鍋八撥(なべやつばち)
▽鞨鼓(ハ撥)売りと、浅鍋売りとが一の店{いちのたな}(市場の営業権)を争うところから始まります。目代{もくだい}が出て裁き、それぞれの由緒や自慢を語り合いますが決着がつきません。そこで勝負をして決めることにしました。棒振りや鞨鼓打ちで争います。
▽脇狂言の市場物の一つで、上演は希少な狂言になっています。棒の段、鞨鼓の段では笛方の演奏も加わり見どころです。きびきびとした鞨鼓売りとのっそりとした浅鍋売リとの動作が対照的で滑稽さを誘います。終曲部では、目代が退場し、鞨鼓売りも車返りをして退場し、残された浅鍋売りも車返りをしようと苦労するところなどは狂言らしいほほえましい笑いが生まれます。
(善竹十郎)