アットウィキロゴ

ママな妹、妹なママ

(現在5スレ目>>53 第8話(?)まで 2010/12/04(土) 23:04:25投稿分)

451 ママな妹、妹なママその1 [sage] 2010/08/17(火) 11:29:48  ID:2nUWze07 Be:

    「あ~あ、気持ち良かった。」
    テレビをみていたおれが、その声に振り返ると、お風呂上がりの妹がバスタオルで髪を拭きつつリビングに入ってくるところだった。
    下着姿で。
    妹はまだ9歳、小学3年生とはいえ、いくらなんでも女の子なわけだし。
    「おい、由香。そんな格好、はしたないぞ。」
    「へーん、お兄ちゃんだって、いつもそうしてるじゃない。」
    小学3年ともなると多少知恵もついてくるのか、生意気な返事を返してくる。
    「そうよ。由香。早く服を着なさい。」
    「はぁ~い。」
    流石に母親には抵抗する気はないのか、髪を拭きつつ、部屋へと戻る由香。
    「ただいまぁ。」
    それを待っていたかのように玄関から声が聞こえてきた。
    「あら、お父さん、今日は随分早いわね。」
    この前、課長になった父親はその分仕事も忙しくて、帰宅が9時10時過ぎになることは珍しくなく、日付が変わることもザラだ。
    特に、明日からの土日祝日という3連休の前日となれば。
    「いやぁ、まいったよ。明日から急に出張が入ってさ。帰りは明々後日、月曜になる。」
    「え、それって三連休まるごとじゃない。」
    「ああ、先方からどうしてもと言われては断るわけにもいかんからな。折角の連休に子供達には悪いことをしたと思うが。」
    中学生のオレは、大人の事情も分かってきているから、その辺は我慢できるところだけど、由香はまた大暴れしそうだな。
    「それより、あなたの方は大丈夫なんですか?一応、日曜日は休みはとってますけど、その他はいつも残業ばかりで。自分の身体には気を付けてくださいね。」
    「ああ、今日はその分、早く帰れたんだからゆっくり休むことにするよ。」

    翌日、休みだと言うことで少々寝坊したオレがリビングにいくと、父親は既に出発した後だった。
    「父さんも大変だな。三連休全部仕事だなんて。」
    「ホントね。お父さんがいないことしったら、由香、またヘソを曲げるから、相手をよろしくね。」
    「あーあ、やっぱりそうか…って、アレ、由香のヤツまだ起きてきてないのか?」
    「なにか昨日借りてきた本が面白かったらしくて随分遅くまで起きていたみたいだから。」

    起きてきた由香は、休日に父親がいないことに案の定ヘソを曲げたわけだが、それも10時のお茶の時間までのことだった。
    仕事とはいえ、3日を家を空けることに対して家族(主に由香)に申し訳ないと思い、せめてものつぐないというわけか、冷蔵庫には、ケーキとプリンが入っていたからだ。
    知恵が付いてきたとはいえ所詮は小学3年生。レアチーズケーキで期限が治るとは。
    そのチーズケーキの脇にかなり傷んだ本が置いてあるのに気づく。
    由香ぐらいの年頃には似つかわしくないその本。
    これが昨日借りてきた本か。
    表紙も背表紙もだいぶ傷んでいて、タイトルもよく分からない。
    ふと好奇心にかられたオレは、それを口にだしてみた。
    「おい、由香、その本って一体なんだ?」
    「あ、うん、これ、おまじないの本だよ。図書館で色々探していたら、特別の本だっていって貸してくれたの。」
    ふうん、占いとおまじないってヤツは女の子に人気があるからな。
    多分、この本はオレが産まれる前から、色んな女の子が読んできた特別の本なのかもしれない。
    「ね、由香、どんなことが書いてあるの?」
    食いついたのは母親の方。そうだった。母さんも昔は女の子だったわけで。
    「えーと、こんなのがあったよ。」
    母娘が仲良く1冊の本を覗き込む微笑ましい光景。
    まあ、これはこれでいいか。
    「あ、これなんか面白そう。」
    「あら、本当ね。」
    不意に2人の声が跳ね上がる。
    「ん、一体何があったんだよ。」
    どちらかといえば占いもおまじないもあまり信じていないオレではあるが、多少興味をそそられる。
    「2人の年齢を交換する?これって本当かしら。」
    おいおい、そんなことをあるわけないだろ。
    「面白そう。やってみようよ!」

    人ができるとか成績がよくなるというのなら、自己暗示によって実現することもあるかもしれないけど、年齢を交換するなんてこと現実におきるわけないだろ。
    それはおまじいというより魔法で、すなわちやっぱり無理ってコトだ。
    しかし、由香と母さんはすっかりその気になっていた。
    まあ、実際にそんなことが起こることを期待するより、面白そうなおまじないをやってみるということに興奮しているんだろうけど。
    魔法陣とか特別なものは必要ないみたいだけど、呪文を唱える必要があるみたいだ。
    お経というより、外国の民族音楽みたいな呟きが聞こえてくる。
    「ママ、呪文は覚えた?」
    「う、うん、大丈夫だとは思うけど。由香ちゃんは大丈夫?」
    「由香は大丈夫!じゃあやってみよう!」
    2人の合奏状態で、呪文の呟きが始まった。これがおまじないの本だと分からなければ、まあ合唱と聞こえないわけでもないけど。
    やがて、呪文が終わってしばしの沈黙。
    あーあ、当たり前のことだけど何も起こらなかったからがっかりしてるんだな。
    でも、小学生のうちくらいはこんなおまじないを信じているのなら可愛いけど。だけど、母さんも、そんなに載らなくてもいいと思うんだけど。
    がっかりした由香をどう慰めつつ、からかってやろうかと考えながら、2人の方に顔を向けたオレは言葉を失った。
    そこには、妹も母親もどちらの姿もなかった。だが誰もいないというわけでもなかった。
    2人がいるはずのその場所には、明らかにサイズが小さすぎる服をはじけさせんばかりに無理矢理着込んでいる35,6歳の中年女性と、これまたサイズが合わない、ただしこちらは大きすぎる服の中に半ば埋もれかかっている小学生らしい女の子。
    そんな異様な服装の2人が立っていたのだ。

    オレが慌てなかったいえばウソになる。
    近所のオバサンや、小学生がりびんぐにいるならまだ対応のしようもあるけど、そこにいるのは見覚えがないといってもいい2人。
    なんで、こんな2人がここにいるんだ?
    そんなオレの気持ちを察したかのように、小柄な方、サイズの合わない服装に埋もれている方が口を開いた。
    「あ、あれ?…勇治…あなた、いつのまにそんなに大きく…」
    そんなに大きく?どういうことだ?
    オレの身長は、同学年の男子の中では平均的。
    その上、オレが見知らぬこの子がオレのコトを知っているというのはどういうことだ?
    だが、それに続くようにして、30代半ばと思わせる女性の言葉がオレを続けざまに驚愕させた。



    「え?あれ?あれれ?お兄ちゃん、どうしたの?こんなに小さくなってびっくり?」
    中年女性が口にしたその言葉への驚きは、小学生ぐらいの少女が呟いた内容に匹敵する驚きをオレに与ていた。
    おにいちゃん?
    確かに、この女性はオレのことを「お兄ちゃん」といったぞ。
    外見での肉体の歳。その第一印象としては、オレとこの女性。20歳は歳の差があってもおかしくないはずなのだが。
    おかしな疑惑がオレの中で渦巻いていた。
    とても未成年…どころか小学生としてもちぐはぐな言葉を吐くこの女の子と、オレのことをお兄ちゃんと呼ぶ中年の女性。
    平均的な日常生活の中はまず聞くことがないと思われるセリフだ。
    少なくとも学校で教わる受業の中からでは。
    しかし、今は受業中の上に、これが夢や幻想や幻、そして自己幻影の世界でないことだけは確かであることをオレは実感していた。

    「ちょっと…2人に聞きたい…確かめたいことがあるんだけど…」
    「なあに?」
    「なんなの?」
    中年女性と少女がそれぞれに応える。
    「えーと、母さんだよね?」
    少女に向かっておそるおそる問いかけてみれば、
    「そうよ。それがどうかしたの?」
    その少女は小学生、それも10歳になるかならないかという外見に似つかわない大人びた口調で応える。
    「それじゃあ…こっちは由香だよね。」
    「そうだよ。でもさっきからなんでそんなこと聞くの。お兄ちゃん?」
    血の気がひくというのはこんな感じなのだろうか?
    そんな…まさか…
    でも、先ほど2人が読んでいて、そして呪文を唱えることになったあの本。
    母さんと由香、2人が消えて、代わりに現れた女性と少女。
    そして、女性はオレのことをお兄ちゃんと呼び、少女はオレのことをまるで息子か何かのように扱っている。
    こ、これはおそらく…あの呪文は本物。
    後は、この2人に「今の自分の姿」をみてもらうしかないだろう。
    「ちょっとまってくれよ。2人とも…」
    オレはリビングの壁にかけてあった鏡を取り外すと、2人の前に持ってきた。
    「ちょっと、これをのぞいてみてくれよ。」

    「鏡?なんでー?」
    「どうしてこんなこと?」
    そう呟きながら2人は鏡を覗き込んだ。
    そのまま十数秒ほど…2人は、鏡と顔の間で手を振ったり自分の顔を触ったりしていたが
    5秒ほどその動きが硬直した後、
    「えー!」
    口調や声質は異なるものの同じ叫び声は部屋に響き渡った。
    「なな、なんで由香がこんなに大きくなってるの?!」
    「どういうこと…あたし、こんなに小さく…そういえばさっきから動きにくいと思ったら服がこんなに…」
    2人の反応、そして言葉を聞いてオレは確信するしかなかった。
    そう、冗談だと思っていたあの本の呪文。
    2人の年齢を入れ換えるという呪文。
    それは、正真正銘、本物だったのだ。
    目の前にいる、サイズが小さな服をはちきらせんばかりにしている女性は、母さんと年齢を交換した、つまりアラフォーになった妹の由香。
    一方、サイズが大きすぎる服に埋もれかけている少女は、由香と年齢が入れ替わった…小学生の年齢になった母さんということなのだろう。
    無論、これが何かのイタズラという可能性はあるけど、少なくとも母さんと由香だけでこんなコトができるとは思えない。
    「お兄ちゃん、どうしよう。」
    半ば涙目になりながら、オレに視線を向けてくる由香。
    この年頃の女性にこんな表情を向けられた経験がないだけに、相手が本当は小学生の妹であると分かっていても、ドキッとしてしまう。

    「ど、どういうことなの?身体がこんなに小さく…」
    ダブダブ状態な服の袖を振り回しながら叫ぶ小学生くらいの女の子。
    その服装からしてこっちが母親なのは、まず間違いなさそうだが、可愛らしい容姿に可愛らしい素振りを見ていてはそれを認めるのは辛いものがある。
    とはいえ、現実に目を逸らすわけにもいかない。
    「と、とにかく落ち着けよ、2人とも…母さんに由香。」
    一番落ち着きたいのが自分自身だが、この2人が混乱して暴れられたらそれどころではない。
    オレの一言がそれなりに効果を発揮したのか、若返った母さんと急成長した由香は、暴れ同然に動き回っていたところからどうにか静止状態にまで落ち着く。
    「お兄ちゃん!これって」
    「どういうことなの>!」
    2人の声がステレオ同然に響く。
    「落ち着いてくれよ。母さんに、由香…順をおって説明するから…その…さっきまで2人で読んでいたあの本、覚えているだろ?」
    「うん。由香が借りてきたあの本でしょ。」
    「色んなお呪いが書いてある…」
    そこまで言ったところで2人の顔色が変わる。
    「え…まさか…」
    「あれって、確か、2人の年齢を入れ換える…」
    お呪いを信じるタイプだったとはいえ、本当にそんなことが起こるとは思っていなかったらしい。
    まあ、それが本当って所だ。
    実際に母娘…30歳近い年齢差が入れ替わるなんてことが実際に起こるとは誰だって心の底から思う人間なんて、何千万人に1人だろう。
    とはいえ、それを一番信じていなかったおれがそれを目の当たりにするなんて実に皮肉なもんだ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年04月22日 11:19