311 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 00:57:26.17 ID:D7K/wJc90
16だが>247を読んで即興で始めだけ書いてみた。寝て起きてもスレのこってたので。
「はあ、はあ」
歩く。ただ歩く。Bは気を失ったAを担いで歩いていた。
戦争が続いて1年。加速度的に戦況が悪くなった日本は、本土を舞台にして戦いを
繰り広げられている。今Aを担いでいるBも、1年前までは高校生だった。
戦争が本土をも巻き込む戦いになってから、悪しき宣言が為された。国家総動員法。
第二次世界大戦末期に制定されたこの法が、日本をどのようなことにしたのかは、国民皆分かっている。しかし、支那から押し寄せてくる大陸人達を、自分たちの尊厳を守るために、認めるわけにはいかなかった。
Bは少年兵。Aは少女兵。未だどちらも16歳の身ながら、銃声。砲声が鳴り響く戦場を走り回った。憎き支那人どもが、我が物顔で突撃してきた街を守るために。
しかし兵力差は如何ともし難く、今、敗走をし、近くの山へと隠れ逃げたのだ。
「くそっ、運がワリィ」
腹部から血を流すB。その腹部には、直径3cmほどの鉄パイプが刺さっていた。
市街戦を繰り広げられるうちに、敵の砲撃で壊れた建築材が腹部に刺さった。
抜くと失血が酷くなるためにそのままにしているが、徐々に流れ出る血から、失血死の可能性がある。
「はあ、はあ」
ただ歩く。ウォーキングコースにもなっていない茂みの中を、道路に沿って歩く。
道路をそのまま歩けば、追撃してきた支那人どもに攻撃されるかもしれない。向かい側
から、御方の勢力圏から応援が来てくれればいいのだが。
「くそっ、なんで俺がこいつを運ばないといけないんだ」
313 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 00:58:11.31 ID:D7K/wJc90
くそっ、と口癖の悪態をつきながら歩くB。背負っているAは、Bと仲が悪い。
もともと同じ高校だったAとBだが、Aは彼氏持ちのイケイケの女。髪も茶髪に染めて、クラスの中で笑い声を上げる女だ。少女兵になったことで、染髪が禁止されているため今は黒髪だが。
Bはよく言えば普通、突っ込んで言えばモテナイ君だ。童貞。男グループでエロ話を繰り広げたり、ゲームをしたりする男だ。モテナイ君であるため、この年頃の女、つまりAからは馬鹿にされていた。
BはそんなAを憎々しく思いながらも、Aの整った顔に、劣情を催す、ごく普通の少年だ。
兵として徴収されてから、一緒の班で行動していたこともあり、もしかしてと期待するぐらいの。
しかし、現実は同じ班の班長に股を開いてしまうくそビッチだ。
班長は、命が掛かっているため班員全員に対して厳しかった。皆を引っ張るために何でもできる班長が格好良かったのだろう。班長に惹かれたAが股を開いてSEXしてしまうのもうなずける。
(でも、俺に気付かれないようにしろよ)
「はあはあ」
背負い、歩きながら思考する。訓練所の建物は広いようで狭い。訓練施設を広く取っているため、居住空間は狭く、Bは外を歩いているとき、たまたま目に入った班長の部屋の窓から、班長とAのSEXを覗いてしまったのだ。
「あっ、あっんっ、んんんっ」
「A、A」
耳を澄ませば聞こえるAの喘ぎ声と班長の切羽詰まったような声。目に入るのは、班長がAの両太ももに手を這わせ、AをM字開脚させている様子。Aの股に、班長の使い込まれたチンポが出入りする様。Bは我知らず唾を飲み込んだ。終わり
431 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 09:18:02.76 ID:D7K/wJc90
311-313の続き。エロなんで18歳以下の方はスルーせずにみたらいいよ。
「あっ、んんっ、班長の大きい」
Aの見えているマンコの膣は限界まで開かれているようだ。チンポが出入りする膣の周りの淫唇は、きれいな赤色で、てらてらと輝いている。
「今までくわえ込んだチンポは何本なんだ」
班長は恥骨をAの白い尻に押し当て、ぐりぐりと腰を押し付けている。Aの訓練で引き締まった尻はぷりっとしており、膣も良く締まるだろう。
「んっ、んんっ、うんっ。そんなのどうでもいいじゃないですか」
Aは奥を刺激されているのか、歯を食いしばりながら言う。班長はAの反抗的な物言いが気に入らないようで、マンコの周辺を触っていた手で腰をしっかり掴み、膣の奥にある子宮を押し上げているようだ。
「んんんあああ!班長、それ痛い!」
「お前が素直に言わないからだろ、何人だ」
「っ、班長で3人目です」
素直に答えたAに、班長は満足し、チンポを緩やかなストロークで出し入れし始めた。
Aもそれくらいの刺激なら気持いいのか、紅潮した顔で班長の角張った顔を見つめ、
班長のゴツゴツした身体をさわさわと触っている。
「ふん、彼氏がいたと言っていたな。1人目は誰だったんだ」
「近所に住んでいるお兄さんです。んっ、あっ。中学1年の時に処女を捨てちゃいましたぁ」
432 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 09:18:59.38 ID:D7K/wJc90
興奮した声で言うA。班長はAの平均以上の胸を揉みしだきながらAの告白を聞く。
「そうか、見た目通り、男に慣れているというわけか」
「はい、んっ、でも、班長のチンポが一番大きいですよ、ぁ、今までの男より、んっ」
「俺のチンポは平均より3割増しだからな」
ずこばこ。班長はAの膣を出入りさせるチンポのリズムを速くした。
「あ、あっ、あっ。班長ぅ」
甘い声がAの口から漏れる。喉をそらし、班長に唇を寄せる。班長もAが何を求めているのか
理解しており、自らの頭をよせた。
ちゅ
「んっ」
れろれろちゅう。唇を割り、班長の舌がAの口の中に入っていく。Aはそれに自分の舌を絡め、
ディープキスを交わす。
ずこばこ、ちゅっちゅっ。SEXにどんどんと熱が入り、淫れる二人。Bはそんな二人をチンポを
おっ勃てて見つめるしかない。
「んっ、あっ、ぁ、ぅんっ!あっ、あっ、逝きそう、逝きそう……!」
「っ、俺もだ、A、中に出していいか」
「いいよぉ、いいよぉ。中に出してぇ」
433 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 09:19:42.10 ID:D7K/wJc90
兵士の男と女の割合が増えていっている日本。前線の兵士の中では、至してしまうことで
妊娠する女も多い。妊娠した女は前線を離れ、後方へと移動することになるのだ。
積極的にそれが用いられると言う事は聞かないが、そうして離れる女兵が多いのは事実。
Aは班長の子供を身籠もり、後方で班長の帰りを待っても良いと思っているのだ。
「そうか、A、A。っ、好きだ」
「は、班長!んんっ、あああああ!」
どぴゅ!どぴゅ!班長の腰が震え、バンバン腰を振っていたのを膣奥で止め、チンポを子宮に押し当てる班長。Aの腰も震え、班長が出した精液をきゅっきゅっと喜んで膣の中に飲み込んでいく。Aの子宮は喜んで班長の精子を飲み干すのだろう。
「っ、班長。ちゅ」
性交を交わした後の、気怠い身体を班長に寄せるA。Aは班長の唇にキスをする。
身体を温めるように甘えるAに、班長の両腕が抱きしめるのだった。
Bは班長が射精した瞬間、市街戦服の下履きの中で、勃起したチンポが爆発してしまった。
パンツの中で精液が付着し、イカ臭い匂いが自分の鼻に届く。情けない思いで、Bはその場を離れたのだ。
「はあ……はあ……」
目がかすみ、意識が白濁としてきた。自分が何を考えているのかが分からない。
434 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 09:20:24.21 ID:D7K/wJc90
Bの身長は170cm。中学ではチビだったが、卒業してから伸び始めた背は、訓練所でも伸びていた。
まだまだ伸びる背だろうが、今は170cmしかない。
Aの身長は160cm前半。均整がとれた身体で、足が長い。胸も平均以上。髪は長髪だったのを、
軍に入ってからは短く切り揃えられている。
ここで問題なのは二人の体重差だ。Bの方が62kg。Aの方は52kg。訓練で筋肉に覆われている。
Bより10kg軽いAだが、今の怪我をしたBにとって、その重さは仏僧が行う苦行に等しい。
「は……あ……」
倒れてしまいそうなB。街から大分離れた。ここで道路に出て、倒れていればいいのではないか。
味方が助けてくれるだろう。そんな甘い誘惑に誘われてしまう。
守っていた街での戦闘は10日間にも及んだ。銃声が鳴り響く中、恐怖に押し殺されながら
睡眠をとった日々。
班長の死は、呆気無いものだった。戦闘が始まり、押し寄せてきた支那人達に、銃を構え勇ましく応戦した班長だったが、頭が出ていたのだろう。どこからか飛んできた弾に、たやすく頭がハジけた。それからの班は不味かった。副リーダーに指揮が委ねられたが、AやBと変わらない年齢。たまたま、班長が気に入ったという理由で副リーダーになった彼は、効果的な指揮ができず、呆気無く敵の弾で蜂の巣にされた。それからは班員全員が恐慌にきたし、バラバラに。BはAの手を引いて後方へと逃げた。初日が終わり、敵の攻撃が落ち着いてから味方の部隊に合流して、AとBの班で残っているは自分たちだけだった。愕然とし、泣きじゃくるAと一緒に、共食いの形で、自分たちと同じような境遇の者達と班を作らされた。
二日目、三日目とそのようなことが繰り返され、気づけばBに指揮権、リーダーが渡された。
Bはとにかく逃げた。散発的に銃撃を返し、コソコソと逃げまわる。それしかできなかった。
そうしていても死んでいく班員。Bは精神が発狂しそうになりながらも、八日目、九日目をAを連れて過ごした。良く分からないが、Aを連れることが己の義務だとしていた。ただ一緒に。
435 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2010/12/01(水) 09:21:17.60 ID:D7K/wJc90
十日目にして戦線が崩壊し、街の外に向かい、後方の味方の街へ逃走の指示が無線機から流れた。
計画だった逃走ではない。散り散りになり、隠れながら、個々で逃げなければならない。
「っ。くそっ」
Bの足が縺れる。Bは血が流れ過ぎてめまいがしていた。
(もう、だめか)
Bの心中に諦めが生まれる。
(俺は……死ぬのか。女を抱いたことがない。童貞で死ぬのか。こんなことなら班長が死んだことで泣き縋ってきたAを抱いてりゃ良かった)
BはAに泣き縋られたことを思い出す。声を上げて泣き濡れるAを胸に抱きしめ、落ち着くまで、夜明け近くまで背を撫でた。声を出すと支那人に見つかる可能性が出るため、声をBの胸で殺して。
(ったく。童貞の俺が襲うなんて勇気出るわけないか)
Bの顔に自嘲の笑みが浮かぶ。笑みを浮かべたことで弛緩してしまい、身体が倒れそうになった瞬間。
ブロロロローーーン
トラックの排気ガスを出す音が聞こえた。Bの身体に緊張が戻り、すぐさま耳を澄ます。
(これは……前方か!)
自分達が向かっている方から音が聞こえたのを確認したB。覚束ない足取りで、BはAを抱えて道路を目指すのだった。
終わり
697 名前: >>16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/02(木) 15:07:55.06 ID:nORp2/8A0
311-313と>>431-435の続き。タイトルは適当。誰かつけてください。
「ん……」
Aは目を開けた。一瞬どこだか分からなかった。しかし、身じろぎをして、身体に走る痛み。上体を起こし、周りに配置された無機質なパイプベッドに横たわる5人のけが人と自分にAはどこであるかを理解した。
(ここは病院だ)
Aは今まで起こった出来事を思い出した。班長が死んだこと。命からがら後方に逃げて、また戦わされたこと。
(私……あんなに弱かったんだ)
AはBに泣きついたことを思った。泣いた。班長が死んで悲しくてではなく、怖くて泣いた。
自分も死ぬのだと思った。班員の皆、戦闘になっても死なないと、気楽に話していたのに、生き残ったのはAとBだけだった。
(Bに助けられたな)
Aは、胸になんとも言えない感情が渡来した。全然格好良くないB。Aの手を握って逃げるだけしかできないB。
(だけど、私は生き延びれた。逃げるだけで全然格好良くなかったけど、手を繋いで逃げてくれた。Bってあんなに、そう、私より強かったんだ)
Aの瞳から涙が出た。Bより自分の方が強いと思っていたA。でも蓋を開けてみれば、助けられたのは、守られたのはAの方だった。
698 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/02(木) 15:08:36.88 ID:nORp2/8A0
(そういえばBは)
Aはベッド脇にあったナースコールのボタンを迷わず押した。
(しばらくすれば看護師がくる。そうすれば、Bのことが聞けるはずだ。私達の後ろの建築材が落ちてきた時、確かBに突き飛ばされたんだ。それから気を失って。ここまで、Bが運んでくれたってことだよね)
看護師が来るまでぼうっと考えるA。
(あーどうしよう。安全な場所まで来れちゃった。戦場だと何も考えずBに甘えてたけど、今考えるとめちゃハズイ。……このままBの彼女になっちゃおうかな)
Aは自分の思いつき、ではなく10日間の戦場で苛烈に内で生まれた思いを実現したい。
Bが好き。愛しい。守ってくれてありがとう。何でもしたい。何でもして欲しい。
Aはその思いを、Bに告げたい。
(Bはどうせ童貞だしね。私の身体で童貞卒業させてあげよう)
にしし、と笑みが溢れるA。Bと再会するのを待ち遠しく感じるAだった。
30歳手前の女性の看護師がAの元へとやってきて、簡単な質疑応答を行った。意識がはっきりとしているか、自分が誰か、気絶前の状況を覚えているか。事務的なそれらを終えた後、Aは看護師に尋ねた。
「あの、私を運んだのはだれですか」
「それはBという男性です。……ああそうか。ちょっと待っていてください」
699 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/02(木) 15:09:18.98 ID:nORp2/8A0
看護師は手に持っているPHSで連絡を取る。Aが起きたので見てもらえないかセンターに問い合わせたようだ。PHSからそうしてくださいとの連絡が聞こえ、看護師がAを見つめた。
「それではAさん。動けますか」
「あ、はい。ちょっと身体が痛いですけど大丈夫です」
「では付いてきてもらえますか」
足元にあったスリッパを履き、Aは看護師に続いて歩きだした。Bに会える。その思いがAの胸中を占めていた。
看護師と連れ立って歩き、『診察室』とプレートが掲げられたドアの前にたどり着いた。
「Aさん入ります」
中からどうぞと声がかかり、看護師とAは中へと入った。
『診察室』には白髪が入ったおじさんの医者がいた。椅子に座って、こちらを見つめている。
看護師はその先生の前にAを連れていき、部屋の奥にある別室への扉の中へ引っ込んだ。
「君がAさんだね」
「はい、そうです」
「身体の方は擦り傷が大分あるけど、一応消毒しておいたから。骨にも以上はないみたいだから何か問題があったら言ってもらえたら。化膿止めと抗生物質を出しておくからそれを数日は飲んでて」
「はい」
700 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/02(木) 15:10:00.75 ID:nORp2/8A0
「2日間は寝ていたベッドで休んでもらっていいからね。その後はまた軍の方に行ってもらう
ことになるよ」
「はい」
「それで……君をここまで運んだB君だけどね」
Aの怪我処置と今後の予定を話してくれた目の前の医者は、言い辛い事を話すのに語尾を濁らせた。
Aはもう、この医者が何を言うのかが分かった。
「B君はね、前線に出たトラックに辿りついたのだけど、ここ(病院)に辿りついた時は手遅れでね。内臓の損傷が激しく、血を失いすぎていたんだ。私達も手を尽くした。でも、昨日の23時46分にお亡くなりなった」
Aの頭は真っ白になった。何も考えられなくなる。
「遺体の方は軍が引きとっていってね。戦死者は合同で火葬するらしい。遺留品については身内、もしくは親しい人が引きとってもいいらしい」
「B君はもう近しい身内がお亡くなりなっている。親しい人と言うと君ということになってね。よければ遺留品を受け取ってくれると嬉しいのだが」
そうでなければ廃棄に回されるからね。無表情に淡々と告げる医者を、Aは無性に腹が立った。
「はい、受け取ります」
「そうかい。ではこれを受け取ってくれたまえ」
医者は手元の机に置いてある手帳と安物のボールペンをこちらに差し出した。
701 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/02(木) 15:10:42.21 ID:nORp2/8A0
「これだけ、ですか」
「うん、身につけていたのはこれだけみたいだ。衣服は血がべっとりとついていて、処分した。前線の訓練施設の方にはまだあるだろうけど、取りに行けないからね」
まったく、支那人達の勢いは怖いね。医者はぼやきながらAに手帳とボールペンを渡した。
「確かに渡したよ。君は元の場所に戻ってそれを読むといい。心の整理をつけるといい。この街も、いずれは戦場になるのだから」
医者はそう告げ、手元のカルテに何かを書き、次の患者を呼ぶのだった。
終わり
846 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/03(金) 13:11:51.14 ID:JEHajB5q0
311-313と>>431-435と>>697-701の続き。
元の病室へと歩き、ベッドに入ったA。手にはBの手帳とボールペンが。Aはベッドの縁に上体を預けながら、手帳とボールペンを見つめた。
しばし、そのまま手帳とボールペンを見つめ続けるA。胸が張り裂けそうだ。
Aは手帳を開き、何が書いているか見てみる。日記だ。訓練が始まってからの日記が、散発的に書かれている。
2月の初め徴兵されて訓練施設に連れてこられた。同じクラスのAと一緒の班になった。あいつキツイから苦手なんだよな。顔は美人だけど。班長の自衛隊員マジで身体ゴツい。
(キツくて悪いわね)
5月のある日訓練施設に来てから3ヶ月が過ぎた。とても苦しかった体力作りだが、意外となんとかなるもんだ。
6月の事件班長とAがセックスをやってるのを見てしまった。マジ自重しろよ。オレ覗いてて射精しちまった。
情けねぇ。
(……バレてたんだ)
Aは班長と付き合ってたのを知られていないと思っていたけど、そんなことはなかったらしい。
(気まずい。それになんであいつは私を守ったのよ)
847 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/03(金) 13:12:32.75 ID:JEHajB5q0
7月1日
明日あたりに中国人が攻めて来る。マジで緊張する。
7月5日
死ぬ。マジで死ぬ。これが遺書になりそう。リーダーが回ってきた。オレには無理だ。でもやらないと。Aを連れて逃げ回る。逃げるしかない。オレみたいなガキがどうこうできる場所じゃない。なんで戦場にいんだよ。くそ。
7月6日
班員が3人死んだ。マジやべえ。オレが殺した。指示ミスった。ミスるよな。なんでもっとスゴイ奴が班長やんねえんだよ。くそ。くそ。
7月7日
あーまじくそくそくそ。ドウテイで死ぬわマジで。Aとやるか?こんな戦場でできるか、アホかオレは。
7月9日
戦線崩壊する。オレたちの街守れんかった。くそ。Aを連れて逃げる。オレ何してんだろうか。
ホレられてもない女連れて逃げるとかアホか。オレは女守るような男じゃないのに。くそ。
日記は終わった。手帳の半分も使われていない。書きなぐったような文が綴られている。
「ひぐっ、ひぐっ、ううっ」
Aは泣いた。涙を流して泣いた。悲しくて泣いた。Bがすごかった。辛いことは全部ここ(手帳)に吐き出してる。歯を食いしばって頑張っている。
「私は、私は、ひぐっ。ううっ。ううううう」
Aは幼稚園児のように、顔をくしゃくしゃにして泣く。
848 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/03(金) 13:13:16.36 ID:JEHajB5q0
「こんなに、こんなの、ひぐっ、ひぐっ。うわあああああああっ」
Aは泣いた。ボタボタと涙が布団に落ちる。無性に悲しい。BがAをどう考えているのか分かる。
生きたい。生きたい。自分は何もしてない。遊んでない。セックスしてない。女に愛されたことがない。人を愛したことがない。人に愛されたことがない。
でも死んだ。死んだんだ。
「ひぐっ、ああああ、ひぐっ、あああああああ」
Aは悲しくて泣き続けた。
泣くこともいずれは止まる。同室の人がこちらを見るが、何も言わない。便乗して、つられて泣く人がいる。悲しいことがあるのだろう。辛いのだろう。泣いて、泣いて楽になる。
「ひぐっ、B、ごめん、ごめん」
Aは謝る。Bに謝る。
「馬鹿にしててごめん。好きじゃなくてごめん。気絶してごめん」
もういない人に謝る。意味がなく、届かないが、人は自分のために、死者に言葉をかける。
「今は好き。Bが好き。B、B」
戦場から戻り、傷ついていたとしても、何日か後にはまた戦わなければならない。まだ、日本は戦うだろう。どこまで戦うのか。中国に屈するのか。それとも逆転するのか。加速度的に悪くなる状況が、どうなるのか。
849 名前: 16 AとB 戦争 [sage] 投稿日: 2010/12/03(金) 13:15:16.86 ID:JEHajB5q0
戦場から戻り、傷ついていたとしても、何日か後にはまた戦わなければならない。まだ、日本は戦うだろう。どこまで戦うのか。中国に屈するのか。それとも逆転するのか。加速度的に悪くなる状況が、どうなるのか。
「B、B」
戦後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は全兵の6割に上った。これらは、若年層の心ができ
あがっていない状況で、過酷な戦場を巡らされたためだと言われる。その患者たちを受け入れた国が、日本であっただろうか。
(完)
心象とか書くの苦手。心の動きってなんぞよ。エロい文章書けるだけです。15.6kB。
869 :16 AとB 戦争:2010/12/03(金) 13:55:00.72 ID:JEHajB5q0
853名前どうしようか。センスがない俺がつけるとしたら、
A=甘上(あまがみ)梓(あずさ)
B=福島(ふくしま)文也(ふみや)
名前入力機能のデフォルトの名前くらいに使う。A、Bでも分かるからいいと言えばいいけど。
(メモ的に追記しておきます。Wiki編集人)
__________________
317 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 01:15:24.76 ID:u66FndHs0
294 勝手にお題もらってすまん。2レスになるが、書いてみた。
冬の人魚
不思議なもので、自分に絶望すると、自分以外の人間が鬱陶しくなるのは性なのか、
それとも、また別の期待なのか。
僕がそれを見たのは、何よりも自分に絶望した冬の夜の海。
もう通うこともない、昨日までの職場の、
ビルという名のジャングルジム程の小高さの、崖の上で。
それは、人魚だった。僕の絶望と対比するものを具現化するような自由さで、
海面を楽しそうに飛び跳ねていた。
ぴょい、ひゅうい、しゃぷん。
ぴょい、ひょうい、しゃぷん。
冬の人魚はこのリズムを繰り返す。
まるで鞠つきに飽くことのない童女のように。無邪気に。
ぴょい、ひょうい、しゃぷん。
ぴょい、ひょうい、しゃぷん。
318 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 01:16:24.13 ID:u66FndHs0
317 続き
ふと。リズムが止まる。
自分の軌跡を確かめるように振り向いた人魚と目が遇った。
人込で、鞄がぶつかった時のような表情で人魚は笑う。
そして、禁じられていた何かを開放するような、懐こい笑みに。
「人魚もこういう顔で笑うんだな」
愛想笑いが仮面のように張り付いた哀しみは、波で生じた泡のように、
ぽよぽよと、心のどこかに、降り積もる。
思えば、心から笑えたのは、いつが最期だったろう。
それすらも意味のない愚問に思ゆる。
そんな記憶は誕生からこっち、持ち合わせてなどいないのだから。
冬の海は、まだ、そんな世間よりも暖かいように思えた。
少なくとも、僕には。
そして、僕は、暖かそうなところを目指してダイブしたのだ。
視界の隅で最期に捉えた世界は。
意地悪にほくそえみ、汚物から逃げ出すように泳ぎ去る人魚の姿だった。
__________________
『真夏日の迷い犬』
368 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:24:57.65 ID:LKNCmKu20
縁側に根っ転がって、ぼーっと空と雲を眺める。
「あちー……」
高校二年の夏休み、一緒に遊びに行くような親しい友達を作れなかった俺は、夏休みのほとんどの間、家でのんびりと過ごすしかなかった。
「……飲み物取って来るか」
呟いて、体を起こそうとする。
急に視界に犬っころが入ってきた。
「わふっ!」
「うお!?」
起こそうとした体は、小さな体の犬っころによって強制的に戻される。
ついでに頭をしこたま打ち付けてしまった。意外と痛い。
「っつー……ったく、いきなり飛びついてくんなよな」
「わふっ」
こいつは一年前の大雨の日の翌日、学校の帰りに見かけたのを拾ってきたうちの飼い犬だ。名前は犬っころからコロと名付けた。
正確には、隠して飼っているから「うちの」ではないのだが。
さらに正確には、意図して「隠して飼っている」わけでもなかったりする。
369 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:27:11.99 ID:LKNCmKu20
「わふっ、わふっ!」
「うひゃっ……こいつ、反省してないな? そーゆー奴には、お仕置き……」
「一人でなーに遊んどるんだ、バカ息子!」
「あ……」
すぐそこの部屋の入り口から、坊主頭がこちらを睨んでいた。俺の親父だ。
「遊んどるんだったら、少しは寺の掃除の手伝いでもしろ! 仏像に埃がたまりでもしたら、
うちの評判がた落ちじゃろうが!」
「はいはい、わかりましたよ……」
てめえが言えたことか、この生臭坊主、と心の中で呟きながら立ち上がる。
……うちの親父にコロは見えない。
というより、コロは俺にしか見えていない。
なぜか分からないが、俺は物心ついたときから、幽霊が見えたり触れる体質だった。
なんで坊主の親父に見えなくて俺に見えるのかは、さっぱり分からない。
寺に住む俺は、子供の頃からこの体質のせいで家にいるのが苦痛だった……なんてことはなかった。
というより、寺はきちんと霊が供養されている上に霊が寄り付かないので、むしろ家にいたほうが落ち着いた。
逆に学校みたいな人の多い場所に行くと、守護霊や地縛霊を大量に見たので、学校のほうが苦痛だった。
他人と付き合うときは、相手とその守護霊を同時に相手しないといけなかったので、
それを嫌がるうちに、自然と人付き合いも少なくなった。
370 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:29:37.84 ID:LKNCmKu20
……そんな感じだったから、俺はいつも孤独だった。
家にいても、親父は俺が家にいる時は仕事か、家にいないことが多かったので、やはり家でも大抵一人だった。
たまに一緒に家にいても、さっきのような感じなので、まともな親子にもなれず、この体質を相談することもなかった。
そんな時に、俺はコロを拾った。
ずっと一人だった俺に、やっと心を許せる親友ができた気がした。
……本当に、コイツには感謝してる。
「……わふっ」
「おっと」
回想に浸って、すっかりコイツに構ってやるのを忘れていた。
「ゴメンな、後でゆっくり遊んでやるから、ちょっと待っててくれ」
「わふっ」
また怒鳴られる前に、さっさと掃除を済ませてしまおう。
俺は縁側にあったサンダルを履いて、本堂に向かった。
371 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:31:56.23 ID:LKNCmKu20
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「ふぃー……」
掃除が終わる頃には、日が落ち始める時間になっていた。
クソ親父め、次々掃除を押し付けやがって…。
「ふんふんふーん♪」
腹の立つ鼻歌が聞こえたのでそちらを見ると、サーファー風の茶髪ストレートカツラをかぶった親父が、
これまた軽薄な服装で門を出ようとするところだった。正直全く似合っていない。
「……どこ行くつもりだ、クソ親父」
「どこって、決まってるじゃろーが。もう夜の街に繰り出してもいい時間じゃからなー」
「まだ日も落ちきってないだろうが! 人に掃除を押し付けて、勝手なことばっか言いやがって!」
「ふん、暇そうにしてる奴に仕事をさせて何が悪い。わしのライフワークを邪魔するない」
「この……!」
「じゃーなー」
「おい、待てよ!」
俺の言葉も聞かず、親父はさっさと出て行ってしまった。
……俺が物心付いた時からこうだった。坊主の仕事の無い日は大抵、こうやって家を空けていた。
こんなだから、俺は親父が好きになれない。
372 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:33:36.18 ID:LKNCmKu20
……そういえば、掃除が終わったらコロと遊んでやる約束をしていた。
すぐにさっきの縁側に戻ると、コロは縁側で丸くなって寝ていた。
「……ごめんな」
一言謝って、俺もコロの隣で寝ることにした。
●
ぼんやりとぼやける頭に、電話のベルが響く。
寝ぼけた頭で立ち上がって、電話までたどり着く。
受話器を取ろうと手を伸ばしたら、電話が鳴り止んでしまった。
仕方が無いので部屋に戻ろうとしたら、またベルが鳴り出したので、今度はすぐに取る。
「もしもし」
「おおおーぅ、元気かー!」
……親父だった。明らかに酔っ払っている。
「……何だよ」
「おぅ、今4丁目のイチャイチャバニーっちゅー店にいるんだがな、お前も飲みに来い!
可愛いねーちゃんいっぱいじゃぞー!」
……仕方が無いので、迎えに行くことにした。
373 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:35:01.88 ID:LKNCmKu20
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電話で親父が言ってた店に来た。
事情を話して店に入れてもらうと、カツラのちょっとずれた親父が、女性に囲まれてゲラゲラ笑っていた。
「……何なんだよ、呼び出したりして」
「おっ、来たか来たか! ほれ、お前も飲め飲め!」
「未成年の、しかも息子に酒を勧めるんじゃねえ! ほら、帰るぞ!」
「なんじゃツマラン、夜はこれからじゃぞー?」
「もう限界ってくらい酔っ払ってんじゃねえか!とっとと財布出せ!」
「なんじゃあ、実の親から金強請ろうってか!?」
「そうじゃねえよ! 会計するっつってんだ、早くしろ!」
「嫌じゃ嫌じゃ、わしゃもっと飲むんじゃぁー!」
「ガキみてーな駄々のこね方すんな、クソ親父!」
……結局、15分ほどかかってやっと財布を出させて会計を済ませ、店を出た。
374 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:37:12.55 ID:LKNCmKu20
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「うぃ……」
「くそ、なんでこんなことに……」
親父に肩を貸して、きらびやかなネオンの町を歩く。隣から漂う酒の臭いが、俺を不快にさせる。
「あ、やば、吐きそう……」
「冗談じゃねえよ……」
「は、吐いていいか?」
「もうちょっと我慢しろ、頼むから」
4丁目の入り口に着き、脇の電柱の影に入る。
「ほら、ここなら一応大丈夫だから」
「お、おう……」
非常に不愉快な気分だった。
今から展開されるさらに不愉快な光景を見ないように、視界を上に上げる。
急に視界に犬っころが入ってきた。
「……あ?」
そこには、コロの写真の印刷されたビラが貼ってあった。
突然そんなものを目の当たりにし、漂ってくる嘔吐物の臭いを嗅がされながら、俺が考えることができたのは、
アイツってメスだったんだ、なんてどうでもいいこと位だった。
375 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 04:39:32.43 ID:LKNCmKu20
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次の日、やっぱり俺はごろごろしていた。
ただごろごろしながら考えることがあるという点で、昨日までとは決定的に違っていた。
ふと脇を見ると、コロが尻尾を振りながら俺の方を向いていた。
「……お前って本当はアニーって言うんだってな」
「わふっ」
「しかもメスだったのな、俺ずっとオスだと思ってたよ」
「わふっ」
こんなことをしゃべっても、何も変わらないのは分かってた。でも、どうしたらいいのか分からなかった。
昨日のビラは、大分ボロボロになっていた。
多分こいつが行方不明になってすぐ貼られたのが、場所の関係で雨風の影響をあまり受けずに辛うじて残っていたのだろう。
もしコイツが生きていたら、俺だって飼い主の元にためらい無く返していた。
けどコイツはもう死んじまっているし、飼い主が今もコイツを探しているかも分からない。
仮に飼い主のところにコイツを返しても、誰が幸せになるわけでもない。それなのにわざわざ返す意味があるのか。
とにかく俺には、何もかも分からなかった。
分からないまま、時間は黙々と過ぎていった。
383 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:06:23.67 ID:LKNCmKu20
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あの日から10日後、家の中をぶらぶらしていたら、親父を見つけた。
……珍しく、お袋の仏壇に手を合わせていた。
「珍しいな、そんなことするなんて」
「……ま、たまにはな」
本当に、珍しい光景だった。
だからなのか、ちょっと珍しく、親父に質問をしてみる気になった。
「……なあ、なんで坊主なんかになったんだよ。アンタそういう性格じゃないだろ」
「……ま、確かにな。だが、わしにもちゃんと坊主になった理由があるのよ」
「なんだよ、それ」
「ちょっと長くなるぞ?」
「いいよ別に。どうせ暇だし」
「……そうか」
俺は親父の隣に腰掛け、親父の話に耳を傾けた。
384 名前: やっぱさる嫌い 投稿日: 2010/12/01(水) 05:08:10.63 ID:LKNCmKu20
「最初は、寺を継いで坊主になる気なんかさらさら無かった。もっと華やかなことをするんじゃと息巻い取ったよ。
それで大学受験に向けて熱を上げておったら、その頃可愛がってた野良猫が野垂れ死んでな。
それまではわしがたまに餌をやっとったのだが、勉強に集中して頭から抜け落ちてる隙に死んじまいおった。
わしのせいとか、そんなこともちらっと考えはしたが、それ以上になにか心に引っかかるものがあってな。
それについて考えながら大学に受かって、悩みながら大学生活を送って、
気が付いたら寺を継いで坊主になっとった」
「……それだけかよ」
「そんなわけあるかい。聞くんなら最後まで聞けい」
「……」
「そうして坊主になっても、悩みは晴れずに時は経った。
そんなときに、ある葬式で母さんと出会ってな。いろいろあって、わしらは結婚することになった。
それなりに幸せじゃったが、お前が生まれてすぐに母さんは死んじまってな。
そのとき、母さんを看取りながら、ようやっと悩みに答えが出せた気がしてな。
多分、わしはあの猫がああも簡単に死んじまったことにショックを受けてたんだろうなあ。
そして母さんも、わしにがどうすることもできないうちに死んじまって、
その時初めて自分が命っちゅうもんについて悩んでたことに気づいたんじゃ」
385 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:09:56.63 ID:LKNCmKu20
気が付いたら、俺はじっと親父の話に耳を傾けていた。
「それで決めたのよ。命がこんなふうに無くなっていっちまうなら、
せめて無くなった命に精一杯敬意を表してやるのが、わしがやるべきことだとな。
だからわしは、一生坊主として、なくなった命を供養しつづけるのよ」
「……」
「……なんか言わんか。恥ずかしいじゃろが」
「……じゃあ聞くけどさ、そう思うならなんでお袋のために女遊びはやめようとか思わないんだよ」
「そんなもん、母さんが死の間際に自由に生きてくれと遺したからに決まってるじゃろうが」
「いや、だからって女遊びは無いだろ」
「何を言う。遺言通りに人生を過ごすのが、死者への一番の手向けなんじゃよ」
「そういうもんかね……」
「そういうもんじゃ」
「……ま、いいや。ありがとな、クソ親父」
「ふん、どういたしまして、バカ息子」
……その日布団の中で、そういえば今まで、葬式の仕事の日の前後に夜遊びに行ったことは無かったなとか、
なんとなくお袋が親父の守護霊になってない理由が分かったなとか、そんなことを考えながら眠った。
387 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:14:00.93 ID:LKNCmKu20
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次の日の朝、俺はごろごろせずに出かける支度をした。
庭に出て、コロ……本名アニーを呼ぶ。コロは割とすぐに駆け寄ってきた。
「わふっ」
「……お前、一年も飼い主に会ってなかったんだよな。寂しかったよな」
「わふ」
「……行くか」
「わふっ」
389 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:15:40.38 ID:LKNCmKu20
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4丁目のビラを剥がし、住所のところを探す。
地図が読めずにさまよっていると、あるところに来た途端当然コロが走り出した。
「わふっ、わふっ!」
「お、おい待てよ!」
何もいないところに向かって待てと叫ぶ俺を見て、道行く人は妙な目で俺を見ただろうが、そんなの気にしてる場合じゃない。
なんとか頑張って振り切られないように追いかけると、ある家の前でコロが立ち止まった。
「わふっ」
「……ここか?」
1年経っても、元の家への道は覚えていたらしい。
多分コロが走り出した場所は、散歩のコースの折り返し地点か何かだったのだろう。
ふと家の庭を見ると、犬のいないにも関わらず、手入れの行き届いた犬小屋があった。
……間違いない、この家だ。
意を決して、俺はインターホンを押した。
390 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:17:19.57 ID:LKNCmKu20
「……はい?」
家からは、一人の女性が出てきた。
「あの……どなたですか?」
「……すいません。あなたに、お返しに来ました」
「……?」
コロを抱き上げ、女性の方へ寄る。
すぐ近くに寄ったところで、コロが俺の手からすり抜け、女性の元へ跳びあがった。
そして女性に当たる直前のところで、コロはきれいな光になって消えていった。
391 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2010/12/01(水) 05:19:07.85 ID:LKNCmKu20
「……そっか、もう満足したんだな」
「あの、一体何なんですか?」
「…すみません。人違いだったみたいです」
「はあ、そうですか……」
「あの、ところであの犬小屋は……」
「ああ……去年、行方不明になってしまったうちの子の小屋です。
あれから一度も見つからなかったらしいから、きっともう……それでも、やっぱり忘れられなくて……」
「…そんなふうに思ってあげられているなら、その子もあなたのことを忘れてないですよ」
「……ありがとうございます、そんなふうに言ってくれて」
「いえ……どうも、お邪魔しました」
……ちゃんと覚えてたもんな。ホントにいい奴だったよ、お前は。
そんな見送りの言葉を思い浮かべながら、上を向いたまま家路に着いた。
おわり
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最終更新:2010年12月04日 21:10