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田中智之 (TANAKA, Tomoyuki)

研究紹介

現在の野田研究室のメンバーは、貝や藻などの岩礁潮間帯の生物群集を対象とした共同研究(通称“イソチーム”)に参加している人と、それ以外の生物を対象に各自で調査している人とに分けられると思いますが、私は前者です。ただし、共同研究とは言っても、調査をチームで行う、同じ対象を類似した関心をもって研究している人と議論する、という意味で共同なのであって、当然のことながら各自がオリジナルな視点を構築することが期待されます。

私は未だそこまでは到達できていませんが、目下のところ関心をもって取り組んでいるのは、「撹乱が異なる種の共存にどのように貢献しているのか」という問いです。磯に行くと、一つの岩にフジツボやフノリなどの複数の種が混ざり合って張り付いていたりします。この多種共存がどのようにして成立しているのかという問題にはいくつかの説明が可能ですが、私はその中でも「強い波や落下石などによって生物が死亡し空き地ができることで、その空き地を有利に利用できる種が存続できるから」という説明の重要性について研究しています。

しかし、実はこうした説明は生態学では古典的なものでそれを実証するだけでは不十分なので、私は空き地のサイズ、空き地に含まれる環境異質性の違いなどの影響も考慮に入れた野外実験を行っています。具体的には、磯の岩場に張り付いている生物群集を削り落すことで、様々なサイズ、形の空き地を作り、その後の生物の住み着きや入れ替わりを調査しています。

最終更新:2009年03月31日 23:36