【執事と痴女とステルス兵器】
一「や、京太郎くん」
京太郎「あ、一さん」
一「見てたよ、さっきの」
一「いやー、あんな実力を隠してたなんてひどいなぁ」
一「もっと早く出しててくれたら、ボクもテレビの前でハラハラしないで済むんだけどな」
京太郎「あんまりいじめんで下さいよ」
京太郎「弱いんですよ、人間は……」
一「あはは」
一「最近どう? ちゃんと食べてる?」
一「前みたいに、大学の先輩の介護に終われてない?」
京太郎「はは、流石に昔ほどじゃなくなりましたよ」
京太郎「おかげさまで、一応の食い扶持は稼がせてもらってます」
一「上位ランカーでトッププロだもんねー」
一「あーあ、ボクも養って貰おうかなー」
京太郎「いいっすねー。メイドさん大歓迎っすよ?」
京太郎「家、あんまり広くないっすけど」
一「おっ、ヘッドハンティング? 見る目あるなー」
一「でも、豪邸じゃないとやる気でないかなー」
京太郎「そいつは残念っす」
一「ま、京太郎くんがもっとビッグになったら考えてあげてもいいかな?」
京太郎「なら、精進します」
一「あはは。期待しないで待ってるよ」
京太郎「一人ですか?」
一「ううん。一人じゃないよ」
一「ともきーと純くんは予定が合わなかったからこれないけど……」
ハギヨシ「はい、ここに」
京太郎「……相変わらず、神出鬼没っすね」
ハギヨシ「執事のたしなみですので」
「……」
「……」
「……」
「ちょっと男子ー、何急に黙ってるのよー」
「執事さん……初めて見た」
「やっぱ、師匠ってすげー」
京太郎「……にしても」
京太郎「一さん、格好相変わらずっすね」
京太郎「俺は慣れましたけど、やっぱいい年した女性がする格好じゃないっすよ」
一「えー」
一「そんなに変かな?」
京太郎「変ですって。ランキング1・2位を争うぐらいにヤバイっす」
一「いいじゃん、スタイル大して変わってないんだから」
一「……自分で言ってて悲しくなるけど」
京太郎「……あー、すみません」
京太郎「でも、一さんが魅力的な人って……俺は知ってますよ」
一「あはは」
一「……本気にするよ?」
京太郎「どうぞ。流石に、お世辞で言えるほど器用じゃないっすから」
一「よく言うよ。麻雀プロ1器用な男がさ」
一「ま、そんなこと言って服を着替えさせようとしても着替えないけどねー」
一「暑いし」
京太郎「ですよねー」
京太郎「……はぁ」
京太郎「ハギヨシさん、なんか言ってくださいよ」
ハギヨシ「……私にもできないことぐらい、あります」
京太郎「本音は?」
ハギヨシ「役得」
京太郎「……ハギヨシさん」
一「京太郎くん、やっぱりボク……着替えるよ」
ハギヨシ「まあ、あくまで冗談ですが」
ハギヨシ「正直慣れてしまって、今更どうも思わなくなってしまったのが本音です」
京太郎「ああ、そういう」
「……な、なぁ」
「な、なんだよ……?」
「須賀プロ、すごい人と知り合いなんだな」
「す、すごいな……」
「チラチラ見るなよ。エロ男ー」
「お前、ああいうのが好きなのかよー」
「ばっ、ちげーよ! お前らだって見てるだろー!」
「ちょっと男子ー、何こそこそ喋ってるのよー!」
「あの人、須賀プロの彼女なのかな……」
一「そういえば、ボクの教えたマジックまだやってるんだね」
一「前より、全然上手くなってたよ」
京太郎「本当ですか? そういって貰えるとうれしいなー」
一「本当、本当」
一「まさかテレビドラマで、自分が教えたマジックを披露されるなんて思ってなかったし」
京太郎「あー、あれ」
京太郎「台本になかったんですけどやってみたら好評で、スタッフも驚いてました」
一「えっ」
一「ってことは、あそこらへんの台詞は全部アドリブ?」
京太郎「そうですね」
京太郎「相手役の人が驚いたのも、本気ですよ」
一「へー、それは驚いたなぁ」
京太郎「そうっすか?」
京太郎「結構、アドリブが採用されて好評って話はあると思いますけど」
一「いや、そっちじゃなく……」
ハギヨシ「『もしかして……上位ランクの超能力者なの?』」
ハギヨシ「『いや……違います。俺は、魔法使いです』」
ハギヨシ「『何それ……?』」
ハギヨシ「『魔法使いです。笑顔の魔法の』」
ハギヨシ「『えっ』」
ハギヨシ「『ほら、見ててください』」
ハギヨシ「『……すごい』」
ハギヨシ「『あなたの涙を止める魔法を使いました』」
ハギヨシ「『ね?』」
ハギヨシ「『……ありがとう。ちょっとは、気が晴れた』」
ハギヨシ「このシーンですね」
一「そうそう、それそれ」
京太郎「……なんで暗記してるんですか、セリフ」
京太郎「しかもちょっと似てたし」
ハギヨシ「執事ですので」
ハギヨシ「まあ、衣さまがオカルトスレイヤーを毎週視聴して、BDも持っているから」
ハギヨシ「覚えてしまいましたよ」
京太郎「……なるほど」
一「いやー、気障ったらしいなー。流石京太郎くん」
京太郎「やめてくれませんか、俺のことをナンパ野郎みたいに言うのは」
一「違うの?」
京太郎「違う! ……と、思いたいです」
京太郎「それにしても、懐かしいなー」
京太郎「思えばあれからっすよね、変な異名ついたの」
一「オカルトスレイヤー?」
京太郎「そうそう」
一「まあ、君の麻雀スタイルに似てるしねー」
一「オカルト以外の技術で勝つ、ってところが」
京太郎「まあ、あっちの俺はオカルト持ちですけどね」
一「ああ、真・マッハ改めマジカル☆レーザービームだっけ?」
京太郎「そうそう、唯一のオカルト技」
一「まあ、似たようなものを使えるしいいんじゃないの?」
一「シャープシュートだっけ」
一「あれも、オカルトっぽいよね」
京太郎「あれも技術っすよ」
京太郎「早々、毎局使える技じゃないですし」
京太郎「まあ……弘世先輩レベルだと、引きが強いんで基本狙いまくれますけど」
ハギヨシ「……!」
京太郎(ハギヨシさんが……眉を顰めた?)
京太郎(なんかあった……って訳じゃないな。すぐに動いてもないし)
京太郎(えっと……ここは長野だよな)
京太郎(ってことは、もしかしたら……)
京太郎(面識はほとんどないけど……!)
京太郎「ふ――」
京太郎「――ッ!」
京太郎(聞こえたッ!)
京太郎「空気の流れと、反響音でバレバレっすよ?」
桃子「あちゃー」
桃子「どんな耳をしてるんすか?」
桃子「あ、初めましてっす……一応」
京太郎「あ、どうもご丁寧に」
京太郎「イルカとかがやってる、エコーロケーションって奴です」
京太郎「訓練次第で、反響定位ってのが使えるんです。人間も」
桃子「ひぇー」
一「……あれ、ハギヨシさんが教えたんだっけ?」
ハギヨシ「麻雀に使えないかって、悩んでいらしたもので」
一「あのころの京太郎くん、色々見失ってたよね」
一「なんでそんなこと考えたんだろうね」
ハギヨシ「シャチなどが行うエコーロケーションなら、物体の材質までの判別ができます」
ハギヨシ「それによって、積んである牌を把握しようとしたのではないか……と」
一「相変わらず、真面目に大馬鹿だなぁ」
一「で、結果はどうだったの?」
ハギヨシ「一ヶ月ほどの訓練により、少なくとも完全なる目隠し状態でも」
ハギヨシ「頭が過度に揺さぶられるほどでなければ、ある程度の運動が可能になりました」
一「……って、言うと」
一「もしかして、オカルトスレイヤーのあの目隠し状態でビルからビルに飛び移るのは」
ハギヨシ「ノースタントですね。画像の通り」
一「馬鹿だなあ……」
ハギヨシ「ほかにも、山で修行されたりしてましたね」
ハギヨシ「おかげで、空気の微弱な流れの変化がわかるとか」
一「見失いすぎでしょ、京太郎くん」
ハギヨシ「やってみますか、エコーロケーション」
ハギヨシ「大体一ヶ月ほど訓練すれば、常人でも習得可能ですが」
一「いや……いいよ」
一「ボクはそこまで馬鹿じゃない」
京太郎「あ、どうも」
桃子「どうもっす」
京太郎「えっと……本日は、どのようなご用件で」
桃子「えーっと」
桃子(この間のヤクザさんといい、まさか見つかるとは思わなかったっす)
桃子(言い訳、どうするっすかね)
桃子(……あ、そうだ)
桃子「うちの、ゆみ……加治木プロと今度インハイの解説をするじゃないですか?」
京太郎「そうですね。ああ、それで……」
桃子「マネージャーとして、ご挨拶しておいた方がいいかなーっと」
桃子「そんな風に思ったっす」
桃子「あ、これ。おみやげっす」
桃子(……本当は自分用っすけど)
京太郎「あ、どうもどうも。これはこれは」
京太郎「こちらこそよろしくお願いしますって、加治木プロにお伝えください」
桃子「りょーかいっす」
ハギヨシ「結局、物体の材質の判別までは不可能でしたね」
ハギヨシ「人間に聞こえる周波数では、正確さが足りないので」
一「……どういうこと?」
ハギヨシ「高周波ほど、より正確な探知が可能になります」
ハギヨシ「人間の聴覚可能な音波だと、そこまではできません」
ハギヨシ「精々が、完全な無視界でもある程度普段通りの活動ができる」
ハギヨシ「そんな程度です」
一「なるほど……それでも十分、凄いけど」
一「……レスキュー隊員にでもなった方がいいんじゃないの」
ハギヨシ「ハハハ」
京太郎「えーっと」
京太郎「見ての通り、ちょっと仕事中でして……」
京太郎「あまり、お構いはできないのですが」
桃子「あ、いいっすよ」
桃子「構われないのは、慣れてるんで」
桃子(むしろあんな方法で発見されたことが驚きっす)
桃子(元部長さんも、視覚以外の方法で探してくれましたけど)
桃子(この人のは、それ以上っすね)
桃子(正直人間とは思えないっす)
京太郎「そうですか?」
京太郎「お時間に差支えがないのなら……」
京太郎「よろしければ、見ていってください」
桃子「いや、そこまで気を使われなくても……」
桃子(残るとか、逆に面倒っす)
桃子(見つかっちゃった時点で……)
京太郎「いやー、なんていうか」
京太郎「加治木プロとご一緒に仕事をするにあたって……」
京太郎「俺のことを、ある程度把握して貰えたらなーって」
京太郎「時間があったら、の話ですけど」
桃子「あー」
桃子「そういうことなら、少しだけお邪魔するっすよ」
「すげー! 兄貴すげー!」
「見たか、今の……!」
「幽、霊……?」
「幽霊が……お土産持ってきた……?」
「ちげーよ! アレ、スタンドだって!」
「兄貴はスタンドにお菓子を取ってこさせたんだよ!」
「流石兄貴ィ! そこに痺れる、憧れるゥ!」
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【ハギヨシの好感度が上昇しました!】
【東横桃子の好感度が上昇しました!】
【スキル『反響定位』を習得しました!】
最終更新:2013年09月22日 17:32