本物の神様 ◆jVERyrq1dU
あっちもこっちも馬鹿騒ぎ。ハルヒはどんどん増長し、カイパーマンはついに何らかの妨害に成功したよう……。
今頃主催陣も馬鹿騒ぎのはずね……。さて、それで私達はどうなのかしら?
「いや、閣下は精一杯やったさ」
下手な慰めはいいわ洞爺湖。負けは負け。私は閣下になり切れなかったという事かしら。
いやそんな事はない。それだけは違う気がする。
私は一時の間だけど、仲間を引っ張る纏め役だった。そこだけは譲れないわね……。
ならどうして私達は負けたのかしら、洞爺湖。
「おお、俺に聞かれても困るし……」
……全く貴方って奴はほんと愚かね。愚民だわ。
そんなだから……いや止めておくわ。こんな事を言うのはあまりに情けない。
言い訳を言う気分ではない。
とはいえ、何か遺言めいた言葉が欲しいところよ。もっとも口を開く機会などもうないでしょうけど……。
何か方法はあるかしら?いえいえやっぱりいいわ。貴方なんかに聞くなんて愚かしい。
私は馬鹿ね。
「俺はまだ何も言ってないぞ」
そうね。何か言いたい事でもあるのかしら?
「置き土産だ。あいつにな」
さて……そんな選択肢も確かにある。だけど、難易度は最上級でしょうね。
はたして私にそんな力が残っているのやら。
そもそもあいつらが私を見つけてくれるのやら……物凄く不安。
「いや、心配する必要はないようだ。来た」
へぇ……ここで見つかったらお終いなのにね。勝てるわけないわ。
「取り出しているのか?」
言われるまでもないわ。すでに、取り出していた、というより潰された時に飛び出ただけなんだけどね。
完全に同化していたと思っていたのに、神の力が都合のいい方向に働いてくれたのかしら。
「ずいぶんと都合のいい話だ」
ふふ、死に際というものは往々にして奇跡が起こるものなのよ。
奴らが起こした奇跡を貴方も見たでしょ?
「あれは奇跡じゃねえ。ただのずるさ」
そういう見方もあるわ。人それぞれね。
……あら、持ち上げられたわ。大丈夫かしら、彼もぼろぼろなのに。
というよりハルヒ達に見つからないのが不思議で堪らないわ。
ふぅん。幸運といったところかしら……
洞爺湖、それにしても私に口を開く機会はもうないのかしら……
「頑張れば……しかし──」
なるほどね。大丈夫よ。ダイイングメッセージを残しておいたわ。
「さすがだ」
褒めても何も出さないわ。あら?魅音。それにいさじさんまで……
「お迎えのようだ……」
「なるほど、だけど必要ないわ。また会えたのは嬉しい。だけど悪いけど帰ってもらうわ。
────私はまだ死んでないもの」
博之は閣下の死体を抱え、城へと走る。
大変な事になった。ハルヒ達が自分達よりも早く、首輪を外したのだ。
おまけに支給品を大量に奪われる始末。幸い、例のメモの内容はしっかりと頭の中に入ってはいるのだが。
そして、また死者を出してしまった。妹、萃香、そして閣下。自分は誰も助けてやれなかった。
ともかく、今するべき事は閣下の血で書かれていた遺言に従い、走るまでだ。
城から少し離れた草原。そこには
KASが静かな表情で永眠していた。
まるで今にも起きだし、いつものように暴れだしそうに見える。
博之は遺言通り、KASの胸にある物をぶち込んだ。
六角形の石みたいなもの。どこかで見た事があるような気がしたが、どうしても思い出せない。
閣下の死体の脇に落ちていた。
「これで……これでええんやな閣下。ほな、埋めるぞ」
博之は閣下の死体に向かってそう言うと、地面に穴を掘り始めた。
適当な道具がないので穴を掘るのは難しいが、頑張るしかない。
「閣下は……確か不死身やったよな……」
穴は掘れた。しかし、閣下の死に顔を見ていると、どうしても埋められない。
「正直なぁ……ハルヒやデーモンよりも閣下の方が怖かったわ。悪いなこんな事言うて……あれ?」
閣下がどうしても妹や萃香とかぶる。そばに着いていながら……自分は何もしてやれなかった。
おかしい、出会ってからまだ数時間しか経っていないはずやのに。どうして、なんでや……
「なんで俺泣いてるんやろうなぁ、、、悪いな閣下、すまん」
博之の頬に涙が一筋流れた。
非力な自分への悲しみ、閣下の死に顔は
水銀燈、妹、萃香の姿を思い出させる。
すぐに服の袖で涙を拭い、閣下を持ち上げた。
そして自らが作った墓へと運ぶ。
「心配せんでええ。お前の仇も、妹も萃香も水銀燈の仇も全部俺がとったるわ、、、」
『霊夢にも言ったけど、気負わなくていい。目的を見失わないで』
「ッ!?」
驚いた。
幻聴だろうか……信じられない。
いや、もしかするとこれは本物の神様が奇跡を起こしてくれているのかもしれない。
この声が幻聴なワケがない。
「強いなあんた、ほんまに……」
しばらく耳を澄ましたが、閣下の声はもう聞こえなかった。
ずっとずーっと待ってみたが幻聴は聞こえてこない。そんな馬鹿な事があるか。
神様が許したのは一瞬の、たった一度の会話だけだったって事なのか……
「神様は、やっぱり残酷って事やなぁ、、、あいつみたいになぁ……」
もうしばらく待ってみる。閣下の声はもう聞こえてこない。
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
「………………………………………………………………………………ッッ!!
一回ぐらいやったら初めから話させんなこのエセ神がァアッッッ!!!」
博之は大粒の涙を流しながら、空に向って吠えた。神様という者は往々にして残酷なものなのか?
ちょうどあいつのように……いや、そんな事はない。本物の神様はきっと……
────きっと優しいんだ!
「おっさん!泣くな!閣下に失礼だ!」
博之は心底驚き、振り返った。
「お前……何で……」
そこにはKASがしっかりと大地を踏みしめ、立っていた。
KASはつかつかと博之の方へ歩き、閣下を抱き上げた。
「埋めてやろうぜ、おっさん……」
「何でお前生きとるんぞ……!?」
驚愕する博之をちらりと見、KASは自身の胸、心臓の部分を指差した。
そこには、さきほど博之がぶち込んだ核鉄が、心臓の代わりをなしていた。
KASの体がみるみるうちに再生していく。
「閣下の不死身の秘密はそれやったんか……!」
博之の言葉をKASは無視し、テキパキと埋葬を進める。
「閣下……新しい命、ありがとう。それ、じゃあ」
KASは閣下を博之の作った穴に優しく寝かせた。
「おっさん……土、かけよか……」
「ああ……」
『KAS』
「「ッッ!!」」
また閣下の声がどこからともなく聞こえてきた。
『その命は、物凄く不安定よ。せいぜい気をつけなさい。それとね、貴方に頼みたい事があるの』
「か、閣下ぁ、、、ぁ」
『洞爺湖の木刀をつかさに渡して』
「つか、さって、、あの寝てる奴……」
『そう。そして一言、言って欲しいの』
しばらく閣下の声が聞こえなくなった。KASと博之は、閣下はついにどこかへ行ってしまったと、大いに焦った。
しかしそれは幸運な事に杞憂に終わる。
『十中八九、貴方が魅音を殺したんでしょうけど、私は以前貴方に助けてもらった。だから今度は私が助ける番。
以前は挫けそうになったけど、私は絶対に貴方を見捨てない。この木刀を使って!お願いだから罪滅ぼしをして!』
閣下の叫び声がKASと博之二人の耳元に響いた。
「今のを、伝えればいいんだな閣下。分かった!絶対伝える!閣下!任しとけ!」
KASが涙を堪えつつ言い、閣下の返答を待った。
しかし────
────いつまで経っても閣下の声は聞こえてこなかった。
KASの瞳から、ぽたりと一粒の涙が零れ落ちた。
「うごわああああぁぁあぁああぁああぁぁあああぁぁぁあぁあぁああぁぁああああ」
KASの言葉にもならない叫びが草原に響き渡る。地面を何度も殴りまくる。
嗚咽を吐き、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしつつ、KASは一すくい、また一すくいと閣下に土を被せていく。
「うわぎゃあああぁぁあぁああぁぁあぁああぁぁあぁぁあぁぁぁぁああああああぁあぁあぁあああああ」
獣のような嗚咽を上げながら、KASは心臓部の核鉄を抑えつつ、懸命に土を被せる。
KASと同じように、博之もまた盛大な鳴き声を上げつつ、土を盛った。
少しずつ少しずつ、閣下の体は土に埋もれ、見えなくなっていった。
埋葬が終わった。二人は閣下の墓の前に座り、目を赤く腫らして、何をするともなく呆けていた。
「閣下、ついに死んでもうたな……」
「うん……」
「ほれ木刀……つかさって子に絶対渡したれよ……」
「うん……」
博之が他愛のない事を言い、KASがただ呟く。そんなやり取りがしばらく続いた。
いつまでもこんな事では駄目だと、博之は立ち上がる。
「行くぞKAS」
「うん……」
KASと閣下の付き合いは自分よりも長い。悲しみも一塩なのだろう。
そっとしておいた方がいい。
「KAS、そこに城あるやろ?俺先に行っとるぞ?」
「うん……」
博之は溜息を吐き、歩き始めた。何はともあれ、漸く城に着いた。
レナ達はもう着いているのだろうか。
「待てよ博之……」
「ん……?」
唐突にKASが口を開く。そして
「きおつけッ!!」
急にKASが立ち上がり、背筋を伸ばし、足を揃え、閣下の墓前で身体を硬直させる。
「博之きおつけッッ!!」
博之に同じ事をしろと言ってきた。博之は嫌な顔一つせず、素直に指示に従う。
「礼ッッ!!」
KASと博之が閣下の墓に一礼した。
「偉大なる閣下に敬礼ッッ!!」
当然のように、まるで当たり前かのように二人は全く同じ動作をした。
閣下に捧げる最後の挨拶。彼女が引っ張ってくれなければ間違いなく死んでいた。
その事に対する限りない感謝を込めて、二人は敬礼した。
たっぷり五分間敬礼し続けた後、二人は姿勢を崩し、城に向けて歩き始める。
「おいおっさん」
「お前ええ加減にせえ。俺はまだ二十代やわ」
「さっきあんたは閣下はもう死んだって言ったけど……まだ生きてるぞ」
博之はしばらく沈黙し、ゆっくりと口を開いた。
「言葉遊びはええわ、KAS」
「言葉遊びなんかじゃない!」
KASは、彼にしては珍しくゆっくりと言葉を選び、言った。
片手で木刀を掲げ、片手で自身の胸、つまり核鉄を指さしながら。
「閣下の心臓は俺の心臓になって生きている。俺と閣下は一心同体になっただけだ。
それとこの木刀の中にも閣下は生きている」
「閣下は死んじゃいない。本物の神様は優しいからな。閣下を死の淵から救いあげて、俺と木刀に閣下成分を融合させたんだ!
だから──だから俺は生きるッッ!! 俺が死んだら閣下も死んでしまうからな!」
KASはありったけの思いを込めて叫んだ。
────俺は死んでも生き残るッッ!!
【D-1 城の近く/二日目・昼】
【
KAS@KAS動画】
[状態]:重症(少しずつ回復中)、右拳骨にヒビ、お尻に火傷、全身に切り傷、強い決意と熱い闘志
[装備]:シルバースキン@真赤な誓い、洞爺湖の木刀@銀魂、レムーのリボン、首輪探知機(残り電池80%)@バトルロワイヤル
[道具]:
[思考・状況]
1.城に行き、ハルヒ達の事を皆に話す。
2.でっでいうを殺した大馬鹿野朗を倒す!
3.ハルヒは絶対に許さない。
4.閣下の分も生きる。絶対に生き残る。
5.谷口…………アリーヴェデルチ!
6.あのカード、どこ行ったんだろ?
7.このクソゲーをぶち壊してボスのスットコドッコイを倒して土下座させて悪い奴以外全員生き返らせるぜ!!!!
8.笛が気になる。
9.なんであんな所に孔明の罠があったんだ?
※体型はスーパーマリオに戻っています。
※ニコニコ動画に関する記憶が完全に戻りました。
※つかさの支給品は全てカイバーマンに渡しました。
※核鉄
使用時以外は持ち主の治癒力を向上させる。
ある程度の制限がかかっているが、2個、3個と使用すれば、回復力は上昇する。
KASの核鉄は心臓を担っているため、核鉄状態では取り出せない。
※KASが空の高い所で頭をぶつけた透明の天井は、ノヴァの内壁です。
【
永井博之@
永井先生】
[状態]:重傷、深い悲しみとそれを超える脱出への誓い、精神的疲労大、魔人ピロ(紫)、ひろが如く 、翼が生えた
[装備]:使用可【融合、進化の繭、コカローチ・ナイト(深夜に二度、昼に一度使用)、青眼の白龍*2、ラーの翼神竜(遊戯、海馬のみ)】
[道具]:
[思考・状況]
1.少数派による運命の打開
2.城に行き、ハルヒ達の事を皆に話す。
3.ハルヒ達をいつか絶対に倒す
4.水銀燈の入ったディパックとクロスミラージュを取り戻したい
5.その後城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。
6.水銀燈の分、詩音の姉へ償いをする。
7.水銀燈の右足を見つけたい
8.必ず生還し、水銀燈を直して再会する。
9.脱出の方法を皆に伝える
※ローザミスティカの力を得て魔人覚醒をしました。身体能力は遥かに向上、そしてどうやら水銀燈の力は行使出来る様です。
しかし、まだ魔人の能力を行使出来るか不明です。
※ただの人間がローザミスティカの力を得た為に、副作用を受ける可能性があります。
※水銀燈の見てきた全ての記憶・感情を得ました。
※水銀燈の能力のおかげで翼が生えています。
イメージ的にはローゼンメイデン2期、アニメ本編の最終回の真紅みたいな感じです。
※塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙の内容を完璧に覚えています。
※閣下を城の近くに埋葬しました。
ピエモンは閣下の死体が動かされた事に気づいていません。
【天海春香@THE IDOLM@STER 死亡】
【残り16人】
ピピっ、スクリーンに赤色の文字が浮き出る。
マルクは少しの間、その文字を眺めた後、考えなおし、文字を削除する。
「もう残り16人とかいう状況じゃあないのサ」
キーボードを叩き直す。ピエモンにアイスデビモン、そしてあいつもボクも、加えなければならない。
状況は変わった。
【残り20人】
ニコニコ動画バトルロワイアルは終盤に入り、少々趣を変える。
城を拠点とし、数々の困難を乗り越えてきた運命を打開する少数派は人の和を
思いがけない方法で首輪を解除した傲慢な神の集団は天の時を
クッパ城を擁し、様々な兵器、人材を兼ね揃えた絶対なる運営は地の利を
それぞれがそれぞれの志を掲げ、今、ニコニコ動画バトルロワイアルは三国時代へと──
最終更新:2010年03月18日 12:11