アットウィキロゴ
【捕捉:この世界における麻雀プロ制度について】

※これからされるプロ麻雀界についての説明は咲原作の描写などからの推測・憶測などに基づきます
※ベース生物は、こちらでの『やきう+サッカー+麻雀+将棋』となります
※シノハユなどで明かされるかもしれない原作の設定と異なっても、それも全て乾巧って奴の仕業なんだ
※オルフェノクは腐ってるんじゃないかなぁ……?



マホ『きょ、きょ、きょ、京太郎先輩……!』


 突如鳴り響いたコールは、後輩からの助けを求めるサインだった。

 普段あまり食べられそうにない、各地方都市の物産を扱ったデパ地下のフェア。

 時間はちょうど昼時。

 そこで購入した惣菜を食べている最中だったので、一も二もなく応答する。

 これが飲食店ならば、流石に配慮をして、天外に出てから通話していただろう。

 ……時間短縮の為に、壁などを足場に移動したかもしれないが。


やえ「どしたー?」

京太郎「後輩からのラブコールっす」

やえ「ふーん」

京太郎「……あ、妬いてくれました?」

やえ「いや、全然」


 ちょっとガード固すぎませんかね。


京太郎「あ、そうだ」

京太郎「よかったら二ケツしてって、終わったあとデートしませんか?」

やえ「寝言は寝てからにしなさい」

京太郎「……酷い」


 まるで取っ付きにくい。大半が、意にも介されずに袖にされる。

 純情な感情は空回りしすぎである。


京太郎「鉄壁なんだよなぁ……胸と一緒で」

やえ「……そんなに死にたいの、あんた」


 ジロリと半眼で、睨み据えられた。そんな顔もかっこいい。あと可愛い。

 でも……できればもうちょっと打ち解けて欲しい。


やえ「ま、あんたの分は残しといてやるから」

やえ「ちゃっちゃと、可愛い後輩のところに行ったら?」

やえ「あんま、待たせるもんでもないでしょ?」


 あーでもないこーでもないと悩みに悩んだ銘菓は、弘世菫が来てもガードしておいてやる。

 そう告げられて、出発をせっつかれた。

 つっけんどんなのに、こういう気遣いをしてくれるところは、本当に流石である。惚れ直す。


京太郎「行ってきます」

やえ「ん、いてらー」


 なんか今のやりとり夫婦みたいでしたね――。

 なんて、からかってみたい衝動に駆られるが、我慢。我慢だ。

 折角、気を使ってくれたのだから急がないと。

 マホのことを、待たせたくないというのもあるし……。


やえ「二日後には離婚するけど」


 訂正。

 どうやら、口に出てたらしい。


  ◇ ◆ ◇


京太郎「はぁ……」

京太郎「『二日後なら、今日明日は夫婦っすね』っつったら――まさかの、『別居中』かよ」

京太郎「好きって言ったら言っただけ、好きになってくれる……って心理学の本にもあるんだけどな」


 好意の返報性だったか。

 なんてウソっぱちの法則なのだろう。絶対にもう信じない。

 まあ、大抵その手の心理法則というのは最大公約数的な大衆向けのものであって、ひねくれ者には通用しない。

 自分の、最初の師匠である――竹井久みたいな人なんかには。


マホ「あ、京太郎先輩!」

京太郎「悪い。待たせたな」

マホ「マホも今来たところです!」


 笑いながら、こちらに走り寄る夢乃マホ。

 さて、このパターンは――。


京太郎「――だから、コケるっつーの。気ィつけろよ」

マホ「うぅ……マホ、またやっちゃいました……」

京太郎「まったく……俺がいねーと危ないだろ?」


 まあ、自分がいなけりゃこうして走ってくることもないので、転びはしないだろうが――。

 なんて、そもそも論を持ち出しても無意味だろう。

 抱いた肩を整えて、マホの頭に手を置く。


マホ「友達からは、アンバランスだからだって言われちゃいました」

京太郎「そいつ男だったらマジ連れてこい」


 遺伝子レベルで一目惚れしようが絶対に許さない。兄貴分として……いや、兄として。

 ひたすら顔面に正拳突きを叩き込んでやる。


京太郎「ほら、手」

マホ「え?」

京太郎「また転んだら、危ないからさ」

マホ「はいっ」


 手って言ったのになのになんで腕を組んでくるんですかねぇ……。

 ……いや、その、なんつーか、あの、感触的な意味でも大歓迎だけどさ。


京太郎「……なるほどな」

京太郎「『プロについて教えて欲しい』……か」

マホ「うぅ……申し訳ないです」

マホ「調べてみたけどよく判らなくて、その……」


 肩を縮める夢乃マホ。

 確かに彼女の言う通り、彼女なりに調べてみたのだろうが……複雑過ぎて把握が難しかったのだろう。

 言うほど難しくもないが、言うほど簡単でもない。

 大体の人間はおおよそなんとなく理解しながらも、詳しい説明はできない。

 そんなシステムだ。

 以前言っていた、彼女の就職、その進路――。

 そこから、プロというシステムについて理解したかったのだろう。

 よく判らない業界に入らず、ちゃんと下調べをするという考えを持ったことを、よくやったと褒めてやりたくなった。

 ……彼女がプロになるというのには、一抹の不安が残るが。


京太郎「ま、それなら俺がちょうどいいだろうな」

マホ「忙しいのに申し訳なかったです……先輩の手、煩わせちゃって……」

京太郎「お前も難しい言葉、使うようになったなぁ」

京太郎「……でもまあ、気にすんなって。会って直接話をしようっつったのは俺の方だし」

京太郎「お前の為なら、スケジュールなんてなんでもねー。簡単に消化してやるよ」

京太郎「――お前の前なら、いつだって俺はヒーローになってやる。どんなことでもな」

マホ「京太郎先輩……」


 だから、もしも次にあるようなら――。

 なんて言葉は、不吉過ぎて付けられはしないけども……。

 もしそのときがあったら、今度こそ夢乃マホを助け出してやる。全てのプロの能力を、敵に回そうとも。

 そんな覚悟は、とうに出来てる。


京太郎(……でも、思ったんだけど)

京太郎(誰かツッコミかボケいないと、これじゃあ俺……普通にかっこいいだけのイケメンなスポーツ万能だよな)

京太郎(普通にかっこよすぎないか? 全力でイケメンすぎないか?)

京太郎(うーん)

京太郎(やっぱり、やえさん連れてくればよかったな)

京太郎(イケメンオーラのせいで、周りの人間に須賀プロだってバレちまうかもしれねーしさ! ははは!)

京太郎(……ははは)



京太郎「さて……じゃあまず、プロについてだけどさ」

マホ「はいっ!」

京太郎「プロってのは、全員段位持ちってのは知ってるな?」

マホ「【全日本麻雀協会】が段位を発行するんですよね?」

京太郎「ああ、よく調べてるな……偉いぞ、マホ」

マホ「えへへ……っ」


マホ「でも、判らないことがあったんですけど……何段からがプロなんですか?」

マホ「初段でプロって名乗っている人もいれば、調べたら四段からがプロって話もあって……」

マホ「マホ、こんがらがっちゃって……」

京太郎「……ああ」

京太郎「一般的な意味での麻雀プロは、四段からだ」

マホ「なるほど」

京太郎「でも、初段もプロって言えばプロになるんだよ」

マホ「……どういうことです?」

京太郎「初段から三段までをプロ準士」

京太郎「四段からを、プロ雀士って呼ぶ」

マホ「?」

京太郎「三段まではセミプロっつーか、プロ見習いみたいなもんだな」

京太郎「普通の人との違いとしては……」

京太郎「プロ雀士は勿論、プロ準士ってのは全中やインターハイ、インターカレッジみたいな大会には出られない」

京太郎「だけど、準士はタイトル戦なんかに出るのも無理だ」

京太郎「俺が一年生んときは、こういう風なプロ見習いが多かったせいで男子インハイのレベルが下がった」

京太郎「そんな風に言われてたな」

マホ「へー」

京太郎「あの頃はそれぐらい、全日本麻雀協会に所属して、インハイに出ない人間の方が多かったんだ」

京太郎「……まあ、それでも」

京太郎「一年生のときの俺は、県大会予選でボコボコにされたけどな」

マホ「……ほぇぇ」

マホ「でも、マホの知ってる京太郎先輩は大活躍でしたよ?」

京太郎「ま、一年生のときと違って……一応はな」

京太郎「言った通り、準士の方に人数流れてたのもあるから」


京太郎「全日本麻雀協会の定めたレギュレーションで、一定以上の勝利数や勝率を記録すること」

京太郎「それが昇段条件で、四段になったら段位が下がることはない」

京太郎「ここまではいいか?」

マホ「はい!」

京太郎「んじゃ、続けようか」


京太郎「四段以上のプロ雀士と、プロ準士の何が違うか」

京太郎「簡単に言うと、【出られる大会が変わる】ってことと――」

京太郎「おおっぴらにプロを名乗って、仕事が出来るかどうか……だ」

マホ「どういうことですか?」

京太郎「大会には三種類ある」

京太郎「『プロだけが出られる大会』」

京太郎「『アマチュアしか出ちゃいけない大会』」

京太郎「『プロアマ混同戦』」

京太郎「この中で準士が出られるのは、最後のだけだ」

京太郎「あとはひたすら、全日本麻雀協会で麻雀を打ってるだけ」

マホ「……そこだけ聞いてれば、損してる気がします」

京太郎「でもないんだよ」

京太郎「普通に部活をやってても、記録――全日本麻雀協会が認める成績になる――試合は少ない」

京太郎「でも、協会所属なら全部が全部成績に繋がる」

京太郎「それに、部活動よりもノウハウがある中で勉強できる」

京太郎「ってなると、全然意味合いが違うだろ?」

マホ「なるほど……!」


マホ「あ、でも……」

マホ「お姉さんの方の宮永プロも、宮永先輩もプロですよね?」

マホ「協会に入ってなかったとは思うんですけど、どうしてプロなんですか?」

マホ「それに、ドラフトって……」

京太郎「おう、その説明な」


京太郎「全日本麻雀協会には、『飛び四段制度』がある……見なし四段っつーかな」

京太郎「四段に相当すると考えられる実力の持ち主に、麻雀協会が四段の段位を発行する制度だ」

マホ「お徳ですね……」

マホ「どうしたら、そんなお徳になれるんですか! マホもお徳用が好きです」

京太郎「そうそう。お徳用のピーナッツ抜き柿の種とかな」

マホ「……マホ、柿の種は辛くて食べられないです」

京太郎「……そ、そうなのか」

マホ「そうです……」

京太郎「そ、そっか……」

京太郎「そうかぁ……そうかぁ……」


京太郎「で、話を戻すぞ」

京太郎「この飛び四段制度で宮永照や咲なんかはプロになってる」

京太郎「ドラフト――」

京太郎「これは【日本麻雀機構】のリーグにある団体が行うものだ」

京太郎「要するに、自分とこの団体にこの選手が欲しい。この選手を貰うって宣言だな」

マホ「人気者がいっぱい指名を受ける奴ですよね!」

京太郎「ああ、その通りだ。それ以上の細かいことは関係ないから置いとくぞ?」


京太郎「飛び四段ってのは、このドラフトの後に行われる」

マホ「後ですか?」

京太郎「ああ」

京太郎「基本的にそこらで指名される奴は、インターハイなどで団体の目にとまる活躍を見せた選手」

京太郎「つまり、どういうことだ?」

マホ「……あ!」

マホ「大会ですっごく強いところを見せたから、四段と一緒――」

マホ「って、考えられるんですね!」

京太郎「おう、正解」

京太郎「ドラフトで指名されて、プロ入りを断らなければ……」

京太郎「団体から、日本麻雀機構からの推薦って形で――全日本麻雀協会から四段認定がされる」

京太郎「これで、あの人たちはプロになった」

マホ「なるほどー」


京太郎「他には、団体の入団テストなんかを受けたり……」

京太郎「実業団とかインカレの成績とかが評価されたり」

京太郎「そんな形で、推薦とかを受けて四段になる人間もいる」

京太郎「プロになるのは、今まで説明したうちのどっちかだな」

マホ「……でも」

マホ「それだと、インターハイに出た方がお徳じゃないですか?」

マホ「コツコツ地道にやってたら、ギューンって追い抜かれちゃうのは悲しいです」

京太郎「……ま、そうとも言い切れないんだよ」

マホ「?」

京太郎「おいおい説明するよ」


京太郎「さて、プロになりました」

京太郎「で、どうするか判るか?」

マホ「えーっと、試合に出る……ですか?」

マホ「テレビで放映されてるやつです!」

京太郎「そうだな」

京太郎「じゃあ次に、リーグの説明」

京太郎「リーグは三種類ある。プロ、アマ込みで」

京太郎「ひとつはさっきも言った、【日本麻雀機構】が主催するリーグ」

京太郎「1部リーグと2部リーグがあって、試合成績でチームにも入れ替わりがある」

京太郎「プロサッカーみたいなもんだな」

マホ「ふむふむ、なるほど……」

マホ「京太郎先輩はサッカー大好きです……と」

京太郎「メモるのそこじゃねーだろ!」


京太郎「……ま、まあ」

京太郎「他にも、【国民麻雀連盟】の下の地域密着型の独立リーグ」

京太郎「アマだけど……【日本麻雀連盟】が総括する、社会人リーグってのもある。所謂、実業団って奴な」

京太郎「大体、試合……リーグ戦をするのはここらへんだな」

マホ「多すぎて、頭がこんがらがっちゃいます……」

京太郎「ま、一般的なプロ……全国ネットで放送されるのは、日本麻雀機構の奴だよ」

京太郎「一番、力があるしな」

マホ「はい」


京太郎「さて、麻雀プロがやることといったら――」

マホ「麻雀です!」

京太郎「そうだな。麻雀だな」


京太郎「まずは、さっき言ったような【リーグ戦】」

京太郎「次には【大会】……賞金がかかってるのがほとんどだな」

京太郎「中には、タイトルに繋がる大会なんかもある」

京太郎「あとは、団体が持ってる店で指導したりなんかだな」

マホ「京太郎先輩みたいに、テレビに出るのもありますよね!」

京太郎「……あ、ああ」

京太郎「うん……」


京太郎「で、段位はある程度の勝利数や成績で昇格するが……」

京太郎「タイトルは別だ」

京太郎「さっき言った、インターハイからプロになった人間が必ずしも有利じゃない――」

京太郎「その理由がここにある」

マホ「理由ですか?」

京太郎「ああ」

京太郎「タイトルによってレギュレーションは異なるが――」

京太郎「競技ルールを適用しているものが多い」

マホ「競技ルールですか?」

京太郎「ああ」


京太郎「競技ルールは、偶発役を役として見なしていない」

マホ「偶発役?」

京太郎「ああ。偶然役とも言うな」

京太郎「内訳は――」

京太郎「嶺上開花・槍槓・海底摸月 ・河底撈魚・一発・ダブル立直・天和 ・地和・裏ドラだな」

京太郎「これが、廃止されてる」

京太郎「他にも、なしなしとか……色々な」

マホ「た、大変です……」

京太郎「一回、大星と内輪で競技ルールの麻雀を打ってみたら、さめざめとないてたな」

マホ「……京太郎先輩、意地悪です」

京太郎「い、いや……違うんだ!」

京太郎「これには、海よりも深い事情があってだな……!」

京太郎「俺は別に何も、あいつに嫌がらせのつもりなんかなくてな……!」

マホ「……言い訳するとか、サイテーです」

京太郎「――」


京太郎(――)

京太郎(死のう)

京太郎(天に還るときが来たんだ)

京太郎(マホに嫌われた……死にたい)

京太郎(大星を殺して俺も死のう)

京太郎(玉川上水に入水しよう……ってこれ、俺は生き残るパターンだっけ?)

京太郎(ヤバイ鬱だ)


マホ「……せ、先輩?」

京太郎「……あ、はい」

京太郎「ゴミクズ以下というかゴミクズと比べるのもおこがましいレベルのゴミムシミンチ野郎です」

マホ「えっと……」

マホ「マホ、そんなに悪いこと言っちゃいましたか……?」

京太郎「……」

京太郎「信じて送り出した後輩が大学で天然ドSに調教されてた」

京太郎「キャンパスを更地にしてやるお前ら全員皆殺しだ八つ裂きだミンチだこのクソッタレのクズどもが」

京太郎「たとえ便所に逃げ込んでも必ず見付け出して息の根を止めてやるこの薄汚いゴキブリ野郎共」

マホ「えっと……」

マホ「竹井先輩に、こんな風に言ってみろって言われたんですけど……」

マホ「京太郎先輩がそんなに落ち込むぐらい酷いこと、マホ言っちゃいましたか……?」

京太郎「――」


京太郎「えっと、マホは俺のこと嫌いになってない?」

マホ「マホは京太郎先輩のこと、すっごく尊敬してて……大・大・大・大好きです!」

京太郎「……」

京太郎「俺も、お前のことが好きだ! 大好きだ!」

マホ「マホたち、そーしそーあいですね!」

京太郎「な!」


京太郎「で……話を戻すけど」

京太郎「これは、インハイのルール如何によっては」

京太郎「そのインハイのルールでは好成績でプロになれたけど……競技ルールのタイトルではまるでとれない」

京太郎「そういうこともある」

マホ「なるほど……」

京太郎「ってなると、運の要素が取り除かれるから――純粋に技量のウェイトが増す」

京太郎「その場合、日本麻雀協会で昔から技量を研いていた奴の方が有利だな」

マホ「なるほど……コツコツやった努力が、実を結ぶんですね!」

京太郎「……一応はな」


マホ「……ところで」

マホ「M.A.R.S.ランキングは、この場合どうなるんですか?」

マホ「先輩は、上位ランカーでしたよね?」

京太郎「ああ、M.A.R.S.ランキングか……」

京太郎「『日本プロ麻雀界における若手麻雀プロランキング』」

京太郎「……揶揄って、麻雀に於ける制圧力ランキングって言われるけどな」

マホ「今のだと、M.A.R.S.ランキングはどんな扱いなんですか?」

マホ「なんで、若手限定なんですか?」


京太郎「……ああ」

京太郎「M.A.R.S.ランキングの基準になってるレギュレーションは、運の要素が高い」

京太郎「さっきみたいな競技ルールでもなきゃ、赤ドラも入ってるしな」

京太郎「M.A.R.S.ランキングの評価基準は、また別にあるんだ」

マホ「別ですか?」

京太郎「……マホも知ってると思うけど、赤ドラありっつーと」

マホ「マホたちのインターハイがそうでした!」

京太郎「インカレとか、国麻もな」


京太郎「なんでこのランキングがあるかっつーと……若手限定かっつーと」

京太郎「一時変わってから、インターハイとかはこっちが主体になった」

京太郎「雀荘で打つのも、こういうのが多いし……」

京太郎「何より、何となく見てて楽しいんだよ。実際あの年からのインハイ中継の視聴率は上がった」

京太郎「運の要素が強いから……」

京太郎「最後まで、誰が勝つか判らないシーソーゲームになる」

京太郎「元々、将棋や囲碁や違って……巧さで全てが決まらない」

京太郎「そういうのが、麻雀の魅力であった訳だ」

マホ「先輩、昔マホに言ってましたよね!」

京太郎「ああ」


京太郎「麻雀競技者は結構な人口を占めてるけど、その中でどれだけの層が本気か」

京太郎「競技ルールだと、そのあたり闘牌がどうにも地味になりがちだ」

京太郎「実際、ほとんどの大会は競技ルールの導入をやめてるし……」

京太郎「世界大会とかオリンピックも、こっちのルールが強い」

京太郎「で、ガチ勢じゃなくてもやりやすい……手に届きやすい雀荘のルールに近い」

京太郎「ってなると、こういう派手な方が盛り上がるだろ?」

マホ「はいっ! ドキドキハラハラしますっ!」


京太郎「……んで、あるときのインハイルール」

京太郎「そいつをリーグとか段位に反映したのが……M.A.R.S.ランキングであり、ランカーだ」

京太郎「ただ、昔ながらの人たちはそれだと不利になっちまうから」

京太郎「若手限定って感じで、区分されてるんだよ」

京太郎「視聴者にも、自分たちに近いルールで『誰が強いか』が分かりやすいしな」

マホ「なるほど……ルールがちょっと違うんですね!」


京太郎「ああ、ルールが違う」

京太郎「……ただ、これだけは言っておく」

京太郎「M.A.R.S.ランキングで戦っている人間が、競技ルールが不得意とは限らないし――」

京太郎「競技ルール主体の人間が、M.A.R.S.ランキングで箸にも棒にもかからないなんてのはない」

京太郎「実際、大半のランカーは技術も磨いてるからさ……」

京太郎「競技ルールでも、十二分に強い」

京太郎「宮永照プロなんかは、どっちにしてもやること変わりないしな」


マホ「……でも、京太郎先輩なら競技ルールの方が強いんじゃないですか?」

マホ「話を聞くだけだと、マホはそう思います」

京太郎「そうとも言えねーよ」

京太郎「運の要素が強いってことは、確率が収斂しにくいってことだ」

京太郎「そうなると、普通にやっても勝てない相手にも……勝てる場合が増える」

京太郎「どっちにしてもまあ、レアケースには違いないけど」

京太郎「存在するなら、俺はそれがどれだけの確率の向こうでも――諦めない」

京太郎「能力って偏りがある方が、読みの材料も増えるしな」

マホ「先輩……」


京太郎「あとこいつは俺の持論だけどさ――」


京太郎「俺、あいつらの事が好きなんだよ」

京太郎「好きになっちまったんだよ」

京太郎「あいつらを、独りぼっちにしたくないんだ」

京太郎「持ってるものを含めて、あいつらが好きなんだ」


京太郎「だから――鳥の羽根をもいだり、虎を檻に入れて竹槍で突き殺すのは無しだ」

京太郎「そういうのは無しで、俺が、人間が、人間としてあいつらと戦って――倒す」

京太郎「世界中の誰がなんて言おうと、絶対なんてものはないって証明してやる」

京太郎「あいつらを放さない。絶対に一人にしない」

京太郎「だから俺は――オカルトスレイヤーなんだ」


マホ「……京太郎先輩」

京太郎「……ま」

京太郎「単純に、その方が楽しいっていうのがあるしな」


京太郎「……ま」

京太郎「正直、ランキングのルールのせいであいつらやりたい放題だし」

京太郎「ランキングルールのおかげで、ミンチ状態にされちまってて……なんつーか、ダサいし」

京太郎「カッコつけても……情けないんだけどな」

マホ「……そんなことないです」

京太郎「ん?」

マホ「マホにとって……」

マホ「マホにとって、先輩は……!」


マホ「先輩は――」

マホ「いつだって――――マホのヒーローです!」

智葉「……そっちか」









 ……ん?



智葉「……」

京太郎「……」

マホ「……」


 あれ……?

 アイエエエエエ!? ナンデ!? ヤクザナンデ!?


京太郎「……先輩」

智葉「人違いだ」

マホ「えっ、えっと」

京太郎「……辻垣内先輩」

智葉「……今の私はどこにでもいるアシダカグモだ」

マホ「えっと、えーっと……」

京太郎「オイコラ」

智葉「……誰に向かってそんな口を利いてるんだ? なあ?」

京太郎「……ごめんなさい」


京太郎「って、やっぱり辻垣内先輩じゃないっすか!」

智葉「そうとも言うな」

京太郎「そうとしか言わねえよ!」

智葉「……あ゛?」

京太郎「……ごめんなさい許して下さい」


京太郎「……いつからっすか?」

智葉「『はぁ……』あたりから」

京太郎「最初も最初じゃねーか! スタンバイはえーよ!」

智葉「……」

京太郎「……ごめんなさいちゃんと敬語使いますごめんなさい」


京太郎「盗み聞きなんて、趣味が悪いっすよ……」

智葉「面白そうだったからな」

京太郎「なんて時代だ!」

智葉「あとはまあ、お前が逢い引きでもしてるのか……と思って」

京太郎「あれ、もしかして先輩……俺に気があります?」

智葉「……そうだと言ったら?」

智葉「抱き寄せて、唇でも奪ってみるか? 私は構わないがな」

京太郎「……アイエエエ」

智葉「その手の冗談でからかうんなら、相手を選ぶんだな」

京太郎「……はい」


京太郎「……で、マジな話なんでっすか?」

智葉「いや、逢い引きかと思った」

京太郎「……は?」

智葉「私生活で見付かりにくいとは言っても、なんだかんだお前は目立つからな」

京太郎「イケメン的な意味で?」

智葉「他には、最初からつけられていたりもするかもしれない」

京太郎(スルーっすか)

智葉「うっかり写真でも撮られやしないかって、辺りを警戒してた」

智葉「可愛い後輩の恋路を邪魔する無粋な奴らは、私が沈めてやるから安心しろ」

京太郎「……先輩」

マホ「いいヤクザさんですか……?」


智葉「いやあ、それにしてもな」

京太郎「……なんすか」

智葉「『大好きだ』に『大・大・大・大好きです』」

智葉「『そーしそーあい』か……」

智葉「ふぅん」

智葉「『あいつらを好きなんだよ』『好きになっちまったんだよ』か……」

智葉「なるほどな」


京太郎(……あ)

京太郎(なんか悪い顔してる……)

京太郎(この人、以外にがっつり乗ってくる――――)


智葉「――やえの奴にも、しっかりと伝えておくから安心しろ」










京太郎「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!」




京太郎「やめろ! やめて下さい!」

京太郎「それを言ったら戦争だろうが!」

智葉「いや、でもなぁ……」

智葉「大星とは個人的に打ってるんだろ? お前の家で」

京太郎「いや、あいつの家――――って、あ……」

智葉「なるほど、なるほど」

智葉「なるほどな……それで『好きになっちまったんだよ』か」

智葉「なるほど」

智葉「好きになるようななにかをやった訳だな……なるほど、なるほど」


京太郎「いや、違……っ」

京太郎「ご、誤かっ……! 誤解っ……!」

京太郎「ノーカンっ……! 事故はノーカンっ……! 事故はキスじゃないっ……!」

智葉「それで、しかも……」

智葉「明らかに胸がある少女に、熱烈な愛の告白だろ?」

智葉「いやあ、これはやっぱりやえのことをからかっていた訳だよな」

智葉「友人として、伝えておかないとな」

智葉「悪い男に騙されて欲しくないからな」


京太郎「ち、違う……!」

京太郎「こいつはただの後輩で……それで……」

マホ「先輩、マホのこと嫌いなんですか……?」

マホ「マホ、先輩に捨てられちゃうんですか……?」

京太郎「い、いや……」

京太郎「マホは可愛い後輩だよ。嫌いになるわけないだろ?」

マホ「京太郎先輩……!」

智葉「ほうほう」


京太郎「……ぐっ」

京太郎「たとえ嘘だとしても、こいつを裏切ったりはしませんよ……!」

京太郎「俺の……!」

京太郎「俺の――大切な、大切な可愛い後輩なんだから」

マホ「……先輩っ」

マホ「流石は――」


マホ「――流石はマホのお兄ちゃんです! 京太郎お兄ちゃんです!」

京太郎「――へっ」

智葉「――えっ」


智葉「……」

京太郎「……」

智葉「…………」

京太郎「…………」

マホ「ま、マホ……悪いこと言っちゃいましたか?」

マホ「お兄ちゃん、マホのこと嫌いになりますか……?」

智葉「………………」

京太郎「………………」

智葉「……………………」

京太郎「……………………」


智葉「…………………………須賀」

京太郎「…………………………はい」

智葉「………………………………」

京太郎「……あの」

智葉「……………………………………避妊はしろな」




京太郎「……オレェ?」






京太郎「やめて! やえさんに連絡しないで!」

京太郎「やめて! やめて下さい! なんでもしますから!」

京太郎「やめてくれよぉ! そんな生暖かい目で見ないでくれ!」

京太郎「無言で距離とらないでくれよぉ!」










京太郎「誤解なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!」


  __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ 



【小走やえの好感度が上昇しました!】

【夢乃マホの好感度が上昇しました!】

【辻垣内智葉の好感度が上昇しました!】


  __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ 


※まとめ

プロについての設定

→全日本麻雀協会が段位を発行
→協会の行う検定に合格することで段位が与えられ、その後、勝利数などによって段位が変化
→三段まではプロ準士。四段からがプロ雀士になる
→違いとしてはアマチュアの大会への出場不可能
→逆にアマチュアはプロ限定の大会への出場が不可能

→飛び制度
→インターハイ・インターカレッジ・実業団などで好成績を修めることで、それに応じて段位が付与される(四段)
→日本麻雀機構リーグの各種プロ団体が行う「ドラフト」後に行われる
→話を受ければ四段スタート

→日本麻雀機構リーグは1部と2部がある
(→1部リーグの中にも更にメジャーとマイナーがある)
→地元密着型の独立リーグ「国民麻雀連盟」も存在
→「日本麻雀連盟」という、社会人麻雀を統括する機構もある
→段位だけ所持して、リーグに属さないプロも存在(大星淡)

→タイトルの内いくつかは競技ルール
→偶然役(嶺上開花・槍槓・海底摸月 ・河底撈魚・一発・ダブル立直・天和 ・地和・裏ドラ)の廃止
→リーグの試合や大会などは競技ルールでない

M.A.R.S.ランキング
→通常のそれとは別種のレギュレーションのランキング
→「麻雀に於ける制圧能力ランキング」と揶揄
→ルールが他とは異なり、リーグ戦や試合についても数がやや違う(だから割りとタレント業ができる)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年11月15日 13:24