◆ウォルプレア
ひどく晴れた日に
突然、雨が降る時がある。
そう、今日みたいに。
そんな時は
雨神『ウォルプレア』が
散歩をしているんだ。
そんな事を、
おばあちゃんが言っていた。
ウォルプレアは気まぐれだから
ふらりふらりと、散歩をする。
人間たちが、日照りで困っているからとか、そんなのは関係なく
ふらりふらりと、ただ散歩をしているだけなんだって。
大雨で、川が氾濫し
村が流されてしまった事が、遠い昔にあったみたい。
あの頃は、神様たちが喧嘩をしていて、
いろんな天変地異が起きていたんだって。
おばあちゃんはその時
ああそうか
神様は人間のことなんか、気にしていないんだなと
身に染みて、気付かされたんだってさ。
晴れた日に雨が降るのは
ウォルプレアが気まぐれだから、太陽の神様がまだ起きているのに気が付いていないだけなんだと。
そうだ。
おばあちゃんが言うには
ウォルプレアは、時々、カエルの姿になって、地上を散歩することもあるらしいよ。
ネズミを丸呑みするカエルを見つけたら、神様かも知れないから大事にしない、だって。
少しは面白い話だったんじゃないかな?
他にだって、この辺のことなら、
話せることもあるかも知れない。
来たばかりの君には、好都合でしょ?
私はね
今日は隣町まで、
ベルベリーを売りに行かないといけないの。
それなのにまだ、雨は止みそうにない。
雨の日は、彼らに襲われるかも知れないから、、、
ねえ、君、ついてきてくれない?
冒険者って話だし、強いんでしょう?
ーー「とある果物売りの少女の話」
最終更新:2023年04月17日 21:54