アットウィキロゴ

「神様の息子」

今日は父の日。お父さんに日ごろの感謝を伝える日です。 @


下の人間の世界では子供たちがお父さんに、 @


「おとうさん、いつもありがとう」 @
「おしごとおつかれさまです」 @
「おとうさん、ずっとげんきでいてね」 @


そんなことばといっしょに、お父さんへプレゼントを渡しています。 @
お父さんはにっこりにっこり笑って、「ありがとう」と子供たちをぎゅっと抱きしめていました。 @



「僕もおとうさんに感謝をつたえたいな」 @


神様の息子はそう思いました。 @


「人間の子供は、何をプレゼントしているのかな? ネクタイに、くつした・・・似顔絵。そうだ、僕も似顔絵を書いてあげよう」 @


神様の息子はしろいふかふかした雲をひとつちぎって、うすくたいらにのばして、 @
まっさらな画用紙にしました。 @


そして、天の白い小鳩から、抜けた羽を一本もらい、ペンにしました。 @



「お父さんはどんな顔だったかな、そうだ、白い長いおひげがあるんだよ。そうして、背が大きくて・・・鼻は・・・口は・・・」 @


神様の息子はお父さんの絵をいっしょうけんめいに書きました。 @
顔も手も墨だらけにして、いっしょうけんめい、かりかり、かりかり、かりかり。 @



「できた」 @


とうとう絵が完成しました。 @
ですが、神様の息子はかなしそう。 @
どうしたのでしょう? @


目がしらがぎゅっと下がって、鼻の頭がむずむずなって、耳が赤くなって・・・とうとう、息子は泣きだしてしまいました。 @


神様の息子がぽろぽろ、ぽろぽろ、なみだをこぼすと、地上にも大粒の雨がぽろぽろ、ざあざあ、ふってきました。 @
下の世界は大慌て。あわてて洗濯物をとりこんだり、家の中に入ったり・・・ @



びっくりした太陽は、息子に聞きました。 @


「どうして泣いているの?」 @
「だって、だって、この絵、ちっとも、おとうさんに似ていない」 @


神様の息子は泣きじゃくりながら答えました。 @
ぽろぽろ、ぽろぽろ、大粒の雨が落ちて来ます。 @


「これは大変だ、僕の、太陽の炎も、涙で消えてしまうよ」 @


太陽はあわてて 雲の間に隠れてしまいました。 @



空は暗くなり、人間たちはびっくりぎょうてん。 @
なにが起こったのかと、空を見上げています。 @
おどろいた月のウサギが、神様の元に走りました。 @


「かみさま、かみさま、大変です。かみさまのむすこが、えんえん、えんえん、泣いています。空はずうっとまっくらで、人間たちが困っています」 @


神様はびっくりぎょうてん。急いで息子の元にかけつけました。 @



「どうしたのだ、何を泣いているのだね」 @


神様の息子はえんえん、えんえん、泣くばかり。 @
空はますます暗くしめっています。 @


神様は、やさしく息子を抱きしめ、背中を叩きました。 @


とんとん、とんとん、とんとん・・・ @
ひとつ叩くと、しゃくりあげる声がひとつやみ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・ @
最後に、とん、と叩いたときには、雨はやみ、息子の涙もとまっていました。 @
むすこは暗い顔でうつむいたままです。 @



「僕ね、おとうさんの絵を書きたかったんだ。でもね、うまくかけなかったの。喜んでもらいたかったのに、何もできなかったの」 @


むすこはぐしゃぐしゃになった絵をにぎりしめて言いました。 @
神様は、むすこのにぎりしめたこぶしをぽんぽん、ぽんぽん、とたたきました。 @
一つ叩くと、息子のにぎった手はやわらかくなり、ぽん、ともうひとつ叩くと、画用紙は雲の上におちました。 @


「これは、白い、長いひげだね。私のひげだ」 @
「髪も長い、ちぢれて、のびほうだい。私の髪だ」 @
「ほほ、木の杖をついているぞ。これは私の杖だ」 @


神様は嬉しそうに笑いました。 @


「私を書いてくれたんだね。私をよく見ていてくれたんだね。ありがとう」 @
「でも、うまくないよ。さっぱり似てないよ」 @
「何を言っているんだい、これは私の絵じゃないか。それとも、本当は他の誰かを書いたのかい?」 @
「違うよ、お父さんを書いたんだ。お父さんはいつもお仕事大変だから、ありがとうっていいたくて・・・」 @


言いながら、息子はまた、涙があふれそうになりました。 @
神様は、息子のひじをとんとん、とんとん、とたたきました。 @
とん、とひとつ叩くと、かなしい気持ちも、つらい気持ちも、どこかにふきとんでしまいます。 @
とん、と最後に叩いたとき、息子はふふっと笑いました。 @


空には、涙の虹がかかり、太陽はまた、美しく地上を照らしはじめました。 @



このことにとても喜んだ神様は、人間にも神様の力をわけあたえました。 @
辛いとき、かなしいとき、とんとん、とんとん、とやさしく叩かれると、 @
かなしい気持ちも、つらい心も、どこかにいってしまうお力です。 @


そんなのはうそじゃないかって? @
さあ、どうでしょうね @


あなたも どこかで かなしいひとを つらいひとをみつけたら・・・ @


とんとん、とんとん @
最終更新:2011年01月07日 18:39
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。