※《》内は画像、演出など
笑顔の魔法
《魔女の部屋》 @
「女の子はね」 @
泣き虫だった少女は、童話の中にあった言葉を思い出す。 @
「もらった花束の数だけ綺麗になれるのよ」 @
「そして、綺麗になったら、魔法が使えるの」 @
童話の魔女は語る。 @
ぶくぶくと。 @
金属の釜の中には大きな泡が、消えそうで消えずにいる。 @
木の杖を掲げ、魔女は呪文を唱える。 @
少女には聞き取れない、おとぎの国の言葉で。 @
降り続く雨は、誰かの涙。 @
窓の外ではクジラが飛び、 @
森の奥では彗星が寝坊する。 @
部屋に漂う甘い匂いは、お菓子の家。 @
棚の薬はPOPなジェリービーンズで、 @
真黒な猫は、大きなあくびをして丸くなる。 @
「はい、これで大丈夫よ」 @
魔女は笑いかける。少女の不安を拭い取るように。 @
「笑顔は、意思という魔法だから」 @
無理をする必要はないけれども、と魔女は言う。 @
まわりの人を幸せにするための魔法だと魔女は言う。 @
少女がぎこちなく微笑んで見せると、魔女は満足そうに笑い、 @
「それでいいのよ」 @
と、胸を張り、ウィンクをしてみせる。 @
「女の子は、それだけでもう魔法使いなんだから」 @
「花束は、なにかを乗り越えたことへのプレゼントだから」 @
魔女は棚からビンをひとつ取り出しながら。 @
「そして、おまじない」 @
人差し指で、ジェリービーンズをひとつ、少女の口に。 @
そして、少女は目が覚めた。 @
《魔女の部屋フェードアウト》 @
枕元には、POPなジェリービーンズ。 @
窓の外は、白い雲が泳ぐように流れて。 @
「そう、大丈夫」 @
少女は自分に言い聞かせるように、つぶやく。 @
ジェリービーンズひとつ、歯応えなく口の中で消えた。 @
涙の跡には、まだ少女自身気付いていないままで。 @
…… @
少女は振り向く。 @
少女は、ステップをひとつだけ、経験した。 @
そして、少女は花束を受け取る。 @
曇ることのない心からの笑顔。拍手が少女とみんなを包む。 @
「女の子はね」 @
花束の中から可憐な一輪をとりだし、ひとりの赤ちゃんの胸に飾る。 @
「もらった花束の数だけ綺麗になれるのよ」 @
ちょっと誇らしげに、少女は微笑んだ。 @
(おわり) @
最終更新:2010年12月26日 04:11