ひたぎニューイヤー1

で、ニューイヤーの後…いや、当日談。

後日談というか、今回のオチ。

忍のドーナツ戦争も終わり、戦場ヶ原との初詣もクリアした僕を家で待ち受けて
いたのは、最悪な事に二人の妹達だった。
「兄ちゃん!いっしょに初詣行くぞ!」
「あとお年玉もちょーだい!」
「……………………………」
何なんだ、新年早々兄貴とその財布イジメか。
今年もこいつらはこんな調子なのだろうか。
ああ、今年一年間も心配だ……。

そして妹達に脅されお年玉を渡していなされるまま三人で先程と同じ道を辿り初
詣に行き、二度目の祈願と二度目のおみくじを引く。

「やったー大吉だぜ!」
「私も大吉!」
「………また末吉」
本当に何なんだ。
しかも僕以外みんな大吉かよ。
今年も散々な一年になりそうだ。

「ところでお兄ちゃん?」
「ん?どうした月火ちゃん」

「―――今、『また』末吉って言ったよね?」

「…………しまった!」
「んふふー?んふふー?」
「な…何だよ月火ちゃん」
「いやーね、お兄ちゃんったら、新年早々妹達をさし置いていったい誰と初詣に
なんて行ってたのかなー、って思って」
「そ……それは」
「んふふー?別に言いづらかったらいいんだよー?」
「いや…言えって強制してるだろお前」
「えー何?聞こえないなー?」
「無視ですかそうですか!」
汚い言葉はキコエナーイ。
「ねー火憐ちゃん、そういえば今年まだキン肉バスターやってないよねー?」
「おう、そういえば…そうだな!」
「わかりましたわかりました全部白状します君達のお兄ちゃん阿良々木暦は新年
早々噂の彼女さんと二人で初詣に行ってきましたこれで以上ですお願いだから許
して下さい」
僕はいつのまにか姿勢を変えていた。
地に跪き、頭を深々と下げている。
土下座の、姿勢だった。

「ふーん…………」
「ど……どうですか、月火さん」
さん付け。
実の妹に「さん」付け。
この上なく、情けない。
最高に、情けない態度だ。
「へーえ……………」
「も……もしや」
無罪放免。
さすれば―――――

「火憐ちゃん、新年初バスターの相手が決まったよー」
「死んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
死刑判決。
月火裁判所、これにて閉廷。

「おーし任せろ兄ちゃん、今すぐ楽にしてやるからな」
「いやもう十分楽ですから十分楽ですから結構ですお願いします!」
「まさか新年初バスターが兄ちゃんになるなんてな、イメージトレーニングをし
てきた甲斐があったぜ」
「そんなことしてたのかよ!」
てかイメージで何とかなるものなのか、キン肉バスター。
「よーし兄ちゃん、男ならそろそろ覚悟を決めな」
「嫌です!決めたらもう最期な気がします!」
主に人生的な意味で。
「じゃあいくぜ兄ちゃん、せーのっ!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「大変だよ火憐ちゃん!」
「ん!?どうした月火ちゃん!」
「ほら、向こうで酔っ払いが暴れてる!」
「おう!こりゃ大事じゃねえか!」
「新年初仕事だよ!」
「わかってるぜ!」
「「ファイヤーシスターズ、出動――――!」」

「……ふう、何とか助かった」
「かかかっ、今年も波瀾万丈じゃのう、あるじ様よ?」
「忍……」
そうなのだ。
年が変わったからといって、僕が変わるわけではない。
いつも通りの、日常が始まるだけなのだ。
今年も、こんな感じで過ぎていくのだろうか。
去年一年、色々あった。
吸血鬼になったり。
蟹を拾ったり。
蝸牛と出会ったり。
猿とケンカしたり。
蛇を捕まえたり。
猫に迫られたり。
蜂に絞められたり。
鳥に振り回されたり。
今年もまた、僕は怪異と出会い続けるのだろうか。
でも、それでいいかもしれない。
それでも、楽しい日常が送れることに変わりはないのだから。
それで、いいのだろう。
僕が、一人で納得しよう。


みんな、明けましておめでとう。
今年も、よろしく。






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最終更新:2010年01月18日 19:45
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