菫(……遅いな、あいつら)
菫(憧はトイレに離席するし)
菫(須賀は料理作ってるし……)
菫(……憧はいい。酔いすぎたのかも知れない)
菫(が、須賀だ)
菫(早くしろ。腹がペコちゃんなんだ)
菫(冷房のために締め切ってて、扇風機もクーラーも稼動音が煩いから……)
菫(どうなってるかまるで判らん)
菫(料理を急かすのはマナー違反だが……腹が減ったんだ)
菫(早くしてくれ)
菫(……ん?)
菫(この声、二人ともこっちにいたのか)
菫(さては、トイレから戻った憧と……雑談に華を咲かせてるとみた)
菫(けしからん)
菫(腹がペコちゃんなんだよ、私は)
菫「お――」
京太郎「だめ、や、やめろぉ……!」
京太郎「そこ、や、うぁあ……!」
京太郎「か、感じるぅぅう!」
京太郎「だめっ! 激しいっ! やさしくしてっ!」
憧「そんなこと言って……ここ(ふくらはぎ)、すっごく固くなってるわよ?」
憧「んふふ」
憧「口でなんて言ったって、身体は正直ね……(走行距離的な意味で)」
京太郎「や、やめぇ……! やめろぉ……!」
京太郎「く、ぁ……悔しい……っ」
京太郎「でも、感じちゃうっ!」
京太郎「あ、や、やめてくれよぉ……!」
憧「いやよ」
憧「あたしのこと……こんな風に(期待させてスカ)したんだから」
憧「ここまでお仕置き(物理的な意味で)されても、当然でしょ?」
京太郎「うぁぁぁあ」
京太郎「や、やさしくしてくれよぉぉお……!(マッサージ的な意味で)」
菫(――いィ!?)
菫「……」
菫「……」
菫「……」
菫(色々突っ込みたいが……)
菫(やっぱりこの二人、付き合ってるじゃないか!)
菫(私の目に狂いはなかった!)
菫(予想はあたっていたじゃないか、辻垣内の奴め!)
京太郎「お待たせしましたー」
京太郎(憧の奴、片付けをしてくれるとか……やっぱ優しいよなぁ)
京太郎(本当にいい奴だし、もう彼氏の一人や二人を捕まえててもおかしくないよな)
京太郎(いや、一人や二人は問題か)
京太郎(……でもさっきの感じだと、今はフリーなのか?)
京太郎(まあ、このままお互いフリーで何年かたったら……あっちさえよければ結婚したい)
京太郎(正直、憧、エロい)
京太郎(……)
京太郎(……にしても)
京太郎(なんで雑巾やウェットティッシュの場所を聞いてきたんだ?)
京太郎(食器とか使った鍋片付けるのに、雑巾とかはいらないだろ)
京太郎(……)
京太郎(あ、もしかして……)
京太郎(コンロや換気扇の汚れとかも落とそうとか思ってたのか?)
京太郎(俺があとでやろうと思ってたのにな)
京太郎(気が利くなー。流石憧だぜ)
菫「……なあ、須賀」
京太郎「なんですか?」
菫「も、もういいのか?」
菫(相当盛り上がってたようだが……)
京太郎「なにがすか?」
京太郎(料理の数かな……?)
京太郎「結構、沢山(料理)したと思うんですけど……」
菫(沢山!?)
菫(人の家でそんなにしたのか……?)
菫(こ、こいつ……)
京太郎「これ以上だと、お腹一杯なりますよ?」
菫「!?」
菫(しかも、ゴムをつけてない……ッ!?)
菫(だ、大丈夫なのか……?)
菫(デキやしないか……?)
菫(い、いや……)
菫(他にも避妊の方々はあるし……)
京太郎「……でもまあ」
京太郎「なんなら、もっと作ってもいいですよ?」
京太郎「俺もスゲー楽しいですし、気持ちいいですし……(料理すると落ち着く的な意味で)」
京太郎「それで喜んでくれるなら……もっとやっても……」
菫(作る!?)
菫(まさか、避妊してないのか……!?)
菫(むしろ、その目的で……!?)
菫(そりゃあ、気持ちいいだろうな! ああ!)
菫(喜ぶって……憧の奴……!)
菫(プロがデキ婚とか、洒落にならんぞ!?)
菫(ここは……ちゃんと言っておいた方がいいのか)
菫(だが、人のそういう関係に口を出すのはどうかとも思う)
菫(仮に自分がされても、煩わしいと思うだろう……いや、判らないが)
菫(どうする?)
菫(正直、踏み込んでも面倒な話題なんだよなぁ……)
菫(うーん)
菫(我ながら、お節介だと思うが……一応)
菫「……須賀」
京太郎「はい、なんすか?」
菫「お前もプロだ……社会人だ」
菫「だから、ちゃんとその先の暮らしも送れるだけの蓄えはあるだろう」
京太郎(……なんで貯金の話?)
菫「色々、大変かもしれないが……」
菫「お前なら大丈夫だと思う。乗り切れるとも、思ってる」
京太郎(……え?)
京太郎(いや、何……? なんなの……?)
京太郎(その先が大変で、貯金の話題……)
京太郎(もしかして俺、クビになるの!? 戦力外通告されるの!?)
菫「私も、先輩として……フォローしてやりたいと思う」
京太郎(えっ)
京太郎(マジシリアスな話題なの!? そんな規模なのかよ!?)
京太郎「……あの」
菫「なんだ?」
京太郎「俺……役立たずなんすか……?」
菫「は?」
菫(さっき、十分役に立ててただろ!)
菫(それを私に聞いて、どうするんだ……!?)
菫(なんて答えろって言うんだ、お前は!)
菫(このバカ……)
菫「……私に聞くな」
菫「自分の行動を、思い返せ」
菫「それで判るだろ」
京太郎「……はい」
京太郎(自分で考えろって……)
京太郎(俺に原因があるのか……?)
京太郎(思い当たるフシ……思い当たるフシ……)
京太郎(やっぱ……ちょいちょいミンチにされることか……?)
京太郎(でも13位だし、トータルの成績なら悪くない筈だ)
京太郎(やえさんと一緒に……タッグも勝ったし……)
京太郎(一応、タイトル持ちだし……)
京太郎(……なんなんだよ。俺が、何したって言うんだよ)
京太郎(……もしかして)
京太郎(淡との、プールの一件か?)
京太郎(暴力は一切振るってないけど……携帯のメモリー破壊したし……)
京太郎(それが、警察に……?)
京太郎(……)
京太郎(何でだよ……)
京太郎(やっと麻雀、純粋に楽しめるようになってきたのに……)
京太郎(どうして……こうなるんだよ……)
京太郎(……クソッ)
京太郎(メモリーじゃあなくて、あいつらの人を小馬鹿にした態度をブッ壊しておくべきだった……!)
京太郎(あまりに陳腐だって言っても……女にあんな脅しをかける奴だ)
京太郎(性根が腐ってたんだ……もっと気を付けるべきだった)
京太郎(……あー)
京太郎(クソッ!)
京太郎(……)
京太郎(でもまあ……もう、終わっちまったことだし……)
京太郎(淡の奴を助けられたんだから、それでいいか……)
京太郎(……いいぜ)
京太郎(残念だし、未練たらたらだし、割り切れないけど……)
京太郎(お前に……俺の人生、くれてやるよ)
京太郎(話してみたら悪い奴じゃないし、何だかんだ可愛いとこあるし……)
京太郎(お前にだったら、構わねえよ)
京太郎(……そうだな)
京太郎(雇って貰えるかわからねーけどさ)
京太郎(免許あるから、教師になって……)
京太郎(そんで、誰かに麻雀でも教えるかな)
京太郎(教え子とインターハイ目指すのも、悪くないかもな)
京太郎(……うん)
京太郎(前向きになれば、どこでも道はあるんだ)
京太郎(仕方ないし、そーゆーもんだと思うしかねーよな)
京太郎(……んで、プロじゃなくなったら気兼ねなく恋愛できるし)
京太郎(可愛い彼女見付けて、いずれ結婚して……)
京太郎(幸せな家庭を築こう)
京太郎(……でも)
京太郎(淡の奴は、大丈夫か?)
京太郎(あいつは俺みたいに、どっか団体に所属してるっていうよりも……)
京太郎(プロ連盟に入ってて、賞金ありの大会とかに顔出す形だけど)
京太郎(あいつの方にも、飛び火しないかな)
京太郎(……迷惑、かからないといいんだけどな)
京太郎(ごめんな、淡)
京太郎(俺が、もっとスマートにできてればよかったのに……)
京太郎(……ごめんな)
京太郎(あんな風に変なナンパ喰らって……)
京太郎(嫌な思いをしてるだろうにさ)
京太郎(そこにきて、これとか……)
京太郎(悪い。本当に悪い)
京太郎(お前まで、巻き込むつもりなかったんだ……)
京太郎(助けたいと思っただけなのにさ……)
京太郎(やり方、間違えちまった)
京太郎(俺の麻雀人生はお前にやるから……)
京太郎(お前は、俺の分まで麻雀頑張ってくれ)
京太郎(それを、テレビの前から応援してるよ)
京太郎(……んで)
京太郎(こいつに勝ったことあるんだって、自慢させてくれよ?)
京太郎(俺の、最高のライバルだったってさ……)
京太郎(……なんて)
京太郎(ここで、死ねるか――――――!)
京太郎(っざけんな!)
京太郎(納得できるか? いいや、俺にはできないね!)
京太郎(第一、お前らが悪いんだろうが……!)
京太郎(そりゃあ、俺も問題あったさ。無実なんて思わねーよ)
京太郎(刑法的にはグレーを通り越してブラックだろうよ)
京太郎(でもな……)
京太郎(だから、なんでふざけたナンパしてたテメーらに人生潰されなきゃいけねえんだよ)
京太郎(俺には約束があるんだよ)
京太郎(穏乃との……! 灼との……!)
京太郎(淡との再戦の約束もある! 辻垣内先輩の隣に並ぶって約束もある!)
京太郎(やえさんと、一緒に戦うって決めた! 一さんの、誇れる友人になるって誓った!)
京太郎(咲にリベンジするとも言った! 優希と交わした、あの言葉もある!)
京太郎(憧も、応援してくれてる! 和は、最高の友人だって言ってくれた!)
京太郎(俺は……俺自身が……)
京太郎(涙を拭うと、そんな自分であろうと願った!)
京太郎(オカルトスレイヤーになるって、自分自身で道を選んだ!)
京太郎(いいぜ、ゴキブリども……)
京太郎(そこに踏み込んだら、戦争だろうが……!)
京太郎(全面戦争だ)
京太郎(プロを――俺をナメんなよッ!)
京太郎(幸い、この場には法律相手の専門家もいるしな……!)
菫「……須賀」
菫「こんな事を言いたくはないが……」
菫「社会人だし、責任は取るんだよな……?」
菫「一生の問題なんだぞ……?」
菫(憧はあれでいて……しっかりしてる奴だ)
菫(ちゃっかりだったか? まあ、いいが)
菫(流石に、その先の事を考えてるだろう……)
菫(色々頭が軽そうな私の後輩と違って、人生プランも決めている筈だ)
菫(……当然)
菫(須賀との関係も、そういう風に成り立ってるだろう)
菫(……)
菫(須賀も、ところどころ視野狭窄になることもあるが……こいつは良く考えている)
菫(だから、ただ気持ちがいいからなんて理由で――)
菫(他人の家で、避妊もせずに、動物みたいな行為には耽らないに決まっている)
菫(……他人の家ではどのみちアウトだが)
京太郎「……責任?」
京太郎「何言ってるんですか、先輩」
菫「……へっ」
京太郎「確かに易々と乗っかった俺も悪いけど……」
京太郎「そもそも、ああいう言動をしたあっちが悪いんだ」
京太郎「確かに無理矢理過ぎたところはありますがね……」
京太郎「俺は絶対に認めませんよ」
菫「えっ」
京太郎「訴えてくるなら、くればいい」
京太郎「全面から相手になってやりますよ」
京太郎「いい弁護士もいますしね」
菫「……は?」
菫(乗っかった?)
菫(無理矢理? 認めない?)
菫(弁護士? 相手になる?)
菫(えっ)
菫(いや、えっ……?)
菫(えっ)
京太郎「俺は――今の生活が心地いいんだ」
京太郎「楽しいし、面白いし……色んな人との関係が、好きなんだ」
京太郎「咲に、照さんに、淡に……」
京太郎「やえさんに、辻垣内先輩に、豊音さんに……」
京太郎「松実プロに、松実さんに、憩さんに……」
京太郎「愛宕選手に、愛宕プロに、対木さんに……」
京太郎「もっと……数えきれないぐらい、皆との関係がある!」
京太郎「俺は……皆と、もっと繋がりたい!」
京太郎「こんなところで終わりなんて、絶対に嫌です!」
京太郎「だから……絶対に嫌です」
京太郎「今の生活を捨てるなんてゴメンだ」
京太郎「まだ若いのに……俺の人生長いのに、こんなところで台無しにしたくない」
京太郎「だから、認めません」
京太郎「責任なんて――とるのは、頭にない!」
菫「――」
菫(――)
菫(……)
菫(……)
菫(……)
菫(……)
菫(信頼してた後輩が、可愛い弟分が、愛弟子が……)
菫(クズだった)
菫(……)
菫(……)
菫(……)
菫(……)
菫(……私は、どうしたらいいんだ?)
菫(照も淡も、知っているのか……?)
菫(いや、あいつらは何だかんだ純情だ)
菫(知っていたら……常識的に考えて、それを認めるワケがない)
菫(というと……騙されたか、手籠めにされたか)
菫(照は……須賀になついている)
菫(本人はきっと、年上ぶっているつもりなんだろうが……端からみたら須賀が保護者だ)
菫(あいつだって、警戒心はある)
菫(前に、痴漢をしようとした奴に鉄球を叩き込んだと言っていた)
菫(だけどきっと、須賀に対しては警戒心を持っていない)
菫(そこにつけ込まれたのか?)
菫(淡は……どうだろうな)
菫(あいつは自分で主導権を握りたがる反面、押しに弱い)
菫(酔うとあんな感じに壊れるし……)
菫(ひょっとしたら須賀に、その勢いで押し倒されてしまい)
菫(それから断りきれず……いや、脅されて関係を強要されているのかもしれない)
菫(……最近)
菫(誠子――流石に付き合いが長いので亦野呼びはやめた――から、聞いた)
菫(淡がどこか物憂げであると……)
菫(ぽつりと、須賀の名前を漏らしていると……)
菫(……やはり)
菫(あいつも、須賀の毒牙に――?)
菫(……クソッ)
菫(弟子の本性を見誤り! 友人を守れず! 後輩を傷物にした!)
菫(私は……何をやっているんだ……?)
菫(なにが、天上の荒武者だ……)
菫(なにが、M.A.R.S.ランキング12位だ……)
菫(守りたいものを……守れやしなかった……!)
菫(……須賀)
菫(その命、神に返せ)
シロ「……」
シロ「……菫」
菫「……それどころじゃない」
シロ「菫」
菫「それどころじゃない……ッ」
シロ「ねえ、菫――」
菫「そ、れどころじゃない――っ」
菫「言っ、てん! だろ、殺すぞ!」
今まで感じたことのない怒りのままに、白望の頭を押さえ付ける菫。
そのまま、彼女の頭を地面に叩き付けんと、腕を動かす――
シロ「食べなって」
筈であったが、そうはならなかった。
そもそも、そんな言葉は出なかった。
口に、玉子を詰め込まれたからである。
だから、正確にはこうなる。
菫「ふぉ、へふぉふぉろふぁふぁひ――っ」
菫「ふっ、ふぇん! ふぁろ、ふぉふぉふふぉ!」
玉子って凄い。
和「……バルタン星人ですか?」
智葉「……行儀が悪いぞ、お前」
京太郎「あの、食べながら喋るのはちょっと……」
そして、向けられる憐れみの目。
アンド――。
菫「熱ッッッッッッッッッッ」
玉子が内に閉じ込めた、熱気である。
猫舌の人間を殺すには飽きたらず、常人にすら猛威を奮う。
そいつに触れることは死を意味する。
それが――
京太郎「おでん、おかわり……まだありますよ?」
――玉子だッ!(おでんの)
憧「おまたせー」
京太郎「悪いな、憧」
京太郎「後片付け、ありがとな」
憧「いやー、別に?」
憧「床とか、拭かなきゃいけなかったし……」
京太郎「……床?」
憧「……あ」
憧「いや、ちょっと、お水溢しちゃって……」
憧「別に、それだけだからね」
京太郎「……?」
京太郎「あ、ああ……」
菫「……」
和「それにしても須賀くん」
和「さっきいきなり叫びだしたのは、なんだったんですか?」
京太郎「ん……いや」
京太郎「俺、もしかしたらクビになるかもって……」
京太郎「弘世先輩に言われてさ」
和「……なにをやったのか」
和「ちゃんと、教えてください」
京太郎「……あ、ああ」
京太郎「これから世話になるかもしれないし……そうだな」
京太郎「実はこの間、プールでばったりと大星プロに出会ってだな――」
菫「……」
京太郎「……って事があったんだよ」
京太郎「だから、それが原因でクビになるんじゃないかって……そう思って」
和「……」
和「……あー」
和「……それはともかく」
和「クビという単語は、どこから? クビになるって、本当に決まったんですか?」
菫「……」
京太郎「……いや」
京太郎「深刻そうな言い方だったから、そうなんじゃないのか?」
和「そうでしょうか?」
和「私には、ただの励ましにしか聞こえませんが……」
和「プロとしての……社会人としての心構えと言いますか……」
和「『責任を取る』とか『一生の問題』とか」
和「その辺りは、ちょっと判りませんが……」
京太郎「……うーん」
憧(京太郎とプールに行った水着見せた助けてもらった水着選んで貰った)
憧(あ、あたしなら……)
憧(……)
憧(……)
憧(……)
憧(……ふきゅう)
智葉「……」
智葉「……インハイ解説についてじゃないか?」
智葉「高校生にとってみれば一生の問題で……」
智葉「そういう意味なら……なにかあったら、責任を取らなくちゃいけない」
京太郎「あー」
菫「……」
京太郎「……でも」
京太郎「解説の俺が、なにか責任とることってあります?」
智葉「……」
智葉「それは、うっかりと誰かを貶める言動や……マイナスの発言をしないこと、だろ」
智葉「全国放送されるんだから……」
智葉「迂闊なことを言われたら、その高校生だって……落ち込むだろう?」
智葉「ひょっとしたら、その後の麻雀人生に影響するかもしれないからな」
智葉「特に……」
智葉「能力の欠点とか分析して、軽々しく話すのはやめておけよ?」
京太郎「うっす」
菫「……」
京太郎「いやー、流石は弘世先輩っすね」
京太郎「そんなところにも気を配れだなんて……」
京太郎「流石弘世先輩だなー」
京太郎「俺も、もっと精進しないと」
菫「……」
憧「無理じゃないの?」
憧「あんた、色々気遣いたりないし……」
憧「察し悪いしさ」
憧「肝心なとこでヘタレだし……」
憧「妙に視野狭いときあるし……」
憧「今みたいに、凄い勘違いして空回りするし……」
京太郎「……言うなぁ」
菫「……」
和「まあ、真面目で熱心だとは思いますよ」
和「気配りはできていますし、細かいことにも丁寧で……」
和「流石は、あのあと部長になっただけはあります」
京太郎「そ、そうか……?」
京太郎「いやー、和からそんな風に思われてたなんて嬉しいなぁ」
憧「……」
憧「でも、肝心なとこで詰めが甘いよね」
和「ケアレスミスが多いのは本当です」
智葉「足下がお留守なところがあるな」
白望「ヘタレ」
京太郎「手厳しいな、オイ!」
菫「……」
京太郎「その辺、弘世先輩は凄いよな」
京太郎「強いし、かっこいいし……」
京太郎「こんな曲者だらけの麻雀部、纏めてたし」
白望「かっこいい……?」
智葉「纏めてた……?」
京太郎「やっぱ、12位はちげーよ」
京太郎「流石、白糸台のシャープシューター! 流石、天上の荒武者だよ!」
憧「……あんた、先輩が大好きね」
京太郎「当然だろ!」
京太郎「みんな年上らしい年上で……頼りになるし」
京太郎「尊敬できる、俺の先輩だからな!」
憧「……はいはい」
菫「……」
京太郎「……つーかさ」
京太郎「やたらさっきから言うけどよぉ……」
京太郎「ヘタレはお前もじゃねえか、憧!」
憧「ひぇっ?」
京太郎「男と碌に会話できんし、すぐテンパるし」
京太郎「席隣に座られたり、挨拶されただけで自分に気があるんじゃないかって勘違いするし」
京太郎「予想外のことがあったらメチャクチャ慌てるし」
京太郎「しっかりしてそうでちゃっかりっつーか……」
京太郎「ちゃっかりしてそうで、うっかりっつーか」
京太郎「お前も大概ヘタレだろ!」
憧「……う、うぐ」
憧「うっさい!」
京太郎「ん、うぁぁぁぁあ――――!」
憧「この! この!」
京太郎「や、やめ……ぃぃぃぃいいい!」
憧「喰らえ!」
京太郎「さっきからそれ、駄目らっひぇぇぇぇえええ!」
京太郎「うえぇぇぇぇぇえい!」
和「……」
白望「……」
智葉「……」
京太郎「何故ぇ! 見てるん……でぃすかぁぁぁぁぁぁぁあ!」
京太郎「あんたらと俺は、仲間ぁぁぁぁあ!?」
京太郎「仲間じゃなかっ……うえぇぇぇぇぇぇえい!?」
和「……そういえば、こういう弱点ありましたね」
白望「意外に敏感」
智葉「まあ、憩と憧ぐらいじゃないか……できるのは」
和「どうしてでしょうか?」
智葉「いや……」
白望「……」
白望「試してみようかな、後で……」
菫「……」
菫(玉子で舌を火傷している間に、言い出せない空気になった)
菫(さっきのあれも、これか……)
菫(……もういっそ殺してくれ)
菫「……」
菫「――飲むぞっ!」
最終更新:2013年10月07日 11:32