騎士と奴隷
「お、お願いします、止めさせて下さい。」
「今のお前は俺に意見できる立場じゃないんだ、黙っていろ。
それに俺風情が、騎士様に意見できるはずなど無いだろ。」
私は隣に立つ男に懇願した。
男の手には私につけたられた奴隷を示す首輪から繋がった鎖ある。
そして、私の首の首輪には所有者を示す名前、目の前にいる男の名前が刻み込まれていた。
男は流れの魔道士だった。
男は広場の中心を眺めてニヤニヤと笑っている。
男の視線の先にある広場にはある高名な女騎士がいた。
居るだけで人目をひきつけてやまない華を持った女騎士だ。
しかも、ただ居るというわけではない。
その姿は女性の侮蔑を、男たちの羨望を一身に浴びる姿。
女騎士は胸をさらし、下半身を晒して一心に自慰行為に励んでいるのだ。
街の人々はそれを遠巻きにしてみている、今はまだ。
しかし、誰かが口火を切れば間違いなく、目の前の女騎士は陵辱されるはずだ、しかもそれを嬉々として受け入れて。
「さぁ、行くぞ。」
男は私の首輪に繋がっている鎖を引くとその場を離れる事決めたらしい。
どうなったかはどうせ噂としてわかるはずだと思っているのだろうか。
私は何とか男を説得しようと踏ん張ったが所詮は女奴隷の力では逆らう事などできるはずも無い。
魔道士は後ろを気にしながら振り向きながらついてくる私に冷たい笑みを浮かべて言った。
「くくく、諦めるんだな。
私は約束を守っただけだ。
私は魔道士の真名に誓ってしまったからな、お前が望んだ魔法を行使する代わりに一度だけ、私の魔法に協力する事。
そして私は二度とお前に対して魔法を行使しない。
魔法は身体にも精神にも影響しない事もうそではなかっただろ?
アヤツがあそこでしている事は私が命令した事ではない。」
「そ、それは…」
たしかに、あの時の私にこの魔道士は約束した。
私に魔法をかけるのは一度きり、そして二度と私に魔法は行使しない。
私の身体を作り変えたり、心を書き換えたりもしないと約束した。
確かにその約束は守られている。
しかし、その魔法がまさか私と彼の連れていた奴隷を入れ替える魔法だったとは思いもしなかったのだ。
その結果、私は奴隷の身体に閉じ込められてしまったのだ。
約定どおり、私の身体にも精神にも影響は無かった。
色情の気がある女奴隷は主人として認識している魔道士が止めないのを良い事に私の身体で堂々と自慰行為を始めてしまったのだ、何時もの自分どおりに。
私は誇り高き騎士としての精神のまま、彼の女奴隷の身体の中にいる。
私が交わした約定によって私は元の身体に戻れる見込みは無い。
彼は私の元の身体に対して二度と魔法をかけることは許されないのだから。
私は背後の方で私の嬌声が聞こえるのに涙しながら彼の奴隷として街を離れた。
最終更新:2010年05月17日 02:12