長い間同じ仕事を繰り返していると、どんな人間も息抜きをしたくなってくるものだと言う。 @
私は今まで20年以上働いてもそんなことは無かったのだが、秘書がたまには私も息抜きをするべきだと薦めてきた。 @
それよりもやるべきことが色々あると断ろうとしたが、結局押し切られてしまった。 @
それで今、私はとある小さな港町に休暇に来ている。 @
長い間世界を飛び回って、いくつかの港町を訪ねたこともあったが、この町はどの港町よりも小さい。 @
少し寂しげな色を含む潮風を感じながら、私は海岸沿いの道を散策していた。 @
ある波止場に着いたとき、私はその少女を見つけた。 @
脇にバケツを置き、足を投げ出して波止場に腰掛けながら海に向かって釣り糸を垂らす、明るい髪色のワンピースを着た少女。 @
こんな時間にこんなところで釣りをする少女というのが物珍しく、私は声をかけてみたくなった。 @
「釣れますかな?お嬢さん」 @
声をかけられて私の方を見た少女は、数秒きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべてこう返した。 @
「うん、釣れたよ。ちょっと面白そうなのが」 @
最終更新:2010年12月26日 04:28