「あの毛唐、許すまじ!叩き殺してくれるっ!」
「落ち着かんか、念鬼!」
「落ち着く?落ち着けるものか!
蝋斎老をああも無残に殺され、
ここまで虚仮にされて鍔隠れの名が泣くわぁ!」

髪の毛を逆立て、鼻毛を蛇のようにのたうち回らせながら
蓑念鬼は鬼のように吠え、天膳が顔に青筋を立てながら
それを窘めている。
この光景は果たしてもはや何度目か。

彼らがいるのは四層の高さの天守閣の最上階である。
伊賀に近い、かつての信貴山城を思わせる山城だ。
ただし、天守と石垣以外は小さな館と柵、土塁がある程度で、
城と呼ぶには些かお粗末な作りだ。

しかしそんな城にも一つ利点がある。
この「島」で一番高い山に天守があるらしく、
「島」の全体を見渡せるのだ。

島、そう島である。
彼らが連れてこられたのは島であった。
島はかなり大きく、田園地帯、その間を走る幾本もの道、
他の山、小さな村、深い森などがあるのが
ここから見ることが出来た。

そして、島からやや離れた海上に浮かぶ物、
小さな島と、それ全体を覆い尽くす石造りの城塞が見えたのだ。

恐らく、彼らや、他の忍び衆が最初に連れて来られた場所だ。

それを見るや否や、鼻息荒く城塞へ殴り込みをかけようとする念鬼と、
それを窘める天膳の間で口論が起こり、それは今でも現在進行形だ。
口論する男二人の傍らでは、
蝋斎を失ったことによる悲しみで塞ぎ込んでいる朧と、
それを傍らでおろおろしながら慰めている小四郎の姿が見える。

夜叉丸と蛍火はここにはいない。
天守の傍らの館や、城の周辺を偵察に行かせたのだ。

「「姫様はどちらを支持なさるっ!」」
男二人の顔が、突如朧に向けられる。
いきなり話を振られて驚く朧だが、

「取り敢えず・・・・夜叉丸と蛍火の帰りを待ちましょう・・・」
と沈んだ声で言う。

それを聞いて念鬼は鼻をフンッと一度鳴らすと、
その場で胡坐をかき、
天膳は舌打ちすると、念鬼からそっぽ向いて正座を組んだ。

そのまま、天守には沈黙が流れた。

(入りずらい・・・・・・)
今しがた偵察から帰ってきたばかりの夜叉丸と蛍火は、
天守を満たす殺伐とした空気に、
襖の奥で入るにも入れず、冷や汗をかいていた。

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【バジリスク伊賀チーム@バジリスク~甲賀忍法帖~】6/6
薬師寺天膳/○筑摩小四郎/○夜叉丸/○蛍火/○蓑念鬼/○朧

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最終更新:2008年12月19日 00:25