「扇さんのことが心配だけど、今は自分のことをどうにかする必要がありそうね」
紅月カレンは冷静に思考する。
扇さんはどうやら大切な人を目の前で殺されてしまったらしい。
そして、それにより殺し合いに乗る可能性が高い。
あの時、思わず叫んでしまったことを少し後悔する。
下手をすれば、扇さんが殺し合いに乗った場合、とばっちりを受けて襲われかねない。
その時のためにも仲間が必要だ。
ゼロのように、的確な指示を出してくれる人間がいれば心強いが、名簿に名前は書かれていない。
「知ってる名前はルルーシュだけか……」
会長たちの話によると、ルルーシュは本気でテストを受けないだけで、実際はとてつもなく頭がいいらしい。
つまり、この状況でも何とかやり過ごせることを期待する。
さすがに知り合いが死んだというのを聞かされるのはいろいろと辛い。
そして問題はやはり自分自身であった。
(支給品で使えそうなのはこの拳銃だけ……しかも弾が1発ってどうなってんのよ!?)
この拳銃は本来、あけぼの町という場所で使われていたものである。
だが、事件があまりにも起きないために封印されていた代物である。
「あのー……」
カレンは背後の声にはっとなり、振り返ると鉈を持った少女が立っていた。
「な、なに?」
「あなたって、あの会場で男の人の名前を叫んでたけど、どういう関係?」
「ただの知り合いよ……」
「そうなんだ。ところでその銃は何のために持ってるのかな、かな?」
「支給品の確認をしてて、使えそうなものがこれだけだったから持ってただけよ」
それからカレンはしばらくの間少女の質問に正しく答えていく。
鉈を持っているというのは下手なことを言えば殺すということの表れなのだろう。
そして、少女はしばらく沈黙したのちに質問をする。
「あなたは殺し合いに乗っているのかな、かな?」
「乗ってないわよ。もし扇さんが殺し合いに乗ったとしても、それをなんとか止めるつもりよ」
しばしの間、再度の沈黙が場を包む。
正直に答えたが、それが吉と出るか凶と出るかは運次第だ。
もし、向こうが襲い掛かってくるものなら、すばやく鉈を回避し、反撃する準備と覚悟はできている。
「よかったぁ。驚かせてごめんね、あなたは正直者みたいだから、信用できそうだよ」
カレンはほっと胸をなでおろす。
だが、もし嘘だった場合はどうしたのだろうかとも思う。
嘘でも、ばれなければそれは問題ないはずだ。
その疑問をよそに少女はさっきと打って変わって柔らかい口調で話しかけてくる。
「私の名前は
竜宮レナ。レナって呼んでほしいな」
「私は紅月カレン。さっきはびっくりしたよ」
お互い、緊張が解けた反動でかすぐに打ち解け、知り合いの情報を交換したりする。
そんな時、レナは衝撃的な一言を言い放つ。
「カレンちゃん、よく聞いてね。ビッグ・バンは宇宙人だよ」
「えっ?」
レナはまじめな顔で雛見沢のことをすべて話す。
宇宙人の侵略計画で人間が入れ替わっていることを。
「ちょ、ちょっと待って!日本は全部、ブリタニアに占領されてるのに、そんな町があるなんて信じられないよ!」
「ブリタニア……?」
今度はカレンが自分の世界の常識を語りだす。
嘘か真かを見抜くことができるレナはそれを真実として、真剣に聞き入る。
「もしかしたら、私たちは別の世界から来たのかも」
「別の……世界?」
「うん、パラレルワールドって言うのかな……。たぶんそうなんだと思う。
それに、ブリタニア軍の圧倒的な戦力はきっと宇宙人が関係してるんだと思う」
「ということは、ビッグ・バンを倒すことはブリタニアを倒すことと同じ……?」
カレンは本来ならば笑い飛ばすような話を、真顔で語るレナと淡い希望によって完全に信じた。
ビッグ・バンを倒せば日本が返ってくる。
もう二度とイレブンなどと呼ばれ、迫害を受けることはなくなるんだと思うと嬉しくなってくる。
「レナ!私もあなたと一緒に戦うわ、私の世界のためにも!」
「カレンちゃん……!ありがとう!」
二人は互いに手を握り合い、協力を誓い合う。
目標は打倒ビッグ・バン。
雛見沢や日本のためだけじゃなく、全宇宙のために彼女たちは戦う道を選んだ。
強い決意のもとに二人はこの場にいないビッグ・バンへと言い放つ。