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無題・老婆と少女

4 ばどわいざー ◆Ko8RsM/msI [sage] 2012/07/24(火) 12:21:12.11 ID:66xCa+dV [被レス:1] Be:
    薄暗い…というより暗闇の少し手前といった方がピンとくるような空間の中で、一人の女性が壁にかけられた鏡に映る自分の姿に見入っていた。
    女性といってみたものの、その容姿…特に顔だちはむしろ少女の面影が色濃く残っている。
    最低でも二十歳前。おそらくは17歳前後、正に青春真っ直中の女子高生と言った方がピンとくる。
    それだけに、その出で立ちは実にちぐはぐなものだった。
    艶々と光沢に溢れる髪は結い上げられ…それだけならまだ女子高生でもありえるのだが…まるで中年女性のように引っ詰めるようにまとめられ後頭部で結い上げられている様はむしろ異様だった。
    違和感を覚えるのは髪型だけではなく、素材や仕立ては高級そうなものの、これまた女子高生には不釣り合いなシックなブラウスとロングスカート。
    これだけでも、彼女って女子高生?っと疑いたくなるところだが、例えばピアノや吹奏楽で、ちょっと本格的な発表会やコンテストということになればこの様な衣服を纏うこともありえないことではない。
    だが、それらを考慮したとしても、更に疑惑を深めてしまうのが、彼女が身につけているアクセサリーの類だ。
    目立つところだけでも、ネックレス、複数の指輪。そしてピアス。
    そのいずれも、イミテーションでもない限り、高級車並みの値段がつくことは間違いないし、イミテーションでもなさそうだ。
    一方、現時点で、彼女の関心は、そういった高値のつく装飾品には一切向けられていなかった。
    彼女の視線を釘付けにしているのは、鏡に映る自分の姿のみ。

    鏡を見つめる少女の表情には歓喜すら通り越して、狂気じみたものさえ感じられた。
    この年頃の少女は、なにかにつけ、ナルシストまではいかなくても、自分の外見に酔いしれやすいものだが、彼女の歓喜はただそれだけではなさそうだ。
    その表情からは、どこからともなく、いくら欲して得られなかったモノ。あるいは一度失って、もう取り戻すことは敵わないモノ。
    そんな矛盾した存在を手にしたとでもいうべき、興奮じみた喜びが感じられる。
    ただじっと鏡を見つめる少女。
    そんな時間がどれだけ過ぎただろうか。
    ようやく、少女の視線が鏡から離れた。
    流石に見飽きたのか。それとも同じ姿勢を保ち続けることが限界となったのか。
    しかし、少女の視線の先に目をむければ、そこにはもう一人、誰かの存在があった。
    これまたみるからに高そうな一人がけソファに身を沈め…文字通り沈んでしまいそうな程身体をソファに預けている…身動き一つする気配がない。
    身につけているのはセーラー服。
    だが、セーラー服を纏っているが故に、その人物の出で立ちは、あの少女と同じぐらいじつにちぐはくなものとなっていた。
    夏仕様であるセーラー服の半袖と、かなり短めのスカートからのぞく四肢。
    腕と脚は信じられないほど細い。
    その細さにはある意味嫌悪感すら覚えるかも知れない。
    贅肉も筋肉もほとんどなく、ただ骨と皮同然とでもいうべき細い腕と脚。それが制服から這い出るようにして伸びていた。

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最終更新:2012年09月08日 00:40