十一色の誓い ◆0RbUzIT0To




「成る程……なれば朝倉、お主は人を探しているというのだな?」
「はい。キョン君は死んでしまいましたけれど、
 残ってしまった涼宮さんだけでも無事に保護をしないと」

叫ぶような歌声がする方向へと足を進めていた私とアリスの前に、
この婦女子・朝倉涼子が接触をしてきたのはつい先刻の放送があった後だった。
あの悪鬼悪霊による禍々しいまでの邪気を臭わせる放送。
幸い、とでも言うべきか奴の言う戯言を信じるならば、
私とアリスの知り合い連中はまだ死亡をしておらぬようだった。
しかし、まだ安心するのは早い。
奴らの言う通り不可思議な術によって文字が出現した名簿には我らの仲間の名が浮かびあがっておったのを確認した。
このまま時間が進めば朝倉のように仲間を失ってしまう可能性が高い。
なればすぐに仲間を探し出して、合流をせねばなるまい。

「私は別にどうでもいいけど」
「そうは言っておるが先ほどまで名簿を穴があくほどに見ておったのは誰だった?」
「…………」

ふふふ、全く下手な嘘をつきおる。
穴があくほどまでに必死に名簿に浮かんだ文字を読んでいたあの瞳は間違いなく心配をしておった瞳だ。
恐らく、名簿にはよく知る者の名が書かれてあったのだろう。
首を振って否定しようとしておるが、その染まった頬が何よりの証拠。
案外可愛いところがあるではないか。

「ああもう! こんな胡散臭い男は放っておいて行くわよ涼子」
「え? ええ、そうね」

胡散臭いというのは気に食わんが……まあ、いいだろう。
照れ隠しとはいえ、ようやくやる気の欠片くらいは出してくれたようだしな。
流石に死亡者の名を呼ばれてはこの状況において危機感を覚えてきたというところだろうか。
全く、動き出すまでに時間がかかる奴だ。
さて、それでは私も奴らに送れぬ内に移動をするというしようか。



あの放送が終わった後、私は最初どうしていいのかわからなかった。
まさかこの第一回目の放送で、彼の名前が呼ばれるだなんて思いもしていなかったのだから。
正直言って、拍子抜けだ。
私の使命は彼を殺して涼宮ハルヒの出方を見る事だったのに。

……でも、よくよく考えてみれば問題は特に無い。
私が殺したとしてもそうでなかったとしても、重要なのは結果なのだから。
そう、結果。私のやらなければならなかった事の工程が省かれただけで、問題は何も無い。
彼が死んだのなら、後は涼宮ハルヒの出方をじっくりと伺えばいいのだ。
そして、その為に必要なのは人材、駒。

怒りを募らせて隣を歩く少女、アリス・マーガロイドの横顔をちらりと見ながら私はそっとほくそえむ。
話を聞けばこの少女と後ろを歩く胡散臭い男はあの会場にいた道化師と悪魔のようなものを倒すつもりらしい。
その事は私には関係の無い話だが、あの悪魔達を倒そうというからにはそれなりの力を持っているのだろう。
そして、殺し合いに乗らないなどという平和主義者は一度仲間になった者をそう簡単には裏切らないはず。
武器はくれなかったものの、それは高望みしすぎというものだろう。

今、私達が向かっているのは例の歌声が聴こえる場所。
見つけなければならない人物が二人から涼宮ハルヒ一人のみになった事で、居場所を特定するのも随分と楽になった。
型破りで常識を嫌う彼女の性格から考えて、
あの歌声が聴こえたらその場所に行く可能性が高い。
もしそうでなかったとしても、その時はその時、また別の場所を探せばいい。

そういえば、名簿を見た時に涼宮ハルヒ以外にも知っている名があった。

「あなたは、彼が死んでどうするのかしら?長門さん」

遠くに見える山岳地帯を見つめながらそう呟く。
彼女にとって、彼と涼宮ハルヒの保護は最重要事項のはずだ。
なら、その最重要事項を守れなかった彼女は……どうなるのだろうか?



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


放送が、聞こえた。
名簿がどうとか言っていたけれど、そんな事は今の私に関係が無い。
今、私に関係があるのは、その後に言われた事。
信じたくない。信じられない。でも……!!

『今回の死亡者は──キョン……』
「うああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

頭を掻き乱しながら、悲鳴をあげる。
人が来るかもしれないだとか、
こんな姿を見られたら明らかに不審がられるだろうとか、
そんな事は最早何も意味を為さない!彼がいないんだから!
彼が……死んだ!何故!?

「変態マントとつるぺた幼女があああああああああ!!」

苛々を発散すべく、手当たり次第に目に付く木を薙ぎ倒していく。
だが、全然気分はスカっとしない。
木々は音を立てて崩れ落ちるが、見てても全然気持ちがよくない。
何をしたって襲ってくるのは彼がいないとわかったが故の虚無感と喪失感。
全てはあの二人のせいだ!
あの二人が邪魔さえしなければ、愛しの彼を探し出して守れていたのに!

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

雄叫びをあげて一番巨大な木を殴り倒す。
大きな地響きを立てて木は倒れ、辺り一面に破片が舞った。
後に残ったのは大暴れをした結果の残骸と疲れ。
思わず、地面にへたり込む。
……全てが空しい。


……いっそ、私も死んでしまいたい。
天国にでも行って、エデンで二人きりで幸せな生活が出来れば……。
誰にも邪魔をされない、本当に二人きりの世界。
それは、とても魅力的だ。
だけど……私は死という概念が無い。
あのゴミ虫のように消滅をする事はあるものの、それはあくまで消滅するだけで死ではない。

大暴れをして、少しずつだが冷静になってきた。
未だ内部ではエラーが発生しているが、さしたる問題もない。

あの時、確かあの会場で道化師達は言っていた。
『優勝さえすれば、なんでも望みを一つ叶える』と。

「何でも望みを……」

彼ならきっと、『そんな事がある訳ないだろ……常識的に考えて……』とか言いそうなものだが、
私にはあの道化師達にはそれだけの力があると見ている。
忌々しい事に私の能力を制限している事や、どうやっても外れない首輪などを作る技術力。
それらを鑑みるに、彼らが相当の力を保有している事は予想がつく。

「…………」

体には疲労感がまだ残っているが、無理をして立つ。
もはやこれしか、方法は残っていない。
優勝をし、愛しの彼を蘇らせる。
どうせ、他の虫けらどもを殺したところで咎める良心など私は持ち合わせていない。

全ては、愛しの彼の為に……。



「もう……行ったかな?」

ひょこり、と顔を出して辺りを見回してみる。
……うん、誰もいないみたいだ。
あの何かが倒れたような大きな音が聞こえた瞬間、私はこの山道のわき道にあった小さな洞窟のような所に隠れた。
まだ一回目の放送しかされてないし、死んだ人も10人しかいなかった。
こういうゲーム系の番組的に考えて中盤辺りの脱落者はダイジェストなどで放送するのが常識。
そんなところで死んでたりしたら、目立つなんて到底不可能だ。
まだまだ、やられる訳にはいかない。

「それにしても、やっぱり殺し屋さん役の人は多いんだなぁ……」

山頂にいた時に下から聞こえた音の人や、今さっきの轟音の人。
遭遇したのはこれで二人目。
でも、両方の殺し屋さんから私は逃げられた。

「でも、このままじゃ駄目だよね」

逃げてるだけじゃ意味はない。
私の目的は目立つ事なんだから、そろそろ大きな動きをしたいところだ。

「ねんがんの アイスソード を手に入れた事だし」

鈍く光る鋭利な凶器、アイスソードを見ながらそう呟く。
これさえあれば、きっとなんとかなるだろう。
なんてったって、岩とかも簡単に破壊出来ちゃうし、不意打ちなら絶対に人を倒せちゃうはずだ。



「千早ちゃんの分も頑張るからね」

放送で呼ばれていた同事務所のアイドルの事を思い出す。
序盤に死んでちゃ全然目立てないけれど、千早ちゃんらしいと言えば千早ちゃんらしいかもしれない。
こんなゲームなんかで目立って売れるよりも、千早ちゃんは歌でトップアイドルへの道を駆け上りたいだろう。
今頃、プロデューサーさんにこんな仕事はしたくなかったって怒ってるかもしれない。
その様子が容易に想像が出来て、自然と笑みがこぼれた。

そういえば、名簿には私や千早ちゃん以外にも765プロのアイドル達がいた。
やよい、亜美、真の三人。
本音を言えば、あんまりこの会場では会いたくない。
お芝居とはいえ、人殺しをやってる悪い人役を知ってる人に見られるのはやっぱり嫌だ。

でも、考えてみるとこれもチャンスなのかもしれない。
同じ事務所の人を殺す、となれば違う事務所の人を殺すのとはまた違った反応をされるはずだ。
ワイドショーか何かで『衝撃!有名アイドルプロダクションの裏で起きていた確執!』なんてタイトル出されて、
事実無根の悪い噂とかを流されるかもしれない。
悪い噂は嫌だけど、噂すら流れないのはもっと嫌だ。
三人には悪いけれど、もし会えたら殺させてもらおう。

「よーし、頑張って沢山人を殺すぞー!」

そう言って私はアイスソードを持った右手を大きく掲げ、
元気よく山道を下って歌声の聴こえる方へと歩いていった。
……でも、さっきみたいな人がいるかもしれないから、ゆっくりとね。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


朝日に向かって頭を垂れる。
この場が殺戮遊戯の舞台でもOTENTOUはその大きく暖かなHIKARIで我らを包み込んでくれる。
遊戯が始まって既に六時間。
その六時間の内に死んだのが十名……多いのか、少ないのか。
明確な基準はわからぬが、一つだけ言える事がある。
それは、矢張りこの遊戯にはSHURAが潜んでいるという事だ。

十名の中には女子や子供もいただろう。
RIKISHIは女子供には手出しはしない。
そんな事をする輩は暗黒面に堕ちてしまった愚かなるRIKISHIのみ。
無論、精神を研ぎ澄まされ清らかなるKIとJIHIを持つ女はOKAMIと呼ばれ、
我々RIKISHIにとってOYAKATAと並ぶ敬意を表すべき存在にもなり、
子供も大人顔負けのKEIKOをして立派なRIKISHIへと成長する。
しかし、それはあくまでもSUMOUの世界の話だ。
一般人に手を出すなど、言語道断である。

「安らかに眠ってくれ……」

顔も知らぬ者とはいえ、名を呼ばれた者に対しての黙祷は忘れない。
眼を瞑り、両手を合わせて頭を垂れる。

……SHURAか。

私も、そろそろ決めねばなるまい。
JIHIを持つか、SHURAとなるか。
その為にも……あの強きTAMASHIIを持つ者たちに会いに行かねば。


その時、背後に気配を感じる。
……なるほど、この気配の殺し方、普通の人間ではない。

「何者だ?」

そちらを振り返る事なく、そう声をかけるものの返事は無い。
この私に恐怖をしているのか、突然声をかけられ動揺したか、
気配は揺れるものの表に出てこようとはしない。

「……答えぬのならば、私に用は無い」
「ッ! 待てぃ!」

そう考えた私が立ち去ろうとした瞬間、背後の茂みよりその者が飛び出してきた。
……ゆっくりと振り返り、その者を見据える。
想像通り、常人ではない。
奇妙な装いをしており、凡そ人間離れしているその衣装はSUMOUとはまた違う格闘技・プロレスを彷彿とさせる。
しかし、この男はプロレスラーではない。
恐らくは影の世界に生きる人間。
いつSHURAに染まるとも知れぬ、暗黒なる世界の住人だ。

「主は何者だ?」
「復讐に燃える男、スパイダーマッ!」

問うた瞬間、男は何やら奇妙な動作を取って名乗る。
……復讐に燃える男か。



「スパイダーマと言ったな。
 主は何をするつもりだ? 何故、私の様子を伺っていた?」
「お前から発せられる強烈な威圧感と危険性を感じていた故に攻撃に転じれなかった。
 ……だが、この俺に気づいていながら攻撃をしてこなかった事から見て、話をさせてもらおうと思ってな」

……攻撃を転じれなかったか。物は言いようだな。
こいつが私に襲ってこなかったのは危険性を感じたからではない、
もっと別の物……そう、恐怖心と己の保身を考えていたからであろう。
だが、私はあえて指摘はしない。
この者は確かに力を持っているが『強者』ではありえないからだ。

「俺の名は先ほど名乗ったがスパイダーマン、とある理由でロックマンという少年ロボットと共闘をする事となった。
 そして、今はお互いに離れあって仲間を探しているところだ」

そう言うとスパイダーマッ!は我々が初期から持たされた袋から童が遊戯する玉を取り出し、私に差し出した。

「これはその仲間の証となるテニスボールだ。 お前にその気があるのならば受け取ってくれ」

庭球、なるほど。
格闘技と球技という異種のスポーツではあるが、耳にした事はある。
熟練者となれば球技といえど選手を観客席へと叩き込んだり、分身を為したりするものであると……。
私はその庭球に用いる玉を静かに受け取り。

「ヌンッ!!」

握りつぶした。


「なっ!?」

スパイダーマッ!が驚いておる。
てっきりこの私がこの首輪を嵌めておる彼奴らと敵対している存在だと思ったのであろう。
だが、生憎と私はそうではない。

「私はあくまでも一人のRIKISHIにしてYOKODUNA。
 世界最強である国技・SUMOUを知らしめる為にSHURAともなろうという男。
 そうであるこの私にこの玉を受け取れというのは無理な話!」

呆気にとられているスパイダーマッ!を尻目に、私は踵を返して歌声の響く場所へと移動を開始した。
今の私にはこの玉を受け取る事は出来ぬ。
これを持つ時は、JIHIを持つ事と同義なのだから。

「SHURA――修羅か」

ピタリ。
後ろで、微かに声を絞りだしたスパイダーマッ!の声に立ち止まる。

「……正直を言えば、俺も迷っている」
「…………」

先ほどから見えていた迷いはその為か。
この男――スパイダーマッ!も、私と同じくしてSHURAとなるかJIHIを持つか考えておるのだろう。
それは、確かに難しい問題である。
SHURAとなった者は二度と表世界へとは戻ってこられないのだから。
そう、一世を風靡し、かつてのYOKODUNAでもあったWAKATAKA兄弟でさえそうであった。
彼らをも暗黒面へと押しやったSHURAの道は恐らく一度堕ちてしまえば転がるしかない道なのだろう。

「ならば、共に往くかスパイダーマッ!」
「何?」


この男は私に似ている。
実力も違う。心意気も違う。体格も、何もかもが違う。
しかし、SHURAとなるべきかJIHIを持つべきかという一点。
その一点のみに置いて、この男は私に似ているのだ。
不思議と、私にはこの男を否定は出来なかった。

「私もまた、お前と同じくして迷いを持つ者。
 そして、これからその迷いを断ち切ろうとしている者だ」

息を吸い込み、大きく吐き出す。
OTENTOUは相も変わらず我々にもHIKARIをもたらしてくれていた。

「お前も迷っているのならば、ついてくるがよい」

それだけを言うと、私は再び歩き出す。
背後から私についてくる男の気配を感じながら。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


あれから歌い続けてどれくらい経ったのか……。
朝焼けが見え初めて、ギターの電池が切れてしまった事を目安に俺達は休息を取っていた。
つかさちゃんの様子が変わったのは放送が終わってからすぐの事だった。
今まで一緒に熱唱をしていたというのに、心ここにあらずという感じだし、酷く不安そうだった。
そして、束の間の休憩の中つかさちゃんは名簿を取り出して顔を強張らせた。
……ここまでわかりやすいとはね。
まあ、隠されてしまうよりは全然いいけれど。

「つかさちゃん、大丈夫かい?」
「え……え?」

まだ混乱をしているのか、つかさちゃんは曖昧な返事を返す。
おじいちゃんと福山さんも近づいてきて、状況を察してくれたようだ。
アイコンタクトで俺が聞いてみると二人に伝え、再びつかさちゃんに話しかける。

「隠し事はいけないな、つかさちゃん。
 ……いたんだろう? つかさちゃんが知ってる人が、さ」

放送か、名簿か、どちらかは知らない。
だが、きっといたのだろう。そうでないとこの反応はおかしい。
そう思って話しかけてみると、案の定つかさちゃんは泣き出しそうな顔で話してくれた。

「お姉ちゃんと……こなちゃんが……!」

名簿を見てみる。
こなちゃん、というのはこの泉こなたという少女だろう。
そして、お姉ちゃんというのは同じ苗字である柊かがみであるという事が安易に想像出来る。
やれやれ、仲のいい人物という事までは想像できたけどまさか肉親まで参加してしまっているとはな。
本当に残酷な悪魔達だ。
内心、毒づく。



「大丈夫さ、つかさちゃん」

福山さんがつかさちゃんに話しかける。
本当にこの人は格好がいい。
外見だとか、声がだとか、そういう事ではなく、姿勢がだ。
俺みたいなモグリの素人とは全然違う……本当の、英雄。そう思う。

「つかさちゃんの友達は、まだ放送で呼ばれていないんだろう?」
「でも……また、いつ呼ばれるか……」
「そうなる前に、探し出せばいい。
 優しいつかさちゃんの友達とお姉ちゃんなんだ、こんなくだらない殺し合いには乗ったりしていないだろ?」
「も、勿論です!」
「オーケイ! なら、探し出して一緒に歌ってもらおうよ。
 こんなくだらない殺し合いに反逆する、狼煙を上げる手伝いをさ!」

そう言って福山さんは再びギターを持って立ち上がった。
つかさちゃんにも、ささやかだが笑顔が戻る。

「いさじ君、喉は大丈夫かい?」
「ええ、福山さんの方こそ大丈夫ですか?」
「おいおい、プロを侮ってもらっちゃ困るな。
 俺達は長時間のライブも生演奏と歌声で観客を沸かせる男だぜ?」

本当に、この人には敵わないな……。

「わかりました、それじゃあそろそろ再開しましょうか」
「オーケイ! 今度はつかさちゃんの仲間にも聴こえるように張り切らなきゃな!」

そう言って、再び歌いだそうとした時だった。

「伏せるんじゃ!!」



俺の目の前でギターのチューニングをしていた福山さんが、
赤い飛沫を撒き散らして、ゆっくりと地面に倒れた――。
――何故?

「こな糞ォッ!!」

しばらく呆けていたが、おじいちゃんの声に我を取り戻した俺は福山さんに駆け寄った。

「福山さん、福山さん! 大丈夫ですか!?」
「……おいおい、そんなに揺らすなよ」

よかった……会話をする分には不自由はしないらしい。
でも……このままではどう考えたって危険だ。
おじいちゃんは福山さんが狙撃された方向に向かって銃を撃っているが、
どうやら当たっていないようでらしくない愚痴のようなものを零している。

「いさじ! つかさちゃんと福山を連れて下がっておれ!
 彼奴はワシらよりも高性能の照準を持つライフルを持っておるらしいからの」
「そんな……!」

おじいちゃんは、聞いた話では歴戦の戦士であるらしい。
その戦士が……武器の性能の差はあるとはいえ、狙えない敵と戦うだなんて。
……放っておけるはずがない!

「俺だって戦います!
 おじいちゃん一人を戦わせる事なんて……」
「共倒れしてどうするんじゃ!!」

今まで、ずっとスコープを覗いていた瞳をこちらへ向けておじいちゃんが叫ぶ。
その瞳は……先ほどまで歌う俺達を見守ってくれていた優しい青年ではない、戦場に立つ戦士のそれだ。


「ただの女子高生であるつかさちゃんに、怪我をした福山……それに、戦った経験のないお主。
 戦場では貴様らなど役には立たんわ! さっさと失せるがいい!!」

その言葉と眼光に、俺は思わず恐怖を覚えてしまった。
……気づいた時には、再びおじいちゃんは銃を手にスコープを覗いている。
……何が兄貴だ! ニコニコ動画でそう呼ばれてうかれて……!!
こんな時に、何の役に立たないなんて……!!

「それでも、俺は戦います!!
 俺だって、おじいちゃんの弾除けくらいには!!」

俺がそう言って、おじいちゃんに加勢しようとした瞬間だった。

「渇!!」

正体不明の男二人組みが、俺達の前に降り立ったのは。



「……その男は、撃たれたのか」

巨体を持つ男が俺に話しかけてきた。
俺は、頷くしか出来ない。
格が……違いすぎる。

「……その男の歌った歌にはTAMASHIIがこもっていた」

魂……。
福山さんの、歌に?

「無論、お主にも……そして、その震えている女子にも、戦士にもだ」

俺とつかさちゃん、おじいちゃんに目線を向けて、男は言葉を紡ぐ。
俺にも……俺の歌にも、魂が?

「スパイダーマッ!よ……こやつらに会えたならば、俺は迷いを断ち切れると思っていた。
 ……だが、私はやはり修練が足らんようだ。
 まだ、決心が出来ん」

男が言葉を紡ぎ続ける。
そして、その言葉に横槍を入れる事は俺には出来ない。
そんな……雰囲気を、この男は醸し出している。

「だが!!」



「少なくとも、このTAMASHIIをこめた歌を歌う男を狙う暗黒面に堕ちた者……。
 その者を倒さねばならぬという事だけは、わかる!!」

例えSHURAに堕ちた者とて、この男のTAMASHIIは感じ取れたはず。
だというのにこの男を狙ったという事は……それ即ち、SHURAですらない、GEDOUに他ならない!!
そのようなものは、例えこの私がSHURAへと道を勧める事があろうと倒さねばならぬ!

「男よ、その女子達を連れて逃げるがよい!
 この場は俺のみで十分!!」

それだけを伝え、私は戦士が銃で狙う先へと跳躍をする。
この戦士もTAMASHIIを持つ男。
この場で殺してしまうには、惜しい。

さぁ、ケリをつけようではないか、暗黒面に堕ちた者よ……!
このYOKODUNA……逃げも隠れもせんぞ!!


【C-3 東部・山道/一日目・朝】
【YOKODUNA@世界最強の国技SUMOU】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ドリルアーム@THE IDOLM@STER 他不明支給品1
[思考・状況]
1:暗黒面に堕ちたGEDOUを倒す!
2:JIHIを持つか、SHURAとなるか考える。
3:強者とTORIKUMIを行い、勝利する(相手の生死は問わない)
4:弱者には手を出さないが、向かってくる相手には容赦しない




「ちぃっ!」

思わず舌打ちをしてしまう……っとと、こんなはしたない真似をしてはは愛しの彼に嫌われてしまうかもしれない。
それにしても、想定外だった。
情報改変によって私の視力をある程度まで高め、支給された拳銃にて本来は不可能であるはずの狙撃を可能にしたまではよかったが、
想定外の人物の乱入によって全てを仕留めるには至らなかった。
……まぁ、いい。
あの撃った一人は既に虫の息だろう。
それに、今こちらに向かってきている乱入者にしてもすぐに仕留められる自信がある。
こちらを狙撃しようとスコープを覗いている青年にしてもだ。

「待ってて……」

そう、待ってて。
私は必ずあなたを蘇らせる。
その為にも、この場にいる全ての人間を倒してみせる。
一人では不可能?そんな事、あるわけがない。
私の能力は、あなたが知っているはずでしょう?
だから……。

「信じて……」

私が、必ずあなたを蘇らせるって事を!
【B-3 東部・山道/一日目・早朝】
【暗黒長門(長門有希)@涼宮ハルヒの憂鬱(暗黒長門シリーズ)】
[状態]:右手の指先欠損(手当て済み)、軽度の疲労、情報改変により視力が上昇(一定時間)
[装備]:トカレフTT-33(6/8)
[道具]:支給品一式、きしめん@Nursery Rhyme
[思考・状況]
1.全参加者の殺害して愛しの彼を蘇らせる
2.邪魔をする奴は容赦なく殺す
3.制限を外したい。




「やれやれ、なんじゃあれは?」

相撲取りのような男が飛んで狙撃された方向へと飛んだと思ったら、
今度はその方向で槍のようなものが乱舞する景色が見える。
まったくもってぶっとんでおるのう。
奴らは武器を持たぬ代わりに特殊な技でも持っておるんじゃろうか?

「おい、お主らはさっさと逃げるんじゃ」

後ろへ振り向いてそう言う。
あの男が向かってくれたとはいえ、この場は未だに危険じゃ。
こやつらでは一溜まりもなかろう。

「そんな、おじいちゃんはどうするんです!?」
「なぁに、ワシは地球防衛軍じゃ。
 そう簡単にはやられんよ」

ライフルを掲げる。
ようやく戦闘イベントがはじまったようじゃ、いよいよ本番ってところじゃの。

「お主らを守ると言って、福山を撃たせてしまったワシの責任の取り方と思ってくれ。
 ではの!」

そう言い放つと、ワシは返事を聞かずに奴らの方向へと走り出す。
さて、戦闘じゃ!
見せてやろうかの……ワシの戦いぶりというものを!!


【C-3 中央部・草原/一日目・朝】
【ストーム1@おじいちゃんの地球防衛軍】
[状態]:健康
[装備]:ウィンチェスター M1895/Winchester M1895(狙撃銃、残弾2)@現実、予備弾丸20発
     無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:最近のゲームはすごいのー、異星人を撃退じゃあ。
第一行動方針:いさじ達を逃がす為にYOKODUNAの戦いに加勢する
第二行動方針:地球防衛軍として地球を守る
※外見は防衛軍ですが、中身はおじいちゃんです。
※この世界を最新のゲームだと思ってます。




「む!? あれは……!?」
「面倒くさい事になったわねぇ……」

その光景を見て、彦麿とアリサは驚いたように声を出す。
確かにそうだろう、私だって驚いた。
まさか……こんなに早く会う事になるだなんてね。

「あなたもそう思うでしょ、長門さん?」

小さく、二人には聴こえない程の声で呟く。
視界に見えるあの槍の雨……あれは、間違いなく情報改変によるものだ。
そして、それが出来るこの場にいるものとなるとのは私と長門さんのみ。

「行きましょう、彦麿さん、アリサさん」
「うむ、何やら不穏な空気を感じる!このまま放っておく訳にはいかん!」
「……あんまり行きたくないんだけどなぁ」

やる気満々の胡散臭い男とやる気の欠片を既に失ってしまったツンデレを連れて、宇宙人は行く。
その先にいる者が、自分のよく知る者でありながらもそうではない事を知らぬまま。

【C-3 南部・草原/一日目・朝】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(ランダム支給品はピッピが持っていきました)
[思考・状況]
1.長門がいる場所まで行って、接触を図る。
2.一般人を装い他者を騙すなり利用するなりして適度に人を殺して行く
3.涼宮ハルヒの存在と動向を確認する
※大分制限がかかってます


【矢部野彦麿@新・豪血寺一族 -煩悩解放 - レッツゴー!陰陽師】
[状態]:健康
[装備]:孔明ブロック(小)@スーパーマリオワールド(友人マリオ)
[道具]:支給品一式、ネギ@ロイツマ、孔明ブロック(中・大)@スーパーマリオワールド(友人マリオ)
[思考・状況]
1.歌ってる者を仲間にする(琴姫を優先)
2.悪霊退散(マルク)


【アリス・マーガトロイド@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、たいやき@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦、プラスパワー*6@ポケットモンスター
レヴァンティン@くらっとけ!スターライトブレイカー(魔法少女リリカルなのはシリーズ)
[思考・状況]
1.諦めて彦麿についていく
2.しょうがないので異変解決
3.お気に入りの人形とグリモワールオブアリスを探す
4.レヴァンティンはあんま使いたくない




俺は……一体、何をやっているのだろうか。
見ず知らずの男に頼まれ、見ず知らずの男を背負って、強敵と思える者から逃げて……。
あのYOKODUNAと名乗る男についていけば、俺の道も見えるかと思った。
だが、結果はこのザマだ。
あの男は既にその道を見出しかけている。
俺には……まだ、道が見えない。

「ぐっ……」
「! す、すまん……」

思わず、腕に力が入ってしまっていたようだ。
背負っている手負いの男の傷に触れてしまった。
前を歩いていた少女とよい声を持つ男も立ち止まって、こちらを振り向く。
心配そうな面持ちで……。

「大丈夫ですか!? 福山さん!?」
「心配しなくても大丈夫だよ、つかさちゃん……。
 ……とはいっても、ちょっと休憩したいかな」
「……そうですね。 福山さんの怪我も気になりますし、あの襲ってきた者がいる場所からは大分離れました。
 ここらで、休憩をしても……」
「いや、それは駄目だよいさじくん」


「君はつかさちゃんを連れて逃げるんだ」
「え!?」

よい声をしている男がその言葉に驚く。
それもそうだろう……この男は、手負いの男を慕っているようだ。
離れるなど、したくはないはず。

「あれだけ長距離からの狙撃をしてきたんだ、どこまで逃げたって安心って事はないさ。
 だから、いさじくんはつかさちゃんを連れて逃げないと」
「そんな……それじゃあ、福山さんはどうするんですか!?」
「俺は少し休んだら君たちを追うよ。
 このスパイダーマッ!くんと一緒にね」

……少し、休んだらか。

「いさじくん、早く行くんだ。
 こうしている間にも、相手は僕達を狙っているかもしれない」
「でも……!」
「…………」

無言の重圧。
オロオロと二人の間をうろつく少女は、心配をしているようだ。
福山と呼ばれた男の怪我と、いさじと呼ばれた男の心とを。

「……わかりました」

少女の手を取り、よい声をしている男は背を向けた。
それでいい、とばかりに背負っていた男は首を縦に振る。


「俺達は先に行っています。
 福山さんとスパイダーマッ!も、必ず後から……」
「ああ、わかっているさ」

その言葉を聞いて、まだ迷っているらしい少女を強引に引き連れて男は歩き出す。
……そして、その背中が見えなくなった頃。
背負っていた男はふ、と笑った。

「……後から追う、か」

この男もわかっているのだろう。
その傷が、決して軽視出来ないものであるという事に。
だというのに泣き言を言わず……大した精神力だ。

「スパイダーマッ!くん、少し休ませてくれ。
 俺は……疲れた」
「……ああ」

男を地べたへと寝かせ、俺はその横に座る。
……やはり、俺はヒーローなどではない。
朽ちていこうとする英雄に近い男見て、参加者が一人減ろうとしている事を心の片隅で喜んでいる俺など。
ヒーローでは……。


【C-3 北部・山の麓/一日目・朝】
【スパイダーマン@東映版スパイダーマン】
[状態]:健康。鉄十字団を倒し終えていない状態
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、上海人形、花粉防止用マスク、テニスボール5
[思考・状況]
1.福山を守る……?
2.氷雪地帯全域を探索に向かう。夕方に塔で待ち合わせ
3.いざとなったら殺す側になってもかまわないと思っている
4.ヒーロー……?


【福山芳樹@現実(真赤な誓い)】
[状態]:俺の歌を聞け、腹部に銃傷(重傷)
[装備]:DIGIZO HYPER PSR(残り三十分程度)@現実 、予備電池(残り2セット)@現実
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いなんてくだらねえ! 俺の歌を聞けえええええええええ!!
第一行動方針:いさじとつかさを逃がし、休憩してから追う




山道を通りながら、私は考えてみる。
でも、色々起こった事が多すぎてちょっと頭の回転が追いついてないなぁ。
うーん、ちょっと整理してみよう。

まず、放送があった。
その時、私の知ってる人の名前は呼ばれてなかったけれど、
名簿にはこなちゃんとお姉ちゃんの名前が書いてあった。
私はそれが凄く不安になって、いさじさん達に心配をかけてしまった。
いさじさん達に励まされた私は、落ち着いたけれど今度は福山さんが誰かに撃たれてしまった。
その後、お相撲さんとスパイダーマッ!さんが来て、私達を逃がしてくれた。
だけれど福山さんはやっぱり辛いらしくて、休憩をしようって言って、
でも私といさじさんには逃げるように言ってくれた。
そして、今私はいさじさんに連れられて山道を歩いている。

……おじいちゃんと福山さん、大丈夫かな?

「いさじさん……」
「なんだい、つかさちゃん?」

こんな時でもいさじさんは格好がいい。
笑顔を見せて、私に振り返ってくれた。
私とって救世主……英雄は、やっぱりいさじさんだ。

「おじいちゃんと福山さん、大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫さ!」

!!
びっくりしたぁ……急に、大きな声を出されたから。
……うん、大丈夫だよね。
福山さんが、あんな怪我なんかでやられちゃうなんて……そんな訳ないもん。


「とにかく、この山道を抜けてしまおう。
 そうして落ち着ければ福山さん達を……!」

これからの指針を話してくれていたいさじさんの表情が、固まる。
私も、思わず固まってしまった。
だって、目の前に映った光景が……あまりにも異常だったから。

「……一難去って、また一難か」

私達の目の先にいたのは、きっと私と同じくらいの歳の少女。
可愛くて、アイドルなんかをしたらきっと売れっ子になるだろうと思うような子。
……だけど、問題はその少女が持っているもの。
こなちゃんが詳しそうな、アニメに出てきそうな、剣。
それを持って、少女は笑っている。
何がおかしいのか……私には、わからない。

「さて……どうしたものかな」

額に脂汗を滲ませながら、いさじさんが言う。
私は……どうにか、この場を収める手段を考えながら、
ただ少女の持つ剣が放つ、朝日を反射した光を見つめていた。


【C-3 北西部・山道/一日目・朝】
【いさじ@現実】
[状態]:バイクに搭乗
[装備]:拡声器@現実、炎道イフリナのフィギュア@ふぃぎゅ@メイト
[道具]:支給品一式(水一本消費)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームの脱出(?)
第一行動方針:目の前の少女(春香)をどうにかする。
第二行動方針:山道を抜けた場所でつかさと一緒に福山・おじいちゃんを待つ


【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:全身打撲気味、体が熱い、おなかが膨らんでいる?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:知り合いの捜索
第一行動方針:いさじさんについていく。
第二行動方針:山道を抜けた場所でいさじと一緒に福山・おじいちゃんを待つ
※いさじの声を聞いてからの身体の異変に気がついたようです(?)


【天海春香@THE IDOLM@STER】
[状態]:少し疲労。
[装備]:アイスソード@ロマンシング・サガ
[道具]:支給品一式、洞爺湖の木刀@銀魂、飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ)、他不明支給品2
[思考・状況]
1.目の前の人を殺して目立とうかな?
2.その後、南(できれば町)に行って目立つ行動を起こす
3.同じ事務所のアイドル(やよい、真、亜美)は優先的に殺す
3.トップアイドルになる為、イメージを一新する
4.その為には人を殺す事も騙す事もする
※春香はこの殺し合いをTVか何かの企画だと思っています。
※アイスソードを装備しているため少し馬鹿になっています。



sm65:貴女は奈落の花じゃない 時系列順 sm67:歪んでいます!おかしい!何かが!KASさんの!
sm65:貴女は奈落の花じゃない 投下順 sm67:歪んでいます!おかしい!何かが!KASさんの!
sm43:英雄 いさじ sm75:それぞれの誓い~天海突破~
sm43:英雄 柊つかさ sm75:それぞれの誓い~天海突破~
sm43:英雄 ストーム1 sm83:STORM
sm43:英雄 福山芳樹 sm71:それぞれの誓い~英雄の条件~
sm56:TAMASHIIのルフラン YOKODUNA sm77:
sm13:戦士、再び スパイダーマン sm71:それぞれの誓い~英雄の条件~
sm65:TAMASHIIのルフラン 天海春香 sm75:それぞれの誓い~天海突破~
sm55:愛しの彼が見つからない 暗黒長門 sm77:
sm45:ぴこまろ不思議のダンジョン 闇の探検隊 アリス・マーガトロイド sm83:STORM
sm45:ぴこまろ不思議のダンジョン 闇の探検隊 矢部野彦麿 sm83:STORM
sm45:ぴこまろ不思議のダンジョン 闇の探検隊 朝倉涼子 sm77:



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最終更新:2010年03月18日 11:14