訴えられるのを回避するため言質を取り、羽川を色々ないやらしい言葉で貶めた後、僕はヘタレになった。
目の前にブラを取り去った豊満な胸部があるのに、それを触ることを拒否してしまったんだ。
なんてことを。
勿体無い。
なんてヘタレなんだ。
僕は僕を恨みそうになる。
羽川はもう初体験の覚悟までしていたというのに……。
その期待に応えられないなんて……。
期待に応えられない……なんて思っちゃったけど、羽川としても望んでいないことなんだもんな。
さっきのはある意味脅迫に近いものがあるし。
まあ、ここで踏みとどまった僕は男として凄いヤツなんだ。
決してヘタレなんかではなかったんだ!
女性を大切にする男の中の男だ!
据え膳食わぬはなんとやら、なんて好色に塗れた人間の言葉を本気にするほど僕は幼くないぞ!!
そうだ、男としてのプライドを見せ付けてやろう。
「…あ、あの、羽川さん。代わりに肩を揉ませてくれませんか?」
「ん? んん? それでいいの?」
「ああ」
「じゃあ」
僕は羽川を辱めた罪悪感から敬語になってしまう。
羽川の了解を取った後マッサージをするために後ろに回り、肩を揉んだ。
全然凝っていなかった。
羽川の肩はとても柔らかく、これが女性の身体なんだという思いが僕の身体を緊張させる。
いや、僕の思いなんてどうでもいいんだ。
せっかくなんだから羽川には喜んでもらわなければいけない。
気合を入れて。
もみもみと。
むにむにと。
さわさわと。
むにゅむにゅと。
触り方を変えながら揉んでみた。
「ど、どうだ、羽川。強さはこんなもんか?」
「う、うん。ちょうどいいよ」
頭の中をよぎった邪な欲望を誤魔化すために話しかけただけなんだけど、羽川は少し恥ずかしそうに答えた。
いつも穏やかでふんわりした羽川の声が小さくなる。
その小さな声と指から伝わる感触は徐々に僕を酔わせていく。
「あんまり凝ってなさそうだから次は腕を揉むな」
「えっと……、じゃ、じゃあお願いしよう、かな」
遠慮がちに呟いた羽川は、珍しく言葉を詰まらせている。
あまり気にしないことにして、僕の指は肩から二の腕に移った。
さっき二の腕はおっぱいと同じような感触だろ?って言ったら前は否定されたよな。
羽川は、『二の腕とおっぱいとは全く違う感触だ』って大きな胸を張って言っていた。
それも自分のおっぱいを揉んでいるっていう恥ずかしい告白までして……。
あの顔は可愛かった。
……もう一度見たい――じゃなくて、だから腕を揉んでも特に問題はない。
全く違う感触なんだからな。
おっぱいの感触を楽しむようにじっくりと時間を掛けて二の腕の筋肉をほぐしていく。
腕を包むように揉み、おっぱいとは似ても似つかないらしい感触を目を瞑りながら楽しんだ。
イメージするんだ。
そうすればこれがおっぱいの感触になるはずだ。
次にまた肩に移る。
僕は結構満足したけど、羽川も満足してくれているのか?
今度は肩甲骨の上の筋肉も揉み解した。
やっぱり凝っていない。
ふにふにと抵抗がない。
コリが見当たらない。
「羽川、次は前を揉むぞ」
「ま、前って?」
「鎖骨のすぐした辺りだ。肩こりの時はそこも揉んだ方が良くなるんだよ」
「…そうだね」
「知ってるのか。やっぱりお前はなんでも知ってるんだな」
「なんでもは知らないよ。知ってることだけだよ」
念のため確認をすると羽川は簡単に受け入れてくれた。
肩甲骨の周りを一通り堪能した僕は次に鎖骨の周囲に指を這わせる。
全然凝っていない。
どこも凝ってないんだな。
おっぱいの大きい女の人は肩が凝るっていうけど……。
まさか、その大きなおっぱいは偽物か!?
これは男として確かめなければいけない。
少し手を下げてみた。
大きな膨らみの麓に指を当てる。
やっぱりふにふにとしていて、抵抗がない。
抵抗はないけど、柔らかさは増大した。
この感触はクセになりそうだ。
もう少し手を下へとずらしていく。
羽川の身体はどんどんと柔らかくなっていった。
うん?
小さなコリが見つかった。
左右で二つ、同じような位置に付いていて、そのコリはちょっと出っ張っている。
僕は親指と人差し指で軽く摘んでみた。
羽川は、ぁっと呟き背筋がビクっと伸びる。
やっぱりコリコリとしていた。
そこを触り続けると、羽川は…ぁっ…んっ…呟き、何度も身体を捻り僕の手から逃れようとする。
嫌がっているようにも見えるけど、そんなに嫌じゃないんだろう。
大きな声も出さないし、僕の手を弾こうともしない。
たまにビクッと反応し、身体を震えさせるだけだ。
しばらく続けると、羽川は全身から力が抜けたように僕に凭れ掛ってきた。
ここを触られるのは気に入ったみたいだ。
クリクリと摘み、優しく押し込むと羽川は、…ぁぅっ、んんっ、と可愛い声を上げて震えた。
摘めば摘むほど、押し込めば押し込むほど、焦らせば焦らすほどそのコリは固くなった。
羽川も大変だ。
こんなところに小さいけど頑固なコリを残しているなんて。
ここは僕が責任を持って処理をしよう。
このコリが柔らかくなるまで付き合わなきゃいけない。
それが僕の責任なんだ!
よし羽川、待ってろよ!
僕がお前を楽にしてやる!
とりあえず自分の中で言い訳をした僕は羽川の乳首を弄び始めた。
両手を満遍なく使い、たぷたぷした……もう何ていっていいかわからないくらいの素晴らしい狂気に僕は魅せられた。
二の腕はおっぱいの感触じゃないっていっていたわけがわかる。
確かに違う。
大きさも柔らかさも全然違った。
羽川の言う通りだ。
自分のことを過小評価する控えめな委員長が柔らかさを自負しているだけのことはある。
僕の手が羽川のおっぱいを包んでいるはずなのに逆に包まれているように感じ、僕の気持ちを癒してくれる。
二の腕と似ているような気がするけど……。
もしかしたらそれほど胸の大きくない女性だったら二の腕とそっくりになるかもしれない。
あとはやっぱり乳首があるかないかで印象がまるで違う。
僕の手が包んでいる柔らかいものを触っているだけでなく、乳首を弄ぶ楽しさがないなんて考えられない。
そう考えると羽川はやっぱり風呂場で自分で―――。
だからあんなに恥ずかしそうに言ってたわけだな。
納得したよ、羽川。
僕は初めて味わう女性の弾力に心奪われた。
それも相手がこの委員長だなんて。
僕は今、羽川の後ろにいるからわからないけど、いつも柔和な笑みを浮かべるその表情はきっと変化しているだろう。
甘い吐息が少し荒くなり、肩が上下していた。
無意識に口から出てしまう悩ましい声が恥ずかしいのか、羽川はまだ誰も触れたことがない桜色の唇をつぐんでいる。
僕は手を羽川の前で交差させた。
ギュッと抱き締めるような体勢を取りながら、羽川の右の乳首には僕の左手が、左の乳首には僕の右手が這い回っている。
刺激を続けると、羽川の吐く息にはより多くの熱が篭ったような気がした。
熱い息遣いをし、ろくに呂律の回らなくなった羽川が目の前にいる。
僕の左手は羽川のブラウスのボタンを上から順に外していった。
ポツと一つボタンが外れるにつれて、すでにブラジャーから解放されていた乳房が空気に晒されていく。
最後のボタンを外すとブラウスは勝手に左右に広がった。
力なく垂れている羽川の両手が僕の手に重ねられる。
僕の手を握る羽川の手は切ないくらい力が入っていない。
嫌がるような仕草はないどころか、もっと僕が触りやすいように身体を動かし始めた。
羽川の乳首を弄んでいた僕の右手はそのまま下へと這って降りていく。
スカートを捲くり上げ、ショーツの中を目指すが、僕の手首を握っている羽川の手はやっぱり抵抗しようとしない。
そのまま薄い茂みと通り越し、あっさり割れ目へと到達した。
誰にも触れられたことのない割れ目からは愛液が溢れていたが、閉じられた股が僕の指の侵入を拒む意思をみせる。
だけど「開いて」と耳元で囁くと羽川は、「…ぅん…」と呟いてほんの少しだけ脚を開いた。
指を滑り込ませ、ヌルヌルになった秘部をまさぐる。
羽川が僕の手を握る力は強くなり、小さく震えていた。
初めて、と言っていたから怖いのかもしれない。
僕にこんなことされるのはやっぱり嫌なのかもしれない。
だけど、僕はもう止まれなかった。
羽川の色香で僕の理性が麻痺していく。
敏感になった僕の五感は羽川の発するフェロモンに強く反応しているようで、どうしようもなかった。
身体が勝手に動き、僕の気分を高ぶらせていく。
体感したことのない快楽を与えられることで羽川はピクピク身体を動かし、僕の指から逃げるように身を捩る。
だけど本気で嫌がる素振りは見せない。
恥ずかしさが勝っているだけなんだろう。
んんっ…ぁっ…ゃっ…
艶を纏った声は、もう女性の嬌声そのものだった。
可愛い。
顔が見たい。
だけど見えない。
優しくて落ち着いてて頭脳明晰でどこか大人びた雰囲気を持っている羽川が女を感じさせる声を何度も発しているんだ。
興奮するのも、興味を持つのも当然だろう。
僕は手を動かしながら羽川の右のうなじにキスをする。
甘噛みしたかったけど、もしも牙が羽川のうなじに刺さりでもしたら、血を飲まない自信はない。
ただでさえお腹が減ってきているんだ。
危険な可能性は出来るだけ潰しておかなきゃいけない。
美味しそうなうなじにキスを続けながら羽川の香りに酔う。
愛液に塗れた陰部はヌルヌルでくちゅくちゅと卑猥な音を出し、僕を誘惑してくる。
右手で触れている陰部は、愛液が垂れ流しのような状態になっていた。
ゆっくりとまさぐっていると豆のようなものを見つける。
これがクリストスなのか? と考えながら遠慮がちに触ってみた。
んっ! ぁああっ!
羽川の反応が大きくなる。
ピクッと身体が震え、僕の腕を握る力が強くなった。
すぐに身体全体の力が抜ける。
今の羽川は僕に全てを委ねているようだった。
左手で乳首を刺激しながら、うなじにも舌で刺激を続けた。
首筋の根元から徐々に頬に向かっていく。
はっ…んんっ……ぁん…
柔らかな頬に口付けをする。
口付けというよりも唇で触れているだけ。
押し付けたりはせず、頬をなぞるように軽く動かす。
そうしながら左手で徐々に羽川を僕の方を振り向かせようとする。
羽川の顔が少しずつこちらを向く。
それにつれて唇同士の距離も近づいていった。
距離が無くなると羽川は大きな瞳を細め、照れたような笑顔で、はむっと僕の唇に吸い付いた。
あの真面目な委員長の羽川が。
僕の唇に。
自分から重ねてきた。
なんだろう、このゾクゾクする感覚は。
身体中を一瞬で駆け抜けたこの感覚はなんなんだ。
あの雑誌が『眼鏡の委員長特集』という企画を組んだ理由がわかった気がした。
これは――異常だ。
ありえないんだ。
こんな状況は。
普段は清楚で真面目な委員長の中の委員長がこんなにも乱れて僕を欲している。
呼吸は荒く、外気に晒された乳房を隠そうともしない。
淫らな息遣いで大きな胸が上下する。
真面目そうな眼鏡をつけて、髪を結ったまま僕を見るその姿は妖精のように美しい。
絵画の中から飛び出してきたかと思うくらいだ。
その姿は僕を誘惑しているようにも見えた。
シルクのようにサラサラで綺麗な肌をした委員長の中の委員長、羽川翼がおさげのまま涙目で僕を見つめている。
余計な脂肪はない整った身体だ。
くびれた腰とプルンとした臀部。
それに凶悪なバストが混ざり、極めつけは真面目メガネとその中で震えているまつ毛。
怖いのか、恥ずかしいのか。
閉じる目蓋に力が入っているんだろう。
それが新鮮で余計に可愛く僕の目に映る。
僕には羽川に貪りつくことしか出来なかった。
唇の感触を楽しむ余裕はない。
経験がなかったから必死だった。
経験のない僕が会ってまだ二週間しか経っていない女性とこんなことをする機会が巡ってくるなんて思うはずもない。
死ぬ覚悟をしてから男が上がったんだろうか。
羽川の唇から躊躇いながら出された舌は遠慮がちに僕の舌を探している。
羽川の舌に僕の舌を合わせてみた。
ぬちょっとした柔らかさと初めて他人の唾液を口内に入れ、困惑する。
だけどいつの間にか僕は羽川の唇に夢中になっていた。
口を窄めて唇で羽川の舌を感じてみたり、限界まで喰らいつくように唇を合わせてみたり……。
僕は無意識に羽川を求めていた。
キスをしている間忘れていた両手を動かし始める。
羽川の力は抜け、表情が甘くなった。
恍惚とした表情、とでも言えばいいのか、女の子のこんな表情は今まで見たことが無い。
羽川は唇を重ねながら瞳を閉じて僕を味わうように唇を含んだり、舌を這わせたりして僕を感じているようだ。
真面目な羽川が乱れている今の姿は凄く魅力的。
ここ二週間一緒にいた羽川とは別人のようにも思える。
羽川って真面目さと優秀さが目立っているだけで、よく見ると普通に可愛いんだよな。
ちょっと童顔気味だけどスタイルは良い。
胸はそこまで大きくはないと思ってたけど、ブラから解放された羽川の胸は制服の上からは想像できないくらい大きかった。
隠れ巨乳というやつか。
ウエストは引き締まっているし、脚も綺麗だ。
艶の入った声を出すと一層に大人びて見える。
一度呼吸を整え落ち着く。
だけど上気した柔肌の甘い香りに誘われるように、引き寄せられてしまう。
どうしようもない魅力が引力になり、後ろから襲うように強く抱き締める。
羽川は何も言わずに僕にされるがままになっていた。
羽川の意思で動くのは唇だけ。
僕を求めるように何度も唇を合わせる。
再び僕は手を動かし、反応が良かった場所を重点的に攻めてみる。
右手をスカートの中へ入れ、陰芽を強く触り始める。
「…あっ、んっ……、ん、阿良々木、くん……少し……いたい…」
「ご、ごめん、羽川」
どうやら強く触ると痛いようだった。
どうしてか硬くなっていたから大丈夫かと思ったんだけど……。
今度は力を抜いて触ってみる。
グッと羽川の背中に力が入った。
また失敗かとも思ったけど、痛がる様子はない。
羽川の舌は積極的に僕の口内を這い回り始めた。
羽川は気持ちが良いのか時折りビクッと痙攣するように震え、息を整えている。
唇が離れるたびに僕に見せる瞳は潤み、自分の痴態を恥ずかしがっているようだった。
目が合うと小さく笑って唇を合わせてくる。
羽川は積極的に僕を受け入れてくれている。
吸血鬼である僕を、化物になった僕を怖がりもせず受け入れてくれている。
不思議ではあるけれど、羽川にとっては当たり前のことかもしれない。
自殺しようとした僕の心を読んで、止めてくれた委員長。
励ますだけじゃなくて怒ってもくれる。
人間強度がどうこうと言っていた自分が情けなくなる。
この命の恩人をこれからずっと大切にしていこう。
頭ではそんなことを考えながらも僕の指は止まっていなかった。
羽川の乳首と陰芽を執拗に攻め続けたのがいけなかったのか、視点の定まっていない羽川が僕に身体を預けていた。
眼鏡がズレ、外れかかっていたからちゃんと掛け直し、攻めを続ける。
我慢できないのか、口から漏れてくるのはいつもの羽川から掛け離れた可愛い声。
いつまでもその声を聞いていたくなる。
キスをすると口を塞ぐことになってしまうのが残念だ。
僕が指を動かし続けていると甘い呻き声を何度も上げ、ピクッと震える。
だけど今までとは様子が少し違っていた。
羽川が自分から腰を動かし始めたんだ。
僕の指を陰唇の中に入れるようにほんの少しだけ動いていた。
羽川は、ぼうっとして自分が何をやっているかわかっていないようだ。
導かれるように僕の指が羽川の膣に入る。
陰唇からはダラダラに愛液が溢れていた。
ヌルヌルになったから触りやすかった陰芽とは違う。
膣の中はこんなにも熱いとは思わなかった。
次々と湧いてくる愛液と体温が僕の指を包み、僕自身も我慢できなくなってしまう。
僕は服を脱ぐために何も言わずにほんの少しだけ羽川から離れた。
羽川は、「えっ?」と声を上げ、少し動揺している。
これで終わりだと思ったのだろうか。
脱ぐから少し待つように伝えると羽川は恥ずかしそうに笑ってから顔を背けた。
僕が脱いでいる間に羽川も服を脱いだようだ。
身体は艶やかで、湯気が出そうなほど火照っているように見える。
透明感のある瑞々しい肌は赤みを帯び、薄いピンクに染まっていた。
僕は周囲を見回した。
吸血鬼になった今は暗さなんて何の問題もない。
羽川と行為に及べるような場所を探すけど、どこも埃だらけで衛生的にも適していない。
雰囲気なんて何にもなかった。
僕はせめて羽川の身体が汚れないようにと配慮する。
「羽川、立ってそこの跳び箱に手をついてくれ」
「えっ、ちょっとそれは……」
少し戸惑ってたようだったけど、キスをしてもう一度頼むとしぶしぶ言うことを聞いてくれた。
跳び箱に誘導し、手をつかせ、お尻を突き出してもらう。
いつも真面目で学校で一番優秀な委員長がそんな姿をしていると思うと妙にゾクゾクしてしまった。
窓から漏れてくる月の光が羽川の裸体を彩る。
重力に引きつけられ、大きな胸ははしたなく下に引っ張られていた。
くびれたウエストなだらかな曲線を描き、スタイルの良さを不動のものにしている。
丸く張りのある臀部から伸びた足はとても綺麗で、余分な脂肪も余計な筋肉もない。
ただすらりと伸びている長い脚。
見るだけでスベスベの感触が伝わってくるようだった。
僕は羽川の腰に手を掛け、突き出されたお尻に僕のモノを当ててみる。
気持ちが良い。
一人でするときとは全く違う感触に思わず酔いそうになる。
はしたなく流れている愛液に陰茎を搦め、擦り付ける。
挿入してもいないのに羽川の中からはいやらしい液体がどんどん溢れ出ていた。
僕を待っているんだろうか。
僕の位置からは羽川の顔が見れなかった。
恥ずかしそうにしている羽川の顔は大好きなのに……。
そんなことを思いながらも僕の腰は動いていた。
入れる準備をしようと、羽川の愛液を陰茎に搦め、刺激をする。
気持ちが良いんだろうか、羽川の口からはまた甘い声が漏れてきた。
「入れるぞ」
「…んっ」
陰唇に陰茎を添え、ほんの少しずつ侵入してみる。
僕は今まで知らなかった熱に、感触に、快楽に包まれた。
病気で熱でも出しているのか、と思うほど羽川の中は熱く火照り、僕を締め付けてくる。
今まで焦がれて欲しかったものを手に入れたような気分になり、一気に挿入してしまう。
…ん、いたっ。
小さな呟き。
何の配慮もなく勢いだけで突き入れてしまったことを後悔したけど、大丈夫だったかと安心する。
だけど僕の視界に羽川の手が入ってきた。
これでもかというほど強く力が入っているようで、腕から先が震えている。
さっきまでとは違い、快楽から震えるというようにはどうしても見えなかった。
僕はしばらくの間、動けずにいると羽川は痛みを堪えながら「動いていいよ」と声を掛けてくれる。
どうしていいのかわからない。
ただ激しく突き動かされる情熱のままに腰を打ち付けるのはダメだということがわかった。
小刻みに、遠慮がちに動いてみる。
ほんの短い距離を抽送するだけ。
なのに僕に伝わる快楽は半端じゃなかった。
熱に包まれ締め付けられるだけでない。
目の前にいるのが羽川なんだということが重要なのかもしれない。
僕にお尻を突き出している羽川は辛いのか、肩で息をしていた。
腰をあまり動かすことは出来ない僕は羽川の背中に指を這わせる。
そうすると羽川は入れる前みたいに敏感に反応してくれる。
くすぐったそうに身を捩り、その度に僕を強く締め付けた。
その仕草が面白くて何度も続けていると羽川の声が徐々に艶を帯びていく。
僕からはおさげの後姿しか見えないけど、羽川は気持ちがいいようだ。
処女を散らした痛みからはまだ解放されていないようだから、違う部分で気持ちよくさせてみることにする。
背中を這い回っていた僕の指は、乳首に向かって動き出した。
床に引っ張られている羽川の胸の先端を狙い少しずつ動かしていく。
羽川は焦らされるのが好きなのだろうか。
身を捩るたびに僕を締め付けてくるけど、相変わらず意識してやっているようではない。
笑い声と艶やかな声が混じっている。
なんだかそんな羽川がより一層可愛く思えてしまう。
僕は腰を一番奥まで入れ込み、羽川の身体を引き寄せた。
跳び箱を握り締めていた手が離れ、バランスを取ろうとする。
そんな羽川を無視して、挿入したままの状態で後ろから思い切り抱き締めてみる。
驚いたのだろうか、羽川は動かない。
僕に強く抱き締められている。
抱き締めているだけではすぐに物足りなくなる僕の指は陰茎の入ったすぐ傍にある芽と乳首を弄び始める。
すると挿入する前のような甘い声が体育倉庫内に響いた。
痛みはどうなったのだろうか。
消えたのかもしれないし、我慢しているのかもしれない。
だけど今、羽川は悦んでくれている。
そのまま刺激を続けると羽川は力が抜けたように僕に身を委ねた。
羽川の体重も加わり、僕の陰茎はより深く羽川の膣に突き刺さる。
痛みはほとんどなくなり、快感に変わったのかもしれない。
僕が指を休むことなく動かしていると、ちょっと無理な体勢をしながら僕の方を向いた。
僕の頭に腕を回し、顔は横を向いている。
羽川の顔に僕の顔を近づけると、なんの遠慮もなく唇を重ねられた。
恥ずかしげもなく、躊躇いもない、戸惑いもなく、抵抗もない。
悦楽だけが羽川を支配しているようだった。
キスをしながら指で敏感なところをまさぐり、腰を動かしてみる。
すると今まで以上に色のついた声が羽川の唇から流れ出た。
そのままテンポ良く腰を打ちつける。
…あぅ、あっ、うっ、んっ、んっ、んっ、あっ、はっ……
もうキスをするのを忘れ、ひたすら腰を動かした。
羽川の腰に大きくグラインドさせて羽川の膣を堪能する。
小刻みに動かし、身体全体を密着させ胸に刺激も与える。
何度か繰り返しているうちに限界が近づいてきた。
羽川は僕の腰の動きに合わせて腰を動かしている。
はしたなく求めるように。
恥ずかしく遠慮がちに。
疼いて仕方がないであろう身体を僕に擦り付けた。
僕は羽川の快楽を引きずり出すように何度も打ち付けた腰を自分の為に速く動かした。
本能に流され、何度も抽送を続けると射精感が急に込み上げてきた。
その瞬間に何も考えられなくなり、腰を奥まで押し付けた状態で羽川の膣に欲望を吐き出した。
どくどくと羽川の中に流れ込んでいく。
羽川は何も言わずに僕を受け入れていた。
というか疲れて何も言えないだけかもしれないけど……。
肩で息をしている羽川の身体は汗でびっしょりと濡れていた。
そういえばまだ四月の初めだったということを思い出し、僕は傍にあった僕の服で羽川の身体を拭き始める。
とりあえず上半身だけ拭き終わり、繋がったままの下半身を離した。
羽川は力が入らないのか僕の方を向くとそのまま倒れるように僕の胸に寄りかかってきた。
そして満足そうな微笑を見せ、目を瞑った。
力ない羽川が僕の腕の中で瞼を閉じている。
悪戯心から僕が唇を近づけてみると、何か感じたのか、羽川は薄く目を開き何も言わずに吸い付いてきた。
腕に力を入れ僕の顔を引きつけて、舌も絡ませ始めた。
柔らかく大きな胸が擦り付けられ僕を刺激しているけど、羽川は全く気にしていないようだ。
優しく抱き合い、ちゅくちゅくとキスをする音だけが響く。
そんな穏やかな時間が流れていった。
僕は我慢が出来なくなり、力が入らない羽川の身体を抱きかかえ丁度いい高さの跳び箱を上に寝かせる。
そして覆いかぶさり、繋がった。
羽川は嫌がりもせずまた嬉しそうな表情をし、僕を求め始めた。
最終更新:2010年01月02日 04:07