京太郎(よほど誉められて恥ずかしからか……)
京太郎(あれから弘世先輩は浴びるように酒を飲みだした)
京太郎(正直、ハイペースすぎて大丈夫かとも思うけど……)
京太郎(和と辻垣内先輩がいるから多分、大丈夫だろう)
京太郎(憧のやつは、スースーするからと避難を開始していた)
京太郎(確かにアイツのスカートはやや短いし、仕方がないだろう)
京太郎(正直、生足を見てるとムラムラする。色々思い出して)
京太郎(……仕方ないよな、男だもの)
京太郎(俺は今、台所にいる)
京太郎(結構作ったと思うんだけど……酔っぱらいの胃袋をナメてたらしい)
京太郎(……んで)
京太郎「シロさん」
白望「……何?」
京太郎「そんなにジロジロ見られたら、集中できないんスけど」
白望「そっか」
京太郎「そうです」
白望「……」
京太郎「……」
白望「……」
京太郎「……」
京太郎「だからって、チラチラ見られてもおんなじっすからね!?」
白望「京太郎は、注文が多いなぁ……」
京太郎「……つーか」
京太郎「そんなに面白くないでしょ、人が料理するとこ見てても」
京太郎「悪いけど、あんま応対とかできないんですよ。こういうときは」
白望「テレビだとしてるのに?」
京太郎「ありゃあ……テレビ用です」
京太郎「仕事じゃないんですから、仕事みたいなことはさせないで下さいよ」
白望「……」
京太郎「……俺、シロさんとこまで」
京太郎「そういう、仕事モードを持ち込みたくないです」
白望「……どういう意味?」
京太郎「あー」
京太郎「なんていうかここ……落ち着ける場所であって欲しいんですよね」
京太郎「……いや、仕事は仕事で楽しいし」
京太郎「やってるときは自然で、無理とかしてないですけど」
京太郎「……なんつーか」
京太郎「やっぱり、オンとオフは分けたくなっちゃうんですよね」
京太郎「多分どっちもそのままで、イケるんだろうけど……」
京太郎「憩さんに『気付かない程度でもストレスがたまっていくのもあり得るし』」
京太郎「『オンとオフ、意識して分けてもええかもねー』って言われたんです」
京太郎「まあ、正直好きでやってるから……分けなくても大丈夫だとも、思うけど」
京太郎「実際、変に悩みっぽくなってたとこありますからね」
白望「んー……」
白望「まあ、なんでもいいけど」
白望「私は別に……ダルくない」
京太郎「……?」
京太郎「どういう意味っすか?」
白望「こうして、京太郎が料理してる音を聞くと……落ち着く」
白望「包丁の音が……京太郎の動く音が……」
白望「あの頃みたいで」
京太郎「あー」
京太郎「俺も、落ち着きますよ」
京太郎「シロさんが後ろにいるって思うと……」
京太郎「あの頃のこと、思い出して」
白望「……そうか」
京太郎「そうっすよ」
京太郎「色々ありましたよねー……あの頃」
京太郎「1ヶ月ぐらい経って、GW明けに」
京太郎「弘世先輩から『お前は信用できそうだからシロ係だ』って」
白望「あったあった」
京太郎「なんじゃそりゃと、思いましたよ」
京太郎「それまで、塞さんと胡桃さんがやってたんですよね」
白望「……高校の頃からの付き合いだったから」
京太郎「仲良し凸凹トリオって感じのあのムード、俺は好きでしたね」
セーブ役に見えて意外と天然で抜けている塞。
やや生真面目でツッコミ役ながらも、誰かを弄るくらいの遊び心のある胡桃。
悪くない、友人たちだ。
……かけがえない親友とまで思っているが、間違いではないだろう。
白望「どこでも私はトリオか……」
それでも、素直ではない言葉が飛び出した。
自分はかなり直接的な質であるが、
なんというかこういう……友情とか思いやりとか、そういう舞台にあげられると、
柄ではないのではないかと、恥ずかしくて誤魔化してしまう。
あまり表情に出ずに……また自分自身隠していることもあって、
今のところ、それを誰かに気付かれてはいない。
……いない筈だ。
京太郎「それぐらい、シロさんに魅力があるってことじゃないっすかね」
だから、続いた彼の言葉に、内心口から心臓が飛び出しそうになった。
すぐさま聞き返せた自分を、偉いと誉めてやりたいぐらいだ。
白望「魅力?」
京太郎「なんていうかシロさん、悪いことしないじゃないですか」
715 名前:1 ◆rVyvhOy5r192[saga] 投稿日:2013/10/06(日) 23:16:29.29 ID:hfCkd6H8o [2/2]
白望「……どういう?」
京太郎「なんていうか、加減が絶妙なんですよ」
京太郎「誰かを苛立たせたり、煩わしく感じさせたりしない」
京太郎「面倒くさそうに色々やる気ないけど……」
京太郎「そのせいで誰かがシロさんに怒ることとか、苛々することってないですよね?」
京太郎「それでいて、時々気の利いたフォローをするんだから」
京太郎「なんていうか、正に絶妙っすね」
人をそんなに、タラシのように言わないで欲しい。
別に計算して、そういうことをしているわけではない。
なんとなく、そうしているだけだ。
誉めているつもりなのだろうが、
須賀京太郎というのはどこかズレている。
基準が判りやすい、“常識”だとか“仕事”なら無類の気配りを発揮するのだが、
どうにも個人的なことになると、彼は正着に辿り着けなくなる。
だから、一人一人感性の異なる恋愛は、彼が最も不得手とするところだろう。
オールラウンダーであって、特化型ではないのが彼だ。
京太郎「……俺も」
京太郎「シロさんに、お世話になりましたからね」
白望「……性的な意味?」
京太郎「……それ、どんな答え求めてるんですかね」
白望「ムラムラした?」
正直、スタイルには自信があった。
塞のような見事なウェストやヒップラインをしてはいないが、
バストの方は、かなりのものなのではないだろうか。
須賀京太郎が、そういうものが好きだと聞いたときは、
夜布団の中でガッツポーズをした――気分で眠った。
一人で夜に布団の中でガッツポーズとか、不審者じゃあるまいか。正直、色々ダルい。
さて、それだというのに彼と恋仲になることはなかったのである。
「自分がいなきゃ駄目だ」「放っておけない」と思わせることが、
上手く成り立つ男女のテクニックだと何かで見聞きした覚えがあるが、
別に自分は、そんな計算をしているワケではない。面倒である。
一体何が原因かと、自分の体には実は魅力はなかったのかと、
そんな風に考えつつも口に出したつもりであったが――出てきた言葉はこれだ。
やや恥ずかしかったし、色々悩むのが手間だったためにこうなったが、
これでは却って恥ずかしい思いをする言葉である。
……まあ、いいか。
こういう話題を振ったあとの彼は、可愛いのだから。
京太郎「……そーゆーのはやめてくださいよ」
京太郎「シロさんみたいな、女の人がしちゃいけない物言いです」
知ってるよ。
困ったように笑いながら、口を尖らせ説教を始める彼。
なんというかこの、年下なのに背伸びをしようとしているところが、可愛い。
それで失敗したり、空回りをしたりして、肩を落とすのも中々に微笑ましい。
頼りがいがあるのは知っているが、どこか抜けている。
何もかもを完璧に消化しそうでありながら、その実完璧には至らず、そつなくこなす器用貧乏。
慣れた相手にはぶっきらぼうそうに振る舞いながら、その実非常に気にかけていて、
軽薄そうな見た目だけど真面目で、
穏和そうでありながら激情家で、
天才肌に見せかけた努力家だ。
そういうのを含めて、
小瀬川白望は彼を好ましいと思っている。
京太郎「……まあ」
京太郎「どうせシロさんのことだから、判ってて悪ノリしてるんでしょうけど……」
白望「バレた…………?」
京太郎「あー、もー! やっぱり!」
その、ちょっと不貞腐れた顔も中々、可愛らしいものがある。
京太郎「だぁー、もう」
京太郎「人が真面目な話をしてるんだから、茶化さんで下さいよ」
白望「ダルいからパスで」
京太郎「ひでぇっスよ!」
だって本当に、ダルいのだからしょうがない。
彼は――どういう理由か判らないが――自己評価が低い。
どういう理由か判らないと言ったが、察しはつく。
恐らく、一番努力を費やしたであろう麻雀で大成できなかったからだ。
正直、若手13位では大成と言ってもいいだろう。
世間では……ああいや、ネットはともかく……強い麻雀プロ。一握りの頂であるし。
また、白望から見てもそうだ。
だけど彼は、自分が凄いということを理解――いや、実感しようとしない。
その理由は、判りきっていた。
まず彼は、あの清澄高校の出身だ。
強いというものがどういうものかという指標が、彼が初心者の内に刷り込まれた。
そして己が努力をいくら積んでもそれに至れてないので、引け目やコンプレックスを感じているのだろう。
判りやすい例えで言うなら。
最初にカブトムシを見せる。
固くて、力持ちで、華があって、かっこいい。
そして次にゴキブリを見せて、これが貴方ですと言われたようなものだ。
ゴキブリは、条件が揃えばカブトムシ並みに、自重に対する仕事量を発揮する。
つまりは、カブトムシ並みの力持ちだ。
そして、カブトムシにはない速度がある。
仮に人間と同スケールだと換算すると、一歩目から時速300キロを超える瞬発力。
さらには頭を切り落とされても活動し続ける生命力。
昆虫なのに群を作り、子供を育てあうという、蜂や蟻のように高度なその社会性。
驚異的な繁殖能力や、また、知能もある。
つまり、実質的な種としての能力では――圧倒的にゴキブリが上をいく。
性能の殆どは、ゴキブリはカブトムシを超えている。
だけれども、ゴキブリはゴキブリなのだ。
生まれながらのカブトムシと、努力してゴキブリになったもの。
……大抵の人はカブトムシを選ぶんじゃないだろうか。
ゴキブリの方が強かったとしても。
なんとなく気持ち悪いとか、取り合えず見かけたらブッ殺すとか、
厚かましい生き物だな、さっさと死ねよとか……抜きでも。
だから彼は、自分が強いと認識できないのだろう。
イメージの中の、理想とする、自分の知っている――強者と己がかけ離れすぎていて。
別に、そんな風に彼の心を清澄高校が歪めてしまったという話ではない。
単純に、彼女たちの華に魅せられてしまったのだ。
それはあまりに衝撃的で、最初の憧れとして彼の心の一番奥に灯された。
……自分はそうはなれないと言うのに。
さながら、“花魁鳥(エトピリカ)”に憧れる“人鳥(ペンギン)”だろうか。彼は。
どれほど地上を速く駆けられようが、どれだけ水中を自在に動けようが、
いくら強力な膂力を身に付けようが――彼が欲しいのはそれではない。
彼はただ、空を飛びたかったのだ。
鳥といえば、飛ぶ鳥を思い浮かべるように――。
強いといえば何かと、そんなイメージが出来上がっている。
……尚。
今の彼は、脚力が発達しすぎた結果羽ばたきなしで離陸滑走と短距離滑空をしてる状態である。
充分、凄い。むしろ怖い。
なんというか。
人鳥が頑張り過ぎたら、飛蝗の脚力を手にいれました……みたいな。
でも、本来のフィールドではないので、自在に活動できません……みたいな。
そんなのが、彼だ。
白望からしたら、オカルトの方がまだ判る。
自分自身、そういうツキとかジンクスを持っているから……。
彼の打ち筋を理解はしているし、納得もしているが――常識を外れている。
総てを分析し、吟味し、演算し、列挙し、勘定し、推理し、試行し、実行する。
余程異常だ。頭の中は、どうなっているというのか。
飛蝗の足を生やしたペンギンを想像して、ちょっと気持ち悪いと思った。
オカルトやツキというのは、その生き物が生まれつき持った特性だ。
だから、あっても……それはそういうものかと納得が行く。
でも、彼のそれは違う。
後発的に得た――――一切のツキとオカルトに寄らない、技術の極致。
理論上は存在するが、可能かどうかまた別な努力の結晶。
本来は持っていなかったのに……。
必要だと、鍛練で“眼”を得て――。
重要だと、錬成で“爪”を得た――。
そんな、ペンギンである。
鷹の瞳を持ち、虎の爪を持ち、飛蝗の脚を持つペンギン。
それが彼だろうか。キモい。
……で、だ。
そんな気持ち悪さは放っておこう。
キメラ生物、オカルトスレイヤーは忘れよう。
彼の心には、原風景としてそんな麻雀の強さのイメージが染み付いた。
それが彼の夢であり、理想である。
あくまでも彼は、上空を自在に飛び回りたかった。
大空に悠然と翼を広げたかった。せめて耀く美しい羽が欲しかった。
望むのは――羽ばたく鷹や、美しい翼を広げる孔雀や、大空へ飛翔する禿鷲だ。
決して眼だけの鷹や、爪だけの虎や、脚だけの飛蝗ではない。
そこに至れない自分に対して――本当に本当にどうしようもない無意識の底にて、彼は劣等感を抱く。
でも、彼はそれに納得し始めた。
そんなに歪でも、そこに至るための努力に価値を見出だした。
それでも狩りができるからと――彼は顔を上げた。
そして、粉々に砕かれた。
あらゆる能力を理解し、完全に再現する。
そこに、己の打ち手としての力は介されない。
使い捨てのコピーカードの如く、オリジナルの正確無比なる複製を、湯水のように使い捨てる。
そこに感傷は存在しない、静かなる激情の態。
自らが、よかれと思って彼女を鍛えた。
少しでも力になってやりたくて、頭を抱えて共に歩んだ。
己を慕ってくれる純真な瞳に、一緒に笑い、彼女に“その先”を託した。
京太郎にとっては初めての弟子で、麻雀部の後輩で、かつての自分より初心者な妹分。
そんな彼女の羽化の為に、飛翔の為に――京太郎は努力をし、育成した。
見事彼女は翼を広げて、
京太郎『……俺、悔しいです。情けないです』
京太郎『俺がしたことが、マホをあんな風にしちまった……』
京太郎『あんなに笑ってた奴から、笑顔を消しちまった……』
京太郎『麻雀を楽しまずに、ただ打つだけの魔物にしちまった……』
京太郎『そんで……』
京太郎『俺じゃあ、あいつの仮面を――砕くこともできなかった』
京太郎『俺の力じゃ、ただの人間じゃ……』
京太郎『あいつを止めてやるどころか……踏みとどまることもできなかった』
京太郎『俺……何もできない、自分が悔しい……!』
人間性を、置き去りにした。
恐らくそれが決定打となったのだろう。
唯でさえあのときの彼は、眼精疲労を指摘され、視力低下に悩まされていた。
そんな時期に、己が可愛がってた後輩を、己を理由に魔物としてしまったのだ。
衝撃には十分過ぎた。
夢乃マホの力は、それまで分析した総ての特性を保存し、自在に使用すること。
一度使った能力を、同じ対局中に使用することはないが……。
『オカルトを組み合わせて使うことができる』。
京太郎は、「あいつの自意識を取り除いた分、もう一つ使うスペースができたのではないか」。
そんな風に呟いていた。
とにかく――彼は荒れた。
正確に言うなら、折れて擂り潰されたというところか。
まあ、唯でさえ身体的に限界でストレスが溜まっているところに、
よかれと思った超裏目に、自分が増やした“手札(カード)”による蹂躙のコンボだ。
耐えられなくても、仕方がないだろう。
ちなみに、白望を含めて誰かを頼るという選択肢はなかったらしい。
彼の最強の仲間、魔物級である
宮永咲はプロであるが故、新人の多忙さで呼べず。
生半可なオカルトでは、有利な特性を持つ手札を当てられる。
強力な能力を封じるとその代償として彼女に与えられる疲労を鑑みて、彼は塞には声をかけなかった。
そして彼は、
原村和と共に夢乃マホへと戦いを挑んだ。
結果は、言うまでもないだろう。
大学時代はともかく、今の3位――
荒川憩ならどうにかできただろう。
それほどまでに、ランキング3位は洒落にならない強さのプロだ。
あのとき憩がそれほどまでに完成されていたら――結果は異なったかも知れない。
言っても、せんのないことだが。
……まあ。
彼には、色々あったのだ。
辛いのなら……能力――つまりその記憶を思い出させてしまう自分は暫く近付かず、
そっとしておいた方がいいかと思った自分とは対照的に、
新子憧は彼の世話を焼いた。
それから某かあった後に、憧の高校時代の教師――師匠――が、
彼のリハビリに付き合った結果、須賀京太郎は立ち直ったらしい。
実に色々あって……。
一歩引いてしまった自分は、それに立ち会えなかったけど――。
京太郎「……? なんですか?」
京太郎「俺の顔に、何かついてます?」
今はどうも、こうして立ち上がってくれているから、いいが。
心なしか、笑顔が前より良くなった気がする。
それほどまでに、何か良いことがあったというのか。
嬉しいし、京太郎のこの顔は……なんとも実に、微笑ましい。
実に様々な言葉を労したが――自分は彼の、快活な笑みが好きであった。
白望「いや……」
白望「あのときは、組み敷いてくれたな……って」
京太郎「……ブッ!?」
白望「いくら追い詰められてたとは言え……」
白望「京太郎が、女を押し倒すなんて……」
京太郎「……」
京太郎「……内緒にしてて下さいよぉ」
白望「あれは……本当に驚いたなぁ」
白望「『俺にもう、構わないでくれよ』」
白望「…………からの」
白望「それでも心配でちょっと引き留めたらまさかの…………」
白望「『今の俺は、何をするか自分でもわかんねーんだよ』」
白望「だから」
京太郎「……」
京太郎「あわあわあわあわあわあわあわわわわわ」
京太郎「あのときの俺はどうかしてたんですやめて許して下さいごめんなさい」
おもいっきり床に、力付くで組み伏せられて。
その、見たことない京太郎への恐怖から何か咄嗟に身を捻って逃げ出そうとしたら、
まさかの、後ろから覆い被せられて、首筋に歯を立てられるとは。
危うく排卵するところだった。
シャツのボタンは外されるわ、首筋舐められるわ、鎖骨に顔を埋められるは……実に色々あった。
まあ、結局は。
それ以上は触れられず、顔面を蒼白にして、謝り倒しながら、転がるように逃げられたが。
あのとき排卵して、おまけに行為に突入してたらどうなってたのか。
……確実に我が家に主夫が増えただろう。
京太郎「本当に許して下さい最低なことをしました俺は生まれついてのクズです」
京太郎「いっそ殺して下さいごめんなさいどうか本当にごめんなさいなんでもしますから」
白望「前に、水に流したのに……ダルいなぁ」
余程その、レジェンドのリハビリ教室とやらの効能は灼かだったのだろう。
心を“あらたに”、立ち上がった須賀京太郎。
一皮も二皮も剥けた男になっていた。
性的な意味じゃないが、性的な意味も含むかもしれない。
なんか失恋とかして成長してそう。
そんな、新生須賀京太郎。通称、スーパー須賀。
で、その八百屋みたいな京太郎は。
戻ってくるや否や、直ぐにその膝が折れた。彼はいきなり膝をついた。
そんで、謝罪の嵐。謝罪に次ぐ謝罪。
エターナル謝罪。エターナルレクイエム謝罪。
そりゃあもう、言えば腹切りでもエンコ詰めでもやりそうであった。
白望「ん……?」
ちなみにその、謝り続ける京太郎を見て。
ここで逆に押し倒したら、謝るのやめるのかなぁ……なんて思った。
そのときの、謝っていた状態から間をおいて一変する須賀京太郎の、その顔を想像しだして、
なんとも彼を組み敷いてみたいと考え初めていたのは内緒だ。
こっちでは、排卵はしてなかったらしい。どうでもいいが。
白望「……今」
白望「何でもするって言った…………?」
京太郎「……はい」
まったく、可愛らしい奴だ。相も変わらず、そこだけは確か。
だから――
白望「……それじゃあ」
白望「そうだなぁ……」
白望「――『一緒に料理を作ろう』か」
京太郎「……へっ」
白望「………………何……?」
京太郎「いや、そんなのでいいんですか……?」
白望「………………」
白望「…………それとも」
白望「……それ以上のことが…………したい?」
京太郎「……うっ」
京太郎「そ、そんなわけないじゃないですか!」
京太郎「俺は紳士なんだから!」
白望「……ふぅん」
あら、残念だ。
まあ、いいとしようか。
だって、単純に嬉しいのだから。
白望「……“そんなん”、じゃないんだけどなぁ」
白望「京太郎が変わったみたいに…………私も変わった……」
白望「料理……つくれるようになったからさ」
白望「これでいい」
京太郎「そっすか」
白望「そう」
あのときとは違って、こんな風に隣に立てるってのは――。
まあ、悪くないんじゃないだろうか。
最終更新:2013年10月07日 11:53