<<Satisfactio(罪の償いを果たすこと)>>
もし 俺に 罪と言うものが存在するのならば
いいや 違う
誤魔化すな
我ながら 喩えがまるで間違っていると言わざるを得ない
正しくは
もし 俺の 罪が償える存在があるとするならば
そう
俺は真っ先に お前との償いを果たそう と思う
まっしぐらに 奈落へ墜ちてゆくお前を 俺は
止めることが出来なかった と思い込んでいたが
……違うな。
止めることをしなかったのか
出会ったときは確かに
その細い肩の向こうに たなびいていたはずの 白い翼が
時と共に 薄汚れて行くのを 俺は黙って見つめていた
天真爛漫であるはずの 笑みが
計算尽く の虚構で埋め尽くされたときに
知っていながら見逃した
そうだ
あの時 胸倉でも掴んで 頭から冷水にでも突っ込んでやればよかったのだ
それをしなかった俺は
それをさせなかったお前よりも 数倍 タチが悪い
片翼を失い 空へ帰られなくなったお前が
強い渇望にも似た憧れで
眺めていることを知りながら 何もなさなかった俺が
ああそうか
俺が一番罪深いのか
今さらお前に差し伸べる腕に 救いがあるとは言えないが
それでもないよりは マシ ではなかろうか
などと
自分に都合の良い解釈
安堵しきって 俺に いだかれるお前の空ろに満ちた瞳を見るとき
俺は Gehennaにブチこまれているような気持ちになる
気をつけろ
悪魔は近くて遠いから
ああ そうか
俺はお前を空へ帰したくはなかったのか
置いていかれることが怖くて
お前を この煉獄へ繋ぎ止めたのか
手のひらを合わせてそっと
眠るお前の瞼に口付けた
それでも わたしは あなたとともにありたい
最終更新:2008年06月24日 00:01