![]() |
日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略 深田 匠 (著) 出版社/著者からの内容紹介 反米・親米論争に終止符を打つ「第三の視点」による未来戦略論!「強い日本」を待望する共和党、「弱い日本」を管理したい民主党。米国民主党・中国・国内左派こそが「反日の枢軸」である!アメリカ、中国、北朝鮮、韓国、イラク、国連…そして日本、この一冊で世界の「裏」が全てわかる!(以上帯文より) 田中正明氏、小室直樹氏、小堀桂一郎氏、清水馨八郎氏、中村粲氏、名越二荒之助氏ら、多数の著名保守文化人が「真実のアメリカを知るために最適の書」と絶賛! |
1 | リベラル天国だったアメリカ | アメリカでは、1930年代の大恐慌を契機に、1933年から1952年までF.D.ルーズベルト→トルーマンと5期20年間も民主党政権が続き、大統領府だけでなく、上下両院も民主党が恒常的に多数派を占め、マスコミにも大学にもリベラル左翼が蔓延した。 共和党は、1952年の大統領選で第二次大戦の英雄アイゼンハワーを担ぎ出して1953年に一時ホワイトハウス及び議会の多数派を奪還したが、議会の優位は短期間で民主党に奪われアイゼンハワーの8年間の任期の終わりは政権のレイムダック化が著しかった。 そして1960年の大統領選ではリベラルの星ケネディが当選し、民主党は再び大統領府・上下両院を制圧した。 |
2 | ゴールドウォーターの挑戦と敗北 | 1960~70年代のアメリカは、黒人の公民権運動やフェミ二ズム運動、さらに新左翼の学生運動・ベトナム反戦運動が活発に行われる反面で、アメリカ社会の伝統的価値の崩壊が進行しており、これに対する保守派の一般国民の反発も徐々に高まりつつあった。 政治的に初めて、そうしたアメリカの保守主義の旗印を鮮明に掲げて大統領選に登場したのが、1964年の共和党候補バリー・ゴールドウォーター上院議員だった。 強く正しいアメリカの価値観の再生を訴える彼の演説は左翼思想に傾きがちだった学生達の間ですら「ゴールドウォーター・ガール」と呼ばれる熱狂的なフォロワーを生み出して社会現象となるほどだった。 ところがリベラル左翼が大半を占める米マスコミは、これに危機感を抱いて、強固な反共主義者だったゴールドウォーターに極右反動というレッテルを貼って盛んに中傷攻撃を行い、そのために1964年の大統領選ではゴールドウォーターは全体の4割弱の票しか得られず、民主党のR.ジョンソンに大敗を喫した。 アメリカの保守が、リベラル左翼の壁の厚さを思い知らされた瞬間だった。 |
3 | 中間派リベラル寄りだったニクソン・フォード政権と草の根右派の運動 | ゴールドウォーター敗退後の共和党は中間派でリベラル寄りの票も取れるニクソンを1968年の大統領候補に選び、ホワイトハウスを奪還し、1972年にはニクソンを再選させたが、議会の多数派は依然民主党が占める弱体政権であり、ニクソンは民主党本部盗聴とその隠ぺい工作(ウォーターゲート事件)を引き起こして、大統領辞任に追い込まれる事態まで発生した。 その一方でアメリカの保守派は、マスコミから無視されながらも各地で地道な運動を展開し続け、グラスルーツ・ライト(草の根右派)という言葉が生まれた。 |
4 | 本格的保守レーガン政権の誕生 | 1976年の共和党予備選挙で、カリフォルニア州知事を務めるロナルド・レーガンが保守派の期待を集めて大健闘し現職大統領であるフォードをあと一歩の所まで追い詰めた。共和党内ですら人気を集めきれないフォードは本戦で民主党カーターに敗れた。 そして1980年の共和党予備選挙ではレーガンが共和党候補に選出され、バリー・ゴールドウォーター以来久し振りに本格的保守の大統領候補が登場した。 俳優出身でマスコミ対策も優れるレーガンは、アフガン紛争やイラン革命後のアメリカ大使館員人質事件などにも助けられてリベラル左翼の多いマスコミの攻撃を排して民主党現職のカーターに圧勝し、遂に本格保守政権がアメリカに誕生した。 初めて本格派保守の旗を立てて大統領に挑戦した1964年のゴールドウォーターの敗北から16年目のことだった。 |
5 | 3期12年続いた共和党政権と冷戦勝利 | 1981年から1992年まで、レーガンからブッシュ父による共和党政権が続いたアメリカでは、外交面で明確な反共政策に舵を切って、ソ連・東欧の社会主義国を崩壊に導くとともに、国内的には大規模な規制緩和が行われ、ニューディール以来の長年に渡るリベラル的な経済政策と決別して経済活動の再自由化が推し進められた。 但しレーガン・ブッシュ政権期も議会は民主党が優位を占めている期間が長く、保守派の望む国内経済政策及び教育分野などの社会的政策は、リベラル派の強い抵抗を受けて中和されるのが常だった。 この時代の共和党は大統領府と上院を押さえることは出来ても、アメリカ国民に一番密着した下院では一度も民主党優位を覆えすことが出来なかった。 |
6 | 保守派共和党の議会制覇 | 共和党の中では中間派だったブッシュ父は不況の影響もあり1992年の大統領選で民主党候補のクリントンに敗れ、共和党は12年振りにホワイトハウスを失った。 その一方で、クリントン政権時代には遂に草の根右派の運動が、議会選挙のレベルで実を結んだ時期だった。 1994年の中間選挙で、ギングリッジ下院議員が中心となってアメリカ保守の統一的な政策綱領「コントラクト・ウィズ・アメリカ」を打ち出した共和党は上下両院で地滑り的な大勝を果たして議会を制覇した。 |
7 | ブッシュ子政権と保守政策の実施 | 共和党は2000年の大統領選で僅差で民主党を破り、1953年のアイゼンハワー政権以来40数年振りに、大統領府・上下両院を制した。 ブッシュ子政権期には、レーガン政権ですら議会の抵抗で実現できなかった大胆な税制改革や教育改革・宗教政策の改革などの保守派の長年の宿願の一部が達成された。 現在のアメリカは、再びリベラル派民主党が大統領府・上下両院を制覇しているが、保守派共和党との実力差は小さく、リベラル全盛だった30年前に比較して、総じてアメリカでは保守派とリベラル派が拮抗していると言ってよい。 (社会の潮流としては保守派にむしろ部がある、という話もある) |
アメリカ保守の最初の希望の星であるゴールドウォーター大統領候補の敗北から、レーガン政権誕生まで、16年の歳月を要している。 |
保守派が多い共和党が下院でも多数派を占めるには、レーガン政権の誕生から更に14年かかっており、共和党がブッシュ子政権の誕生で大統領府・上下両院を完全に制覇するまでに、ゴールドウォーターの挑戦から数えて36年もかかっている。 |
その間に保守運動の拡大を支えたのは、左翼マスコミに無視され続けたグラスルーツ・ライト(草の根右派)の地道な活動だった。 |
共和党はゴールドウォーターの敗北のあと、ニクソン・フォードの中間派リベラル寄り路線に軌道修正してホワイトハウスを奪還したが、下院では民主党に全くかなわなかった。 |
共和党が下院でも民主党に拮抗できるようになったのは、草の根右派の長年の地道な活動が実ったからである。 |
ゴールドウォーターに相当する、戦後日本で保守主義の旗印を高く掲げた政治家は、「戦後レジームからの脱却」を訴えた安倍元首相だろう。 |
安倍元首相も盟友の麻生元首相も、左翼マスコミの中傷攻撃に曝されて選挙に大敗して退陣を余儀なくされた。 しかしアメリカのゴールドウォーター・ボーイ/ガールのような熱心な保守派の草の根的な愛国活動も始まった。 |
一方、自民党は麻生元首相の退陣のあと、リベラル寄りの谷垣・大島・石破などが指導する中間左派的な路線に逆戻りしている。 |
米共和党のニクソンが米民主党に勝利したように、この路線で一時的に民主党に勝つこともあるだろう。 もちろんそれは民主党が勝つよりはずっと望ましいことだか、それは我々の目指す本当の勝利ではない。 |
アメリカの例で考えるならば、日本にもレーガン政権に匹敵する本格的保守政権が誕生するのは、2007年の安倍元首相の大敗から16年後の2023年頃になることになる。今20歳の人なら33歳になっている計算で、いずれにしろ息の長い戦いになることを覚悟しておいたほうがいいかも知れない。しかし、それでも我々には大きな希望がある。 |
![]() |
アメリカ保守革命 中岡 望 (著) 出版社/著者からの内容紹介 今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。 |
![]() |
G・W・ブッシュ政権とアメリカの保守勢力―共和党の分析 久保 文明他 (著) 内容(「BOOK」データベースより) なぜブッシュ政権はこれほど保守的であり、なぜその外交政策はこれほど強硬なのか―。共和党保守派の背景、人脈、思想、政策を分析する待望の書。 |
![]() |
米国民主党―2008年政権奪回への課題 久保 文明他 (著) 内容(「BOOK」データベースより) 大統領選挙で破れた民主党はいまどこに向かっているのか。2008年に向けた新たな政治戦略を徹底的に分析。「G・W・ブッシュ政権とアメリカの保守勢力」に続く第2弾。 |
![]() |
アメリカ外交の諸潮流―リベラルから保守まで 久保 文明他 (著) 内容(「BOOK」データベースより) アメリカ外交は、介入と孤立の間で激しく揺れる。それは、国際事象に対する反応であると同時に、国内政治力学の反映でもある。迷宮のようなアメリカ国内政治が外交政策にいかなる影響を及ぼすのか。その複雑な力学を解明する。 |
![]() |
ザ・フェデラリスト(抄訳版) A.ハミルトン(初代財務長官)、J.マジソン(第4代大統領)、J.ジェイ共著 アメリカ合衆国憲法のコンメンタール(注釈書)として不動の地位を確立している名著 福村出版の完訳版は残念ながら絶版状態のため岩波の抄訳版をお勧めします。 ※ 法学の基礎知識 参照 |