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「もう忘れたから帰る」

もう忘れたから帰る @


明日と永遠が同義だった頃。 @
夕暮れの公園は、綿菓子のような甘い夢に包まれていて。 @
鉄と湿度と砂埃の臭いを、暖かい団欒の香りが上書きする刹那。 @


「また明日ね」 @
と、輪舞にも似た不規則な鬼ごっこを約束する子供たちは、 @
信じることに、あまりにも無用心で。 @


緋色の甘い夢は街路にオルガンの音を伴って、 @
贅沢な痛みさえ、懐かしく。 @
質素な望みさえ、まだ遠く。 @


その先の、角を曲がれば、駄菓子屋の、 @
悪童達を見つめる優しげな瞳。 @


自転車のブレーキの音、猫が餌をねだる甘え声、 @
道端ではしゃぐ女学生の笑い声。 @


全てがシャボンに包まれたような、夢とも判然としない記憶。 @
自分の背中に追いつけなくて、もう悲しむことは、やめようか。 @


俺は、そんな風景を。 @
まだ、忘れたくないから、帰る。 @
もう、忘れたから、帰る。@
最終更新:2010年12月26日 04:21
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