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京太郎「……ふう」

京太郎(インハイの解説はまあ、大丈夫そうだな……あの人たちなら)

京太郎(それよりも、俺が気にするのはこっちだぜ)


 手元の紙面に目を落とす。よく調べてあると言う他ない。



 【3位 「赤き腕を持つ帝王」 荒川 憩


  技術と引きに由来する堅牢な防御力と、一定の打点を有する。

  これだけでも十分上位ランカーに通用するレベルであるが、

  更に恐ろしいのはその防御力を突破したその先だ。

  あたかも折れた骨がより太くなって再生するように、彼女の引きは更に強くなり、

  己の受けたに等しいほどの打点の攻撃を組み立て上げて、しばしば点棒状況を回復する和了を見せる。】


 【9位 「悪魔の天敵」 辻垣内 智葉


  他のランカーのように特異な打ち筋を持たないが、鉄火場の微細な感覚を察知し、

  その鋭敏な感覚を元に、他者を利用しつつ立ち回るスタイル。

  ある程度の打点を備えた速度のある攻撃を得意とするが、

  強烈な攻撃力や堅牢な防御力、特殊な牌の偏りを持つ相手には、若干劣勢となる。

  また、毎局全てその神憑り的な速度を発揮できないらしく、スタミナ的な意味での不安が残る。】



京太郎(……よく、調べてあるぜ)

京太郎(で、俺は――)



 【13位「オカルトスレイヤー」 須賀 京太郎


  基本的にオーソドックスなデジタル打ちではあるが、対戦者を研究し、

  アナログな技術をベースとした論理と分析、推察と駆け引きを以って立ち回るプレイスタイル。

  そんなスタイルが故に、牌の偏りを引き起こす相手とは、却って相性が良いらしい。

  しかしながら、不運というほどではないが上位ランカーと思えぬほどの引きの弱さがあり、

  引きと配牌などの状況によっては、時には何もできずに、無惨に叩き潰されることもある。    】



京太郎(……ま、合ってるよ。知ってるさ、んなのは)

京太郎(余計なお世話だっていいたいけど……悔しいくらい事実だしな)

京太郎(それでもまあ、諦めねーよ)

京太郎(折角できた、二人のちっちゃなファンのためにもな)


京太郎(さて……牌譜の確認も終わったけど、あんまり意味があるかはわからねー)

京太郎(基本的に、皆が皆……形には拘ってないからな)

京太郎(多彩な技を持つか、場に対応していくか……どっちかだ)

京太郎(敢えて言うなら、照さんも憩さんも面前傾向が強い)

京太郎(辻垣内先輩は……半々だな。鳴いたら手牌や進み状況を悟らせちまうが……)

京太郎(あの人は敢えてそれを見せ弾にも使うし、見せ弾と思わせて本気で和了もする)

京太郎(和みたいに、完全に回りを一切ケアしなくても勝てるタイプならそんなものには引っ掛からないが……)

京太郎(つってもさ……)

京太郎(そもそも、ケアをしない完全デジタルで生き残れるほど、この世界は甘くない)

京太郎(何千試合と打てば、やがてはデジタルじみた確率に収斂するのが、本来的な麻雀であるけど……)

京太郎(そんなものに収まらない、絶対的な牌の偏りがある)

京太郎(……絶対的ならそれは、ひとつの論理だ)

京太郎(確率と同じほど確かな論理が確率の枠に収まる訳がないよな)


 例えば、やろうと思えば毎局ダブリーが打てる。

 例えば、嶺上牌を知る。

 例えば、自分の和了を運命付ける。

 例えば、例えば、例えば――――。


京太郎(ただ、だからこそ……確率なんて不確かなものじゃないだけ)

京太郎(俺にも喰らいつく余地があるんだ)

京太郎(……っと)

京太郎(メールか。送信相手は――ハギヨシさん!?)

京太郎(やべっ、ハギヨシさんかぁ……ハギヨシだよなぁ……)

京太郎(なんかあったのか?)

京太郎(いや、普通に日常会話だったりも、するかも……)

京太郎(あの人も意外にお茶目だもんなぁ……)

京太郎(……そうだ)

京太郎(電、話、し、て、く、れ、て、も、大、歓、迎、で、す)

京太郎(っと)


京太郎(……)

京太郎(送ってから気付いたけど、これ電話せびってるみたいだよな)

京太郎(やっべ)

京太郎(あー、よく考えろよ、俺)

京太郎(ハギヨシさん、面倒な奴だとか思わないでくれたらいいけど……)

京太郎(……)

京太郎(……まだ、メール届いてないのか? 打ってんのか?)

京太郎(んー、どうなんだ)


ハギヨシ『――もしもし?』

京太郎「あ、はい! もしもし、ハギヨシさんっすか?」

ハギヨシ『私だ』

京太郎「お前だったのか」

ハギヨシ『暇をもて余した』

京太郎「神々の」

ハギヨシ『遊び』

京太郎「……って、なにやってるんスか!?」

ハギヨシ『おお、流石のノリツッコミ。本場の方は違いますね』

京太郎「せやろ? せやろ? いやー、ワイは生まれも育ちも大阪の堺やさかい……」

京太郎「……って、何を言わせるんですか!」

ハギヨシ『いや、ついつい面白くてやってしまいまして……』

ハギヨシ『そいでん、うちんことば嫌いにならんでね』

京太郎「そら、好きって……変なこと言わせんでよ! 嫌か言えんて、知っとーとね!」

ハギヨシ『知っとーとよ! うちも、須賀んこといっちゃん好きっちゃけんね!』


京太郎「……」

ハギヨシ『……』

京太郎「……俺ら、何してるんでしょうか」

ハギヨシ『……流石にやりすぎましたね』

京太郎「正直、大の男二人がやることじゃねーっすよ」

ハギヨシ『本場の人たちに聞かれたら、殺されそうですね』

京太郎「まあ、俺がハギヨシさんを守りますけど」

ハギヨシ『ふふ……では、私が京太郎くんを守りますね』

京太郎「ずっと、一緒ですよ?」

ハギヨシ『ええ』


京太郎「……」

ハギヨシ『……』

京太郎「……普通に気持ち悪いっすね」

ハギヨシ『流石に今のはなしですね。異性に言われるならともかく』

京太郎「ハギヨシさん、実は男装の麗人だったりしませんか?」

ハギヨシ『いえ。そういう京太郎くんも、本名は須賀京子であったりは?』

京太郎「いえ、残念ながら」


京太郎「……で、どうしてこんなやり取りを?」

京太郎「いや、別に特に意味はなくても大歓迎っすけど」

ハギヨシ『……いえ、その、野暮で失礼かと存じ上げますが』

ハギヨシ『透華お嬢様から、本日の対戦カードについて伺いまして……』

ハギヨシ『その、なんと言おうか……』

ハギヨシ『いわゆるひとつのエールとか、緊張を解して欲しいな……と』

京太郎「……」

ハギヨシ『いえ、あの、京太郎くんのことを疑っている訳ではないのですが……こう、なんとなくですね』

ハギヨシ『その……同性の友人というのが、今まで数限られていましたので……なんというか』

ハギヨシ『年甲斐にもなくはしゃぎ過ぎたというか……』


京太郎「……ハギヨシさん」

ハギヨシ『なんでしょうか……?』

京太郎「本当の本当に、男装の麗人だったりしませんかね?」

ハギヨシ『いえ。そのような事実は全くありませんね』

京太郎「残念だなぁ……」

ハギヨシ『それこそ、京太郎くんこそ……我々は歳が離れてるといっても、かけがえない友人です』

ハギヨシ『気軽に、実は須賀京子だったと打ち明けて頂いてもよろしいんですよ?』

京太郎「いえ。そんなオカルトはありえませんね」

ハギヨシ『スレイヤーされちゃいましたか』

京太郎「スレイヤーしちゃいましたね」


ハギヨシ『あと、国広さんから伝言です』

京太郎「お、一さん!」

京太郎「あの人、なんて言ってましたか?」



ハギヨシ『「格好いいところを見せたら……あとでボクが、波紋入りキスをしてあげるよ」』

ハギヨシ『「今なら脱ぎたてのパンティもあげちゃう!」』

ハギヨシ『「まあ、あんまり無理はし過ぎないでね。君でも難しいと思うから」』


ハギヨシ『だ、そうです』

京太郎「……」

京太郎「……いやまあ、冗談ですよね」

ハギヨシ『まあ、いつもの京太郎くんとのじゃれあいではないでしょうか』

ハギヨシ『文章にすると、あまりにアレですが』

京太郎「流石にアレですね」

ハギヨシ『ええ』

京太郎「……まあ、一さんって普通に可愛いですよね? おもちはないけど」

ハギヨシ『整っているとは思います。スタイルが今一つ残念ですが』

京太郎「……で。それで、こう……なんていうか、いつもよりちょっとアレな台詞が飛び出すじゃないですか」

ハギヨシ『飛び出しましたね』

京太郎「……ってなると、逆にフラグだと思えませんか?」

ハギヨシ『ああ、逆に』

京太郎「はい、逆に」


京太郎「で、仮に俺が……あくまで仮に格好いいところを見せるとしますよね」

ハギヨシ『はい』

京太郎「で、そちらに顔を出したら……なんて言われると思います?」

ハギヨシ『……そうですね』

ハギヨシ『「あれ、もしかして本気にしちゃった? らしくないなぁ、京太郎くん」』

ハギヨシ『「それとも、本気でキスしてあげよっか?」』

ハギヨシ『……的な感じですかね?』

京太郎「流石にデレ過ぎてる感じですけど、まあ多分そんな感じっすよね」

ハギヨシ『ええ』

京太郎「で、俺が仮にそこで……本気ですって肩を掴むとするじゃないですか」

ハギヨシ『はい、したとして……』

京太郎「あの人、どうすると思います?」

ハギヨシ『あー……国広さんが、そうなったらどうするか、ですか』

ハギヨシ『多分まず、若干頬を引き攣らせながらまだ余裕ぶろうとしてきたり……或いはからかってきますね』

京太郎「ああ、ありそう」

京太郎「そこで俺が押したら……どうなりますかね」

ハギヨシ『多分、「え? 本気?」とかの冷静な呆れか……。「ボ、ボクと君は、友達じゃ……」みたいに慌てるか』

ハギヨシ『そんなところじゃないでしょうか?』

京太郎「そうなりますよね」


ハギヨシ『……で、なんでこんな話を?』

京太郎「いや、パンティあげちゃうって言われて……そもそもあの人履いてるのかなとか」

京太郎「よく考えたら、あのファッションは本当に痴女痴女しくないか?――とか」

京太郎「あの人羞恥心とかあるのかな。それとも誘い受けなのかな……なんて思って」

ハギヨシ『ああ、なるほど』

ハギヨシ『流石に下の方の下着はつけていますよ。その程度の羞恥心はあるかと』

京太郎「ですよね」

ハギヨシ『ええ』

京太郎「……ハギヨシさん」

ハギヨシ『何でしょうか?』

京太郎「僕っ娘、いいですよね」

ハギヨシ『いい……僕っ娘、いいです』


京太郎「もしも、仮に……あくまでも仮にですよ?」

ハギヨシ『はい、仮にですね。あくまでも、仮に』

京太郎「一さんが、スカートの裾を押さえながら――」


京太郎「本当に、ボクで良かったの……?」


京太郎「なんて言ってきたら、どうしますか? ちょっと震えながら」

ハギヨシ『七孔憤血しますね。間違いなく』

京太郎「まあ、瞬間最大風速的にはおもちを上回りますよね?」

ハギヨシ『そこまで可愛かったら、もう、胸とかどうでもよくなりますね』

京太郎「ですね」

ハギヨシ『……いや、やっぱりアンバランスな肉体で僕っ娘が好きですね』

ハギヨシ『確かに、今のは今ので悶絶すると思いますけど』

京太郎「ズルいっすよ! 俺もそっちの方が好きです!」

ハギヨシ『でもそんなこと言って、国広さんの方が好きなんでしょう?』

京太郎「そ、それは……その……」

京太郎「いや、一さんは一緒にいて楽しいっつーか……悪友的な何かっていうか……」

ハギヨシ『ふふっ』

京太郎「……なんすか?」

ハギヨシ『いや、おもちだ何だって言っても、京太郎くんは結局はその辺りを重要視しない人だなー……と』

京太郎「……本当はもっと縁が欲しいんですけどね」

ハギヨシ『同感ですね』


京太郎「ありがとうございます。だいぶ、リラックスできました」

ハギヨシ『それは何よりです』

京太郎「じゃあ、また」

ハギヨシ『ええ。たまにで良いので、こちらにも顔を出していただけたら幸いです』

京太郎「了解っす!」

ハギヨシ『では……』


京太郎「……やっぱりハギヨシさんは最高だな」

京太郎「あー」

京太郎「陽介たち元気にしてっかな」

京太郎「また、どっかであいつらと飲みでもしたいところだけど……っと」


 ノックの音に、体を起こして眼鏡を外す。

 ある程度の遮光機能がついた代物で、気休め程度に使用していた。

 今のままの打ち方では、そうプロとしての寿命は長くないだろう。

 眼球を最大まで利用するこの打ち方では、シニアになっても続けるのは殆ど困難と思われた。

 だから、少しでも寿命を伸ばすケアを怠ってはいないのだ。


京太郎「どうぞー」

菫「失礼するぞ」

京太郎「あ、弘世先輩!」

菫「いいから、座ってろ。……これは差し入れだ」

京太郎「ありがとうっす!」

京太郎「あ、お茶いれましょうか?」

菫「いや、これはお前への差し入れだからな……」

京太郎「そんなこと言わずに、一緒に食べませんか? 二人で食べた方がおいしいですよ」

菫「そ、そう――、いや……でもな」

京太郎「ちょっとぐらい、ゆっくり話したいかなーって」

菫「……。……まあ、そこまで言うなら仕方ないな」

菫(……後で踏み台昇降の時間を増やせばいいか)

京太郎「じゃあ、用意しますねー」


菫「……」

京太郎「……」

菫「……」

京太郎「……」

菫「……ん、旨いな」

京太郎「この、卵の黄身って感じが実にいいですね」

菫「中の餡もさっぱりしていて、小豆っぽさを感じさせないな」

京太郎「丁寧に濾してありますね、こりゃあ」

菫「作り手の然り気無い気遣いが感じられるな……そうそう、こういうのでいいんだよ」

京太郎「水っぽさがないのに瑞々しくて、でも薄くはなくて……それでいてしつこすぎない」

菫「本当に丁寧な作りなんだな。ああ、こういう押し付けがましくないのがいい」

京太郎「やっぱり、ひとつの料理は料理ですから」

菫「店で食うなら、また違うんだけどな」

京太郎「あ、注ぎます」

菫「悪いな」

京太郎「……」

菫「……」

京太郎「もうひとつは黄身餡のお菓子ですか」

菫「好きなんだよな、黄身が」

菫「ただ……黄身と黄身が被ってしまったな、これは」

京太郎「ガワが黄身なのと、餡が黄身なのとは別物じゃないですかね」

菫「そうか? それならいいが……」

京太郎「まあ、どっちも美味しそうなんでありがたいっすよ」

菫「ん」


菫「……」

京太郎「……」

菫「……そういうお前は、お茶が残ってるな」

京太郎「ああ、猫舌なんですよ」

菫「……そうか。なんなら、ふーふーしてやってもいいが……?」

京太郎「弘世先輩みたいな美人さんにされたら、今度は顔が熱くなっちゃいますよ」

菫「……ん、あ、ああ。そ、そうか」

京太郎「はい。……つーかそれ、流行ってんスか?」

菫「……相手にふーふーする、って奴がか?」

京太郎「はい。この間……大星の奴にも、んな風にからかわれたんスよね」

菫「ほう」


京太郎「本当、あいつってこっちにちょっかいだしてくるんですよね」

京太郎「それでいて……なんか、微妙に邪険にされてるというか」

菫「そうか?」

菫「アイツはまあ、照以外にはそういうところがあるからな」

菫「というか、あのときの――淡が入った年の心的疲労は凄まじかったな」

菫「片方はぬぼーっとしてるし、もう片方は慇懃無礼であり子供っぽいし」

京太郎「……ああ。お察しします」

菫「すまないな。なんか、押し付ける形になってしまって……」

京太郎「いや、別に構わないっすよ。俺もそういうの、嫌いじゃないですから」

菫「そう言ってくれると、本当に有り難いよ」

菫「……」


菫「……」

菫「……そ、そのだな」

京太郎「はい?」

菫「その……実は照や淡と交際しているとか、そういうのはないよな?」

京太郎「俺が……ですか?」

菫「お前以外に、誰がいるんだ」

京太郎「いやー、どうだろ。ないんじゃないですかね。つーか、ありませんよ」

菫「……そ、そうか。なら良かった」

京太郎「照さんは……まあ、ちょっとこっちに頼ってきてくれてますけど、そういうのじゃありませんでしょうし」

京太郎「大星については、言わずもがなですね」

京太郎「多分、俺と付き合うなんてことになったらアイツ……ショックで入水するんじゃないですか?」

菫「……そこまでか?」

京太郎「多少は話してくれるようになったし、打ち解けましたけど……まだ目の敵みたいな扱いされてますからね」

菫「……そうか」

菫「ハブられてなかったか」

京太郎「?」


京太郎「……あ」

菫「どうした?」

菫「あと、この梅昆布茶旨いな」

京太郎「あざっす」

京太郎「俺も、糖分補給用に和菓子買ってきたんですよね」

菫「そうか……!」

菫「い、いや……これ以上はよくない。よくないぞ」

菫「そうだな。対局の合間に食べるので、丁度いいんじゃないか? それがいい」

京太郎「そっすか……じゃあ、ごま蜜団子は後でにします」

菫「……。『ごま蜜団子』ぉ?」

京太郎「はい、ごま蜜団子です」

菫「……あの、ごま蜜団子か?」

京太郎「あの、ごま蜜団子です」


菫「……」

菫「食べよう、是非」

京太郎「えっ」

京太郎「いや、でも……」

菫「食べよう。是非」

京太郎「あの……」

菫「……」

京太郎(や、やると言ったらやる『スゴ味』がある……ッ)

菫「なあ、折角だし……いいんじゃあないか?」

菫「『今』、『ここで』……いいんじゃあないか? 食べても」

京太郎「アッハイ」


京太郎「いいですか?」

京太郎「奥歯で噛むんですよ? 奥歯で」

菫「ああ」


 『グッチュウンンン――――z____ッ!』。

 『ボド』『ボド』『ボド』。

 そんな音を立てながら、勢いよくごま蜜が吹き出して壁にかかった。


京太郎「うぉぉぉぉおっ!?」

菫「何だこれ!? ンマイなぁぁぁぁぁあ――――ッ」

京太郎「だから奥歯って言ったじゃないですかー!」

菫「もうひとつ……」


 『グッチュゥゥウ――――――z_____ッ』。

 『ビチャ』『ビチャ』『ビチャ』。


京太郎「うわぁぁあ!? だから、ほら、奥歯で噛むんすよ! 奥歯で!」

菫「何だこれはぁぁあ――――ッ!? ンマイなぁぁあああッ!」

京太郎「……」

菫「……」


菫「……」

京太郎「……」

菫「なあ、須賀」

京太郎「はい」

菫「やるの、よく考えたら男女逆じゃないか?」

京太郎「はい」

菫「これじゃあまるで、私が残念な人みたいじゃあないか」

菫「なあ」

京太郎「はい」


京太郎「……」

菫「……」

菫「いやな、確かにやりたくなるんだよ。ごま蜜団子なんだからさ」

京太郎「なりたくなりますよね」

菫「ああ、なるんだよ。なってしまうんだ」

菫「……」

菫「……それはいいとして、だな。それはいいとして、だ」

菫「私だって、女なんだよ」

京太郎「はい」

菫「……お前今、『PAD入りだけどな』とか思ったか?」

京太郎「は……いいえっす」

菫「ん?」

京太郎「いいえっす」

菫「……そうか。なら、いいんだがな……いいんだが」

菫「ちょっとはさ、止めてくれても良かったんじゃあないか?」

菫「然り気無く……それとなく……」

菫「止めてくれても、良かったんじゃあないのか?」

京太郎「はい」

菫「あと……よく考えたら、だな」

菫「これって……凄くごま蜜が勿体ない気がするんだよ。物凄く」

菫「作ってくれた和菓子屋さんに、申し訳なく思う」

京太郎「はい」


菫「……」

菫「……普通に食べようか」

京太郎「はい」

京太郎「あ、ちょっとすみません」

菫「ああ、気にするな」


京太郎(『今、ごま蜜団子食べてます』……っと)

京太郎(……お。早いな)

京太郎(『なにやってるの、君』)

京太郎(……確かに)

京太郎(『こっちはさ、勝てるかなって応援してて仕事が手につかないんだよ』)

京太郎(……これは間違いなくサボりの口実だな)

京太郎(『罰として、今度ボクに買ってくるように』)

京太郎(食べたいんだろうな、一さんも)


菫「メールか?」

京太郎「はい。その人もジョジョが好きな人なんで」

菫「ふうん」

菫「男? 女? 何部が好きだって?」

京太郎「女性ですね。2部が好きな人です」

菫「2部か……いいよな、2部」

京太郎「俺も、2部大好きですね。主人公が格好いいですし」

菫「トリックとか読み合いとか、いよいよジョジョらしいもんな。2部は」

京太郎「はい」

菫「まあ、1部のあの街の……ほら、あれ」

京太郎「ウインドナイツ・ロット」

菫「ウインドナイツ・ロットの、DIO戦の炎のくだりもそれっぽいけどさ」

京太郎「はい」


京太郎「……ちなみに」

菫「なんだ?」

京太郎「俺、リアルで『次にお前は○○と言う』と『まーたまたやらせていただきましたァン!』を」

京太郎「言いましたよ? それも、実にピッタリな場面で」

菫「本当か?」

京太郎「本当です。へっへっへっへっへっ」

菫「くそう」

菫「ズルいな、お前。ズルいぞ」

京太郎「へっへっへっへっへっ」

菫「今、初めてお前のことが嫌いになりそうだよ」

京太郎「……マジっすか?」

菫「ああ、マジな話」


菫「ちなみに私は4部が好きだ」

京太郎「いいっすね、4部。仗助は正にジョセフの息子的で、いい」

菫「ちなみに……照が7部。淡が6部。誠子が3部で、尭深が2部だったな」

京太郎「白糸台、驚きのジョジョ率っすね」

菫「照に貸したら、そっから波及したんだよ。良くも悪くも影響力あるからな、あいつ」

京太郎「やっべえ……実にグレートっすよ、こいつぁ」

京太郎「今ので、全員付き合いたいレベルに至りましたね」

菫「ジョジョだしな」

京太郎「ジョジョなんで」


菫「須賀は、何部が好きなんだ?」

京太郎「ふふ、甘いですね……弘世先輩」

京太郎「どんな部だろうと、ジョジョにはそれぞれその個性にあった適材適所の面白さがある……」

京太郎「1部には1部の……7部には7部の……。それがジョジョを楽しむという事だ」

京太郎「部の好みも同様……好き嫌いの概念は――痛っ」

京太郎「なにするんですか!」

菫「淡も似たようなこと……というか、丸っきりおんなじことを言っていたのを思い出した」

京太郎「……マジすか?」

菫「ああ」

京太郎「あいつと同じ思考って……軽く凹みます」


菫「まあ、いいや」

菫「雑談はこれぐらいにしておくか……影響が出ても困るからな」

京太郎「ちなみに俺の各部のベストバウトは……」

京太郎「『ジョナサンVSディオ』、『シーザーVSワムウ』、『イギーVSペットショップ』、『川尻早人VS吉良吉影』」

京太郎「『ブチャラティVSプロシュート&ペッシ』、『徐倫VSフー・ファイターズ』、『ジョニィ&ジャイロVS大統領』ですね」

菫「だから、雑談はいいって言っているだろう」

京太郎「はい」

菫「話すとな、終わらないんだよ。ジョジョの話は」

京太郎「はい」

菫「本当は三日三晩語り明かしたいところだけどな」

京太郎「はい」


菫「……野暮だと思うし、筋違いだと思う」

菫「きっとお前にとっちゃ判っていることだろうし、こういう風に言われるのも心外だと思うだろう」

菫「でも、お節介でも……チームメイトとして、お前の師匠として言わせて貰う」

京太郎「……はい」

菫「辻垣内智葉は、大学時代の私のコンビ相手だった。丁度、今のお前とやえのように」

菫「特に打合せなどせずとも、アイツは私の弾に合わせてきていた」

菫「生半可な――狙撃が通用すると、思うな」

京太郎「了解っす。肝に命じます」

菫「……ああ。それじゃあな」


菫「須賀」

京太郎「はい」

菫「――差し入れ分の活躍、見せてくれよ」

京太郎「はい!」




尭深「ひくちっ……まもの」

尭深(だれか、噂しているのかな……)

尭深(噂……噂……噂……)


尭深(須賀プロと同卓してからどうにもその様子が気になって仕方がないセーラは然り気無く)

尭深(須賀プロについての情報を然り気無く集めようとするんだけどそうあくまでも然り気無く)

尭深(だけど実はあんまり然り気無くなくて、自分のことを調べていると須賀プロにも伝わってしまう)

尭深(セーラの不可解な行動に須賀プロは、自分の対策をするつもりなのかと警戒をし始めるんだけど)

尭深(警戒をしているということはつまり意識しているということで京太郎くんもセーラのことで頭が一杯になっていく)

尭深(そのときにセーラは須賀プロと懇意にしている男性つまりヨシさん(仮)の噂を聞いてしまい)

尭深(ただの友人以上の関係に見える二人に対し、軽い嫌悪感というか今までの常識を壊される感覚を抱いてしまう)

尭深(セーラの常識では、恋愛というのは異性間のものでしかなく、まさか自分と同性で麻雀プロの須賀プロが)

尭深(そんな社会的に外れた恋愛感覚を持っていることに驚きが隠せず、どこか避ける形になってしまいつつも)

尭深(それでも心のどこかでは高鳴りを感じてしまっていたそんなある日セーラは京太郎の噂を聞いているところを本人に見つかって)

尭深(自分を避けつつも噂を集めると言うセーラの態度に不審なものを感じた京太郎は)

尭深(セーラの腕を掴み上げて、何故自分についてこそこそと探っていたのかと語気強く問いかけるんだけど)

尭深(そんな京太郎の様子に咄嗟にセーラは「こ、ここでは犯さんといて!」と懇願してしまい)

尭深(彼を性的に意識していること、さらには場所さえ違えば犯されても構わないという)

尭深(自分自身のうちに眠っていたこれまでの道徳や常識と異なる価値観を自覚してしまうんだけど)

尭深(一方の京太郎はヨシさん(仮)への片想い中で、実は結ばれておらず、自分の恋愛感に苦悩していて)

尭深(自分を調べていたのはそういうことだったのか、何故バレてしまったと戸惑いと絶望感とやり場のない怒りを抱く)


照「ただいま」

尭深「あ……おかえりなさい」

照「お菓子買ってきたよ」

尭深「あ、お茶入れます……」


照「……これは?」

尭深「あ、淡ちゃんが持ってきました。『テルとたかみ先輩と食べようと思ってー』って」

照「そう」

照「……」

照「……」

尭深(そわそわしてるなぁ……)

尭深(淡ちゃん、美味しそうなお菓子買ってきたもんね)

照「……」

照「……尭深」

照「淡は……?」

尭深「あ、はい」


尭深「あの、さっきまでは待ってたん……ですけど」

尭深「残念だけど、このあと用事があるらしくて……」

尭深「『お菓子は二人で食べてください』って、行っちゃいました」

照「……そう」

照「そういうことは、もっと早く言おうよ」

尭深「……あ、ご、ごめんなさい」

照「別に攻めてる訳じゃないけど……一応ね」

尭深「はい……」


尭深「それにしても、珍しいですね……」

照「何が?」

尭深「淡ちゃん、です」

照「……ああ」

照「でも、あれでいて先輩には気を使っているから……美味しそうなお菓子を私たちだけで食べるくらいは……」

尭深「……いえ、あの、そっちじゃなくて」

照「……」

照「……用事の方?」

尭深「はい……」

尭深「いつもは、試合の直前まで……『テル、テル! テルー!』って、待機室で一緒にいるのに」

尭深「先に……というか、途中で居なくなるなんて……」

照「……」

照「……淡にも、淡の用事があったんじゃないかな」

尭深「はい……」

尭深「だけど……淡ちゃんがいないと、静かですね」

照「……確かに」

照「ただ……」

尭深「“ただ”……?」

照「これはこれで、またお茶がおいしい」

尭深「……ふふっ」


京太郎「よし、そろそろか……」

京太郎(ここまででできることはやったし、あとは実際に打つしかねーな)

京太郎(全員が格上で、技術を磨いた人たち……手牌を読みきれないことの方が多い)

京太郎(皆が皆、ポーカーフェイスっつーのは辛いもんがあるな)

京太郎(生半可なら寧ろ――――って言いたいが、上位ランカーは伊達じゃない)

京太郎(俺の技術が……俺の力が……どこまで、通用するもんか)

京太郎(せめて、ミンチにはならないようにしたいが……どうかね)

京太郎「……ま、行きますか」


 深呼吸をひとつ、牌譜を金庫に入れて施錠。

 他人に見られても困らない――奪われても、それだけでは“ただの牌譜”としてしか使えない。

 須賀京太郎が使うからそれは、“ただの牌譜”以上の意味を持つ。

 多少なりとも、己の“特性(のうりょく)”と組み合わせて――相手の胸元に、電撃のような一撃を加えるため。

 それは、ある。


 軽く、体をリラックスさせるストレッチを。首の筋を伸ばして、余計な撓みを散らす。

 とにかく、フィジカルのコンディションも、思考には影響を及ぼす。

 0.0000001%程度だとしても、不安要因は取り除いておきたかった。

 そして、ドアを開けて――。


淡「……あ」

京太郎「……ん?」


京太郎「……なんで、お前が居るんだよ」

淡「別に……私がどこに居たっていいじゃん」

京太郎「そうだな」

京太郎「……空き巣か?」

淡「……っ!」

淡「するわけない! そんなこと!」

京太郎「うおっ!?」

京太郎「な、なんだよ……ちょっとした冗談だろ? なんで、そんなにムキになってんだよ……」

淡「……普通に、失礼だった」

京太郎「あ、ああ……」

京太郎(なんだこの……手負いの野性動物みたいに緊張してんのは)

京太郎(なーんか、様子がちげーっつうか……最初の頃みたいになってるっていうかさ)

京太郎(なんだ……?)


淡「……ね、これからテルたちと戦うんでしょ?」

京太郎「ああ」

淡「須賀も、運が悪いよね。テルと戦うなんてさー」

淡「あんたじゃ、勝てる訳がないじゃん。あの蜘蛛と蟹もいるし」

京太郎「……」

○京太郎「……それを言いに、わざわざ? ここに来たのか?」

淡「別に、ここに通りがかったのは偶々だよ。偶々」

淡「テルの応援しにきてさー」

京太郎「……そうかよ」

京太郎「じゃあ、さっさと照さんとこに――」


淡「――でもさ」

京太郎「あん?」

淡「なんでなんだろ。なんか、変なんだけどさ……」

京太郎「……なんだよ」

淡「いつもみたいに……テルの応援に、力が入らないーっていうか」

京太郎「はぁ……?」


京太郎「……んなの、俺が知るかよ」

京太郎「関係ねーだろ、俺にはさ」

淡「……う、ん」

淡「……」

京太郎「……はぁ」

京太郎「顔見知りの縁ってことでさ、お前の相談にも乗ってやりたいけどな?」

京太郎「……ま、悪いけど試合前だからさ。俺も気構えてて、気が立ってんだよ」

京太郎「だから、そういう話は余所で……例えば弘世先輩にしてくれ」

京太郎「あの人が頼りになるってさ、お前も知ってるだろ?」

淡「……う、ん」


淡「……」

淡「……」

淡「……」


淡「……ね、須賀」

京太郎「ん、なんだよ?」

淡「――負けんな」

京太郎「は?」

淡「自分でも馬鹿なこと言っちゃってるーって思うし、あんたにそんなことができないーって思ってるんだけど」

淡「それでも、負けんな」

京太郎「は……?」

京太郎「お前が、俺の応援……?」

淡「うっさい。なんか、悪い?」

京太郎「いや、なんていうかさ……予想外すぎて、混乱してる」

淡「それ、私も」


淡「あんたがテルに勝てる訳ないって思うしー」

淡「テル以外がトップになるのも嫌だーって思うけどさ」

淡「……その」

淡「あんたが、ぼろぼろのずんどこのどん底になってるのを見ても……なんかもやもやして、やだ」

京太郎「やだ、って」

淡「やなもんは、嫌なんだから仕方ないじゃん」

淡「自分でもさ……なんだか判らないんだよね、これ」

京太郎「あー」

京太郎「……よくある、『お前を倒すのは俺だ!』的な?」


淡(そうかも)

淡(んー、でも……んむむむむ)

淡(そうなのかな……?)

淡(んむむむむむむむむむ……)

淡(……うゆ)

淡(それで、いっか)

淡(須賀の前に居ると、なんか……落ち着かない感じがするし、苦しくなるから)

淡(それで別にいいよね)


京太郎「で、結局はなんなんだ?」

淡「たぶんそれ。それで、別にいーよ」

京太郎「別にって……」

淡「他に思い付かないんだから、それでいいじゃん」

淡「須賀は、私から奪ってったし……私で腹上死させるーって決めてるし」

京太郎「ぶっ!?」

淡「勝つのは、テルに決まってるけどー」

淡「あんたは、負けんな。私以外に、負けないでよ。私が、あんたを倒すの」

京太郎「へいへい」

淡「須賀」

京太郎「んだよ……」

淡「こっち、見ろ」



京太郎「な……、――うおっ!?」


 頬の両側を、大星淡の手が沿った。

 夏だと言うのにひんやりとした指先と、おおよそ鼻先に近づいた淡の碧眼。

 思わず声を上げかけて、頭が後ろに跳ね上がりそうになった。

 だが、それよりも先に淡の手のひらは後頭部へと回り込んだ。そのまま、固定。

 強制的に頭を下へと向けられ、そこには大写しとなった上目遣いの大星淡。

 不意に、心臓が跳ねるのも無理はない。


京太郎「ちょ、お、おい……! 大星……っ!」

淡「んー、腑抜けてもなければ怯えてもない」

淡「変に悩んでもない……のかな」

淡「これなら、ひょっとしたら……ひょっとするかも?」

京太郎「ば、おい、離せ……!」


京太郎(あ、相手が大星だとしても……クソっ、は、恥ずかしい)

京太郎(というか、こいつ、こうしてると可愛いっていうか……あの胸の柔らかさ思い出すっていうか……)

京太郎(や、やべえ……)

京太郎(化粧しないっつってたから、精々リップクリームぐらいだよな?)

京太郎(なのになんか、ふっくらしてるっていうかやけに目立つっていうか目が行っちまうっていうか――)

京太郎(やばい。こいつ、実は相当可愛いんじゃ……)

京太郎(いや、違う、気の迷いだよなそうだよ可愛いクソっなんなんだ俺は混乱してるのか)


淡(あれ、よく考えたら私相当恥ずかしいことしてるよねー、これさ)

淡(こいつ、よく見たら改めて格好いいし……あのとき私助けてくれたの思い出すし、なんかあのとき変な気持ちになっちゃったし)

淡(ま、不味いよ……不味いよ、テルー)

淡(こいつの肌すべすべだけど目付きとか男らしいし)

淡(なのになんか、冷静っぽいっていうかクール系な顔つきしてるし唇色っぽいし、あ、ベロえっちいし)

淡(やばい。ばか。恥ずかしがらないでよ)

淡(私まで、なんか……恥ずかしくて、へんな気持ちになっちゃうってのにぃ)

淡(……なんか、元気づけっていうか、幸運のちゅーとかしちゃったり……)

淡(だめ。だめ。だめ。あいて、須賀だもん。須賀のばかだから、そんなのなし)

淡(でもなんか、頭ぼーっとして……胸、うるさくて……顔、熱っぽくて……その)

淡(須賀なんて大っ嫌いだけど悪い奴じゃないし、きょーたろーのこと好きになるためにも……)

淡(いいよ……ね?)





 ――――ブッチュゥゥゥウッ。




淡「んもが!?」

淡「あ、美味し……って」

京太郎「……」

淡「なにやってんの、あんた」

京太郎「……持っててよかった、ごま蜜団子」


京太郎(開きかけた口に、ごま蜜団子を詰め込ませて貰った)

京太郎(咄嗟だったから……奥の方まで一杯に、ちゃんと挿入できなかった)

京太郎(だから……蛸墨食らったみてーになった)

京太郎(シャツにかかってないから、まあ、良しとしよう)

京太郎(……しちまって、いいんだろうか?)


淡「顔、凄いことになってるけど……大丈夫?」

京太郎「目には入ってないし、ごま蜜だからな。問題ねーよ」

京太郎「あとは……さっき、勿体ないっつったばっかりだし、ちゃんと蜜を食べれば……」

淡「ふーん」

淡「なら、大丈夫か――って」

淡「………………ん?」


淡「……」

淡「その蜜、私から出た奴だよね」

京太郎「お前の蜜だな」

京太郎「咄嗟で、手前に入れるしかかなったから……まあ吹くわな。こういう食い物だし」

淡「そっかそっか」

淡「さっき私が食べた、あの美味しいお団子の……」

淡「穴から出た蜜なんだよね?」

京太郎「ああ」

淡「で、須賀がそれを食べて処理するって――」


菫(おっと、私としたことが……もうひとつ須賀に土産を買っていたのを忘れてた)

菫(まだ、控え室にいるのか?)

菫(まあ、居ないなら置いておけば――)


淡「動かないでよ! もう、舐められないから!」

京太郎「やめろ、バカ、落ち着け!」

淡「だって私の蜜、あんたに吸われるのとか……恥ずかしいでしょ!」

京太郎「お前がやろうとしてることの方がよっぽど恥ずかしいからな! おい!」

淡「うるさい! 私の初めてとったのに! 腹上死させてやる! だから動くな!」

京太郎「おい、バカ、やめろ! おい、飛び付くな! 足絡めるな!」


菫(……)

菫(ああ、きっと見間違いだな。そうに違いない)

菫(これから対局に向かう筈の後輩が、別の後輩と交配しようとしているなんて何かの間違いだ)

菫(酒でも飲んで、忘れよう。それがいい)

菫(それがいいに決まってる。ああ)


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【ハギヨシの好感度が上昇しました!】

弘世菫の好感度が上昇しました!】

国広一の好感度が上昇しました!】

宮永照の好感度が上昇しました!】

渋谷尭深の好感度が上昇しました!】

【大星淡の好感度が上昇しました!】

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最終更新:2013年11月29日 20:46