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お召しのままに

    わたし?はし本さえ、小学3年生だよ。かぞくはママとパパとお兄ちゃん、そして犬のロイといっしょにくらしてる。
    え?そんなんそうだよ、生まれたときから…
    なはずなんだけど、ときどきなんだかちがうかんじがするんだよね。
    ママやパパのもっと年をとった顔とか、ロイがしんじゃって、わたしがかなしんでるところとか、おぼえている気がするの。
    ママは「それはきっとゆめよ」っていうんだけど。
    あと、これはママに言えないんだけど。
    わたしがおさけ作ってた気もするんだ。作り方なんか知らないのに。あと、名前もみなじゃなくて、ちがう名前でよばれてるの…

    そうよ、私は莉緒、お客さんもいっぱい付いてたし、あの日交差点で…

    あれ?なにいまの?やっぱゆめじゃない気がするけど、あんまり言うとママがこまるからやめておく。
    小学校は…1年生のときのこととか、よくおぼえてないんだ。でも今はたのしいし、みんなとなかよくやってるよ。
    ねぇ、お兄ちゃん誰?わたしのことすごくよく知ってる…

    私?小山結愛。年齢?女性に歳聞くなんて失礼ね、25よ。
    仕事?格好見てわかるでしょ、キャバ嬢よ。これでもお客さん多いんだから。一応No2.よ。
    小学生時代の記憶?変なこと聞くわね。そりゃ…あれ?小3くらいまでは覚えてるんだけど…
    まぁ小学校時代のことなんて忘れちゃうしね。
    中高?それはさすがに…あれ?思い出せないけど…う~ん、今日は飲まされたから…

    ちがう、思い出した、わたしあの日、ふしぎな光をあびたんだ。きてた服もランドセルもかわって、いいにおいのする大人のふくになったの。
    そして、からだが大きくなったんだ…

    何今の?なんか変な感じ。っていうか、あんた誰なの?人の夢の中に出て…どっかで見たことある顔だけどなぁ…

    駅前の交差点での信号待ち。隣を見ると女性と女の子。いいターゲットだ。
    銀色のヒール、太腿まで上がったミニスカート。黒ストッキングに包まれた脚は美しい曲線を描いている。
    細いストライプの入った白の上下のスーツ。黒のインナーを持ち上げる形のよい乳房。わずかに見える胸元の谷間、ブラジャーの黒い肩紐。
    それを隠すように明るいブラウンのストレートヘアがかかっている。濃い化粧、ここまで少し香る香水の匂い。
    名前は…橋本紗英か。やっぱり水商売の女か。キャバ嬢ねぇ。源氏名は莉緒か…
    その傍らに小学2,3年生の女の子がランドセルを背負って信号を待っている。
    ハートが入った白とピンクのスニーカー、それより濃いサーモンピンクに星の入った靴下。細いまっすぐな脚。フリルの付いた黒のミニスカート。
    白地に襟に黒が入ったプリントのTシャツ、その上にピンク地に黒のチェックのブラウス。小さな頭、まっすぐな髪。名前は…小山結愛ね。

    イメージを送ると、二人に変化が始まる。
    黒のインナーは白くなったかと思うと、身体へと密着する。女の子が着ていたプリントのTシャツに変化させた。
    バストラインが明らかとなり、臍が露わになる。
    レースの入った黒いブラジャーは消え、真ん中にリボンの入った白いキャミソールへと変わる。
    同じくレースの入った滑らかなナイロン地のショーツも、白のコットン地の水玉模様のショーツへと変わる。小さな生地からあふれる陰毛。
    スーツのタイトなスカートは、さらに丈の短い黒のミニスカートに変わり、水玉のショーツが覗いている。
    無理矢理ランドセルを背負わせる。伸びをするように後ろに引っ張られる肩と腕。
    黒のストッキングはピンクのソックスへ。なんとか隠れた足首、その上にはかわいいデザインに似合わない大人の脚。
    銀色のヒールは小さなピンクのスニーカーへと変わり、入りきらない足がはみ出る。
    一方、女の子のTシャツはサイズが大きくなり、真っ黒に変化していく。ピンクのブラウスのチェックが消え、白くそしてストライプが入る。
    黒のミニスカートは白いのタイトスカートへ変わると、ストンと地面に落ちた。未熟な秘部を隠す、ゴージャスなレース使いのショーツ。
    そして新たに同じデザインの黒のブラジャーが現れ、まだ保護する必要のない小さな乳首の上に、C70のサイズのカップがかぶさる。
    そのショーツさえも腰骨に引っかかり、なんとか秘部を隠している。黒いストッキングに包まれた細い脚、大きすぎる銀のヒールに小さな足。

    周りの人間は消え、3人の世界。
    「え~、なにこれ。わたし、なんで子供ふくなんか着てるの?」
    紗英が無邪気な口調で話す。
    「ちょっと、なんで私がスーツなんか着てるのよ。しかもこんな大きなサイズで…」
    結愛は、可愛げな顔に似合わないきつい口調。幼い声で、けんかしているようにも聞こえる。
    服に合わせて、二人の性格が変化したのだ。
    今度は身体も服に合わせる。Tシャツを持ち上げていた紗英の乳房はどんどん小さくなり、あふれていた陰毛も下着の中に吸い込まれていく。
    スレンダーな脚はまっすぐ中性的に。はみ出ていた足がスニーカーに収まる。濃い化粧がすっぴんになったかと思うと、どんどん幼くなっていく。
    高校生の頃も美人だったんだな。中学生になり幼さが混じり始める。パーマがかかったブラウン髪も黒髪になる。
    ストパーかけてたんだな。ちょっと外はねのくせっ毛になってる。肩まで髪が短くなり、ランドセルを背負った小学生が姿を現す。
    一方、結愛にも変化が起きる。C70のカップに乳房が充填され、さらに膨張が続く。
    いつの間にか履かれていたスカート、ウエストが足りないせいか、ホックが外れている。弛んでいたストッキングが脚にしっかりと密着する。
    足がぴったりになったヒール。
    25歳に成長し、紗英の着ていた服を着ている結愛。
    9歳に若返り、結愛の着ていた服を着ている紗英。
    25歳の結愛には、紗英の服は少し小さいようだ。ブラジャーのサイズを変える。Eの75か、結構巨乳だな。
    「ちょっと、どうなってるのよ。私大人になっちゃったじゃない。」
    「そうよ、わたしも子供になっちゃたじゃん。これじゃ、今日のしごと行けないよ。」
    そうだな、もう一つ大事な作業があったな。

    駅前の交差点での信号待ち。信号が青に変わった。
    隣の女性と女の子が歩き出す。さっきと違うのは、奥にいた女性は手前、手前にいた女の子は女性の陰になっていることだ。
    女の子は25歳の人気キャバ嬢として、女性は9歳の小学3年生として、新たな人生をまさに歩き出したのだ。
    もっとも、それを知っているのは俺一人。
    環境も入れ替わったことで、家族も会社も学校も、そして本人さえも、今までずっとそうだったと思っているんだから。

    駅の人混みの中に消えていった二人の姿。二人に幸あれと願いながら、俺はロータリーの喫煙所で煙草をふかした。

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最終更新:2011年10月12日 01:27