伊賀鍔隠れ衆が頭領お幻が孫娘、朧は目を覚ますと、
自分が薄暗い石造りのドームのような場所で寝かされていたことに気が付いた。

「姫様・・・・目を覚まされましたか」
「こしろう?」

朧はまだ朦朧とする頭を起こすと、
心配そうに声を掛けてくる田舎じみた若者の顔を見た。

鍔隠れ十人衆が1人にして、
薬師寺天膳が従僕、筑摩小四郎である。

「小四郎、ここは・・・・」
「解りませぬ・・・それがしも今眼を覚ましたばかりで・・・」

「「姫様!」」
背後より二つの野太い声が聞こえる。
朧が振り向くと、そこには毛深い長髪の男と、
ぬらりひょんの様に長い頭の老人が、
こちらによって来るところであった。

「念鬼、蝋斎老!」
小四郎と同じく鍔隠れ十人衆が一員、蓑念鬼に小豆蝋斎である。
二人の後ろを見やれば、長髪の美少年、妖艶な美少女、
そして青白い顔をした武家姿と、
やはり十人衆が一員、夜叉丸、蛍火、
そして薬師寺天膳の姿が見える。

他にも、結構な数の人間が、このドームの中にはいるようだ。
部屋が薄暗く顔までは窺えないが、
幾つかのグループに固まっている事は分かった。

朧が立ち上がって彼らに駆け寄ろうとしたその時だった。


「おい、やめろ馬鹿
このロワは早くも終了ですね」


声の方を向くと、白い髪に
先のとがった長い耳をした背の高い男がいた。

体は白く塗装されたプレートメイルで覆われており、
手には人の背丈ほどもありそうな大剣を握っている。

何処となく不気味で、それでいて異様な威厳と
威圧感がある男であった。

「あの・・・・・・」
何とも言えない奇妙な空気の中、
朧がおずおずと前に出る。
ここは何処なのか、貴方は誰なのかといった、
質問をするためだ。
しかし、

「何いきなり話かけて来てるわけ?」
その言葉は愛想の欠片も無い冷たい言葉に遮られた。
男の目線は明らかにこちらを見下した物だ。

温厚な朧も流石にムッときたが、
ここにいる人間たちの中で、明らかに異彩を
放っているこの男が、何かしら知っているような
予感がした為に、改めて話しかけようとする。

「お前達忍者の汚さに俺の怒りが有頂天になった。
この怒りはしばらくおさまる事を知らない」

しかし、それは成らなかった。
朧が声をかけるより早く、
男が突如、集められた人々全員に向けて
話し始めたからだ。

「だからお前らザコのにんzyやには殺し合いをして貰う。
どうせ一人で殺し合いをするどきょうもないだろうから
PT組んでする事になった」

突然にそんな事を言い出したのだ。

暫く、しんとして静まるドーム内。
その静寂を破ったのは、

「小僧、言いたい事はそれだけか」

鍔隠れ十人衆が一人小豆蝋斎老である。
ぬらりひょんの様な長い頭に青筋を浮かべている。
どうやらからかわれていると思ったらしい。

「蝋斎!」
「姫様、少し見ていてくだされ・・・・
おい小僧、戯言はいい。質問に答えろ、ここは何処だ?
わしらを此処に連れて来たのは貴様か?
さっさと答える事じゃ。
わしらは貴様とここで乳繰りあってるほど暇じゃないんじゃ」

「ボコボコにされたいらしいなおれはリアルモンク属性だから手加減できないし最悪の場合地獄に行くことになる」

売り言葉に買い言葉か、朧の制止を振り切って厳しい口調で詰問する蝋斎に、
男もけんか腰の言葉で返す。

不穏な空気が流れる。

「カァァァッー!」
膠着した空気を破ったのはまたしても蝋斎である。
丸で彼の足がゴムのように伸びると、
男の顔のすぐ傍らの空間を貫く。

僅かにかすったのか、男の左頬から、
ツゥーっと赤い血の筋が下りる。

「怪我をしたくなければ、さっさと答えよ!」
蝋斎はもはや鬼の如き形相である。

「お前ハイスラでボコるわ・・」
対する男も、悪鬼の如き表情だ。
手に握った大剣を構え、蝋斎に挑みかかった。

その動きは予想外に速い。
カカッっとダッシュし、
気が付けば蝋斎の目の前にまで
接近している。

「カァァァッー!」
蝋斎の腕が、男の顔めがけて横薙ぎに走る。
鞭の様にしなる蝋斎の一撃を受ければ、
それこそ果実のように男の顔は砕けてしまうだろう。
だがそうはならない。

男が左手に握った盾が、蝋斎の必殺の一撃を難なく防ぐ。

「ぐっ!」

その隙が命取り!
一瞬動きが止まった蝋斎の顔を、下から切り上げる
男の斬撃が二つに割った。

血を滝のように流しながら、地面に倒れ伏す伊賀忍者。

「蝋斎老!」
「「おのれぇ!」」

余りの出来事に朧が叫び、
激昂した念鬼と、小四郎が男に飛びかかろうとするが、

「もう勝負ついてるから」
と、男は自分の首を指し示す。

思わず、朧、念鬼、小四郎は自分の首に手をやり、
そこで、初めてある事実に気が付く。

「「「!」」」
どうして今まで気がつかなかったのか、
彼らの首には、残らず首輪がはめられていたのであった。
否、彼らだけではない。
ここにいる全ての人間が、ただ一人、この白髪の男を除いて
首輪をはめられているのだ。

「そこには火薬がつまってる。
俺の意思次第で、お前達が即死するのは確定的に明らか」

そう言うと、パチンっと指を鳴らす。
するとどうであろう、既に屍と化していた蝋斎の
首に小爆発が起こり、老人の首と胴を斬り離したではないか。

「むぐうっ・・・・・・」
念鬼は口をへの字に曲げて、飛びかかるのを堪えているようだ。
今、飛びかかれば、蝋斎の仇を討つどころか、自分の
蝋斎と同じ所に行くハメになるからだ。

しかし、怒りの感情は如何ともしがたいのか、
念鬼の髪が、正しく「怒髪天を突く」の言葉の如く、
ウネウネと揺れ動いていた。

「もう一度言うが、
お前たちにはチームで殺し合いをして貰う。
期間は四日間。
その間に、他のチームのメンバーを
皆殺しにするか、
最後まで一番多く人数が残ってたチームが勝ち」

「同点だった場合、同点のチームだけ残して、
残りは死ぬ事になる。
それで、残ったチームでもう一回殺し合ってもらう」

「このゲームに参加するヤツの名前を書いた巻物が
一人一つ与えられるけど、最初は自分のチームメンバーの
名前しか書いていない。
ゲーム開始から六時間後に、他のチームの名前が浮き上がってくる」

「あと、一人一個ずつデイパックをやる。
中には水、食糧、地図、名簿の巻物、
そしてランダムのアイテムが入っている」

「最後まで勝ち残ったチームには・・・・そうだな
リアル世界よりも充実したヴァナ生活が認可される」

「説明は終わりだ。それじゃ・・・」

男が再び指を鳴らした。

「ゲームスタート!」

瞬間、ドーム内の人間の意識がストンっと闇に落ちた。
彼らが最後に聞いたのは男の高笑いだった。

【小豆蝋斎@バジリスク~甲賀忍法帖~ 死亡】

【忍者キャラチームバトルロワイアル】
【主催者:ブロントさん】

開始

参戦決定チーム

【バジリスク伊賀チーム@バジリスク~甲賀忍法帖~】6/6
○薬師寺天膳/○筑摩小四郎/○夜叉丸/○蛍火/○蓑念鬼/○朧

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最終更新:2008年12月12日 19:23