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おばあちゃんの日 第8話

332 【おばあちゃんの日 8話】 [sage] 2010/06/19(土) 20:34:26 ID:pb8cGkVt Be:
ここで時間は1ヶ月ほど遡る。
麻由美が高校2年になって最初のGW。休日などの都合で家族そろっての旅行こそできなかったが、その日、両親は日帰りながらも温泉めぐり。そして祖母は親戚からもらったチケットで若手演歌歌手のコンサートということで、麻由美はお留守番ということになっていた。
もっとも、麻由美にしてみれば、お昼代+夕食代+お留守番代ということでけっこうな額をもらっている上にまだまだGW中の休日は残っているだけになんら不満
はない。
「でも、おばあちゃん、よかったね。ちょうど近くにコンサートが来た時にチケットもらえて。」
両親は移動時間と渋滞避けのため、早朝に出発しているので、家には麻由美と祖母の2人だけ。コンサートは午後からだが、これまた移動時間の問題もあるので、祖母も朝食を終えると、出かける前の着替えなどの準備を始めていた。
「そうだねえ。テレビでしかみられないと思っていたのに、こうやってコンサートにいけるなんて…」
「あれ?おばあちゃん。元気ないね?もしかして行きたくないの?」
「そういうわけじゃないけど、近くといってもバスと電車に乗らないといけないだろ。乗る電車を間違えないようにしないとか、駅で降り損ねるなんじゃないかと心配ごとも多くてねえ。それに、もう歳だから、乗り物に乗っているともう疲れて疲れて。」
「あ、そっか…」
昨年の夏、夏バテに加えて食中毒になったことで祖母の身体がすっかり弱っていた。秋には寝たきり同然の上、食欲もすっかりなくなって、家族親戚一同、葬式やら相続の話を始めたほどだ。
幸いと言うべきか、冬前には持ち直し、冬も用心を重ねた結果、春には、家の中では以前のように動けるように回復していたが、やはり歳には勝てないらしく、外出する回数はめっきりと減っていた。
「おばあちゃんももうすぐ70だもんね。」
「やっぱり歳はとりたくないもんだねえ。もっとも歳をとらなかったら、麻由美の顔を見ることもできなかったわけだけど。」
「あーあ、ちょっとぐらいおばあちゃんにあたしの若さを分けてあげられたらいいのに。」
「そうできたらいいんだけどねえ…ん…」
「あれ、どうしたの?おばあちゃん?」
「い、いや、なんでもないよ…でも…でも…あ、麻由美。試しに聞いてみるけど…本当におばあちゃんに若さを分けてあげたいと思うかい?」

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最終更新:2010年07月12日 01:14