イリュージョン1-8

295 名無しさん@ピンキー [sage] 2010/06/10(木) 13:00:12 ID:+txSqMCd

イリュージョン1-8
その瞬間、観客の大半が「まさか」あるいは「よもや」と思ったに違いない。ここまでの人体の切断は、極めて精巧なダミー…ハリウッド映画などに使われているヤツだ…もしくは鏡や光、映像の投射などを利用したトリックとして説明できないこともない。
だが、一度バラバラになった身体…それもまだ年端もいかない女の子と成人女性の首と胴体、そして手足がシャッフルされる形で繋ぎ直されるとなれば…これは果たしてトリックといっていいものなのか?
マジシャンの鳴らした指の音に反応するかのように、女性、そして女の子の瞼がゆっくりと開いた。
どよめきと歓声のかわりに、客席には息を呑む音が一斉にコダマした。
その観客の顔に浮かんでいるのは総て「まさか」と言わんばかりの驚愕の表情だ。
しかし、次の瞬間、観客達は更に驚愕の谷底へと突き落とされることになる。
分娩台に似たシートに座らされていた2人の身体…
女性に身体に女の子の頭と小さな左腕と短な脚が繋ぎあわされたものと、女の子の身体に女性の頭とすらりと伸びた左腕、そしてむっちりとした脚が繋ぎ合わされたもの、年齢の違いによる体格差故にそれぞれの肉体が混在状態のその身体は明らかに異形めいている…
その身体が瞼に続いてゆっくりと動き始めたのだ。
女性と女の子、そこだけはまだ自分本来のものである左腕をゆっくりと自分の目の前にかざしてみた。
続いて、その反対側の腕…女性はすっかり短くそして小さくなった右腕とその手を、女の子はかつての倍近く長くなった右腕と細く長く伸びた指をもつ右手を目の前にかざした。
観客の驚愕に比べて、2人の顔に浮かんだ驚きの度合いは極めて小さなものだった。慣れた自分の身体…その腕の長さの違いに扱いづらさを感じてはいるようだったが、自分の身体の一部が全く別人のものとなっていることは意外なほど当然のように受け入れているかのようだった。

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最終更新:2010年06月13日 18:36