の制服
[装備]:黒カード:赤マルジャンプ@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0~2(本人未確認)
[思考・行動]
基本方針:れんげと蛍を守って、一緒に村に帰る
1:(思考停止中)
赤マルジャンプ@銀魂
越谷小鞠に支給。
かつて正月、ゴールデンウィーク、お盆の年三回にドサクサ紛れに発行されていた週刊少年ジャンプの増刊号である。
赤マルジャンプの発売日には、赤マルジャンプを週刊少年ジャンプと間違って買ってしまったケースも多々あった。
また現在は名称を【少年ジャンプNEXT!!】と変更となり隔月刊(年6刊)化している。定価は460円。
週刊少年ジャンプよりも分厚いので、そこそこ重い。
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最終更新:2015年08月19日 09:59