今宵の夢は薄霞 吹けば消えて失せる定め
誰か聞こえる者在らば しばし耳傾けて
月に照らされる闇に 揺れるあの日の影は
誰か気付くことも無く 風に流れ去り行く
かすかに残る思い出 遠いあの日の記憶
誰か捕まえてほしい 忘れられた温もり
あぁ 今 この手に 触れたよ
風が凪ぐ
世界の全てを
まっさらに 始まりの時のよう
散り行く 花のように うつろいながら
若葉のように静かに また新しい息吹を
集めて
散り行く想い 儚い願い
巡る季節に色褪せた瞳さえ鮮やかに
届いた祈り(届いた祈り) 重なる想い(その想い)
朽ちる大樹に芽吹く花 薫りは風に乗せて
このままこの身消えても 想いはここに
降りしきる雨に冷えた唇 漏らす声に震える雫
今は遥か遠い月日を信じて夢を見る
幾千の夜を数えただろう 幾億の星が過ぎただろう
空に沈む言葉重ねて見果てぬ夢を追う
埃塗(ほこりまみ)れの欠けた盃 満たす夜露に映す月
水盃に風を舐め 静かな時が過ぎる
霞む夜空を見上げる瞳 交わる視線 円い月
拾う欠片に想い馳せ 滲む世界は遠く
今宵の夢は薄霞、目くるめく泡沫の
ゆめ——
ゆめ——
ゆめ——
最終更新:2009年07月17日 04:04