アットウィキロゴ

隣の芝生~ナイモノネダリ~

    <1>

    「失礼します」
    ガラガラと音を立てながら引き戸が開くと、透き通った甘い声が部屋に響いた。
    「あら、早かったわね。」
    この部屋の主と思われる女性が回転椅子を回して少女の方へ向き直る。
    「松下先生、用事ってなんですか?」
    「山本さん、あなた普通の2年生よりも…言いにくいけど発育が悪いでしょ?」
    低い、しかしよく通る艶やかな声で女性が少女に語りかける。
    「あ、はい…」
    少女はぷっくらとした頬が少し紅潮させ、目線を少し伏せた。
    「やっぱり気にしているのね、みんな中学に入って大きくなるものね。なら話は早いわ。」
    女性は立ち上がると伏し目がちだった少女の顔を上げ、そして唇にキスをした。
    「…!!」
    突然のことで少女は声も出せない。全身が一気に熱くなる。
    それと同時に、何かが身体の中に流れ込むような感覚。
    どれくらいの時間が流れただろう、少女にとっての初めての口づけの時間は、ずいぶんと長く感じられるものだった。
    目の前に口づけした先生の姿。しかし、なんだかぼんやりともやがかかっているように見える。
    自分が突然味わわされた恍惚のためかと思っていた少女に未知の感覚が襲う。
    「ふふっ、始まったみたいね」
    ぶるっと身震いした少女を女性はやさしい眼差しで見つめる。

    <2>
    指先に感じる熱さに思わず眼前に指を掲げると、そこにあるのはコンプレックスの一つでもある丸っこい指ではなかった。
    すらりと伸びた5本の指、きれいに塗られた濃いネイビーのマニキュア。
    「えぇ!?」
    その脇に女性が指を掲げる。そこにあるのは見覚えのあるふっくらとしたかわいい指先。到底女性の姿に似合うものではない。
    「ふふっ、かわいい指ね。」
    この不可思議な現象を楽しんでいる女性。
    その様子に畏れを抱く暇もなく、次は足元に熱さを感じる。ゴムの上履きがきつくなっていくが、脚は金縛りにあったように動かない。
    すぐ前にあるサンダルから覗く女性の足からはマニキュアと同じ色のペティキュアがすっと消えていく。
    「痛っ!!」
    少女が思わず声を上げる。上履きに伸びた爪が刺さり、めくれあがっているのだろう。
    そこにはもちろん、濃いネイビーのペティキュアがしっかりと塗られているはずだ。
    足元の熱さは徐々に上の方に上がってくる。ふくらはぎ、そして太腿。
    それと同時に、完全に見上げていた先生の顔に徐々に近づいていく。目の前まで来た先生の顔。
    脚元を見下ろすと、今までにない地面までの高さ。
    そして、白のハイソックスが描くには似つかわしくない、美しい曲線美を持った脚。
    「先生…」
    「ふふっ、これからが本番よ」

    <3>

    そう話す女性の脚は、性的な魅力を一切失い、少年のようにまっすぐになっている。少し緩くなったストッキングがなんとか脚にひっかかっている。
    「まさか…いやぁっ!!」
    じわじわとあがる感覚はいよいよ秘部へと近づいていく。もちろん、まだ誰のものも受け入れたことはない。
    「あぁっ、おぅ…」
    少女は澄んだ声のまま、今まで上げたことのない淫らな声を上げる。
    「私もそれなりに経験してき…たから…あうっ」
    女性も秘部へのいつもの感覚を感じていた。
    「やっぱり…美緒ちゃんは当然バージンよね」
    変化が終わり、女性は少女の経験人数をしっかり言い当てた。それもそのはず、彼女の秘部はうっすらとした陰毛にピンクの小陰唇、その間に渡された処女膜。目の前の山本美緒のものになっているのだから。
    逆に美緒のそれは、数々の男性を受け入れ、紫に変色した28歳の松下麗子のそれに変わっていた。
    「先生…私…どうなっちゃうの?」
    「ふふっ、アソコが大人になったから、ちょっと色っぽくなったかしら。」
    指先から腕を通った熱さが体幹へと伝わってくる。喉元に一気に熱さがこみ上げる。
    「うっ、苦しい…せ、先生…」
    「うっ、み、みお…先生、もう大丈夫だからね」
    さっきまでの女性の声とは全く違う、明るく透き通った声。どこかで聞き覚えのある声。
    「わ、私、どうなってるのかしら?」
    美緒から発せられたのは、とても中学生とは思えない艶やかな声と落ち着いた口調。
    「声帯が入れ替わったんだ。話し方も。」
    二重のぱっちりした瞳に面長な美人顔、それに似合わないあどけない声。
    「どういうことなの?」
    こちらもツインテールの丸顔には似合わないアルトボイス。
    熱さは徐々に身体の中央へと集中してくる。
    「あふっ、胸が熱い…」
    「先生、巨乳になるよ!」
    接していた二人の麗子の胸がしぼんだと思うと、美緒の胸が一気に膨らむ。襟元の赤いリボンタイを押し上げ、ブラウスの下で大きくなった乳房がうごめく。
    カップブラをつけるまでもない小さな胸が、スポーツブラを持ち上げ、乳房を支えきれなくなったブラジャーがアンダーバストへ滑り落ちる。
    ブラウスの下からうっすらと覗き見えてしまっている乳首は、14歳の淡いピンクのそれではなく、十分な大きさを持ち、
    また十分に色づいたまさに大人の女性のものであった。
    「先生、もうちょっとだよ」
    呼称が入れ替わっていることに、美緒は気づく余裕もなかった。体幹も入れ替わったことで、美緒は完全に麗子の顔を見下ろしていた。
    その顔も、目の前にすりガラスのようなもやがかかったかと思うと、見慣れた自分の顔に変わった。
    そして熱さがすっと引いた。

    <4>

    「私、どうなっちゃったのかしら。」
    「入れ替わったんですよ、私たち。」
    だぶだぶの半袖白衣をばたばたしながら、麗子が美緒に言った。
    「私、たまにこうやってこの学校の女の子と入れ替わってるの。もちろん、そのうち身体は身体は返しますよ。」
    「ちょっと…その口調…」
    美緒は先生と言おうとしたが言葉が出てこない。
    「あ、声と一緒に話し方も変わってるの。だから、私のこと『先生』って呼ぼうとしても呼べないよ。
    だって私、山本美緒だもん。」
    「そんな、私が…」
    「私が?」
    「私は…松下…麗子…」
    「そうだよ、先生。」
    「でも…この先どうするの?」
    美緒は『美緒ちゃん』と呼びそうになるのを意地で押さえ込んで、麗子に尋ねた。
    「どうするもなにも…先生、そんなブラじゃ意味ないでしょ。私のと交換しよ」
    そう言うと、慣れた手つきで麗子は白衣とその下のスーツを脱ぎだした。
    現れたのは黒のレースに花柄のFカップのブラジャー、そしてお揃いのショーツを履いた美緒の身体。
    痩せた美緒の身体からブラジャーの紐はずれ落ち、小さくなった腰骨にようやくショーツが引っかかっていた。
    「ほら、先生も。」
    下を見下ろすと、見えないはずなどないウエストの前に、大きな双丘がそびえ立っていた。
    成長期を見込んで大きめのサイズのブラウスを買っておいたためか、なんとか身体は収まっていたが、それでもバストトップに近い第3ボタンには下からの圧力がかかり、ボタンを留める糸が2本ほど切れていた。
    外すと胸に感じていた圧迫感が解放される。胸元を通っていたつりスカートの紐はバストによって、横に押しのけられていた。ウエストのホックも外す。腹部の圧迫感が和らいだ。
    「先生も早く、下着になって。」
    美緒はえんじ色のリボンタイを取った後、ブラウスのボタンを1つずつ外し、そしてスカートを脱いだ。
    スポーツブラがずり落ち、完全に乳房が露出している。ショーツには小さなリボンと水色のチェックの縁取り。面積が小さいため、陰毛が脇からはみ出ている。
    「取り替えよ、下着。」

    <5>

    言われるままに美緒は下着を脱ぐ。そして、黒のレースのショーツを履く。股間に麗子の温もりが伝わってくる。
    「ブラもちょうだい。」
    外したスポーツブラを麗子は嬉々として身につける。入れ替わりに慣れているせいなのか、周りからは中学生がはしゃいでいるようにしか見えない。
    「ほら、こうやって…」
    カップブラを初めてつけるため、勝手がわからない美緒に、麗子は付け方を教える。
    垂れ下がる感じは収まったが、今度はアンダーバストの締め付けが美緒を襲う。
    「ほら、服着て。」
    サテン地の白のブラウスに黒のタイトスカート。脚にはストッキング。白衣を羽織り、ヒールを履くと、美緒の姿はどう見ても麗子にしか見えなくなった。
    「うんうん、いい感じ。」
    上履きを履きつま先をとんとんとする麗子。その姿もまた、美緒にしか見えなかった。
    「じゃあ先生、あとは帰るだけだから、大人の身体ゆっくり堪能してね。」
    「美緒ちゃんは?」
    とっさで思わず自分の口を押さえようとしたが、手を動かすことはできなかった。
    「私は…何度目か忘れたけど、また中学生の身体で楽しんじゃおっかな。じゃあね、先生。」
    そう言うと、麗子はドアを元気よく開け、廊下へと出て行った。

    一人残った美緒。備え付けの洗面台の前にある鏡の前に立つ。
    パーマのかかった長いブラウンの髪、マスカラで強調された大きな目に二重まぶた。すっと通った鼻筋、ぷっくらとした色っぽい唇には、淡いサーモンピンクの口紅。白衣の下からはサテン地のブラウスと、乳房によって描かれる丸みのある曲線。
    「大人になったのね…」
    話し方の変化にも、美緒は徐々に違和感を感じなくなってきていた。
    麗子は美緒の教室に向かう。2年2組、部活の最中もあってか、教室にはだれもいなかった。
    麗子は美緒の棚を見つけ、規定のカバンを取り出すと美緒の自宅へと向かった。

  <6>
  鏡を見ていた美緒だが、下腹部にむずむずする感覚を覚えた。
  「あ、おしっこ…そりゃおしっこもするわよね。」
  保健室の扉を開け、トイレへと向かう。
  「さようなら~」
  部屋の前の廊下を、部活を終えた女子生徒が通り過ぎる。紺色のリボン、自分より年上の3年生だ。
  「そうよね、今は私が松下先生だもの。」
  美緒は不思議な気持ちで、走り去る少女たちの後ろ姿を見送った。
  トイレまで歩いて行く。コツコツとパンプスのかかとが鳴る。ゴムの上履きとは違う足裏の感覚。
  そして歩くたびに揺れる乳房。ワイヤーで支えているとはいえ、歩くたびに胸元に響く。
  トイレの前に着く。足が長くなったせいかいつもより近くに感じる。
  個室に入り、スカートのホックを外す。肌色のストッキングの下に花柄の入った黒のショーツが透けて見える。
  どちらも脱ぐと、濃い陰毛に覆われた秘部が現れる。ようやく茂みとなり始めた自分のものとは量も濃さも違う。
  かき分けると生々しく大陰唇が鎮座している。瑞々しい桜色から濃い紫色に。妖しく変化したそれを見ないふりをして、美緒は洋式便座に腰を掛けた。
  尿の流れ出る感覚。他人のそして大人の身体、無意識に行っていた行為にも緊張が伴う。
  「ふう…」
  尿を拭き取り、ショーツとストッキングを上げ、スカートのホックを留める。流しで手を洗うと、鏡には再び麗子の顔。
  ハンカチで拭き終わると、マニキュアに彩られた細い指が口元に頬にと伸びる。鏡を不自然に凝視する瞳。
  (ほんとに松下先生になっちゃった…これからどうなるんだろ…)
  鏡に映る瞳は少し不安げに変わった。


  <7>
  「ただいま~」
  「おかえり、早かったわね」
  「うん、今日は部活なかったし」
  台所に向かう母、裕子の言葉にも難なく答える麗子。まさか娘の中身が28歳の女に替わっているとは思いもしないことだろう。
  2階へと上がり、美緒の部屋に入る。
  「相変わらず可愛い部屋だけど、昔よりは大人っぽくなったかな」
  ピンクのカーテン、小学校時代から使っている机。棚には教科書に混じって、ローティーンの女の子向けの雑誌。
  クローゼットを開けると、中にはスポーツブラやハーフトップのブラがしまわれていた。カップ付きのものはひとつもない。サイズには「S」と書かれている。
  「そうそう、カップがないからアンダーとか関係ないんだよね。」
  リボンをほどき、ブラウスを脱ぐ。白のキャミソールを脱ぎ、白のスポーツブラを脱ぎ捨てる。
  鏡を見ると、ピンク色の小さな乳首が二つ。膨らみがはほとんどわからない。
  「この大きさじゃ、カップはいらないよね。細身だししょうがないか」
  ブラを付け直し、スカートも脱ぐ。床にたたまれていた黄色のプリントTシャツとデニム地のショートパンツを着る。
  「かわいいじゃない。テニスで焼けた肌も脚が締まって見えて素敵。」

  「ただいま~」
  そんなことをしているうちに、姉の奈緒が帰ってきた。美緒より3つ上、今は高校2年生だ。奈緒はそのまま階段を上がって部屋に入る。
  「夕食まではまだ時間がありそうね。どうせばれるんだし早めに言っちゃお」
  麗子は奈緒を部屋に呼んだ。呼ばれた奈緒は美緒の部屋のベッドに腰掛ける。
  「なぁに、用って?」
  「お姉ちゃん…」
  麗子は奈緒の隣に座る。すると、急に後ろから乳房を鷲掴みにした。


  <8>
  「なにすんのよ、美緒!!」
  「順調におっきくなってるじゃない。私が分けてあげたおかげでしょ?」
  その口調に、奈緒は聞き覚えがあった。
  「まさか…先生?」
  「先生って何の話?私美緒だよ。」
  ぷっと吹き出しながら奈緒は言葉を継いだ。
  「ほんと、美緒にしか見えないけどさ。こんなこと、私しか信用しないよ。って言うか先生、まだこんなことしてるの?」
  「だって…やめられないでしょ。20代後半にもなって甘酸っぱい匂いが立つような、若々しい身体が手に入るんだもん」
  「んで、戻る時に若さを吸い取ると。」
  「吸い取るって人聞きの悪い!対等な条件での交換でしょ。」
  「あんっ…」
  麗子は再び奈緒の胸を揉み始める。
  「このおっぱいだって、私と入れ替わらなければこんなにおっきくならなかったんだよ」
  「ま…まぁそうだけど…せ、先生やめて」
  「そして、彼氏も。」
  「先生、なんで知ってるの?」
  「当たり前じゃない、お姉ちゃんのその身体、高2にしてはいけてるもん。」
  そういうと、麗子は腰回りに手を回した。
  「このくびれ、そしてヒップ。スタイルもあげたもんね。」
  幼い口調だが、まさぐる手の動きは艶めかしい。
  「ちょっと…い、妹とレズる、趣味はないから」
  強がってそう言うものの、美緒の丸く柔らかい指が腰を這うと、いい知れない感覚が奈緒の下半身を襲っていた。
  「もう男を知ってる身体でしょ?私だって、ほんとは知ってるんだよ。今の中身はね。」
  麗子が口づけをしようとした瞬間、階段下で声がした。
  「奈緒~美緒~降りてきなさい、ご飯よ~」
  「ちぇ、つまんないの。」
  「いやぁ、今日だけはママに感謝だわ。」
  「ねえお姉ちゃん、今度ゆっくりしようね。ママがいないときに」
  「ほんと、美緒の身体で変なことしないでくださいね。私と入れ替わった時だって、勝手にモデル事務所に応募したりして」
  「嫌ならやめればいいじゃない。楽しんでるくせに。私があげた胸がなければ落ちてたかもしれないよ」
  「ま、まぁそれは、そうだけど。」

  <9>
  奈緒は美緒と違って中学生の頃から身長は高い方。当時の身長が160cmで体重が40kg。
  食べても太らないのは友人の憧れだったが、付くべきところにも付かない、マッチ棒のような体型は、本人にとってはコンプレックスでもあった。
  そこで保健室に呼び出した麗子。1年間の留学中、それもアメリカ・イギリス・オーストラリアなど、皆が行くようなところではなく、太平洋に浮かぶ、一度聞いても名前を忘れてしまうような小国に留学し、
  現地で覚えた妖術で奈緒と身体を入れ替えたのだった。そして元に戻る時に、麗子の大きな胸とヒップを分けてやり、代わりに奈緒の若さとスレンダーなスタイルを吸収していたのだった。
  身長が168cmもあり、がっちりした印象だった麗子は全体に少し締まった身体になり、マッチ棒のような体型だった奈緒は、中学在学中の1年間でバストが成長しDカップに。
  スレンダーながらヒップも張ったそのスタイルは165cmまで伸びた身長も合わせて、中学生離れしている印象さえ与えるようになっていた。
  身長が高めというだけで採用されたモデルの仕事も、地方版のチラシから始まったのが、大手の目にとまり、今では時折上京して仕事をするようになっていた。
  「ほら。」
  麗子が窓を開け、空を見上げる。
  「あのときと同じ満月。この術は月が満ちきった時か欠けきった時じゃないと通じないの。」
  「知ってる。」
  「あ、言ったっけ?」
  「なにしてんの、早く降りてきなさい!」
  裕子の二度目の大声が響いた。
  「ママが怒ってる、行こ。」
  後ろ姿はいつもの美緒と全く変わらない。変わらないことの不自然さに少しだけ不安を覚えて、奈緒は美緒の部屋の電気を消し、麗子の後を追った。

  <10>
  「お姉ちゃん、おはよ」
  「う、う~ん…なぁに美緒。起こしに来た…」
  寝ぼけている奈緒に激痛が走る。
  「あぁん、ちょっと美緒なにやって…」
  そう言いかけたところで、奈緒は今美緒の中身が、淫乱な女保健教師になっていることを思い出した。
  「ちょ、ちょっと先生、やめてくだ、あっ…」
  パジャマの上から程よく育った乳首を揉まれていたと思ったら、今度は秘部へと手が伸びる。
  「先生、朝からこんな…」
  「だって…この身体だとあんまり興奮しなんだよね。やっぱ子供だからなぁ…」

  話は前日の夕方に戻る。
  「あ、もう6時…」
  生徒たちも帰り、保健教師の仕事もおしまい。
  保健室に鍵を掛け、美緒は更衣室へと向かう。
  「松下麗子」のロッカーを開けると、甘い香水の香りが立ちこめた。
  白いブラウスと黒のタイトスカートを脱ぐ。かかっているのは白黒とグリーンそして黄色が混じったプリントのワンピース。
  着替え終わってから玄関へと向かう。見覚えのある下駄箱。
  「あ、こっちじゃなかった。」
  向き直って職員玄関へと向かう。下駄箱を開けると、リボンの付いた黒のハイヒール。
  「へぇ、可愛いのも履くんだ。」
  履いてみると先ほどよりも高くなる目線。
  「ちょっと歩きづらいかも…」
  それでも肉付きまで麗子になっている美緒がヒールに慣れるまで、そう時間はかからなかった。
  近くのコンビニで弁当を買う。
  「私も平日は弁当で済ませてたから。」
  家庭科が苦手なのが唯一、麗子と美緒の共通点かもしれない。駅前の通りへと近づき、人通りが多くなる。
  前から歩いてきた中年のサラリーマン、すれ違いざまに視線を感じた。少し歩いてから思わず立ち止まる美緒。
  「さっきの人、私の胸見てた…私の胸…」
  下を覗くと、胸元にはわずかに谷間が覗き、質量のある隆起がプリントの生地に起伏をもたらしている。
  「…」
  大人の、それもスタイルのよい美人の身体になってしまったという実感に胸騒ぎを覚えながら、美緒は麗子のマンションへと向かった。


  <11>
  オートロックを開け、エレベーターに乗った。6階で降りて部屋に入る。
  明るいネイビーのカーテン、手前にはダイニングセット。白いソファーの上にはグリーンのストライプ地のクッションが2個。
  「今日から私の部屋かぁ…」
  ダイニングの椅子にバッグを置く。食事を終えると入浴の準備を始めた。脱衣所でワンピースを脱ぐ。
  また現れる黒の上下の下着。いつの間にか、乳房をワイヤーで支えられる感覚にも、脚を滑るストッキングの感覚にも慣れてしまっていた。
  ストッキングを脱ぎ、下着を脱ぐ。生まれたままの麗子の姿が洗面所の鏡に映る。
  左手が左の乳房に伸びる。指で触ると弾力のある乳房が押し返す。ほくろの脇に、わずかに爪の痕が付いた。
  「きれい…これが今の私…」
  身体が熱くなるのを感じる。
  (何、この感覚…)
  下腹部が疼き、熱さは次第に強くなっていく。
  (何これ、でも…我慢できない…)
  今まで避けていた秘部へ右手が伸びる。陰唇をかき分け、指がクリトリスに触れる。全身に電気が走る。
  「あぅっ…今の私の声?」
  鏡を見ると目を虚ろにした麗子の顔。学校では見せない淫靡な表情がさらに身体の熱さを増幅させる。
  (こんなことしたことないのに…でも…)


  <12>
  14歳の理性が28歳の身体に染みついた本能を止められるはずもなく、右の人差し指は細かく、そして妖しく動き続けた。
  左の手は乳房を強く握っている。手では覆いきれないボリューム。時折乳首へと指が伸びる。
  (先生の身体が…止められない…)
  脈がだんだんと大きくなり、心臓が飛び出るような感覚が襲う。何も考えられなくなっていく。
  荒くなる息遣い、身体の動きに合わせて揺れる右の乳房。
  洗面所の前に座り込む美緒。首筋、鎖骨そして乳房の上に汗が光っている。
  (だめ、こんなことしちゃ…)
  手の動きを何とか止めて美緒が立ち上がる。洗面所のマットは美緒の秘部から出た愛液でわずかに濡れていた。
  陰唇と陰毛にも絡みついている。鼻をつく酸っぱい臭い。美緒は思わず身震いした。
  「身体洗お…」
  手を震わせながら、美緒は浴室のドアを開けた。

  <13>
  「私って…もう自分でやったりしてたのかな…」
  麗子が奈緒の顔を見ながら言う。
  「ちょ、ちょっと。ここ外だよ。」
  「自分はどうだったの?先生になったとき。その前にしたことある?」
  「私はあったよって、何言わせるんですか先生。」
  「私美緒だよ。先生って変なの、お姉ちゃん。」
  麗子のわざとらしい言い回しに、奈緒は顔を至近距離に近づけて言った。
  「美緒はそんなこと言いません~純粋な、私より純粋な中学2年生の女の子なの」
  「そんな怒んなくても。」
  「いい、先生。美緒が元に戻って困るようなことしないで下さいね。私行きますから」
  奈緒はそう言うと、高校に行くため十字路を左へと曲がった。
  「ほんと、先生ったら。まぁ家でもうまくやってたし、私と一緒の時だけなんだろうけど。」
  「おはよ~奈緒」
  後ろから友人の佐伯恵麻が声を掛ける。
  「何ぶつぶつ言ってるの?」
  「あ、ううん、何でもない…」
  麗子の暴走を懸念していた奈緒。奈緒で遊びながら何度目からの14歳の生活を始めた麗子。
  このときには、まさか美緒が原因で騒動が起ころうとは二人は知る由もなかった。

  <14>
  麗子と奈緒がベッドの上で一悶着起こしていた頃、美緒も初めて麗子の身体での朝を迎えた。
  20代後半となり、さすがに14歳の時と同じ目覚めとはいかない。2度目の目覚ましでようやく起きる。
  起きようとしたときに身体の重さを感じる。
  次第に意識がはっきりしてくると、それは胸に集中していたことに気づく。
  真っ平らなはずに胸元には大きな乳房が二つ。その重さが起き上がる時の違和感となっていたのだった。
  手をついてベッドから起き上がる。サーモンピンクのサテン地のパジャマが乳首を擦る。
  思わず声をあげそうになる美緒。鏡の前に立つ。髪の乱れた素顔の麗子。
  化粧がないせいか、いつもよりも少し幼く見える。
  「準備しないと」
  ファンデーションを塗り、アイラインを描く。見よう見まねであったが、それなりの出来映えだ。
  手に取った口紅を塗ると、いつも見慣れた麗子の姿。
  「これなら大丈夫よね。」
  履いていたショーツと揃いのブラジャーを付ける。白の地にアンティーク調の刺繍。
  大きな乳房がワイヤーでしっかりと支えられ、背中が締め付けられる。
  グレーのソフトブラやお気に入りのさくらんぼ柄のショーツを着ていた昨日からはかけ離れた、
  成熟した女性の下着姿が鏡に映る。
  小さなくるみボタンの付いた水色のブラウスを羽織り、ボタンを留めていく。
  指先に刺繍の凹凸が触れ、留め終わるとブラウスには豊かな丸みが現れた。
  昨日の路上での出来事がまだ心に残っていた美緒は、黒のカーディガンをさらに羽織って胸元を隠し、
  そしてグレーのパンツを履いた。
  パンツスタイルはまたそれで、ヒップを強調した官能的なスタイルになってしまうのだが、
  大人の身体2日目の美緒にそこまでの考えは回らなかった。

  <15>
  昨日と同じヒールを履いて家を出る。駅前の通りを歩いて学校へ向かう。
  歩を進めるごとに、肩に乳房の揺れが伝わる。
  ヒールを鳴らして歩く様子は、まさに闊歩しているという形容がふさわしく、 中身が14歳の中学生だということなど、誰も信じないことだろう。
  「おはようごさいます!」
  通り過ぎていく生徒たち。指定のカバンを背負い、スニーカーで走っていく。それぞれ手には別のカバンを持っている。
  「そっか、プール始まるんだ。」
  昨日までは自分も同じように通っていたのだが、今あの勢いで走れば、ヒールで転んで脚を怪我するか、走れたとしても乳房の揺れに我慢できない。
  「昨日間違えたから、間違えないようにしないと」
  独り言を言いながら、美緒は生徒達が向かっている下駄箱の遙か手前で右に曲がり、職員玄関へと向かった。
  保健室に入ると、美緒はロッカーから白衣を出して羽織った。いつもの松下先生の姿。
  体育もプールが始まり、転んで怪我をするといったことも少ないため、午前中の保健室はゆっくりとした時間が流れた。
  「失礼しまーす」
  1時間目の終了のチャイムが鳴ったすぐに、保健室に一人の来客。その姿を見て、美緒は驚きを隠せなかった。友人の新田茜が入ってきたのだ。
  「ど、どうしたのあ、じゃなかった、新田さん」
  茜はプッと吹き出したように笑うと、大きくなった美緒の乳房を鷲掴みにした。
  「いやぁ、何?」
  「すごいよね、松下先生のおっぱい。美緒も見たんでしょ?」

  <16>
  その数時間前…
  「おはよう」
  教室に入り、美緒の席に座った麗子に、新田茜が声を掛ける。身長は155cmと美緒よりは大きいものの、平均的。
  しかし、二重の瞳と通った鼻筋が少し大人びた印象を与える。そして、最近になって大きくなってきたバスト。
  ソフトブラしか必要としない美緒の成長が遅すぎるのもあるのだが、茜は1年生の時にはすでにAAカップのブラを着けていた。
  しかし、夏休みを前にしてぐんぐん成長し、今や日によってはCカップを着けるときさえある。
  「おはよ、茜ちゃん」
  「ねぇ、昨日の宿題難しくなかった?美緒も数学苦手じゃん。」
  「あ…あぁ、そうだね、難しかったよねぇ。」
  見た目は童顔の中学2年生だが、中身は怪しさ満点の保健教師である、理系が苦手な訳はない。
  文字式などものの5分で解いてみせたが、それを言っては台無しだ。
  朝のホームルームまではあと5分。茜の手を引き、廊下を走る。
  「ちょっと、どうしたの美緒。」
  個室に入ると茜を壁に押しつけ、Cカップまで発達した乳房を揉みしだき始めた。
  「ひゃぁ、ちょ、ちょっと美緒。急にどうしたの?」
  「順調に大きくなってるじゃない。茜ちゃんはぁ、美人だし、胸まで大きくなったら、すんごいモテるよねぇ」
  後の方の口調は美緒そのものだが、接頭語のような最初の文句に茜は引っかかりを感じた。


  <17>
  「って、松下先生?あぅ…や、やめて先生、他の子が来ちゃう」
  いつもとは違う妖しい笑みを浮かべていた美緒の顔が元に戻る。
  「じゃ、戻ろうか、茜ちゃん。」
  「今度は美緒と入れ替わったんですか?」
  茜が麗子の耳元でささやく。
 「茜よりも悩んでる子なんて山ほどいるんだから。特に私の身体…」
  「まぁ確かに、美緒はお子ちゃま体型だし、私も美緒とお泊まりしたときにからかったりしたけど…」
  トイレの外でチャイムが鳴り響く。
  「行かないと、先生。」
  「違うよ、しばらくは私美緒だから。よろしくね、茜ちゃん。」
  いつもの美緒より少し甘ったるい声で麗子は茜にささやいた。

  <18>
  「私も先生になったことあるんだ。すごいよね、このおっぱい。」
  「新田さん、やめて、誰か入ってきたら困るわ。」
  「ホント、美緒が入ってるなんてわからないよね。しゃべり方も先生だし。」
  「自然とこのしゃべり方になっちゃうのよ。」
  「わかる、私もそうだった。」
  「どんなことしてたの、この身体で。」
  「そ、そんなの、言えるわけないじゃん。」
  「え~?」
  「まぁ、先生のおかげで胸も大きくなったし。」
  「あー、新田さん最近胸が大きくなったのってもしかして…」
  「そう、先生から分けてもらったんだ。でもさ、周りと比べるとちょっと大きすぎだよね。」
  中学2年生でCカップは成長が早い部類に入る。しかも、制服や体操着など、皆が同じ規格の服を着ている分、その差が余計にはっきりと出てしまうのだった。
  「でもいいじゃない、小さいよりは。」
  「美緒も元に戻れば大きくなるよ。」
  2時間目の始まるチャイムが鳴った。
  「またね美緒」
  自分も受けているはずの授業。
  「木曜日の2時間目は苦手な数学だったはず…」
  美緒は麗子の姿に似合わない、少し困った表情を浮かべていた。

  <19>
  5時間目の終了のチャイムが鳴り、グラウンドが徐々に賑やかになっていく。部活動が始まったのだ。
  美緒の所属するテニス部の女子たちも、体操着のままコートへと歩を進めている様子が、保健室からも確認できた。
  「先生、大丈夫かなぁ」

  「意外とできるんですね、先生。」
  「まぁね、これでも運動神経はいい方よ。って、あなたのときだってやってたんだから。」
  「あ、そっか。」
  練習の待ち時間、麗子と茜はひそひそとこんな話をしていた。
  「胸が邪魔で運動なんかしなくなったけど、この身体ならね。」
  そういうと、麗子は体操着の上から真っ平らな胸をなでた。
  「まあ、そうですね。」
  そう言う茜の胸元にははっきりわかる膨らみ、「新田」の文字がわずかに上を向いている。
  「集合!!」
  部長が声をかけ、練習が再開された。

  保健室の美緒は一つくしゃみをした。思わずコートを見る。
  「茜ちゃん、先生となんか話してるのかな。」
  そんなことを考えていると、保健室のドアがノックされた。
  「失礼します。」
  見ると、陸上部のユニフォームを着た少年が立っている。ハードルにでもぶつけて怪我をしたのか、膝が赤く染まっている。
  「そこに座って。」
  慣れた手つきで傷を洗う美緒。
  (これくらいはやったことあるもんね)
  しかし、しばらくすると、いつもと違う感覚、もっと言うと嗅覚が、美緒を襲う。
  少年の汗の臭い。いつもなら何とも思わない、むしろ不快に思うかもしれない。しかし…
  身体の年齢からは一回り以上も離れた少年の汗は、フェロモンとして美緒の感覚に襲いかかる。
  (やだ、なんか…身体の中が熱い…)
  「先生、どうしたんですか?」
  手の止まった美緒を不思議に思い、少年が声を掛ける。
  「う~ん、なんでもないの。ごめんね。」
  創部をガーゼで保護し、少年を帰す。帰った後、思わず鼻で大きく息を吸い込む。
  微かに残る汗の臭い、秘部に残る熱さとわずかに感じる湿り気。
  (先生の身体、興奮してる…)
  14歳には、それも周りの子よりも初心な14歳には、28歳の淫らな保健教師の身体を制御するのは、やはり無理だったのかもしれない。
  麗子は、まさに身をもって、それを知ることになる。

  <20>
  「じゃあ元に戻るわよ。」
  らしからぬ口調で女の子が語る。よく見ると、服は白黒のゼブラ柄のワンピース。
  不必要に大きなカップのブラジャーで胸元は空虚に持ち上がられ、膝下からはまっすぐな細い脚が伸びている。
  茶髪ならばやんちゃな女の子でも通るのだろうが、あどけない顔立ちに長い黒髪。背伸びしすぎな印象だ。
  「はい。」
  一方の女性は、ベージュのチュニックに小さな白い水玉の入った黒のミニスカート。しかし、いずれもサイズが小さすぎる。
  チュニックの胸元は大きく盛り上がり、ミニスカートからはむっちりとした太股が露わになって、マイクロミニのようになっている。
  中学生は少し上にある女性の肩を持つと身体を密着させキスをした。女性を襲う、身体が引っ張られるような感覚。
  それが終わったと思うと、今度は身体に熱いものが流れ込んでいく。
  「始まるわよ。」
  中学生がまた似合わない口調で女性に話す。しかしその脚元では、まっすぐな脚がゆっくりと膨らみ、今まで見えていなかった膝が現れていた。
  真っ平らだったヒップが大きく盛り上がり、ブラのカップには大きな乳房と色づいた乳首が充填される。
  女性の身体にも変化が訪れる。チュニックを持ち上げていた乳房はシュルシュルと縮んでいき、
  ヒップが見えそうだったミニスカートからは、いつの間にかまっすぐな細い脚。
  「これで戻ったわね。」
  少しハスキーな女性の声。
  「よかったぁ。」
  似つかぬ口調で話していた中学生が、歓喜の声を上げる。


  <21>
  その数ヶ月後。
  「失礼します。」
  「あらどうしたの新田さん。」
  先ほどの女性が、訪れた中学生に訪ねる。
  「あのぉ…先生…最近、胸が痛いんです。あと、部活の後の脚の痛さが、今までよりひといんですけど。」
  「ふふっ、ようやく効果が現れ始めたのね。」
  「効果って?」
  「あなた、背もあんまり伸びないし、胸も小さめだったでしょ。だからあの時あげたの。あなたの身体に戻る時に私の胸と身長をね。
  代わりに、あなたの若さと脚の細さをちょっとだけもらったわ。」
  そういうと、女性はその子を座らせ、制服を脱がせた。
  「ほら、乳房がちゃんと膨らんできてる。もうカップ付きのブラにした方がいいわ。あと…」
  そういうと、吊りスカートをたぐって、脚を露わにした。
  「脚もだんだん、大人っぽくなってる」
  「先生…もう一つ聞きたいことが」
  「何?」
  「元に戻る方法、もう一つあるって言いましたよね。キス以外に。どんな方法なんですか?」
  「それは言えないわ。もう戻っちゃったし。」
  「えぇ~。教えてくださいよ。」
  「ダメ。あんまり言ってると、元に戻しちゃうわよ。」
  「そ、それは…わかりました。」
  女の子はすごすごと保健室を後にした。
  「一人でも戻れる方法があるのよ。」
  無人の保健室で女性が呟く。
  「イッちゃえば一人でも戻れるけど。この子達にはちょっと早すぎるわね。」
  女性は机に腰掛けながら、コーヒーカップを手に取った。

  <22>
  「そろそろ戻らないんですか、先生。」
  「先生って何言ってるの、茜ちゃん。」
  「いいかげん、飽きませんかそれ。」
  「え?飽きるって?」
  「もういいです。あれから2週間近く経ちましたよね、私の時は2週間くらいだったはず。」
  「そろそろ新月かぁ」
  「ペチャパイの美緒の身体がお気に入りとか?」
  「まさか。でも、この年でこの身体を体験できるのは貴重よね。」

  これまでの女の子達が気にしてきた「胸が大きくならない」「身体が大人っぽくならない」といった悩みには無縁だった麗子。
  「松下さん、まだスポーツブラなの?」
  5年生の時に保健室の先生に言われ、慌ててカップ付きのブラを買いに行った麗子。
  「ここまでの大きさなら、ちゃんと付けなきゃダメね。」
  デパートの店員に勧められて買ったブラジャーはすでにAカップ。ここまで胸が小さい時代はほとんど記憶にないのだった。
  麗子は水着の入った赤いバックを振り回す。

  「スクール水着も、他の身体はもうちょっと膨らんでた気がするもの。」
  「どうなんですか、28歳になってスクール水着着るって。」
  麗子は今日の水泳の授業を思い出していた。胸元に大きな「2-2山本」のネーム。
  となりの茜は、紺で目立たないながらも、横から見ればしっかりと確認できる隆起。麗子が上げた乳房の成長のおかげだ。
  一方の美緒の身体は、華奢な体型も相まって、ネームがなければ一人だけ小学生が混じっているようにも見えた。
  「でも、美緒ちゃん、変わるわよ。」
  「何あげるんですか、やっぱり胸?それは絶対だよねぇ。」
  「もうちょっと絞りたいって言うか、私ちょっと骨太な感じでしょ?それでもみんなのおかげでスタイルがよくなったんだけど」
  「美緒にあげると、先生はもっと細身でスタイルがよくなると」
  「まぁそういうことね。明日には戻ろうかしら。」
  「じゃあ、明日は久しぶりに美緒と帰れるかな。」
  「だから、私…」
  「先生もういいから。じゃあね。」
  茜はいつもの小道を右に折れ、堤防を下っていった。

  <23>
  「ただいま」
  テスト前で部活がなかったため、いつもより早い帰宅。
  「おかえり」
  美緒と奈緒の母、麻美の声がした。
  「早いんだね。」
  「今日はパートが早く終わったんで帰ってきたのよ。」
  「ふ~ん。」
  麗子は水着を洗濯機に入れると、自分の部屋へと上がった。
  「戻って困らないようにしないとね。」
  慣れた手つきで宿題をこなす麗子。終えて立ちあがり、ふと見ると全身の姿見に映る美緒の身体。
  花柄のチュニックにカーキ色のハーフパンツ。ほっそりとした脚。胸元を触ると綿生地のソフトブラの感触。
  「そろそろ返そうかな。」

  学校では、テスト休みに入っていたテニス部とは異なり、サッカー部や野球部が、テスト前ギリギリまで部活動を続けていた。
  もちろん、美緒も保健室に残って待機中だった。
  「失礼します」
  下校を促す校内放送が流れる頃、聞き覚えのある、いや、何度も聞き取ろうとして記憶に刷り込んだ声が耳に飛び込んできた。
  サッカー部の3年生、上島有樹だ。コートの隣がサッカー部の活動場所。コートから見える有樹の姿に、美緒はいつの間にか憧れを抱いていた。
  しかし、面識のない3年生、声を掛ける機会もなく、ましてやこんな近くで見つめることもできなかった。
  「先生、転んじゃって。傷治してくれませんか?」
  「あ、う、うん、わかったわ。」
  いつもと違う美緒の口調。怪我でよく保健室に顔を出す有樹は、敏感にその変化を察知した。
  「先生、今日体調悪いんすか?どうかしましたか?」
  「ううん、別に…」
  「タオル貸してくれませんか?部室に置いてきちゃって。」
  美緒は古びた棚からタオルを出し、有樹に渡す。
  「先生?傷…」
  ぼんやりしていた美緒に有樹が声を掛ける。さりげなく視線を投げかける胸元の膨らみ、黒のストッキングに包まれた美脚。
  成熟した大人の身体を動かしているのは、自分に憧れている下級生の精神だとは知る由もない。
  「あぁ…ごめんね」
  「やっぱ変ですよ、今日の先生。」
  美緒は処置セットを開け、イソジン消毒を取り出す。傷を処置して、絆創膏で保護する。
  「ありがとうございました。先生、これ置いときますよ。」
  有樹はタオルを置いて、保健室を出た。

  <24>
  無人になった保健室。回転椅子の上に放置されたタオル。
  タオルを手に取る美緒。ベッドの置いてあるカーテンの後に隠れる。窓のカーテンを閉め、タオルを鼻に押しつける。
  身体の奥から熱さが沸き上がってくる。
  「先輩…」
  どんどんと熱さを増していく秘部。ショーツを伝った湿り気が美緒に伝わる。大きな乳房に自然と手が伸びる。
  グレーのブラウスの上からではもの足りず、ゆっくりとブラウスのボタンを外すと、紺色のブラにあしらわれた銀の蝶が姿を現した。
  「はぁぅ…先輩の臭い…」
  声を押し殺す、そのこと自体が背徳感を高め、興奮をさらに増していく。
  裾にラインの入った白いスカートをたくし上げ、ストッキングを下ろす。秘部にも現れた銀の蝶だったが、一瞬にしてその姿を消す。
  代わりに現れた茂みを、細い指が勢いよく掻き分ける。指を包む愛液の温もり、粘り。次第に指の動きが激しくなる。
  「あぅっ!!はあっ!!」
  押し殺していた分、我慢できずに出た声は甲高く保健室に響いた。
  「ダメ、止まらない…」

  <25>
  床に座り込み、身をよじらせながらも、細かな指の動きは続いた。
  身体の中を恍惚が巡る。背筋を伸ばしてのけぞったかと思うと、美緒は後に倒れ込んだ。
  左に大きな乳房を抱え、右指を秘部に入れたまま、仰向けになる美緒。
  その身体に、さっきとは違う、新たな違和感が襲う。
  膝下まで下ろしたショーツとストッキングにかかっていた張力が弱くなり、徐々に弛んでいく。
  やせ細っていく太腿。秘部が右指の存在を拒絶するかのように、堅く門を閉ざした。
  「えぇっ?」
  美緒が身体を起こす。
  愛液に絡まって出てきたのは見覚えのある、しかし、少し忘れかけていた細い指。
  左手の柔らかな張りのある感触は一気にしぼみ、そして消え失せた。
  あどけない顔に似合わないピンクの口紅、だぶだぶのブラウス、胸元から覗く大きすぎる紺色のブラ。
  スカートからは細い脚が露わとなり、途中にはストッキングとショーツ。
  淫らと言うにはあまりに幼すぎる美緒の姿。
  「戻っちゃった…」

  鏡の前の麗子にも、違和感が襲う。慣れているはずの麗子でも、不意を突かれたのは初めてだった。
  「まさか?」
  そう思っている間に、身動きが取れなくなる。
  ハーフパンツから覗くふくらはぎは、すでに肉付きのよい女性のものに変わっている。
  グッとパンツを持ち上げるヒップ。きつくなるウエスト。思わず前のボタンを外す。
  指には紺のマニキュア。チュニックの袖に二の腕が密着する。
  そのたもと、脇の辺りから盛り上がる感覚。
  背中に食い込むスポーツブラ。圧力に耐えられず乳房の下がはだけ、チュニックが持ち上げられる。裾が上がり臍が露わになる。
  鏡の前には、臍出しで花柄のチュニックに身を収めた麗子の姿。ハーフパンツの裾は、豊満なヒップと伸びた脚で膝下まで上がっている。
  「あの子、何があったの?」

  <26>
  「美緒~、買い物つきあってくれない?」
  母麻美の声が階段の下で響く。
  「まずい…」
  わかったとでも、嫌とでも、何か言えばよかったのだろう。しかし、焦る麗子にはつなぐ言葉が見つからない。
  無言でいるのを怪しく思った麻美が階段を上がってくる。
  「ちょっと、いるんだったら返事くらいしな…」
  ドアを開けた麻美の目に映ったのは、ピチピチの娘の服に身を包んだ若い女。
  「ちょ、ちょっとあなた誰?」
  「お母さん、こ、これには…」
  「み、美緒はどこに行ったの?け、警察呼ぶわよ。」
  震えながら、しかし毅然と麗子に対峙する麻美。
  (まずい、警察なんかに行ったら、秘術もばれちゃうし、何より仕事が出来なくなっちゃう)
  次の瞬間、麗子は思いきった行動に出る。

  「ごめんなさい、お母さん」
  そういうと、全速力で麻美の元へ駆け寄る。
  あまりに一瞬の出来事で身動きできない麻美。そして、女の唇が自分の唇に重なる。
  言葉を発しようにも、身動きを取ろうにも、全く動けない。
  ブラジャーの上の胸元に、女の乳首が触れる。そう思っていると、身体の中に何かが流れ込むような感覚が襲った。
  そして、逆に身体から吸い出されるような感覚。唇を解放されると、眼前には密着した女の顔。
  「あなた何やって…」
  「お母さん、事情は後で話します。」
  「後って、あなた何を…」

  <27>
  そう言ったところで、麻美の身体に変化が起こる。
  引っ張られるような感覚の後、少し弛んだボリュームのないヒップに脂肪が充填され、ベージュのロングスカートが盛り上がる。
  少しきつくなるウエスト。
  奇妙な感覚は胸元に移り、白黒ボーダーの半袖ニットが波打ち始め、徐々にその丈を増していく。
  バチッという破裂音。Aカップのブラのホックが乳房の大きさに耐えきれずに外れた。肩に掛かる未体験の重力。ニットの裾が持ち上げられ、臍が露わになる。
  ボブだったはずの髪はパーマのかかったブラウンのロングヘアとなり、肩から胸元へと垂れていく。
  ふと目をやると、目の前の女も姿形が変わっている。
  娘のチュニックを持ち上げていた乳房は消え去り、乳房の上に乗っていたスポーツブラの中へと再び乳房が収まっていく。
  パーマのかかった髪はいつのまにかボブカットの長さへと短くなっている。
  顔を見て麻美は驚愕した。鏡を見ているように自分の顔がそこにある。娘の服に身を包んだ自分の姿。
  「お母さん、こういうことなんです」
  録音して聞いているようだが、間違いない、自分の声だ。
  「こ、これって…」
  発した瞬間、思わず手を口に当てる。いつもの涼やかな声と違う、ハスキーなアルトボイス。
  女に促されて鏡を見る。そこには、さっきまで麻美がきていたボーダーのニットとベージュのロングスカートを着た若い女の姿。
  「な、何これ?」

  <28>
  「それで、山本さんと入れ替わっていたのね」
  麻美は麗子からの説明を聞き、事態を理解した。理解したというより、させられたと言うべきか。
  身体が入れ替わるなどそんなことが現実に起きるわけがない。
  しかし現に、今の身体は、スレンダーで年齢よりも若く見られるのがちょっと自慢だった自分の身体ではない。
  下を見るとサイズの小さなニットに収まりきらない乳房がはみ出し、見事な谷間を作っている。
  ウエストも脚元も見えない。こんな視野は経験したことがない。
  そして、ヒップに食い込むショーツが、下腹部の感覚を不快にしている。
  未知の感覚が身体全体を支配している麻美には、娘を自然と自分の名字で呼んでいる奇妙さに気づく余裕はなかった。
  「たぶん、美緒が元に戻っちゃったんだわ。」
  数分前までは初々しいあどけない声を発していた麗子。今は上品で涼やかな、しかしながら年齢を感じさせる声を発している。
  さっきまでの自分の身体は、今は娘へと立場を変えた。しかも、彼女は保健室で一人困惑しているはずだ。
  「学校へ行ってみないと。」
  「私はどうしたら…」
  「一緒に行くしかないわね。」
  この身体で外を歩く?麻美は一度は断ろうとしたが、娘も困っている以上、そういうわけにもいかない。
  「あの、着替えてもいいですか?」
  胸元を露わにしたピチピチのボーダーニットで谷間を強調したまま歩いていると、下手をすると痴女だと思われかねない。
  「私の分も用意してもらえるかしら」
  麗子も美緒の服を着たまま出かけるわけにはいかない。
  「わかりました、ちょっと待っててくれますか。」
  麻美は青の上下の下着を用意し、グレーのドット柄のワンピースとジーンズを麗子に渡した。
  「私も着替えてきます」

  再度部屋に入る麻美。胸元が伸びきったボーダーのニットを脱ぐ。乳房に押されていたせいでだらしなく伸びた首元の生地。
  「もう使えないかも」
  所在なさげにバストトップに乗っかったAカップのブラ。肩紐を外し、ベッドの上に置く。
  鏡の前には大きな乳房を晒した20代の女。
  「これが今の私…」
  一度理解すると、今度は好奇心が首をもたげ始めた。しっかりと上を向いている乳首、豊満な乳房。
  右手で持ち上げると、右肩にかかる重力が和らぐ。
  「すごい巨乳ね。」
  わずかに息を飲み、意を決して乳首を摘む。電撃に思わずビクンと背中を小さくよじる。
  「結構いい感度してるじゃない」
  タイトスカートも脱ぐ。ウエストの締め付けが取れ、下腹部が解放される。
  後ろを向くと、Tバックのようになったショーツ。
  「ヒップも張りがあって…やっぱり若いわね」
  ショーツは我慢することとし、ブラジャーは役目を果たさないため着けないことにした。
  代わりに黒のキャミソールの上に、黒に白のドットが入ったパフスリーブのTシャツを合わせた。
  「これなら目立たないわね」
  麻美は部屋の外へと出た。

    <29>
    麗子も服を着替える。
    Aカップの乳房であればスポーツブラでも事足りるが、30代の身体でこのままというわけにもいかない。
    スポーツブラを脱ぎ、麻美に借りたブラを着ける。久々に乳房を支えられるワイヤーの感覚。
    それでも元の身体のように、乳房に食い込む感じはない。
    ハーフパンツを脱ぐと、水色の星がちりばめられた白いショーツから陰毛がはみ出している。
    麻美に借りたショーツを履く。ティーンズ以外の他人の下着は久しぶりだ。
    綿とは違う、久々に感じる滑りのよいポリエステルの感覚。
    借りた服を着ると、鏡にはスレンダーな30代後半の女性が立っていた。
    「今日から二人のママかぁ…」
    麗子は麻美の着替えを待ちながら、ふとそう思った。

    「どうしよう…」
    自宅での出来事を知る由もなく、美緒は保健室で途方に暮れていた。
    まずは秘部をティッシュで拭き、ショーツとストッキングを上げる。
    さっきまでは太腿と秘部に密着していた両者だが、小さくなった身体では腰骨にひっかかるのがやっとの状態だ。
    手を洗い、胸元のボタンを閉める。カップの分だけ空虚に盛り上がったブラウス。
    スカートの裾は足首にまで達しようとしている。
    「おっかしいの。」
    鏡に映る自分を見て、美緒は思わず吹き出して笑った。
    「麗子先生、どうなっちゃったのかな。」
    美緒はいつもの椅子に腰を掛けた。

    <30>
    「えぇ!?お母さんが先生になっちゃったの?」
    美緒は目をまん丸にしながら、驚きの声を上げる。
    「だって、口で言っても信じてもらえないでしょ。だから、入れ替わるしかなかったのよ。」
    母の声で入れ替わるなどという単語を聞くことに違和感を感じながら、しかし、中身が松下先生ならと美緒は自分を納得させる。
    「今キスすれば戻れるんじゃない?」
    「だめよ、同じ人間と入れ替わるには、また次の機会を待つしかないわ。」
    「じゃあ、次の満月の時までは…」
    「私が先生をしなきゃいけないわね。」
    ハスキーな麗子先生の声を発している中身は実の母。
    よく見るTシャツとジーンズ姿で辛うじて推測できるものの、美緒がこちらを受け止めるにはまだ時間がかかりそうだった。
    「とりあえず、今日は帰りましょう。美緒、着替え持ってきたわよ」
    自然と身体の口調になるとはいえ、今の瞬間は、とても中身が麗子だとは思えないほどに違和感がなかった。
    「私も、身体にあった服を着ないとね」
    麻美の語り口も麗子そのもので、美緒はまたいい知れない違和感に襲われるのであった。

    久々に着るいつもの下着。
    小さな乳首を保護する白のスポーツブラ。お気に入りのさくらんぼ柄のショーツ。
    ブラウスの袖を通す感覚も久しぶりだ。吊りスカートと膝下までの白のソックス。
    さっきまであった大きな双丘はそこにはない。すっかり見通せるウエストと脚元。
    「なんか懐かしいな。」

    美緒は麗子と一緒に家路についた。
    「先生、お母さんなんて出来るの?」
    「うっ、そこを突かれると…でも正体を知ってる2人しかいないし、我慢して。」
    「え~。レジのパートだってあるよ」
    「機械は得意な方よ」
    寄り添い歩く二人は本当の親子のように見える。
    一方、麗子のマンションに着いた麻美。昨日までは美緒が座っていたソファーに腰を掛ける。
    キャミソールを着けていたとはいえ、ノーブラで歩いてきたために、歩を進めるたびに乳房が揺れ、乳首が擦れて痛みを発した。
    「巨乳も大変ね。月並みだけど。」
    そう言いながら、麻美はTシャツとキャミソールを脱いだ。さっきは感じなかった服の匂い。
    他人の身体になったため、嗅覚も変わったのだろう。普段は気づかない、服に染みついた家の匂いが感じられる。
    クローゼットを探すと大きなカップのついたブラジャー達。ワインレッドにパープル、ネイビーに黒。
    「普段は着けない色だなぁ」
    少し口元をほころばせながら、ワインレッドの上下を手に取り身に着ける。グッとワイヤーに持ち上げられる感覚。アンダーバストが強く締め付けられる。
    「こんな感じなんだ。ほんと大変…」
    麻美はすっかり大きな乳房を持て余していた。

    <31>
    「何よそれ、先生がお母さんになってるの?」
    半ばあきれたように奈緒が言う。
    「奈緒、そんな言い方しないでよ。仕方ないでしょ。文句があるなら美緒に言って」
    「美緒、何したの?」
    問い詰める間もなく、顔を真っ赤にしながら美緒は自分の部屋へと上がっていった。
    「とりあえず、2週間はこのままってこと?」
    「そうなるわね。」
    ふーっと大きな息をついた後、奈緒はある重要なことに気づいた。
    「あーっ!!」
    「何よ突然大きな声で」
    「だ、だって、来週、お、お父さん帰ってくるよ」
    「えぇ!?」
    美緒と奈緒の父が海外出張が多いことは、以前奈緒になったこともありよく知っていたが、顔を合わせるのは初めてだ。
    しかも「娘」ではなく「妻」として。
    「帰ってくるのいつなの?」
    「来週の月曜、に出るって言ってたから来週の火曜の夜に着くんだったけ。」
    「ということは、数日は一緒にいないといけないのね」
    「向こうはまさか中身がエロ保健教師になってるなんて思ってもないからね」
    「エロは余計よ」

    <32>
    美緒は自分の部屋のベッドに横たわり天井を見つめていた。
    元に戻った自分の身体。タイトスカートからむちむちの脚が伸び、大きなブラジャーで支えられた乳房が付いていた数時間前の身体にはない軽さ。
    数時間前の身体。数時間前の身体の熱さ。身体を突き抜けた感覚。
    美緒は息を飲みながら秘部へと手を伸ばす。麗子の半分の量もない陰毛で綿のショーツは少しだけ盛り上がっている。
    その真ん中に指を這わすと美緒は身体をびくつかせた。
    身体の真ん中が熱くなった麗子とは違う、身体の表面を電撃が走るような感覚。
    「先生と違う…」
    そう呟くと急に背徳感が襲う。美緒は枕を抱えて横向きになった。

    「何にもないのね」
    空の冷蔵庫を眺めながら、麻美は途方に暮れていた。
    「買ってくるか…」
    紺のワンピースは胸元が持ち上げられ、隙間ができている。Aカップの自分ではありえないことだ。
    黒のパンプスを履いて外へ出ようとするが、かがむとワインレッドのブラが丸見えになる。
    「おっと…」
    思わず胸元を押さえる。
    エレベーターに乗り、近くのコンビニへ向かう。身体のボリュームが違うため、歩く感覚も違う。
    「おしりが…」
    乳房の変化もかなりのものだが、それとは違う歩行時の違和感は大きなヒップが原因だったようだ。
    買い物を終え、家に帰る。食事を終えると、入浴の時間。バスルームに入り、シャワーを浴びる。
    再び露わになる裸体。自分の細身の身体にはない肉感。まだキメの残った肌質。
    バスタブから透けて見える大きな乳房を見下ろしながら、麻美は身体が変わったという実感を増していくのだった。

    <33>
    「とりあえず、こんなんでどう?」
    エプロン姿の奈緒が麗子に言う。
    「ありがとう、美緒呼んでくるわね」
    姿は母親とはいえ、麗子にいきなり料理させるのもということで、今日の夕食は奈緒が作ることになった。
    「またオムライスぅ~?お姉ちゃんこれしか作れないんでしょ?」
    「何言ってるのよ、自分は一人じゃろくに作れないくせに」
    「ほら、けんかしないで。食べましょ」
    夕食を済まし、お風呂の時間。姉妹の後に麗子が入る。
    「スレンダーな身体よね、この歳でこのスタイルはなかなかだわ」
    入浴前に洗面所で身体を確認する麗子。下腹部にはミミズにように這った皮膚の模様。
    「妊娠線か…ここからあの二人が生まれてきたのね」
    何やら下腹部が疼くような感じを抱え、麗子はバスルームへと入った。

    <34>
    それから約1週間が経った。
    「どう、保健の先生の仕事。」
    保健室で美緒が麻美に話す。
    「どうって、自分もやってたでしょ?子供の頃、ちょっと憧れたこともあったから、楽しいわよ」
    「ふ~ん、あ、でさぁ、今日お父さん帰ってくるんだよ。どうする?」
    「どうするも何も、この姿で『あなたの妻です』って言っても信じてくれるわけないでしょ」
    「そっかぁ…先生大丈夫かなぁ」
    「あと数日でしょ、ちょっとおかしいなってお父さんが思っても、じきに戻るんだから大丈夫よ」
    「そっかなぁ…」

    「おかえりなさい」
    その日の夜。美緒と奈緒の父、麻美の夫である輝幸が帰ってきた。
    「ただいま。いやぁ疲れた。ちょっと時差ボケ気味だしな」
    「おかえり、お父さん。」「おかえり。」
    懐っこく美緒が、少しそっけなく奈緒が言う。
    「お風呂、沸いてるわよ」
    「じゃあ先に入るか」
    輝幸はバスルームへと向かった。
    「ねぇ、ちょっとすごいじゃん先生」
    「ほんと、一瞬先生だってこと忘れちゃうくらい」
    「まぁね、他人のふりするの、慣れてるから」

    その頃、麻美は一人、麗子のマンションで過ごしていた。
    あと数日で戻るということもあり、使っていないキッチンで料理を作るよりは、出来合いのもので済ませようと、買い物を終えて帰ってきたところだった。
    「そろそろ帰ってくる頃ね」
    時計を見つめながら、思いを馳せてみたものの、状況が変わるわけではない。
    「あの子たちから後で聞けばいいわ。」
    総菜をテーブルに広げながら、麻美は一人呟いた。

    <35>
    「麻美、寝ちゃった?」
    「いいえ、起きてるわ」
    荷物を整理し、2階の寝室に上がってきた輝幸。麗子の休むダブルベッドに入る。
    「仕事はどうだったの?」
    「向こうでの話はまとまりそうだ。行ったかいがあったよ。」
    「そう。よかったわね。」
    次の瞬間、輝幸の顔が麗子の眼前に迫ったと思うと、唇を奪われた。
    「なんだか、綺麗になった?」
    「やだ、そんなことないわよ」
    「いつもよりも色っぽい気がする」
    「気のせいよ」
    そう言いながらも、麗子は舌を絡ませた。ピンクのパジャマの上から乳房を揉みしだかれる。
    小さな乳房は、男性の手の中にすっぽりと収まってしまう。麗子の身体ではありえないことだ。
    乳首もろとも潰され、その感覚が深部へと伝わる。徐々に濡れる秘部。
    「あなた…」
    首筋に光る汗。うなじがしっとりと濡れ始めている。裸になり、さらに首筋や乳房を舐められる。
    「はぅっ…」
    40代になろうかという男性の舌使い、経験豊富な麗子でも、未体験の領域だ。
    細身の身体だからか、年齢の割に愛液の匂いは鼻につかない。自分の身体になっているためもあるのだろうが。
    そこに輝幸のペニスが挿入される。肉感的な自分の身体とは違う深部に響く感覚。
    「はぁっ!!」
    娘二人が起きてしまいそうになる喘ぎ声。思わず息を飲む麗子。静寂の中、膣内を前後運動する音が響く。
    「あぁう、もっとぉ」
    いつもよりいやに積極的だと思いながらも、自分も気持ちが高ぶっている輝幸はその頻度を増していく。
    抱えていた両手に麗子の全体重がかかると、ようやくその動きは止まった。
    「麻美、寂しかった?」
    「うん、そうね。」
    麗子はまさになりきった口調で、輝幸にキスをした。

    <36>
    そしてあの日から2週間。
    「ようやく戻れるわね。」
    「お母さんにはご迷惑をおかけしまして。」
    「いいえ、こんな巨乳の身体。なりたくてもなれないもの。貴重な体験をしたわ。それに…」
    「それに?」
    「うぅん、何でもないわ。」
    「何ですか?…まあいいか。」
    「そうよ、大人ですもの私たち。」
    「そうですね。」
    「服を替えておかないと」
    「そうね」
    二人は服を脱ぎ始めた。
    服を脱ぐときに引っかかる乳房、大きなお尻、むっちりとしたふくらはぎに太腿。
    惜別の思いを胸にしながら、麻美は服を脱いでいく。
    お互い裸になり、麗子の着ていた下着を着る。見慣れた紺のショーツだが、履くと他人の温もり。
    言いようのない違和感、ブラジャーはホックを留めずに肩に掛ける。
    ブラウンのスカートのホックも留めずに腰骨で引っかける。ボーダーのニットを着ると、露わになる臍と乳房でできる隆起。
    「じゃあ始めますか」
    目の前には黒のアンサンブルに白のスカート姿の自分。その唇が自分の唇と接する。
    息を吸い続けているような感覚、脚もぐっと締め付けられるような感覚が襲う。
    下を見るとあったはずの隆起がどんどんしぼんでいき、見えなかったはずのウエストがしっかりと見通せるようになる。
    目の前が一瞬眩んだかと思うと、目の前にはさっきまで自分が動かしていた麗子の身体。
    「これで戻りました。」
    「よかったわ。これで一安心ね。」
    「じゃあ帰りましょうか。」
    「そうね。」
    麻美はそう答えながら、麗子の後を付いて行った。後ろ手にブラのホックを締めながら。

    <37>
    「戻ってよかったです、本当に」
    「そうね」
    翌日の放課後、保健室に麗子と美緒の姿があった。
    「でもね、山本さん。」
    「何ですか?」
    「実はやり残したことがあるのよ」
    麗子は不敵な笑みを浮かべた。
    「やり残した…ことって?」
    そう言葉を発した美緒の薄い唇が再び麗子に奪われる。
    あの時と違い、今日は身体に合ったサイズのブラウスだった美緒。
    第2だけなく、第3ボタンまで弾け飛び、スカートの吊り紐が脇へと追いやられる。
    白のハイソックスに包まれた大人の脚。長袖から出るしなやかな手には紺のマニキュア。
    「ちょっと、どうしてこんなことするのよぉ。」
    ピチピチの中学の制服姿で文句を言う麗子の姿。
    その前にはぶかぶかのストッキングに包まれた華奢な脚、ずり落ちたタイトスカート、カップだけでもちあがった白ブラウス姿の美緒。
    「だって先生のせいで、あの時勝手に戻っちゃったじゃん。これじゃ貧乳のままだよ。だから、今度はちゃんとキスして戻らないと」
    「えぇ~」
    「じゃあ、お姉ちゃんにあのこと言ってもいい?」
    あの日ベッドで感じた背徳感が蘇る。
    「やめて、そういうの。わかったわ、また先生やればいいんでしょ」
    大きくため息をつくと、ブラウスのボタンの糸がまた一つ切れた。(了)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年10月09日 23:35